2024年6月 インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?事業者への影響や消費税との関係性は?

2023年から施行される適格請求書等保存方式は、増税に伴う軽減税率制度の導入に関連する新たな制度です。この制度は、中小事業者にとって不利益が生じるのではないかと懸念されています。
フリーランスの方々の中には、業務や収入が減少するのではないかと不安に思う人も少なくありません。
本文では、以下の内容について解説しています。

  • 適格請求書等保存方式の概要
  • 導入後に予想される課題
  • それらへの対策

特に、以下の方々は、ぜひ一読していただきたい内容となっています。

  • フリーランスの方
  • 事業者の方
  • この制度を理解したい方
  • 制度の存在自体を知らない方

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?

インボイス制度は、事業者が消費税の控除を受けるための要件として、特定の項目が記載された請求書や納品書の保管が義務付けられる制度です。
この制度を理解するには、消費税と仕入税額控除の関係を把握する必要があります。
消費税は、最終消費者が商品やサービスを購入する際に課される税金です。
しかし、製品が流通過程で複数の取引を経る場合、各事業者が重複して消費税を支払うことになります。
仕入税額控除とは、この重複分の消費税を控除することを指します。
インボイス制度では、従来の請求書とは異なる「インボイス(適格請求書)」の保存が、仕入税額控除を受ける要件となります。

インボイス制度と適格請求書

インボイスは、売り手が買い手に対して正確な税率や消費税額を伝達する手段として機能します。
インボイス制度の導入後は、従来の請求書や納品書、領収書、レシートなどの書類に、定められた各項目を明記することが義務付けられています。

  • 必須の記載事項が増え、「適格請求書発行事業者の登録番号」「適用税率」「消費税額」などの項目が追加されました。

インボイス制度導入に向けた経過措置

インボイス制度の施行は2023年10月1日が見込まれており、現時点ではその導入に向けた準備期間となっています。
消費税率の引き上げと軽減税率制度の導入に伴う混乱を考慮し、

  • 2019年10月1日から2023年9月30日までの間は、従来の請求書等の保存方式を維持しながら、
  • 軽減税率対象品目とそれ以外を税率ごとに区分して記載する方式が採用されています。

消費税インボイス制度の目的

消費税の適正な計算を行うため、インボイス制度が導入されることになりました。
軽減税率制度の開始により、商品やサービスによって8%または10%の税率が課されるようになったためです。
以前は一律の税率だったので、売上から仕入れ額を差し引くだけで消費税額が算出できましたが、現在は税率ごとに仕入れを分けて計算する必要があります。
そのため、価格と税率が記載されたインボイスが不可欠となり、その導入が求められています。

インボイス制度と従来の請求書等保存方式の違い

消費税の適用方式が変更され、事業者には新たな義務が課されることになりました。
従来の請求書保存制度とは異なり、インボイス制度では

  • 適格事業者の登録番号
  • 適用税率
  • 消費税額の記載が必須となります。

この制度の導入により、事業者は

  • 税務署長への登録申請と承認を経て、登録番号を取得する必要があります。
  • 取引金額に関わらず、インボイスの保存が求められるようになり、従来よりも厳格な対応が求められます。

現行の区分記載請求書保存方式では、

8%と10%の税率ごとに区分して記載する点を除けば、請求書保存方式と大きな違いはありません。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入による事業者やフリーランスの影響

インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入による事業者やフリーランスの影響

確かに、2023年度以降の仕入税額控除には、インボイスの発行と保存が義務付けられます。
しかし、インボイス制度導入による影響は、事業者やフリーランスによって異なります。
それぞれの立場に応じた対策が求められるでしょう。
事業規模や取引形態などの違いから、具体的な影響や対応方法は多岐にわたります。
本稿では、そうした事業者ごとの課題と対処法について解説していきます。

インボイス制度と免税事業者の影響

事業者は消費税の納税義務の有無により、課税事業者と免税事業者に分類されます。
基準期間の課税売上高が一定額以下で条件を満たせば、免税事業者と判定され、消費税の納税が免除されます。
しかし、これまでは免税事業者も消費税相当額を収入として計上できました。
インボイス制度導入後は、適格請求書の発行が課税事業者のみに限られるため、免税事業者はインボイスを発行できません。
そのため、免税事業者との取引では仕入税額控除が受けられず、本来の税額以上の余分な負担が生じます。
この問題から、企業が免税業者との取引を避ける可能性があり、免税業者側は値下げ対応を強いられ、

  • 売上減少のリスクも指摘されています。

インボイス制度への対応と適格請求書発行事業者登録

フリーランスを含む非課税事業者は、インボイス制度への対応策として、課税売上高が基準額以下でも任意で適格請求書発行事業者に登録することができます。
この登録により、インボイスの発行が可能になれば、発注元が控除できずに困ることはありません。
したがって、発注の減少リスクを回避できます。
ただし、課税事業者となった場合は消費税の納付義務が生じるため、導入前と比べて実質的な収入が約10%減少することになります。

インボイス制度導入に向けた適格請求書発行事業者登録

インボイス制度の施行に伴い、適格請求書発行事業者となるための登録期間が設けられています。この登録は2021年10月1日から2023年3月31日までの間に行う必要があります。
従来、免税事業者が課税事業者に移行する際は

  • 「消費税課税事業者選択届出書」の提出が求められていました

が、2023年10月1日以降の課税期間中に適格請求書発行事業者登録を完了した場合、この届出書の提出は不要となり、登録日から自動的に課税事業者とみなされる措置が講じられています。

まとめ

まとめ

インボイス制度の導入期限は近づいていますが、事業形態や取引先との関係を考慮し、適切な対応を検討する必要があります。

免税事業者の場合、

  • 課税業者への転換
  • 現状維持

など、選択肢があります。

課税業者になれば事業拡大の機会にもなりますが、最終消費者向けサービスや粗利率が高い業態では免税事業者を継続することも一案です。

売上高1,000万円を目指し、課税業者化を検討するのも良いでしょう。課税業者への移行は前々年度の売上高が基準となるため、2021年中の売上高1,000万円達成を目指すことをおすすめします。