確定申告後の納税(納付)方法 | 各納付のメリットやデメリット、手順を解説!

フリーランスや個人事業主として活動する場合、自身で確定申告を行う義務があります。
しかし、納税方法が分からず戸惑う人も少なくありません。
確定申告の納税方式には主に5つの種類があり、それぞれ長所と短所があります。
本稿では、確定申告における納税方法について詳しく解説します。

  • 各納税方式の概要や手順、注意点などを丁寧に説明しています。
  • 加えて、所得税以外にフリーランスや個人事業主が支払うべき税金についても紹介しています。

本稿を読めば、確定申告の納税方法を理解でき、税金に関する不安を払拭できるでしょう。
フリーランスや個人事業主として初めて確定申告を行う方は、ぜひ本稿を参考にしてください。

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確定申告の納税方法

確定申告の納税方法

所得税の支払い手続きには、様々な選択肢が用意されています。

  • 電子的な方法としては、e-Taxを活用したネットバンキングやダイレクト納付が利用可能です。
  • その他にも、口座振替や、クレジットカード、コンビニエンスストアでの支払い、あるいは税務署や金融機関の窓口での現金納付など、多様な選択肢があります。

各方法にはそれぞれ長所と短所があるため、個人の状況に合わせて最適な手段を選ぶ必要があります。
納税方法の詳細については、一つひとつ丁寧に説明していきます。

e-Taxの利用方法と電子納税の種類

e-Taxは国税当局が提供する電子申告・納税システムです。
このシステムを活用すれば、

  • インターネット経由で確定申告を行うことができ、
  • 納税も口座振替で完了します。
  • 税務署や金融機関に出向く必要がなく、
  • 書類の印刷も不要です。

ただし、初回利用時には手続きが求められます。
利用開始には

  • 税務署の窓口または公式サイトから手続きを行い、
  • e-Taxアカウントを取得する必要があります。

電子納税には、

  • ネットバンキングと
  • 銀行振込の2つの方法があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

本記事ではネットバンキング方式について説明しますが、別の入力方式も存在します。

ネットバンキングによる電子納税の手順と利点

電子納税には、登録方式と呼ばれる手順があります。
この方法では、事前にe-Taxで申告や納付情報の登録を行い、その後ネットバンキングから納付を指示します。
具体的には、

  • まずe-Taxで確定申告などを済ませ、納付区分番号を取得します。
  • 次に、その番号を使ってネットバンキングから納付依頼を出すと、口座から自動で引き落とされます。

この登録方式が利用できるのは、Pay-easy(ペイジー)に対応した金融機関です。

ネットバンキングを使うメリットは、自宅からいつでも納付できる点にあります。
一方で、パスワード管理が必要になったり、領収証が発行されないデメリットもあります。
e-Taxアカウントに加え、ネットバンキング口座の開設も必要になります。
確定申告以外でネットバンキングを使わない場合でも、パスワードは大切に保管しましょう。

登録方式を利用するには、e-Taxの利用開始手続きとネットバンキング口座の開設が事前に必要です。
手順は、

  1. e-Taxで申告
  2. 納付区分番号取得
  3. ネットバンキングで納付依頼
  4. 引き落とし

です。
詳しい操作方法はe-Taxのマニュアルをご確認ください。
この方式は、e-Taxとネットバンキングの両方が利用できる方におすすめです。

ダイレクト納付の概要とメリット・デメリット

ダイレクト納付は、事前に税務署への届出を経て、e-Taxで申告や納付情報の登録後、金融機関の口座から引き落としにより納税できる方式です。
e-Taxで申告した場合のみならず、書面での申告者も利用可能です。
ネットバンキングの口座を持たない方にとって便利な納税方法といえます。

メリットとしては、

  • 手数料が不要な点
  • 自宅で手続きが完結する点

が挙げられます。
一方で、

  • 解約時に届出が必要になる点
  • 領収証の発行がない点

がデメリットです。

利用に先立ち、

  • e-Taxの利用開始手続き
  • 納税予定の約1か月前までに所轄税務署への届出書の提出

が求められます。
手順としては、

  1. e-Taxで申告または納付情報登録
  2. 同システム上でダイレクト納付の利用と振替日の指定
  3. 引き落としによる納税

となります。

ネットバンキングを利用しておらず、自宅で納税手続きを済ませたい方におすすめの納税方式です。
詳細な操作方法はe-Taxソフトのマニュアルをご覧ください。

振替納税の概要とメリット・デメリット

納税の際、銀行口座からの自動引き落としを利用することができます。この制度は振替納税と呼ばれ、e-Taxを使用しなくても活用可能です。
事前に金融機関に口座情報を登録しておけば、翌年以降は手続きなしで引き落としが行われます。
手数料がかからず、継続的な利用が可能なメリットがある一方、

  • 書類提出や納税地変更時の対応が必要となるデメリット

もあります。
また、確定申告を期限内に済ませていないと利用できません。

振替納税を利用するには、納期限までに「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を

  • 税務署または金融機関に提出する必要があります。

税務署に直接申告書類を提出する場合は、同時に振替依頼書も提出するとスムーズです。
納税地が変更になった際は、

  • 新しい税務署へ振替依頼書を再提出しましょう。
  • ただし、変更前の税務署に継続利用の旨を届け出れば、再提出は不要です。

実際の納税手順は、

  1. 確定申告書類の作成・提出
  2. 引き落とし日の確認
  3. 自動引き落とし

となります。
詳細は国税庁のウェブサイトをご覧ください。
e-Taxは利用していないが、自動引き落としを希望する方や納税の手間を省きたい方におすすめの制度です。

クレジットカード納付の概要とメリット・デメリット

クレジットカードを利用して納税を行う方法があります。
この手続きは、国税当局が運営するウェブサイトから行えます。
クレジットカードを所持している人であれば、誰でも利用可能です。
納付時にカードのポイントが付与されるメリットがあります。

この方式の長所は、

  • 自宅から24時間いつでも手続きできる点
  • 分割払いやリボ払いを選択できる点
  • 経費管理が容易になるというメリットもあります

一方で、

  • 毎年手続きが必要になる点
  • 納付額に応じて手数料が発生する点

がデメリットとなります。
また、クレジットカードの利用限度額を超える金額は納付できません。

事前に、クレジットカードの発行が必要となります。
手順としては、

  1. 確定申告書類の作成と提出
  2. 国税当局のウェブサイトにアクセス
  3. 納付手続きを行います

詳細な手順については、国税当局のサイトをご確認ください。

この方式は、納税額が少額の場合や、クレジットカードのポイント獲得を目的とする方におすすめです。

コンビニ納付の概要とメリット・デメリット

コンビニエンスストアを活用した納税方式があります。
ローソン、ファミリーマート、ミニストップなどの店舗で、QRコードを提示し納付が可能です。
居住地域に関わらず、比較的近くにコンビニがあるため利便性が高いと言えます。
この方式のメリットは、

  • e-Taxが利用できない人やクレジットカードを所持していない人でも簡単に納税できる点

です。
一方で、

  • 30万円を超える金額には対応しておらず、領収証の発行もありません
  • 現金のみが対応しており、クレジットカードや電子マネーは使用できません


事前に、確定申告書作成時またはQRコード専用画面でQRコードを取得する必要があります。
具体的な手順は、

の4ステップです。
多忙な方や30万円以下の納付額、クレジットカード非保有者には便利な納税方法と言えます。

確定申告納付の窓口納付方法

確定申告の納税には、税務署や金融機関の窓口で直接支払う方法があります。
申告書を提出すると、窓口で納付書が発行されます。
その納付書に必要事項を記入し、現金で納めることができます。
この方式のメリットは、

  • 手数料がかからず
  • 特別な準備も不要なこと

です。
初めて確定申告を行う人にとっては分かりやすい方法と言えます。
一方で、税務署や銀行に出向く手間がかかるというデメリットもあります。
慣れてくれば、他の納付方法を選ぶ方が効率的でしょう。
手順としては、

  • 申告書の作成と提出後
  • 窓口で納付書を受け取り
  • 記入して納める

だけです。
詳細は国税庁のウェブサイトや最寄りの税務署に確認するとよいでしょう。
初めての確定申告で、納付方法が分からない場合や、申告と納付を同時に済ませたい場合は、この窓口納付が適しています。

納税期限に遅れた場合

納税期限に遅れた場合

所得税の支払い期限は原則3月15日までとされています。
しかし、資金が不足している場合など、期限内に納付できない人もいるでしょう。
期限を過ぎた場合は、速やかに税金を支払う必要があります。
ただし、本税に加えて延滞税も合わせて納める義務があります。
支払い期限に間に合わないことが判明したら、すぐに税務署に相談するべきです。
相談すれば、期限の延長が認められる場合もありますが、何もせずに期限を過ぎると、遅延納付とみなされ、

  • 延滞税
  • 無申告加算税
  • 重加算税

などの附帯税が課されてしまいます。

所得税の納付期限って延長できる?

所得税の納付期限って延長できる?

所得税の納付期限に間に合わない場合、支払いを延期することができます。延期には「猶予」と「延納」の2つの方式があります。

「猶予」とは、税務署長の許可を得て、後日に分割して納税できる制度です。新型コロナウイルスの影響で資金繰りが困難な場合に利用できます。猶予を受けるには要件を満たす必要がありますが、猶予期間中は延滞税が軽減されます。事情によっては延滞税なしで猶予が認められることもあります。

「延納」は、納税期限から2ヶ月半以内に全額を支払う方式です。

  • 所得税の半分以上を期限までに納め、残りを2ヶ月半以内に納付する必要があります。

延納を希望する場合は、確定申告書に金額を記入して税務署に届け出ます。記入を忘れると期限後納付とみなされるので注意が必要です。延納期間中は、延滞税として

年7.3% または 利子税特例基準割合のいずれか低い割合

が課されます。

フリーランス(個人事業主)が支払う税金(所得税以外)

フリーランス(個人事業主)が支払う税金(所得税以外)

フリーランスや個人事業主は所得税以外にも様々な税金を納める義務があります。

  • 住民税
  • 消費税
  • 個人事業税
  • 固定資産税

の4種類が該当します。
これらの税金は支払い方法、期間、計算方法がそれぞれ異なるため、事前に把握しておく必要があります。
そうしないと、準備不足で支払いが滞る恐れがあります。
以下では、フリーランスや個人事業主が支払う税金の詳細を一つずつ説明していきます。

住民税の納付方法と構成

地方自治体に住む全ての人は、収入の有無に関わらず住民税を支払う義務があります。

自営業者の場合、自身で納税手続きを行う必要があります。
毎年5月から6月頃に、居住する市区町村から納付書が送付されるため、その内容に従って納税を行います。
クレジットカードや口座振替による支払い方法も選択可能です。

住民税は、

  • 所得に応じた割合と定額の2種類の税金で構成されています。
  • 所得割は課税対象所得の10%
  • 均等割は5,000円から6,000円程度が一般的な金額となっています。

消費税とインボイス制度の影響

フリーランスや個人事業主は、顧客から報酬を受け取る際に、同時に消費税相当額も受け取っています。この消費税は、受け取った側が税務署に納付する義務があります。
しかし、フリーランスや個人事業主の中には、消費税を一度も納めたことがない人も多数存在します。それは、前々年の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の納付が免除されているためです。
さらに、フリーランスや個人事業主になってから最初の2年間は、消費税を納める必要がありません。
ただし、2023年10月から始まるインボイス制度において、適格請求書の発行を選択した場合、課税売上高が1,000万円未満であっても、消費税を納税しなければなりません。

個人事業税の概要と注意点

フリーランス(個人事業主)が事業活動を行う際に課される税金が個人事業税です。

  • 収入が一定額を超えた場合にのみ納税義務が生じます。
  • 課税対象となる収入部分に対して、業種によって異なる一定の税率が適用されます。

ただし、一部の職種については個人事業税の支払いが免除される場合があります。

  • プログラマーはその例外職種の一つですが、業務内容次第では請負業と判断され、納税対象となる可能性もあります。

自身の職種が課税対象かどうかは、各自治体の税務部門のウェブサイトなどで確認することができます。
不明な点がある場合は、税務署に問い合わせることをおすすめします。

固定資産税の基礎知識

不動産に課される税金は、土地や住宅などの不動産に対して賦課されます。
個人事業主であっても、自宅などの不動産を所有している場合は、この税金の支払い義務があります。
この税金の納付書は、居住する自治体から送付されてくるため、その納付書に従って支払いを行います。
ただし、納付時期は自治体ごとに異なるため、各自治体のウェブサイトで確認する必要があります。
この税金の金額は、

  • 不動産の評価額に税率を乗じて算出されます。
  • また、原則として3年ごとに金額の見直しが行われます。

まとめ

まとめ

この記事では、フリーランス(個人事業主)が確定申告の際に選択できる納税方法について説明しました。

  • 様々な納付手段の長所や手順を紹介し、多くの人にとってe-Taxが最も効率的な選択肢であることを示しました。
  • ただし、e-Taxが難しい場合はクレジットカードやコンビニ払いなど他の選択肢も検討するよう提案しています。

また、所得税以外にも支払うべき税金があることを指摘し、フリーランスとしてはそれらを把握しておく必要があると述べています。
納税に関する情報を丁寧に解説しながら、フリーランスの方々に役立つ実践的な知識を提供しています。