クラウドサービスは低コストでインフラを構築・運用できるため、需要が急増しています。
しかし、セキュリティ上の理由からリモートワークが可能なインフラ関連の案件は少ない状況です。
一方で、
- 外出を控えたい状況
- 複数案件の掛け持ちにリモートワークが適している人もいます。
そこで、フリーランスのクラウドエンジニアがリモート対応案件を獲得する方法や、そうした案件の需要について説明します。
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クラウドエンジニアはリモートワークできる?
クラウド分野においてリモートワークが可能な職種として、エンジニアの需要が高まっています。
近年、クラウドサービスの利用企業が増加傾向にあり、総務省の調査でも7割近くの企業がクラウドを活用していることが明らかになりました。
しかし、クラウド普及の歴史は浅く、専門人材が不足しているのが実情です。
そのため、
- 正社員雇用が難しい企業では、フリーランスのクラウドエンジニアに業務を委託するケースが多くなっています。
ただし、
- インフラ関連業務では完全リモートが難しいため、週1〜2回の出社を条件とする案件が大半を占めており、完全リモートの案件数は限られています。
クラウドエンジニアのリモートワーク求人・案件実情
リモートワークが可能なクラウドエンジニアの求人・案件は増加傾向にあります。
ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」に掲載されている情報によると、
- AWSの求人・案件の約35%
- Azureの約33%
がリモート対応となっています。
前年比で10%程度の上昇が見られ、この1年でリモートワークの需要が高まっていることがうかがえます。
ただし、リモート求人の多くは
- 設計
- 構築など上流工程
を想定しており、運用業務のみではリモート対応が難しい傾向にあります。
また、
- 3年以上の実務経験
- 幅広い知識
を求める案件が主流です。
リモートワークでは直接の指示を受けられないため、高いスキルが必要不可欠となります。
クラウドエンジニアとしてリモート案件を獲得するには、常駐求人以上の開発力と実績が求められることを認識しておく必要があります。
クラウドエンジニアの年収
フリーランスのクラウドエンジニアの収入状況を見ると、
- AWSエンジニアの平均年収は874万円、中央値は900万円、最高額は2,400万円、最低額は288万円となっています。
- Azureエンジニアの平均年収は824万円、中央値は840万円、最高額は2,220万円、最低額は324万円です。
クラウドエンジニア全体では、平均年収が901万円、中央値が840万円、最高額が1,920万円、最低額が360万円となっています(2022年8月時点の調査結果)。
正社員のクラウドエンジニアの平均年収は594万円と、フリーランスの約半分の水準にあります。需要の高いクラウド分野では、フリーランスとして活躍するメリットが大きいことがうかがえます。
リモートワークでも年収維持できるクラウドエンジニア
クラウドエンジニアの場合、勤務形態がリモートであっても収入水準は出社勤務とほとんど変わりません。
フリーランス求人サイトに掲載されている案件の中で、リモートワークが可能なものの最高月額報酬は160万円、最低月額報酬は30万円と、出社勤務の案件と差がありませんでした。
他の職種では
- セキュリティ上の理由からリモートワークで任せられる業務が制限される
- ため、収入が出社勤務より低くなることがあります
しかし、クラウドエンジニアは人手不足の影響もあり、リモートワークでも出社勤務時と業務内容がほぼ同じです。
そのため、クラウドエンジニアはリモートワークであっても案件の報酬単価に影響がないと考えられます。
インフラエンジニアの年収事情
ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」に掲載されている情報によると、インフラエンジニアの平均年収は786万円、最高年収は2,400万円、最低年収は36万円となっています。
クラウドエンジニアと比較すると、インフラエンジニアの平均年収は低く、最高年収と最低年収の幅が広くなっています。
この理由として、
- インフラエンジニアの仕事はインフラの構築であり、オンプレミスとクラウドの両方を扱うため、取り扱う案件の幅が広いこと
- クラウドエンジニアは設計・構築など単価の高い上流工程の案件が中心となること
- インフラエンジニアには経験の浅いエンジニアでも対応可能な運用案件も含まれるため、平均単価がクラウドエンジニアより低くなっていること
が考えられます。
さらに、クラウドエンジニア人材の不足も年収の差に影響を与えている可能性があります。
クラウドエンジニアのリモートワーク求人・案件獲得方法
クラウドエンジニアとしてリモートで働く機会を見つけるには、様々な方法があります。求職活動で上手くいかない場合は、以下の提案を検討してみましょう。
- オンラインのプロフェッショナル・ネットワークを活用し、関連分野の専門家とつながることで、新たな機会が広がるかもしれません。
- クラウド関連のイベントやセミナーに参加すれば、業界の最新動向を把握でき、有益な人脈を構築できるでしょう。
- オンラインポートフォリオを作成し、自身のスキルとプロジェクト実績を示すことで、潜在的な雇用主の目に留まる可能性が高まります。
積極的にアプローチを試みれば、望む仕事に巡り合えるはずです。
フリーランスエージェントの活用メリットと注意点
フリーランスの仕事を獲得する際、エージェントを介することで安心して業務に従事できます。
- 特に経験が浅い方にとっては、人脈がなく案件を見つけるのが難しい場合があります。
- エージェントなら、自身のスキルに合った求人を紹介してくれるため、探し方の手間がかかりません。
- また、トラブル発生時にエージェントが仲介に入ってくれたり、確実に報酬が支払われるなどのメリットがあります。
ただし、エージェントからの紹介案件にしか応募できないため、実力に見合わない低単価や簡単な内容の案件しか紹介されない可能性があることを留意する必要があります。
クラウドソーシングサービスの利用時の注意点
クラウドエンジニアを募集するプラットフォームは多数存在します。
これらのサービスでは手数料が発生しますが、フリーランスエージェントよりも低コストです。
- 実力や経験が不足していても採用される可能性があり、自身でクライアントに営業を行うことができます。
しかし、掲載案件の単価が相場より低い傾向にあるため、適正な報酬を支払ってくれるクライアントを見極める必要があります。
また、未払いトラブルへの対策は講じられていますが、完全に防げるわけではありません。
そのため、応募前にクライアント評価を確認し、リスクを minimizeすることが重要です。
SNSを活用したクラウドエンジニア求人獲得の光と影
エンジニア同士のネットワークを活用することで、クラウド分野の仕事機会を得られる可能性があります。
- SNSでフォロワーが多い影響力のあるアカウントが求人情報を発信したり、知り合いの職場で募集があれば紹介してもらえることがあります。
この方法のメリットは、仲介業者を介さずに直接クライアントと契約できるため、報酬の手取り額が高くなる点です。加えて、SNSの投稿内容からクライアントの実態を事前に把握しやすいというプラスもあります。
一方で、トラブルのリスクも存在します。報酬の未払いや、クライアントとの揉め事でSNSで誹謗中傷される可能性があるためです。
このようなリスクを回避するには、信頼できる人脈やしっかりとした実績のある企業からのみ仕事を受けるなど、自衛策が不可欠となります。
クラウドエンジニアがリモートワーク求人・案件で要求されやすいスキル
リモートワークにおいてクラウドエンジニアとして活躍するためには、どのような能力が求められるでしょうか。
実際に仕事を獲得し、成功を収めるためには、特定の技術力を備えておく必要があります。
そこで、リモートワークのクラウドエンジニアとして必要とされるスキルセットについて解説します。
- クラウドプロバイダーの知識
- プログラミング言語の習熟
- インフラストラクチャ設計能力
- セキュリティ対策の理解
- 自己学習能力
- コミュニケーション能力
スキル | 重要度 |
---|---|
クラウドプロバイダーの知識 | ★★★★★ |
プログラミング言語の習熟 | ★★★★☆ |
インフラストラクチャ設計能力 | ★★★★☆ |
セキュリティ対策の理解 | ★★★★★ |
自己学習能力 | ★★★★☆ |
コミュニケーション能力 | ★★★☆☆ |
クラウドエンジニアへのキャリアパス
クラウドエンジニアの主要な職務は、サーバーとネットワークに関連する作業です。
- オンプレミスおよびクラウド環境におけるサーバーとネットワークの設計、構築、運用経験が不可欐となります。
インフラエンジニアでは運用経験のみでもフリーランスの求人や案件を獲得できますが、クラウドエンジニア案件では設計経験が前提条件となります。
設計業務を任されるためには3年から5年程度の実務経験が必要なため、インフラエンジニアからクラウドエンジニアへのキャリアチェンジを目指す場合は、設計業務を任される機会が訪れるまで忍耐強く努力を重ねましょう。
ミドルウェアとデータベース知識の重要性
OSとアプリケーションの間に位置し、両者を橋渡しする機能を担うのがミドルウェアです。
データベースやWebサーバーがその典型例と言えます。
インフラストラクチャ関連の職務においては、データベース知識が重要視されます。
クラウドエンジニアの場合、
- AmazonのDynamoDBなどNoSQLデータベースの経験とスキル
を有していれば、有利に働くでしょう。
クラウドスキル習得のススメ
クラウドの実践経験がない状態でリモート業務の機会を得ることは困難です。
リモートワークの案件を確保したい場合は、以下のことが必要です。
- AWS、Azure、GCPなどのクラウドサービスを実際に活用した経験を積む
クラウド分野においてAWSが最も普及しており、関連する案件も多数存在するため、スキル習得の際にはAWSから始めるのが賢明な選択肢と言えます。
リモートワーク求人・案件に参画する際の注意点
リモートワークは自宅で業務を行えるため、便利だと考えられがちですが、実際には留意すべき点が存在します。
これらの注意事項を軽視すると、様々な問題が発生する恐れがあるため、事前に十分に把握しておく必要があります。
高品質納品が鍵となるリモートワーク
リモートワークでは、提出した成果物のみが評価の対象となります。オフィスで勤務する場合、作業過程も考慮されますが、遠隔地からでは過程を把握することができません。次の案件獲得の可否は、納品物の質次第です。
クラウドエンジニアとしての経験が浅い段階で求人や案件に応募すれば、その後の仕事を得られなくなる可能性があります。リモートワークを希望する場合、高水準の成果物を確実に提出できる実力が求められます。
フリーランスのキャパシティ管理と報酬確認の重要性
インフラ構築業務は複雑で、長時間の作業になりがちです。
フリーランスは労働基準法の適用外なので、労働時間は自身で管理する必要があります。
- キャパシティを超えない範囲で案件を選び、長時間労働に陥らないよう注意しましょう。
また、フリーランスの契約は固定報酬が一般的で、作業時間に比べて報酬が少なくなるリスクがあります。
そのため、依頼内容と報酬が適切かどうかを必ず確認することが重要です。
リモートワークにおける情報漏洩リスク対策
インフラ関連の仕事においてリモートワークを行う際は、情報漏えいに細心の注意を払う必要があります。
このような分野でリモート勤務が少ない理由の一つは、情報漏えいのリスクが高いことにあります。
- サーバー
- ネットワーク
- データベース
などのインフラ基盤に関する情報が漏れると、サイバー犯罪に悪用される危険性があります。
インフラ関連のトラブルは企業の信用を大きく損なう可能性があり、特に個人情報の漏えいは甚大な損害賠償につながりかねません。
一度信頼を失うと、今後の仕事獲得も困難になります。
フリーランスとして継続的に活動するためにも、情報漏えい対策は徹底して行う必要があります。
まとめ
クラウドエンジニアのスキルは現在、IT業界で非常に需要が高まっています。
しかし、企業がフリーランスのクラウドエンジニアに求めるレベルは即戦力クラスであり、リモートワークでは更に高い実力が必要とされます。
フリーランスとしてリモートワークが可能な案件を獲得したい方は、
- インフラ構築
- クラウド実務経験
など、必要なスキルを十分に身につけてから挑戦することをお勧めします。
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