フリーランスと会社員の収入格差は、社会保障制度と課税体系の違いから生じます。
- 会社員は雇用主が社会保険料の一部を負担し、また給与所得控除などの優遇措置があるため、手取り額が高くなる傾向にあります。
- 一方、フリーランスは全額自己負担となり、事業所得に対する課税が適用されるため、同水準の収入であれば手取り額は低くなります。
収入の安定性や社会的地位など、それぞれのライフスタイルに合わせて選択する必要があります。
税制や社会保障制度の理解を深め、適切な判断を下すことが重要です。
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フリーランスと会社員の手取りの違い
フリーランスと従業員の実質収入には違いがあります。
従業員は社会保険料と源泉徴収税が自動的に控除されますが、フリーランスはそうではありません。
- フリーランスは自身で社会保険料の支払いと確定申告を行う必要があり、注意が必要です。
収入の実態を把握し、適切な対応をすることが重要です。
フリーランスと会社員の社会保険の違い
雇用形態によって加入する社会保険制度が異なります。
フリーランスは
- 国民年金と国民健康保険に全額自己負担で加入する必要があります。
一方、会社員は
- 年金と健康保険の双方について、事業主と費用を折半しています。
年金制度では、
- フリーランスは国民年金のみに加入し、保険料は一定額です。
- 会社員は国民年金に加え、給与に応じた厚生年金にも加入する2階建て構造となっています。
健康保険についても、
- フリーランスは年収に基づいて国民健康保険料を支払いますが、
- 会社員は勤務先の健康保険組合に加入することになります。
このように、社会保険の加入状況と負担額は雇用形態によって大きく異なるのが実情です。
源泉徴収制度の概要
給与や報酬を支払う側が、支払い時に所得税や住民税などを控除する制度が源泉徴収です。
勤務先の会社員は、給与から税金や社会保険料が事前に差し引かれています。
一方、フリーランスの場合は、
- 報酬の全額を受け取った後に
- 自身で税金や保険料の支払いを行う必要があります
フリーランスで差し引かれる税金・保険料
独立して働くフリーランスの方々が支払う必要のある税金や保険料について説明します。
フリーランスの収入から控除される金額の詳細を、分かりやすくまとめました。
- 所得税
- 住民税
- 国民年金保険料
- 国民健康保険料
項目 | 説明 |
---|---|
所得税 | 前年の収入に応じて計算される税金。確定申告時に精算。 |
住民税 | 市区町村に支払う税金。前年の所得に応じて計算される。 |
国民年金保険料 | 老後の年金を受給するための保険料。月額約16,000円。 |
国民健康保険料 | 病気やケガをした際の医療費の一部を補う保険料。収入に応じて計算される。 |
フリーランスの国民年金保険加入と保険料
フリーランスの方々は、原則として国民年金保険に加入し、保険料の支払いが義務付けられています。
保険料の金額は収入に関係なく一定額となっており、令和2年度の月額は16,540円と定められています。
ただし、
- 前払いによる割引
- 前年度収入に基づく免除・納付猶予制度などの措置
があります。
一方で、将来受給する年金額を増やすための付加保険料の納付制度も設けられています。
これらの点を踏まえ、適切な対応が求められます。
フリーランスの国民健康保険料の仕組み
フリーランスの方が加入する公的医療保険の掛金額は、居住する自治体によって異なります。
この保険料は、
- 前年の収入に応じた割合
- 定額の2つの部分
から構成されています。
収入が多ければ多いほど掛金は高くなりますが、上限が設けられているため無制限に上がり続けるわけではありません。
一方で、収入がゼロであっても定額分の支払いは必要となり、保険料がまったくゼロになることはありません。
介護保険の概要
40歳以上の方は、介護サービスを受けられる介護保険に加入し、保険料を納める義務があります。
介護保険は市区町村が運営しており、保険料の金額は自治体ごとに異なります。
介護保険料は健康保険料と合わせて請求されます。
所得税の仕組み
国民一人ひとりは、前年度に得た収入に応じて、一定の金額を国庫に納付する義務があります。
この税金は所得税と呼ばれ、
- 総収入から必要経費や社会保険料などの控除項目を差し引いた課税対象所得に基づいて計算されます。
課税対象所得に対する税率は法令で定められており、その割合を乗じた金額が実際の納税額となります。
所得税の申告と納付は、原則として毎年2月中旬から3月中旬にかけて行われる確定申告の期間中に実施されます。
住民税の仕組みと納税方法
地方公共団体に支払う税金は、前年度の収入に基づいて算出されます。
課税対象となる収入額に、自治体ごとに定められた税率を乗じた金額が納付額となります。
所得税とは異なり、居住地によって納税額が変わるため、この点は認識しておく必要があります。
納税方法は以下のいずれかを選択できます。
- 一括払い
- 分割払い(4回)
個人事業税の概要と注意点
個人事業主に課される税金として、法令で定められた70種類の業種に対して賦課される個人事業税があります。
この税金は、事業所を置く都道府県に納付する必要があります。
ただし、
- プログラマー
- システムエンジニア
- ライター
などの職種は基本的に課税対象外となっています。
しかし、業務内容によっては請負業として扱われ、課税される可能性もあるため、所在地の都道府県に確認することが賢明です。
個人事業税の申告は別途行う必要はなく、確定申告の内容に基づいて納付額が決定されます。
納税は8月頃に送付される納付書で行い、
1万円以下であれば一括 |
それ以外は8月と11月に分納するのが一般的です |
。
また、290万円の事業主控除があるため、事業所得がこの金額に満たない場合は非課税となります。
消費税とフリーランス
従業員にとっては商品購入時に店舗に支払うだけの存在である消費税ですが、フリーランスは納税対象の一つとして認識する必要があります。
現在の消費税率は10%ですが、この内訳は
- 国に納める消費税が7.8%
- 地方消費税が2.2%
の2種類から構成されています。
消費税は、2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合に課税対象となります。つまり、売上高が1,000万円以下のフリーランスは消費税の納税が免除されるという点が重要です。
額面40万円の場合のフリーランスと会社員の手取りの計算方法の例
本文では、月収40万円の場合におけるフリーランスと会社員の手取り額の算出方法を解説します。
計算の前提は、30歳の独身者とします。
フリーランスと従業員では、収入から控除される項目が異なるため、最終的な手取り額に差が生じます。
- 収入から必要経費を差し引いた金額に対して、所得税や住民税などの税金、社会保険料が課されます。
- 会社員の場合は、雇用主が源泉徴収を行いますが、フリーランスは確定申告が必要になります。
詳細な計算過程は省略しますが、一般的な前提条件の下で試算した結果を比較することで、双方のメリット・デメリットが浮き彫りになるでしょう。
会社員の手取り額シミュレーション
労働者の月々の収入が40万円の場合、実際に手元に残る金額はどの程度になるでしょうか。
総収入から各種保険料や税金を差し引くと、およそ31万4,000円が手取り額となります。
- 健康保険料が約2万円
- 年金保険料が約3万5,000円
- 所得税が約1万2,000円
- 住民税が約1万9,000円
と、様々な控除があります。
これらは一例ですが、概して手取り額は給与の8割前後になると見積もっておくと良いでしょう。
フリーランスの手取り収入の実態
フリーランスの月収が40万円の場合、毎月の支出を10万円とすると、月々の収支は次のようになります。
総収入 | 40万円 |
経費 | 10万円 |
健康保険料 | 約2万5000円 |
国民健康保険料 | 約1万6500円 |
所得税 | 約8000円 |
住民税 | 約1万8000円 |
を差し引くと、手取り額は約23万2500円となります。
フリーランスでは経費も勘案する必要があり、売上高の約6割程度が実際の収入になると見積もるべきでしょう。
フリーランスは節税対策で受け取る金額を増やしましょう
フリーランスの収入を最大化するには、適切な節税対策が重要です。
手取り額が思ったより少ないと感じる人もいるでしょうが、自営業者には税制上の優遇措置があり、賢明な活用で可処分所得を増やすことができます。
専門家に相談しながら、合法的な範囲で節税を心がけましょう。
青色申告の重要性
フリーランスの税金対策において、重要な役割を果たすのが青色申告制度です。この制度は、
- 複式簿記による帳簿の作成と確定申告を行うことで、所得から65万円の控除を受けられる優遇措置となっています。
つまり、青色申告を選択すれば、課税対象となる所得額が65万円分減少するため、支払う税金を抑えることができます。
ただし、事前に手続きが必要となりますが、フリーランスとして活動する上で有益な制度ですので、早めに税務署へ申請を行うことをおすすめします。
所得控除の種類と重要性
課税対象となる収入から差し引かれる項目は多岐にわたります。
- 医療費の支払いに応じて控除が受けられるほか、社会保険料の納付額に基づいて所得控除の対象となります。
- また、生命保険料や個人年金保険料、介護保険料の支払いがあれば、それらに対する控除措置が講じられます。
これらはごく一部の例にすぎず、個人の事情や支出内容によって、様々な控除が適用される可能性があります。自身に該当する控除項目を漏れなく確認することが重要です。
専従者控除の活用とフリーランススタートアプリ
フリーランスとして活動する際、生計を共にする親族が事業に従事している場合、一定の条件を満たせば、その親族への給与の一部を経費として計上できる制度があります。
通常、従業員への給与は経費計上可能ですが、親族への支払いは認められません。
しかし、この制度を利用すれば、節税効果が期待できます。
対象となるには、
- 親族と生計を一にし
- 年間5カ月以上事業に従事し
- 12月31日時点で15歳以上である
必要があります。
要件を満たしていれば、手続きを経て控除を受けられますので、ぜひ活用しましょう。
フリーランスとして活躍するためには、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を活用し、適切な情報収集が不可欠です。