プログラミング言語「Ruby」の特徴・メリットと学習方法

2024年6月17日

Rubyは、日本人のプログラマーによって開発された言語であり、主にWebアプリケーション開発で幅広く利用されています。
豊富な情報資源と広範な適用範囲を持つRubyは、プログラミング初心者にも適した選択肢です。
しかし、Rubyの具体的な性質やメリットを把握するのは容易ではないかもしれません。
そこで本稿では、Rubyの特徴、長所、そして学習方法について解説します。
Rubyに関心のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

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1 Rubyとは
2 Rubyの特徴・メリット
3 Rubyが活用されている分野・作れるもの
4 Rubyで開発されたアプリ・サービスの実例
5 Rubyの需要や将来性は高い
6 Rubyを学習する主な方法
7 Rubyを学習するために知っておきたいこと
8 まとめ

Rubyとは

プログラミング言語Rubyは、1995年に日本人のまつもとゆきひろ氏によって開発されました。
国産のプログラミング言語として初めて、ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の共同規格に承認されたことで知られています。

Rubyの特徴としては、

その名称の由来と歴史
Rubyと「Ruby on Rails」の違い
Rubyと「Python」の違い

があげられます。

Rubyの名称由来

Rubyは、日本人プログラマーのまつもとゆきひろ氏が開発した言語です。この言語の名前は、別のプログラミング言語であるPerlに由来しています。

まつもと氏はWebアプリケーション開発に適した新しい言語を作ろうと考え、Perlに影響を受けながらも代替できる言語を目指しました。

Perlの発音がPearlと同じであることから、6月の誕生石であるPearlに続く7月の誕生石であるRubyという名前が付けられました。
まつもと氏の理想を具現化したRubyの最初のバージョンは1993年に登場し、2年後の1995年にフリーソフトウェアとして一般公開されました。

Rubyとフレームワーク「Ruby on Rails」の違い

Rubyと混同されやすい概念が「Ruby on Rails」です。
Ruby on Railsは、Rubyを用いてWebサイトや業務システムなどを効率的に構築するためのフレームワークです。
フレームワークとは、プログラム開発の基盤となり、必要な機能が一通り備わっているものです。
Rubyを列車に例えれば、Ruby on Railsはその線路に相当します。
実際、Ruby on Railsの名称には「Rails(線路)」という単語が含まれています。
Ruby on Railsを活用することで、Rubyのプログラミングをより効率的に行えます。
そのため、Rubyの習熟度が上がるにつれ、Ruby on Railsの利用機会も増加していくことでしょう。

Ruby vs Python - 特徴と使い分け

RubyとPythonは、比較的新しいプログラミング言語ながら、幅広い分野で活用されています。しかし、両者には明確な違いがあります。

Ruby
・プログラムの構造が理解しやすく、Web開発に適したフレームワークを備えている
・コーディングの自由度が高く、汎用性に富む
・日本語のドキュメントや情報が豊富で、初心者でも習得しやすい

Python
・構文がシンプルで分かりやすい
・フレームワークやライブラリが充実している
・AIや機械学習、データ解析、システム開発などの分野で活躍
・世界中で人気が高まりつつある

両言語ともにソースコードをシンプルに記述でき、優れた実績を持つ点は共通しています。しかし、Rubyは主にWeb開発に特化した言語であり、Pythonは先端技術分野で力を発揮します。そのため、目的に応じて使い分ける必要があります。

Rubyの特徴・メリット

Rubyは、オブジェクト指向の考え方に基づいたプログラミング言語です。
人間の思考プロセスに近い自然な構造を持ち、簡潔で分かりやすい設計がなされています。
このシンプルな特性により、開発者の生産性が高まります。
Webアプリケーションなどのプロジェクトでは、充実したフレームワークが利用可能です。
また、日本語のリソースが豊富なため、初学者でも学びやすい環境が整っています。

オブジェクト指向言語Ruby

Rubyは「オブジェクト指向」の考え方に基づいたプログラミング言語です。
この概念では、プログラムの構成要素を「オブジェクト」と呼び、それらを組み合わせて機能を実装します。
オブジェクト指向プログラミングでは、各要素を「クラス」として定義し生成します。
クラスには

メソッドが含まれており
メソッドを呼び出すことで内部の状態を変更できます

Rubyでは、数値や文字列を含むすべてのデータがオブジェクトとして扱われるため、純粋なオブジェクト指向言語であると言えます。

Rubyの開発理念

プログラミング言語Rubyの創始者であるまつもと氏は、その設計思想について「自然な形を目指している」と述べています。
Rubyは内部構造は複雑ですが、外観は簡潔で理解しやすいのが特徴です。
まつもと氏はこの思想を「人体と同様の構造」と表現しています。
オブジェクト指向は本来プログラムの構造を明確化することが目的ですが、複雑さから分かりにくくなる場合があります。
Rubyはその複雑さを隠蔽し、プログラマーにとって扱いやすい言語仕様となっています。

Rubyの簡潔さと生産性

Rubyは簡潔性を重視しているため、他の言語と比較して短いコードで機能を実装できます。
例えば、画面にメッセージを出力する場合、Rubyでは1行で済みますが、C言語やJavaでは複数行が必要です。
コードが長くなるほど、ミスが増える可能性が高まります。
Rubyの簡潔さは、

コーディングとデバッグの工数を削減し
開発効率を向上させます。

このような点でRubyはPythonに近く、生産性の高いプログラミング言語と言えるでしょう。

Ruby on Railsの特徴とMVCアーキテクチャ

Rubyは、ウェブアプリケーション開発に適した多様なフレームワークやライブラリを備えています。その中でも「Ruby on Rails」は、Rubyを用いたウェブ開発において特に重要で理解しやすいフレームワークとして知られています。

Ruby on Railsの核となる概念は、「MVCアーキテクチャ」と呼ばれるものです。
MVCアーキテクチャでは、アプリケーションを以下の3つの要素に分割します。

データを扱うModel
表示を担当するView
制御を行うController

このようにアプリケーションの構成要素を明確に分離することで、各要素の役割が明確化され、複数の開発者による並行開発が容易になるという利点があります。

Rubyの学習しやすさ

プログラミングを学ぶ際、理解が容易であることが重要な要素となります。
初心者が疑問に思ったことを素早く解決できなければ、モチベーションの低下を招きかねません。
Rubyは日本人によって開発された言語であるため、基礎から応用までの知識を日本語で入手することができます。
このように、初学者でも情報にアクセスしやすいことから、Rubyは安心して学習できるプログラミング言語であると言えます。

Rubyの学習のしやすさ

Rubyは簡潔な記述が可能で、日本語のリソースが豊富なため、初学者にとっても親しみやすい言語です。
さらに、プログラムのバグを見つけやすいという特徴があり、これが学習の手助けとなります。
Rubyはスクリプト言語に分類されるため、コードに誤りがあってもその箇所までは実行され、エラー発生時には明確なメッセージが表示されます。
つまり、「どの部分が間違っているか」を把握しやすく、Rubyは円滑な学習を後押ししてくれます。

Rubyが活用されている分野・作れるもの

プログラミング言語Rubyは、以下の領域で活用されています。

ウェブサイトやサービスの構築
ウェブアプリケーションの開発
モバイルアプリの作成
APIの構築
ウェブスクレイピング

このオープンソースの言語は、シンプルな構文と高い生産性を特徴としており、開発者に幅広く愛用されています。

Rubyの活用領域

Rubyは、ウェブサイトやサービスの構築に幅広く利用されている言語です。
サーバー側の処理に優れているため、ECサイトやメディアサイトなど、データの管理と活用が求められる分野で威力を発揮します。
Ruby on Railsフレームワークの活用により、生産性の高いアプリケーション開発が可能になります。

Webアプリ開発におけるRuby on Railsの活用

Webアプリケーションの構築においても、Rubyは優れた能力を発揮します。
Ruby on Railsフレームワークを活用することで、プログラミング初学者でも比較的簡単にWebアプリを開発することができます。

ユーザーがコンテンツをアップロードし、他のユーザーがそれに反応するといった一般的なSNSの機能も、Ruby on Railsで実装可能です。

実際にRubyで開発されたWebサービスやアプリケーションについては、後に詳しく説明します。

Rubyでスマホアプリ開発

Rubyは、モバイルアプリケーション開発にも適した環境を備えています。

AndroidとiOSの両プラットフォームに対応する「RubyMotion」という統合開発環境があり、Rubyを使ってスマートフォンアプリを構築することができます。

モバイル開発では「Kotlin」や「Swift」が有名ですが、Rubyも多くの開発者に支持されている言語です。
そのため、スマートフォンアプリの開発を検討している場合、Rubyを選択肢に入れることをお勧めします。

Rubyによるサービス連携とAPIの活用

Rubyは、さまざまなWebサービスを統合するための「API」の構築にも活用できます。
TwitterやInstagramなどのSNSで投稿したコンテンツは、自身が運営するWebサイトやブログ記事に埋め込んで共有することが可能です。これは、APIによってサービス間の連携機能が実装されているためです。
また、スマートフォンアプリとWebサーバー間のデータ通信においても、Rubyで開発したAPIを利用できるため、ユーザーにとって利便性の高いサービスを開発しやすくなっています。

Webスクレイピングとデータ活用のためのRuby

Rubyは、Webアプリケーション開発に適しているため、ウェブデータの収集にも活用されています。
この技術は、インターネット上の様々なリソースからデータを抽出することを指します。
収集したデータは、アプリ構築やマーケティング分析などに役立つため、個人でもこの手法を利用する人が増加しています。
Rubyは、多様なWeb関連の開発ニーズに対応できる汎用的なプログラミング言語と言えます。

Rubyで開発されたアプリ・サービスの実例

多くの人々に親しまれているアプリケーションやサービスの中には、Ruby言語を用いて構築されたものが存在します。
その代表例として、以下の4つが挙げられます。

クラウドソーシングプラットフォーム「クラウドワークス」
民泊仲介サービス「Airbnb」
ソフトウェア開発プラットフォーム「GitHub」
レシピ共有サイト「クックパッド」

クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」の開発事例

クラウドソーシングプラットフォームを提供する企業が、限られた時間と人員の中で効率的な開発を実現するため、Ruby on Railsを活用しました。
柔軟性と生産性に優れたRubyを採用することで、システムを構築することができました。
企業とフリーランサーをつなぐサービスを短期間で立ち上げられた理由は、この開発言語の選択にありました。

民泊サービスAirbnbの成功事例

Airbnbは、空室を提供したい人と宿泊先を探している旅行者をマッチングするプラットフォームです。
この会社は世界中で事業を展開し、民泊の概念を広めるきっかけとなりました。
Airbnbは開発スピードの速いRubyを採用することで、システムを効率的に構築することに成功しました。
さらに、同社は自社の経験に基づいた「スタイルガイド」を公開しています。

ソフトウェア開発プラットフォーム「GitHub」の秘密

ソフトウェア開発者向けのプラットフォームとして知られるGitHubは、開発者がコードを公開・共有できる場所を提供しています。
この革新的なサービスは、Ruby on Railsを活用して構築されており、その独自のシステムが高く評価されています。
GitHubは、技術チームの移動性を重視しながら、Ruby言語を活用してスケーリングに成功した事例として注目されています。

クックパッドの魅力と技術力

クックパッドは、料理愛好家たちが自身のレシピを公開し合うプラットフォームです。
多種多様な料理の作り方が掲載されているため、幅広い層から高い人気を博しています。
同サービスは、Ruby on Railsのフレームワークを活用することで、ストレスフリーでユーザーフレンドリーなシステムを実現しました。

Rubyの需要や将来性は高い

プログラミング言語Rubyは、企業からの需要が高く、エンジニアの平均年収も他の主要言語と比べて高水準にあります。

paiza株式会社の調査では、転職時に企業が求める言語ランキングで7位に位置づけられています。
この結果は、モバイルアプリ開発で利用されるKotlinやSwiftを上回る高い評価となっています。

同調査によると、Rubyエンジニアの平均年収は約640万円で、PythonとほぼPythonとほぼ同等の水準ながら、C++やJavaScriptを上回っています。
フリーランスの場合も、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」のデータでは、2023年8月時点で16,000件を超える案件があり、月額単価の相場は約73.9万円、最高単価は200万円と高い水準にあります。
これらの点から、Rubyは将来性が高く、学習する価値のあるプログラミング言語であると言えます。

Rubyを学習する主な方法

Rubyの習得には、複数の選択肢があります。

専門書や参考資料を活用する方法
オンラインリソースや学習プラットフォームを利用する方法
プログラミング教室に通う方法などが考えられます。

個人の学習スタイルや目的に合わせて、最適なアプローチを選ぶことができます。

Rubyの基本を楽しく学ぶ

Rubyの学習には、書籍や参考資料が最も基本的な手段となります。この言語は仕様や構文がシンプルなため、初心者でも比較的簡単に習得できるでしょう。
特におすすめなのが、Rubyの生みの親であるまつもとゆきひろ氏が監修した「たのしいRuby 第5版」です。
この書籍を活用すれば、Rubyの基礎を楽しみながら身につけることができます。

Rubyの独学方法

Webリソースやオンラインコースを活用することで、自主的にRubyを学習することが可能です。
インターネット上には、Rubyの基礎知識を解説したり、実例を提示したりするさまざまなウェブサイトが存在します。
特に、Rubyの公式サイトでは、理解しやすいチュートリアルやマニュアルが用意されており、活用するのがお勧めです。
加えて、

「ドットインストール」
「Udemy」

などの動画講座サービスでは、映像を通じてRubyの学習ができます。
ウェブサイトと動画教材を組み合わせることで、効率的な習得が期待できるでしょう。

プログラミングスクールの魅力

プログラミングの習得に苦労している場合、専門教育機関での学習が賢明な選択肢となります。
経験豊富な指導者が丁寧に指南し、疑問点を即座に解消できるため、挫折することなく着実に知識を深めることができます。
さらに、

就職支援サービスを提供する施設も存在するため、将来的なキャリア形成においても有利に働くでしょう。

Rubyを学習するために知っておきたいこと

Rubyの習得に向けて、重要な4つの側面を取り上げましょう。

まず、Rubyを利用する際の欠点について説明します。

次に、RubyとPHPのどちらを選択するべきかを比較検討します。

さらに、RubyとPythonのどちらが適切かを吟味します。

最後に、Rubyの学習を継続するためのヒントとアドバイスを提示します。

Rubyのデメリットと魅力

Rubyの短所は、「処理速度の低さ」と「開発者ごとの記述スタイルの違い」です。
Rubyはインタープリタ型の言語なので、実行時に1行ずつ機械語に変換されます。
そのため、Pythonと同様に処理速度が遅く、高負荷な処理や速度重視のユースケースには不向きです。
また、自由度が高いため、コーディングスタイルに個人差が生じやすく、チームメンバー間での情報共有が難しくなる場合があります。
しかし、Rubyは効率性と生産性に優れたプログラミング言語であることに変わりはありません。
したがって、Rubyの短所よりも長所の方が大きく、魅力的な言語だと言えます。

Rubyの特徴とPHPとの違い

RubyとPHPは、ウェブ開発に特化した言語ですが、その適用範囲は異なります。
Rubyはモバイルアプリやシステム開発にも活用できますが、PHPはウェブ関連以外の領域での利用が困難です。
また、言語仕様の簡潔さからRubyのほうが習得しやすいと考えられています。
そのため、初学者や多様な分野に挑戦したい人にとって、Rubyが適切な選択肢となるでしょう。

Web開発とAI/機械学習向けの言語選択

この2つのプログラミング言語は、しばしば対比されますが、その性質は大きく異なっています。
Rubyは主にWebアプリケーション開発に特化した言語であり、一方のPythonは人工知能や機械学習などの先端技術分野に適しています。
したがって、将来的にWebサイト構築に従事したい場合は、Rubyの習得が有利でしょう。

Rubyプログラミングを挫折せずに学ぶコツ

Rubyの習得には、やる気を維持しながら知識を蓄積することが肝心です。
書籍やウェブサイトなどのリソースを活用し、疑問点を解決しながら前に進みましょう。
ただし、サンプルコードばかり追うのではなく、自分なりにアレンジを加えてオリジナルのプログラムを作成することで、Rubyの学習を継続できるでしょう。