フリーランスの厚生年金加入と国民年金受給額・年金額増額方法

フリーランスとして活動する際、年金制度への加入が義務付けられており、将来的な生活資金の確保が課題となります。
現役時代の収入だけでは老後の生活費を賄うのが難しい可能性があるため、国民年金への加入と併せて別の対策が必要不可欠です。

本稿では、以下の内容について説明します。

  • フリーランスが国民年金に加入する手順
  • 国民年金と厚生年金との違い
  • 年金額を増やす方法

特に、フリーランス生活で老後が不安な方や、独立を検討中で制度のデメリットを知りたい方は、ぜひ一読いただきたい内容となっています。

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フリーランス(個人事業主)は厚生年金に加入できない|国民年金のみ加入可能

フリーランス(個人事業主)は厚生年金に加入できない|国民年金のみ加入可能

国民年金の仕組みと規定事項

自営業者や個人事業主は、従業員向けの厚生年金制度の対象外となります。
退職後は、一般の国民を対象とする国民年金に移行することになります。

そこで、国民年金の仕組みと規定事項について確認していきましょう。

  • 加入対象者
20歳以上60歳未満の日本国内に住所を有する者
日本国籍を有する60歳以上65歳未満の者

国民年金への切り替え手続き

会社を離れると、従業員は国民年金への加入手続きが必要になります。
この切り替え作業は、居住地の市区町村の窓口で行えます。
必要な書類は、

  • 退職を証明するもの
  • 本人確認書類
  • 年金手帳または基礎年金番号の通知
  • 印鑑

退職証明書がない場合は、前職の連絡先と退職日を伝えれば対応してもらえます。
退職後は速やかに、原則14日以内に手続きを済ませる必要があり、これが優先事項となります。

国民年金の支払い方法と前納制度

国民年金の納付方式は、以下のようになっています。

  • 金融機関への振込
  • 口座振替
  • クレジットカード決済

振込以外の方法では、自治体の窓口での手続きが必要となります。

月々の支払いに加え、以下の前払いも認められています。

前払い期間
半年分
1年分
2年分

前払いには割引が適用されるため、余裕のある方はその選択肢をご検討ください。

国民年金の未納問題と対策

国民年金への加入は義務付けられており、長期にわたる未納は許容されません。滞納が続けば、以下のペナルティが科されます。

  • 督促状の送付
  • 財産の差し押さえ
  • 延滞金の支払い

経済的な理由で保険料の支払いが困難な場合は、免除制度を活用することができます。
この制度では、

  • 前年度の所得水準
  • 失業状況

に応じて、保険料の全額または一部が免除または減額されます。
ただし、免除された期間分は将来受給する年金額が減少してしまうため、独立前から十分な貯蓄を心がけることが賢明です。

国民年金と厚生年金の違いとは

国民年金と厚生年金の違いとは

日本の公的年金制度は、国民一人ひとりが加入する義務を負っています。

  • 20歳から60歳未満の者は、毎月16,610円の保険料を支払う必要がある国民年金に加入しなければなりません。
  • 一方、会社員は国民年金に加えて、会社が保険料の一部を負担する厚生年金にも加入することになります。

会社員の場合、定年退職後は国民年金と厚生年金の両方から年金を受給できますが、フリーランスなどの個人事業主は国民年金のみから年金を受け取ることになり、受給額は会社員よりも少なくなります。

老後の生活費は国民年金だけでは賄えない

老後の生活費は国民年金だけでは賄えない

国民年金のみでは老後の生活を賄うことは困難です。
生命保険文化センターの調査結果によれば、

  • 最低限の日常生活費は月額約22万円
  • 趣味や旅行を含めた場合は月額約36万円が必要とされています。

従って、会社員に比べてフリーランスや個人事業主は、より多くの貯蓄が求められます。

フリーランス(個人事業主)が老後の年金額を増やす方法6選

フリーランス(個人事業主)が老後の年金額を増やす方法6選

人生の最後まで仕事を続けることを想定して自営業を選択する人もいますが、病気や怪我で一時的に収入が途絶える可能性は否定できません。
そのため、高齢期の生活を支える制度やサービスへの加入を検討するべきでしょう。
この記事では、貯蓄以外にフリーランスや個人事業主が老後の年金を増額する方策を解説します。

  • 国民年金基礎年金の加入
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入
  • 小規模企業共済への加入
制度名 概要
国民年金基礎年金 老齢基礎年金の受給資格を得るための強制加入制度。毎月の保険料は16,610円(2022年度)。
個人型確定拠出年金(iDeCo) 自営業者向けの企業年金制度。掛金は控除対象で、運用益は非課税。
小規模企業共済 中小企業者等のための退職金制度。掛金の一部が所得控除の対象。

付加年金の概要と計算方法

政府が運営する公的年金制度には、基本的な年金給付に上乗せできる制度があります。
この制度では、毎月一定額の保険料を支払うことで、将来受け取る年金額を増やすことができます。
この上乗せ分の年金額は、支払った保険料の合計月数に応じて決まります。
具体的には、

  • 支払った月数に200円を掛けた金額が、毎年の年金受給額に加算されます。

例えば、20歳から60歳まで保険料を納めた場合、480か月分の保険料を支払うことになり、年間で96,000円(月額8,000円)の上乗せ年金を受け取れます。
この制度の利用には大きな制約はありませんが、別の公的年金制度との併用はできません。
そのため、自身に適した制度を選択する必要があります。

国民年金基金の概要とメリット・デメリット

国民年金に上乗せできる制度として国民年金基金があります。
フリーランスや個人事業主など第一号被保険者が対象で、基金の事務所で手続きを行います。

  • 掛金は全額所得控除の対象となり、節税対策としても有効です。
  • 掛金額は小額から開始でき、上限まで柔軟に設定可能です。

将来の年金受給額を増やしたい方におすすめの制度ですが、一方で受給額が固定化されるため物価変動のリスクがあり、また加入後の任意脱退ができないなどのデメリットもあります。
掛金額は加入時の年齢や性別、給付タイプにより決まるため、長期的な支払い能力を確認した上で加入することが賢明でしょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の概要と注意点

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自身が拠出した掛金を自ら運用し、資産形成を行う年金制度です。
60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
確定拠出年金を取り扱う金融機関で加入が可能です。

  • フリーランス(個人事業主)の場合、月額5,000円から68,000円までの範囲で掛金を積み立てることができます。

選択した商品(定期預金、保険商品、投資信託など)で掛金を運用し、それが老後の資金となります。

  • 掛金は全額が所得控除の対象となり、iDeCo運用期間中の運用益には課税されません。
  • 受給時には、退職所得控除(受給年齢で一時金受給の場合)や公的年金等控除(年金として受給する場合)が受けられます。

ただし、デメリットとして、給付額は運用実績次第で変動するため、元の掛金額を下回るリスクがあります。
損失を防ぐためにも、運用商品を取り扱う

銀行 信用金庫 保険会社

などに相談することが賢明です。

小規模企業共済の概要と注意点

個人事業主の方々が事業終了に備えて積立金を準備できる制度が小規模企業共済です。
現在147万人を超える加入者がおり、月々

  • 1,000円から70,000円までの範囲で積立が可能です。

事業を終えた際には、貯めた金額を退職金として受け取ることができます。
掛金全額が所得控除の対象となるため、節税メリットが大きいのが特徴的です。

  • 年間掛金が40万円以下の場合、受取時の課税もなく、手取り額が多くなります。

ただし、1年未満で解約すると積立金がなくなってしまうので注意が必要です。

フリーランス(個人事業主)の法人化メリット・デメリット

フリーランスの方が事業を法人化することで、様々な利点が得られます。

  • 本人だけでなく、家族も厚生年金や社会保険に加入できるようになります。

最大のメリットは節税効果です。

  • 個人事業主は所得に応じて所得税を支払う必要がありますが、最高税率は45%と高額です。
  • 一方、法人化すれば法人税に切り替わり、最高税率は23.9%と抑えられます。
  • 収入が増えるほど節税効果は大きくなります。

ただし、法人登記には20万円程度の費用がかかり、従業員がいる場合は社会保険料の一部を負担する義務があります。
現時点で法人化を検討中の方や、法人化のメリット・デメリットについて知りたい方は、専門家の助言を参考にすることをおすすめします。

フリーランスの家族扶養のメリット

勤め人の家族がいる場合、家族の扶養に加わることで年金や保険に加入できます。

  • 収入が130万円未満の新人フリーランサーは、家族の扶養に入る方が有利です。
  • 企業によっては扶養手当が支給されるため、収入が少ない時期に扶養に加わるのも一案かもしれません。

フリーランサーとして家族を扶養するメリットについて詳しく知りたい方は、ご確認ください。

一度就職して厚生年金に入る際、個人事業は廃業にすべき?

一度就職して厚生年金に入る際、個人事業は廃業にすべき?

一時的な雇用に就く際、個人事業を廃止する必要はありません。
個人事業を継続することにデメリットがないためです。
むしろ、副業として個人事業を維持すれば、

  • 学習資料やセミナー費用を経費として計上できるメリットがあります。

年金手続きは雇用主が行うので、本人が手続きをする必要はありません。
経費の範囲について詳しく知りたい場合は、専門家にご相談ください。

まとめ

まとめ

フリーランス(個人事業主)の年金制度について詳しく説明してきました。
国民年金に加入するほかに、

  • 貯蓄や積立制度を活用することで、老後の生活を豊かにすることができます。

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フリーランス(個人事業主)の知識を深め、その道を目指すことをお勧めします。
本記事が皆様の助けとなれば幸いです。