確定申告の手順や流れが全くわからない方へ徹底解説!

年間の収入から経費を差し引いて所得を算出し、納税額を計算して国に報告する一連の手続きを確定申告といいます。
フリーランスの方は基本的にこの確定申告が義務付けられています。
一方、会社員やアルバイト・パートの方は、通常は勤務先が年末調整で所得税額を計算しますが、場合によっては自身で確定申告を行う必要があります。
初めて確定申告を行う人は、その手順や必要性について戸惑うことも多いでしょう。
そこで本稿では、

  • 確定申告が必須となる条件
  • 具体的な手続き方法

などを分かりやすく解説していきます。
ご不明な点がありましたら、ぜひ参考にしてみてください。

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確定申告とは所得税の額を確定するための手続き

確定申告とは所得税の額を確定するための手続き

独立して働く人々の所得に対する税金は、1年間の総収入を計算し、通常は翌年の2月中旬から3月中旬にかけて、税務当局に報告して支払う必要があります。
この期間は、前年の1月1日から12月31日までの収入を対象とします。

確定申告と源泉徴収

国民には納税の義務があり、一定額以上の収入を得た者は所得税を支払わなければなりません。
納税者自身が税務署に申告することで、納付すべき国税の金額が決定されます。
しかし、源泉徴収により既に過剰に税金を納めている場合、確定申告をすれば還付を受けられます。
個人に課される住民税は、申告書に基づき自治体が計算します。

  • 会社員の場合、給与から源泉徴収された所得税は会社が納付するため、通常は確定申告の必要はありません。
  • 会社が年末調整で過不足を調整するのです。

所得と収入の違い

確定申告を行うには、収益と総収入の違いを把握することが重要です。

  • 総収入とは、売上や給与など、1年間に稼得したすべての金銭を指します。
  • 一方、総収入から仕入れや経費を差し引いた金額が収益となります。

さらに、収益から各種控除を差し引いた金額を課税対象所得と呼び、所得税はこの課税対象所得に基づいて算出されます。

  • 所得税の控除には、社会保障料控除、生命保険料控除、配偶者控除、基礎控除など15種類があります。

加えて、算出された所得税額から直接差し引くことができる税額控除制度も存在します。

所得の種類

収入の種類は、発生源や形態によって10種類に区分されています。
例えば、会社員やアルバイトが企業から支払われる報酬は「給与収入」、個人事業主の売上は「事業収入」に分類されます。
収入の種別は、

  • 利子収入
  • 配当収入
  • 不動産収入
  • 事業収入
  • 給与収入
  • 退職収入
  • 山林収入
  • 資産譲渡収入
  • 一時収入
  • 雑収入

があげられます。

所得税の所得控除の種類

所得から差し引かれる控除項目には、以下のようなものがあります。

  • 災害による損失
  • 医療費
  • 社会保険料
  • 生命保険料
  • 地震保険料
  • 寄付金
  • 障害者に関する控除
  • 寡婦に関する控除
  • ひとり親に関する控除
  • 学生に関する控除
  • 配偶者に関する控除
  • 扶養家族に関する控除

これらの控除を適切に受けることで、納税額を適正化することができます。

確定申告と年末調整の違い

確定申告と年末調整の違い

個人と企業のそれぞれが担う役割が異なるのが、確定申告と年末調整の大きな違いです。
確定申告は個人が自ら所得を申告する一方、年末調整は企業が従業員に代わって手続きを行います。
会社員の多くは、毎年12月に企業による年末調整が行われるため、自ら確定申告を経験することはほとんどありません。
これは企業が従業員に代わって源泉徴収税額や年間所得税額の調整を実施するためです。

確定申告をしなければならない人って?

確定申告をしなければならない人って?

確定申告の義務は、フリーランスだけでなく、様々な人に課されています。
本章では、申告が求められる対象者について詳しく説明していきます。

  • 給与所得者で、次のいずれかに該当する人
  • ・2か所以上から給与の支払いを受けている
    ・年間の給与収入が2,000万円を超えている
    ・給与以外に一定額以上の所得がある
  • 事業所得者(個人事業主、フリーランス等)
  • 不動産所得者(家賃収入がある人等)
  • 一時所得者(一時的な高額所得がある人等)

フリーランスの確定申告義務

フリーランスで事業所得が48万円を超える方は、確定申告を行い所得税の計算と納付が義務付けられています。

  • 収入から経費を差し引いた金額が48万円を上回れば、基礎控除の適用を受けた上で所得税の支払いが必要となります。
  • 収支の内訳を精査し、適切な税額を算出して納税する必要があります。

給与所得2,000万円以上者の確定申告義務

年収2,000万円を超える給与所得者は、確定申告の義務があります。
月々の給与とボーナスを合算した金額が、2,000万円を上回る場合、自主的に申告手続きを行わなければなりません。

複数給与所得者の確定申告

複数の職場から報酬を得ている方や、年末調整が行われていない収入があり、合計所得金額が20万円を超える場合は確定申告が必要となります。
主たる勤務先以外の職場では、年末調整が実施されないことが一般的です。

給与所得と副収入の確定申告

複数の収入源を持つ方や、給与以外の収入が一定額を超える場合、確定申告の対象となります。
具体的には、

  • 本業の給与と並行して副業などから20万円を上回る所得を得ている場合
  • 投資による利益なども含めて所得の総額が基準を超えれば

確定申告を行う義務があります。

確定申告の対象者

年金収入が400万円を超える方は、確定申告の対象となります。
これらは主な事例ですが、該当しない場合でも、

  • 自身で社会保険料を支払っていれば、確定申告を行うことで控除を受けられます。

控除を受けるためには、所得金額に関わらず、確定申告が必要不可欠です。

確定申告をする必要がない人は?

確定申告をする必要がない人は?

この節では、確定申告の義務がない人の代表的なケースについて解説します。

  • 給与所得者で、次の全ての要件を満たす人
    • 給与収入が2,000万円以下
    • 給与以外の所得が20万円以下
    • 所得控除の額の合計が標準控除額以下
  • 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下の人
年齢 公的年金等の収入金額
65歳未満 400万円以下
65歳以上 700万円以下

確定申告が不要な場合

労働者が単一の雇用主から収入を得ており、年末調整が完了している場合、確定申告は不要となります。
会社は年末に所得税の計算を行うため、別の給与収入がなければ、その時点で所得税の手続きが終了するためです。

また、

  • 複数の雇用主から給与を受け取っていても、主たる収入源で年末調整が行われ、副次的な収入と他の種類の収入の合計が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
  • 単一の給与収入しかなく、事業収入、不動産収入、資産譲渡益などの他の収入源の合計額が20万円以下の場合も、申告は不要となります。

所得控除対象者の確定申告免除

自営業者の事業収入と他の収入源からの収益の総額が所得控除額を下回る場合、または年金受給額が400万円以下で、それ以外の収入がなく、年金全額が源泉徴収の対象となる場合は、確定申告の必要がない可能性があります。
ただし、詳細な条件については、

  • 国税庁のウェブサイト

などで確認することをお勧めします。

確定申告のメリットとは?

確定申告のメリットとは?

事業損失の繰越控除

企業活動において赤字が発生した場合、その損失額を翌年以降3年間にわたり所得から控除することが可能です。

ただし、この制度は確定申告を行う事業者のみが対象となり、簡易な申告方式では適用されません。

収益が上がれば上がるほど、納税額も高くなる一方で、一時的に損失が出た年は将来の所得から差し引けるため、長期的な視点で見れば税負担を軽減できます。

医療費控除の仕組み

健康上の理由から発生した費用については、一定の条件を満たせば税制上の優遇措置を受けることができます。
個人や家族のために支払った医療費が基準額を上回った場合、超過分について所得控除が認められるのです。
この制度を利用するには、

  • 1年間の医療費総額が一定水準を超過している必要があります。

具体的には、

総所得金額が200万円未満の場合は5%を、200万円以上の場合は10万円を上回ることが要件となっています。
控除額には上限が設けられており、最大200万円までが対象となります。

寄附金控除の仕組み

税金の一部を控除できるという利点があります。国や自治体、公益法人に対して公共の利益のために支出した金額については、所得から差し引くことができるのです。
この制度は寄附金控除と呼ばれています。ふるさと納税がその代表例として知られています。
ただし、自動的に控除されるわけではありません。

  • 領収書などの証明書類を揃え、確定申告する手続きが必要となります。

確定申告期間

確定申告期間

所得税の申告期限は、納税者の状況によって異なります。

  • 収入源が給与のみで確定申告が義務付けられていない人は、対象年の翌年から5年間が申告可能期間となります。
  • 一方、事業収入があり確定申告が必須の人は、2月16日から3月15日の約1か月間が申告期間に設定されています。

ただし、還付申告の場合は5年前までさかのぼれます。
つまり、申告義務の有無で期限が大きく変わるため、自身の立場を正しく理解する必要があります。

確定申告の流れ

確定申告の流れ

確定申告の準備資料

所得税の確定申告を行う際には、様々な書類の準備が必要となります。
近年、確定申告書の様式が一本化され、第一表と第二表の2枚を提出することが一般的です。
所得の内訳が複雑な場合は、所得の内訳書を添付する必要があります。
また、

  • 事業所得や不動産所得がある場合、収支内訳書または青色申告決算書の作成が求められます。

申告時には、本人およびその家族のマイナンバーが必要になるため、マイナンバーカードまたは住民票の写しを用意しましょう。
マイナンバーカードを所持していれば、電子申告も可能です。

さらに、確定申告の根拠となる領収書や帳簿、金融機関の口座情報なども準備する必要があります。
口座情報は還付金の受取先として重要です。
ゆうちょ銀行や郵便局での受取りも可能ですが、銀行振込に比べて時間がかかる点に注意が必要です。

確定申告に必要な書類の準備

収入源によって必要な書類が異なります。
事業や不動産収入がある場合、固定資産の取得から処分までを管理する台帳が求められ、一定額を超えると償却資産税の納付義務が生じます。
また、減価償却費を収支内訳書に記載する必要があります。
過去の確定申告書のコピーを保管しておくと便利です。

給与所得者は源泉徴収票が必須です。

  • 複数の勤務先がある場合は、それぞれの源泉徴収票が必要となります。

添付は不要ですが、所得金額の根拠として重要です。

医療費控除を受けるには、従来の控除と新制度のいずれかを選択し、明細書を作成して申告書に添付します。
領収書の提出は不要ですが、自宅での5年間保管が義務付けられています。

確定申告書の作成方法

確定申告書の作成には、収集した情報を基に記入していく必要があります。
不動産所得の場合は、収支計算書の結果を「第二表」に記載し、その合計を「第一表」に転記します。
最後に、氏名や住所など税額計算に必要な基本情報を記入すれば完成です。

確定申告書の作成方法には、以下の2つがあります。

  • 自身で手書きまたはソフトウェアを使う方法
  • 専門家に依頼する方法

自身で作成する場合は、freeeなどの確定申告書作成ソフトを活用するのが便利です。
専門家に依頼する場合は手数料が発生します。
ソフトウェアを持っていない方は、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」を利用できます。

作成内容に疑問がある場合は、税務署での直接相談や国税局電話相談センターを活用できます。
還付申告の際は、還付金の振込先口座を忘れずに記入しましょう。
万一記入し忘れた場合、税務署から連絡があり、還付が遅れる可能性があります。

確定申告書の提出方法

確定申告書の提出方法には、様々な選択肢があります。

  • 税務署への直接持参
  • 郵送による送付
  • 電子申告システムe-Taxの利用
  • 税務署の時間外収集ボックスへの投函

それぞれのやり方には長所と短所があり、個人の事情に合わせて最適な方法を選ぶことが賢明です。
ただし、いずれの場合も、マイナンバーと本人確認書類の添付が義務付けられています。
また、受領印を希望する際は、返信用封筒と申告書コピーを同封する必要があります。
利便性と確実性を兼ね備えた提出方法を選択することが肝心です。

納税方法の選択肢

税金の支払いが必要な場合、納付書を使って現金で納めることができます。その際、原則として3月15日が期限となります。しかし、資金準備に余裕が欲しい場合や現金払いが面倒な場合は、「振替納付」が便利です。
この方法では、指定した口座から自動的に所得税が引き落とされるため、納め忘れの心配がありません。また、多くの場合、引き落とし日が4月末となるので、現金払いよりも1ヶ月以上納税を延期できます。

確定申告に関連した罰則はあるのか?

確定申告に関連した罰則はあるのか?

確定申告の遅延・不備に対するペナルティ

自営業者や個人事業主が確定申告を怠り、納税期限を過ぎた場合、以下の罰則が科される可能性があります。

  • 「無申告加算税」
  • 「延滞税」

さらに、以下の場合にも制裁金が課される可能性があります。

  • 申告額が実際より少ない場合は「過少申告加算税」
  • 故意に所得を隠した場合は「重加算税」

確定申告と還付金

確定申告は義務ではない場合もありますが、それでも行うメリットがあります。

  • 税金の控除対象となる場合、申告を怠ると還付金を受け取れなくなってしまいます。

還付金の請求期限は発生年の翌年1月1日から5年間ですので、遅れずに請求することが賢明です。

まとめ

まとめ

所得の確認と適切な控除の適用は、確定申告書作成の際に重要な作業となります。確定申告書は、記入欄に必要事項を記載することで税額が算出される仕組みとなっており、適切に記載すれば容易に作成できます。
しかし、確定申告に関する疑問点が残る場合は、専門家である税理士に相談するのが賢明です。

  • 税理士に依頼すれば、見落としのない適切な申告が可能となり、税務署からの問い合わせにも対応してもらえます。

自身に合った方法を選択しましょう。確定申告は複雑に思えますが、適切なサポートを受ければスムーズに対応できるはずです。