難易度や出題範囲、勉強時間など技術者検定の詳細やおすすめ参考書を解説

2024年6月17日

現代社会を支える半導体技術は、AI、IoT、自動運転車など、様々な分野で日々進化を遂げています。
このような時代の潮流の中で、半導体の製造者と利用者の知識を客観的かつ公平に評価する唯一の資格である「半導体技術者検定(SECC)」に注目が集まっています。
本記事では、半導体技術者検定を学習中または今後学習予定の方向けに、この資格の詳細、メリット・デメリット、おすすめの参考書などを総合的に解説します。

試験の内容、出題範囲
受験者数・合格率・難易度
申込手順

に至るまで、受験に関する包括的な情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。

気になる内容をタップ

1 半導体技術者検定とは
- 1.1 半導体技術者の重要性と需要の高まり
2 半導体技術者検定試験
3 半導体技術者検定の資格取得のメリット
4 半導体技術者検定の資格取得のデメリット
- 4.1 半導体技術者試験の学習時間と必要性の確認
5 半導体技術者検定合格のためのおすすめの参考書や対策法
6 まとめ

半導体技術者検定とは

半導体分野における専門知識を客観的に評価する資格制度が存在します。一般社団法人パワーデバイス・イネーブリング協会が主催する「半導体技術者検定」は、半導体の製造や活用に関わる人材の能力を公正に認定する唯一の資格試験です。

半導体技術は、以下のような分野での革新的なイノベーションを支える共通基盤となっています。

AI・IoT活用による新規ビジネス創出
モビリティ革命
サステナブル社会実現
メディア進化

このような背景から、2014年に半導体関連知識の習得を目指す人々への学習指針として、この検定制度が開始されました。

合格者には半導体技術者としての公的な証明が与えられるため、関心のある方は是非チャレンジしてみるとよいでしょう。

半導体技術者の重要性と需要の高まり

現代社会において、半導体は様々な産業分野で重要な役割を果たしています。

IT企業や自動車メーカーはもちろん、金融、小売り、物流、医療、建設、農業、行政機関など、あらゆる業界が独自の半導体チップを開発し、高度な機能と性能を追求しています。

このような状況下で、半導体技術を駆使できる優秀なエンジニアの確保と育成が急務となっています。

企業は競合他社に勝ち抜くため、半導体を自社でコントロールできる技術者を求めており、半導体技術者の活躍の場は広がり続けています。
IT技術の進化に伴い、世界中の企業が新しい半導体チップの開発に力を入れ、それを最大限に活用できる人材を必要としているのです。

半導体技術者検定試験

半導体技術分野における専門知識を評価する試験の詳細を説明します。
この資格試験は、半導体産業で活躍する技術者の能力を認定するものです。
試験範囲は広範囲に及び、

半導体デバイスの原理
製造プロセス
設計や評価に関する事項

まで含まれています。
合格者には一定の水準を満たす専門性が認められ、キャリアアップの機会が広がることが期待できます。

半導体技術者検定の概要

半導体技術者検定は、エレクトロニクス3級、2級、1級の3つのレベルに分かれています。
3級は大学生や若手エンジニアを対象とした基礎的な問題が出題され、2級以上ではより専門的で実践的な内容となります。
受験者は将来の職種に応じて科目を選択できます。
各レベルの詳細は以下の通りです。

エレクトロニクス1級は、2級の「設計と製造」「応用と品質」「パワーエレクトロニクス」の3科目に合格した方が申請により認定されます。

全レベルでCBT方式が採用されており、Web申込後に好きな会場と時間で受験できます。
年2回の実施で、期間内に複数の資格や科目を受験可能です。

受験料	備考
一般	-
学割	学生証の提示が必要
協会会員割引	-

法人での団体受験も可能で、詳細は公式サイトで確認してください。

半導体技術者検定の出題範囲

半導体技術者検定の試験範囲を説明していきましょう。
3級、2級、1級の各レベルについて詳しく解説いたします。

3級

半導体デバイスの基礎知識
半導体プロセスの基礎知識
半導体材料の基礎知識

2級

半導体デバイスの応用知識
半導体プロセスの応用知識
半導体材料の応用知識

1級

半導体デバイスの専門知識
半導体プロセスの専門知識
半導体材料の専門知識

エレクトロニクス3級試験の範囲と対策

エレクトロニクス3級は、新たな半導体デバイスの開発や製造、さらにはその活用能力の基盤となる基礎知識を有する人材を認定する資格試験です。
大学生や高専生、若手技術者を主な対象としています。

出題範囲は公式テキスト「はかる×わかる半導体入門編」に準拠しており、同書の構成に沿って試験範囲を把握することができます。

具体的には、

序章の半導体試験概要
第1章の半導体基礎
第2章の半導体品質保証
第3章の半導体製品分類
第4章の半導体試験項目

が範囲となります。

エレクトロニクス2級試験の概要

エレクトロニクス2級は、半導体関連企業やチップ応用企業における実務の質を高めるための専門知識を持つ人材を認定する資格試験です。
中堅エンジニアや一定の知識を有する若手エンジニアを対象としています。
試験では、以下の3科目から受験科目を選択します。

半導体の製造側向けの「設計と製造」
主に利用側向けの「応用と品質」
電力の効率的な取り扱いに関する「パワーエレクトロニクス」

合格した科目ごとに個別に資格が付与されます。

科目	出題範囲
「設計と製造」・「応用と品質」	公式テキスト「はかる×わかる半導体応用編」から80~90%程度「はかる×わかる半導体パワーエレクトロニクス編」と推奨参考文献から10~20%程度
「パワーエレクトロニクス」	公式テキスト「はかる×わかる半導体パワーエレクトロニクス編」から80~90%程度「はかる×わかる半導体応用編」と推奨参考文献から10~20%程度

各科目の出題範囲は公式テキストの目次に基づいており、受験する科目を決めてから学習を進めることが重要です。

半導体技術者認定試験「エレクトロニクス1級」

半導体分野における高度な専門知識と実践力を有する人材を認定する試験がエレクトロニクス1級です。
半導体チップの開発や、それを活用した機器・システム・サービスの設計において指導的役割を担うエンジニアを対象としています。
この資格は、

エレクトロニクス2級の3科目すべてに合格した方に与えられる仕組みとなっています。

半導体技術に関する幅広い知見と俯瞰的視点から課題解決できる能力が求められます。

半導体技術者検定の実施結果と傾向

半導体技術者検定の受験データを分析すると、最新の第13回実施結果では、過去の実施結果と比較して合格率が総じて低下していることがわかります。
この事実から、試験の難易度が上がっていると推測できます。
一方で、1級認定者の総数は11名と限られた人数にとどまっています。
受験者の年齢層を見ると、

学生や20代・30代の割合が増加傾向にあり
半導体関連業界に既に従事している方々の受験が多数を占めているようです。

半導体技術者検定の申し込み手順

半導体技術者検定の申込プロセスを順を追って説明します。

まず、CBT/PBT試験ポータルサイトから受験申込を行います。
初めての方は新規受験者登録でID・パスワードを取得する必要があります。
次にマイページにログインし、受験を予約します。
支払い方法としてクレジットカード決済やコンビニ決済から選択できます。
予約内容の確認や変更はマイページで行えます。
受験当日は本人確認書類が必須です。
試験終了後すぐに合否が分かります。
合格者には約1か月後に認定証が送付されます。

申込手順を守らないと受理されない可能性があるので注意が必要です。
開催期間中であれば、同一または異なる資格を複数回受験可能です。

ただし、申込から3日後の受験となります。
3級と2級を同時期に受けることも可能なので、挑戦してみるのも良いでしょう。

半導体技術者検定の学習期間

ここからは、半導体技術者検定の学習期間について説明します。
ただし、事前の知識レベルや個人の理解スピードによって異なるため、あくまで目安としてご覧ください。
半導体技術者検定2級・3級の出題範囲と割合は公式で明示されているため、電子機器設計の実務経験者にとっては難しい試験ではありません。
実務経験者であれば、1〜2ヶ月の学習期間を見込んでおけば良いでしょう。
一方、未経験者は専門用語が出てくるため、より長い期間が必要となる可能性があります。
しかし、いずれの場合も出題範囲は教科書に収まっているため、教科書を熟読することが重要です。

半導体技術者検定の資格取得のメリット

半導体分野における専門知識を証明する資格を取得することには、さまざまな利点があります。

この資格は、あなたの技術力と経験を客観的に示すものであり、キャリアアップや転職の際に有利に働きます。
また、最新の技術動向を学ぶ機会ともなり、スキルアップにつながります。
さらに、同じ資格を持つ仲間とのネットワーク形成も期待できます。

資格取得に向けた学習を通じて、自身の知識と能力を高めることができるでしょう。

半導体技術者検定の意義

半導体分野における専門知識と技能を身につけることができるのが、この資格の大きな利点です。
AI、IoT、自動運転システムなど、現代の先端技術は半導体の進歩なくしては実現できません。
今後も半導体は多様な領域で不可欠な存在となるでしょう。

近年、アジア諸国の台頭が目覚ましく、日本は地域内での熾烈な競争に直面しています。
半導体技術者検定は、この分野で活躍する人材の力量を公平に評価する唯一の資格制度です。
合格者は高い専門性を備えた人材として、キャリアアップの機会に恵まれることでしょう。

半導体技術者試験の価値

半導体分野における専門性を客観的に証明できる資格試験は、IT企業への就職や転職を目指す際に有利に働くでしょう。
半導体技術は幅広い産業で重要視されていますが、特にIT業界では優秀な人材が強く求められています。
半導体は未来を切り拓く中核技術の一つとして位置付けられているため、多様な企業が専門知識を持つエンジニアを求めています。
このように、資格取得によって様々な選択肢から自分に合った企業を見つけられることは大きな利点と言えます。

半導体技術者試験の資格取得メリット

半導体技術者の資格取得は、企業から様々な待遇を受けられる可能性があります。

多くの会社が、一時金や手当の支給を行っており、収入増加や評価向上につながります。
処遇の内容は企業によって異なりますが、基本給への上乗せや昇進要件とされるケースもあります。

半導体技術者試験は、単なる知識習得以上の価値があり、経済的メリットが期待できる資格試験だと言えるでしょう。

半導体技術者検定の資格取得のデメリット

半導体技術者検定の資格を取得する際の欠点を検討しましょう。

資格取得には一定の費用と時間が必要となります。
試験の合格率は必ずしも高くはありません。
資格取得後も継続的な学習が求められる可能性があります。

しかし、これらの課題を乗り越えることで、専門性の向上と就職・転職での有利性が期待できます。

半導体技術者試験の学習時間と必要性の確認

資格取得には一定の学習時間を確保することが不可欠です。
半導体技術者試験は難しすぎる試験ではありませんが、

1日1〜2時間
合計で1〜2ヶ月程度の勉強期間が必要とされます。

未経験者の場合はさらに多くの時間を割く必要があるでしょう。
しかし、資格取得に着手する前に、半導体技術者の知識が本当に必要なのかを確認することが賢明です。
より重要性の高い資格や業務がないか、十分に吟味した上で学習を開始するべきでしょう。

半導体技術者検定合格のためのおすすめの参考書や対策法

半導体技術者検定に合格するための推奨の参考書や試験対策方法をご紹介します。
試験に合格するには適切な学習が不可欠です。
ぜひこの機会を活用し、効果的な準備を行ってください。

半導体入門ガイド

半導体の基礎知識を習得したい初心者向けに、半導体の構造、製造方法、信頼性評価の試験、製品分類などを平易な言葉で解説したガイドブックです。
エレクトロニクス3級の試験対策にも適しており、半導体デバイス全体を分かりやすく説明しています。
半導体テスト技術者検定の合格に向けたポイントも押さえられた、パワーデバイス・イネーブリング協会公認のテキストとなっています。

半導体の設計・製造と品質管理

この書籍は、エレクトロニクス2級の試験範囲をカバーする公式テキストとなっています。
高度な半導体設計や製造プロセス、高品質な回路設計手法、最新の品質保証技術などが詳しく解説されています。
IoTやAI、ビッグデータなど最先端の技術に関する知見も含まれているため、試験対策だけでなく、実務でも活用できる実践的な内容が盛り込まれた一冊です。