現代社会においてITテクノロジーの進化とIoTの普及に伴い、企業のシステム統合を担うSIer(システムインテグレーター)の役割が重要視されています。
SIerは企業にとって不可欠な存在ですが、その実態を十分に理解していない人も多くいます。
本稿では、以下の点を解説します。
- SIerの概要
- SIerの種類
- 独立系SIerの長所
- 就職時の判断基準
特に、SIerの種類を包括的に把握したい方、SIerの概要を簡潔に知りたい方、独立系SIerの特性や利点を学びたい方、独立系SIerへの就職を検討している方は、ぜひご一読ください。
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そもそもSIerとは
システムの構築から運用までを統括する企業を指す言葉がSIer(エスアイアー)です。この略語は「System Integrator」に由来しています。
企業が保有する情報システムの更新や課題解決などが主な業務内容となります。
一方でSE(システムエンジニア)は、実際にシステム開発や運用を行う技術者を指す言葉です。
SIerは
- 「SI企業」
- 「SIベンダー」
と呼ばれることもありますが、あくまで和製英語であることに留意が必要です。
SIerの種類
情報システム関連企業には、さまざまな種類が存在します。
主要な4つのカテゴリーとして、
- システムインテグレーター
- ソフトウェアハウス
- コンサルティング会社
- データセンター事業者
が挙げられます。
これらの企業は、それぞれ異なる役割と専門性を持ち、お客様のニーズに応じて適切なサービスを提供しています。
独立系SIerの特徴と魅力
独立系システムインテグレーション企業は、特定の親会社に所属せず、創業時から専門的にシステム開発業務を行う企業です。親会社との関係を気にする必要がないため、独自の経営方針に基づき、様々な企業や業界のプロジェクトに参加することができます。経営の自由度が高く、最新技術に触れる機会も多いと言えます。ハードウェアの選択についても、メーカーから指定がない限り自由に選べるのが一般的です。
クライアント企業の立場からすれば、
- ハードウェアやソフトウェアの両面でニーズに合わせた業務を受けられる
というメリットがあります。
ユーザー系SIerの特徴と業務内容
ユーザー系システムインテグレーターは、金融機関や総合商社などの大手企業の情報システム部門が分社化した形態です。
親会社のシステム関連業務が中核となるため、その業界に関する知識が求められます。
そのため、親会社の業界資格を持つことで業務の幅が広がる可能性があります。
ユーザー系システムインテグレーターは、親会社からの受注により経営が安定しやすい反面、親会社の業績に左右されやすいという側面もあります。
また、ユーザー系システムインテグレーターの業務は、以下のようになります。
- コンサルティングなどの上流工程が中心
- プログラミング作業自体は別のベンダーに外注されることが多い
メーカー系SIerの特徴と業務
コンピューター関連企業の情報システム部門や開発部門が分離独立した形態のシステムインテグレーターを、メーカー系SIerと呼びます。
ユーザー系SIerと同様に、
- 親会社の規模が大きい場合が多く、安定した受注が見込めますが
- 親会社の動向に左右されやすい側面があります
メーカー系SIerが携わる業界は多岐にわたり、親会社の信用によっては
- 長期的な大規模開発案件
- 公的機関向けの大型プロジェクト
を請け負うこともできます。
グローバル企業向けSIerの特徴と業務
国際的なシステムインテグレーターは、世界市場を舞台に活躍する海外の企業を指します。
こうした企業の主な顧客は、
- 世界的に事業を展開する大手企業であり、
- 大きな業績を上げれば高額の報酬が期待できる場合が多くあります。
国際的なシステムインテグレーターの業務は、
- 本国で提供されているソリューションサービスの日本での展開や、
- コンサルティング業務が中心となります。
本国の影響を強く受けるため、企業買収などによる環境変化は、日本国内よりも大きいと考えられています。
独立系SIerの特徴・メリット
独立系システムインテグレーターの特性と長所について、3点に分けて説明します。
- 親会社に所属していないため、高い自主性と柔軟性を持つことができます。
独立系SIerの特徴と自由度
独立系システムインテグレーター企業の大きな特徴は、上位企業に所属していない点にあります。
上位企業に属する同業他社とは異なり、
- システム開発業務そのものが中核事業であり、
- 上位企業やグループからの制約がないことが重要な利点となります。
独立系企業は上位企業の存在しない利点を活かし、受注案件を自由に選択することができます。
独立系SIerの自由度と柔軟性
独立系システムインテグレーターは、親企業やグループ企業からの制約がないため、システム開発における自由度が高いことが大きな長所となります。
一方、メーカー系やユーザー系のシステムインテグレーターでは、
- 親会社やグループ企業が開発に関する規定を詳細に定めていることが多く、
- 案件によってはその規定に従うと効率が悪くなる可能性があります。
しかし、独立系システムインテグレーターであれば、
- ハードウェアやソフトウェアの制限を受けることなく、
- クライアントやプロジェクトに合わせて優れた製品を柔軟に活用し、
- システム構築を進めることができます。
独立系SIerの強み
独立系システムインテグレーターは、さまざまな業界のシステム開発に携わる機会があります。
大手SIerは親会社からの案件が中心となるため、関係する業界が限られがちです。
一方、独立系SIerは自社で営業活動を行い、様々な分野から案件を獲得できるため、多岐にわたる開発業務に従事できます。
そのため、幅広い知識とスキルを身につけることができるでしょう。
- プロジェクト数も多く、経験を積む機会に恵まれています。
就職する際の独立系SIerを見極めるポイント
この節では、独立系システムインテグレーターを選ぶ際の重要な観点を4つご紹介いたします。就職先を検討する上で、これらの基準を参考にしていただければと存じます。
- 企業の成長性と安定性
- プロジェクトの多様性
- 研修制度の充実度
- 評価・報酬制度
独立系SIerの営業力
独立系システムインテグレーターを評価する際の重要な基準は、営業能力です。大手企業の子会社や製造業者系のシステム会社とは異なり、独立系の企業は自ら積極的に営業活動を行い、案件を獲得する必要があります。
そのため、営業力は独立系システムインテグレーターの収益に直接影響を与える極めて重要な要素となります。
営業力が不十分な企業では、以下のようなデメリットがあります。
- 受注案件の変動が大きくなる
- スキルや知識の習得が阻害される
- 生活面での不安が生じかねない
独立系SIerの開発実績と安定性
企業の信頼を得るためには、豊富な開発経験が重要な要素となります。
長年にわたり多くのプロジェクトに携わってきた独立系SIerは、高い安定性と実績が期待できます。
一方で、創業間もない独立系SIerは実績が乏しいため、収益が不安定になりがちです。
就職先を検討する際は、企業の実績と安定性を慎重に見極める必要があります。
独立系SIerの業界特化と強み
独立系システムインテグレーターを選定する際には、その企業が専門とする産業分野を確認することが重要です。
- 金融
- インフラストラクチャー
- 医療など
得意な領域によって自身の適性が変わってくるでしょう。
自分の経験や資格が活かせる分野であれば、優遇される可能性があります。
特定の業界に特化していることは、その企業の強みにもなり、事業の安定性にもつながります。
そのため、独立系システムインテグレーターの専門分野を事前に把握しておくことが賢明です。
独立系SIerの年齢層と将来性
企業の成長力を判断する際、社員の年齢構成は重要な指標となります。
独立系システム開発会社では、豊富な経験を持つベテランエンジニアを重視する傾向があり、社員の平均年齢が高くなりがちです。
その結果、年功序列的な体制が形成されやすく、若手社員の定着が難しくなる可能性があります。
- 最新の技術やシステム開発に携わる機会が少なければ、企業の成長は鈍化してしまいます。
したがって、若手社員が活躍できる環境が整っている会社を選ぶことが賢明でしょう。
まとめ
Slerとは、システム開発を統括する企業を指します。
Slerには以下の4種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
- 独立系
- ベンダー系
- ユーザー系
- コンサルティング系
独立系Slerは親会社がないため、システム開発の自由度が高く、様々な業界のプロジェクトに携わることで幅広い知識とスキルを身につけることができます。
独立系Slerに就職する際は、以下の点を確認することが重要です。
確認ポイント |
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営業力 |
開発実績 |
得意分野 |
社員の年齢層 |