企業の現場で勤務するエンジニアとして活躍している方や、そのような働き方に興味がある方に向けて、その実態と長所短所をお伝えします。
クライアント企業の拠点に常駐し、業務に従事するエンジニアの仕事ぶりと、そこに伴う利点や課題点について解説いたします。
- クライアント企業の拠点に常駐し、業務に従事する
- 利点
- 課題点
気になる内容をタップ
客先常駐はどんな働き方?
企業が別の会社に従業員を派遣し、そこで業務に従事する形態を指します。
特にIT分野においては、システム開発やソフトウェア開発のエンジニアが他社に派遣されるケースが多くみられます。
この勤務形態は「システムエンジニアリングサービス」と呼ばれています。
- 派遣元企業と受け入れ先企業は準委任契約を締結し、エンジニアの技術力と労働力を提供するサービスとなっています。
- エンジニアは受け入れ先企業でシステム開発などの業務に従事しますが、指揮命令権は派遣元企業にあります。
- 報酬は成果物ではなく、勤務時間に応じて支払われる仕組みです。
この準委任契約は、労働者派遣契約とは異なります。
労働者派遣の場合、
- 派遣会社に登録し、紹介された企業で働きますが、報酬の支払い方法は同様です。
- しかし、指揮命令権は受け入れ先企業にあり、派遣社員と企業所属の社員では立場が異なります。
客先常駐の働き方のメリット
企業内で勤務することで、以下の4つの利点があります。
- 専門知識や能力を磨くことができる
- 将来的にキャリアアップのチャンスが広がる可能性がある
利点1 | 専門知識や能力を磨くことができる |
---|---|
利点2 | 将来的にキャリアアップのチャンスが広がる可能性がある |
利点3 | 安定した収入が得られる |
利点4 | 福利厚生制度が整っている |
客先常駐エンジニアの役割とキャリアパス
顧客企業に常駐する主な目的は、人的リソースの補充にあります。
例えば開発プロジェクトでは、要件定義や基本設計などの上流工程が終了し、実際の開発フェーズに入ると人員の需要が高まります。
しかし、顧客企業としては可能な限り自社の人材でプロジェクトを遂行したいと考えています。
- 必要がなくなれば、契約を終了するか、別のプロジェクトに技術者を振り分けます。
そのため、常駐エンジニアは様々なプロジェクトを経験することになります。
プロジェクトごとに開発環境、言語、フレームワーク、対象が異なるため、同一プロジェクトに従事する技術者よりも幅広いスキルを身につけることができます。
特定の分野に特化するよりも、幅広い知識を求める方にとっては常駐エンジニアが適した選択肢となります。
客先常駐エンジニアのコミュニケーション力向上
顧客との対話が多い客先常駐エンジニアは、コミュニケーション能力を磨く機会に恵まれています。
一方、自社内で業務を行う場合、長期間同じメンバーと働くため、人間関係構築の観点からコミュニケーション力が向上することは期待しづらくなります。
しかし、客先常駐であれば、出向先企業やプロジェクトが頻繁に変わるため、繰り返し新たな人間関係を築く必要があり、その過程でコミュニケーション力が自然と高まっていくでしょう。
コミュニケーション能力は、あらゆる職種で求められる重要なスキルです。
ただし、プロジェクトの変更ごとに人間関係を構築し直さなければならないため、コミュニケーション力に自信のない方は、当初は苦労する可能性があります。
エンジニアの引き抜きと転職
IT業界では優秀な人材を確保することが重要視されています。
国内のエンジニア不足が深刻化する中、多くの企業が有能な技術者を求めています。
転職エージェントを介すると高額な手数料が発生するため、企業は直接引き抜きを行うことで費用を抑えられます。
引き抜かれた場合、エンジニアの給与は上昇する可能性があります。
ただし、引き抜きの対象となるのは、
- 技術力だけでなく、勤務態度や人間性も評価された優秀な人材に限られます。
また、出向元企業との力関係によっても、引き抜きが難しくなる場合があります。
客先常駐で人脈構築
様々な企業やプロジェクトに携わることで、関係者も比例して増加します。
有名企業に常駐する際には、大規模なプロジェクトに従事し、多くの従業員と関わる機会があります。
有名企業の社員は高度な専門性を有しています。
スキルの高い方々と共にプロジェクトを遂行したり、異なるプロジェクトでも接点を持つことで、人脈を広げることができます。
将来的にエンジニアとして独立を視野に入れている方にとって、人脈の構築は大きな利点となります。
- フリーランス協会の調査によれば、フリーランスの仕事獲得経路として8割以上が人脈であると回答しています。
客先常駐で人脈を築けば、フリーランスとして独立する際の強みになるでしょう。
客先常駐の働き方のデメリット
顧客先での勤務形態には、必ずしも利点のみがあるわけではありません。
ここで主な3つの欠点を説明します。
- プロジェクトの期間が短いため、スキルの向上が難しい
- 顧客企業の文化に馴染めない可能性がある
- 長期的なキャリア形成が難しい
欠点 | 説明 |
---|---|
1 | プロジェクトの期間が短いため、スキルの向上が難しい |
2 | 顧客企業の文化に馴染めない可能性がある |
3 | 長期的なキャリア形成が難しい |
出向エンジニアの現場とスキルのミスマッチ
業務内容の選択権は限られており、出向元企業の利益優先により、エンジニアの適性や希望とのミスマッチが生じがちです。
スキルの低いエンジニアは、テストや下流工程に振り分けられる傾向にあります。
出向者のストレス管理
派遣元の会社から見れば、派遣先の企業は顧客に当たります。
顧客企業に囲まれた環境で勤務することになるため、以下のことが求められます。
- 一定の礼儀作法を守った行動
- 緊張感を持ち続けること
このため、ストレスがかかる可能性があります。
客先常駐エンジニアの課題と対策
企業内でのコミュニケーション機会の減少や人事評価制度の課題により、キャリア形成が困難になる可能性があります。
また、常駐先では孤立感や疎外感を覚えることもあるでしょう。
このような就業環境では、会社への帰属意識が低下するエンジニアもいます。
そのため、客先常駐がメインの企業に就職を検討する際は、以下の点を重視する必要があります。
- 帰社日の設定
- 研修制度の整備
- 給与体系の見直しなど、従業員への配慮策を講じている企業を選ぶこと
まとめ
客先常駐の働き方には、会社への帰属意識が希薄になる可能性や顧客対応の多さからストレスを感じる恐れがありますが、様々なプロジェクトに携わることで幅広い技術を身につけられるメリットがあります。
また、人脈を構築できれば、将来独立する際に役立つでしょう。
ゼネラリストを志向する方や将来的に独立を検討している方におすすめの働き方です。
- ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」がスキルアップやキャリアプランの参考になるかもしれません。
フリーランスへの第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。