2024年6月 ふるさと納税と医療費控除は併用できるの?注意すべき点も解説!

所得税の計算において、医療費と寄附金は共に控除の対象となります。しかし、両者を併用する際には注意が必要です。
医療費控除を受けると、ふるさと納税の上限額が減少してしまうのです。
また、ワンストップ特例制度の適用を受けられなくなり、サラリーマンでも確定申告が義務付けられます。
つまり、医療費控除とふるさと納税は併用可能ですが、それぞれのデメリットも存在します。
本稿では、この点について詳しく解説しますので、ご一読いただければ幸いです。

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ふるさと納税の控除と医療費控除は併用できる?

ふるさと納税の控除と医療費控除は併用できる?

納税時の控除制度には、以下の2つがあります。

  • ふるさと納税による寄附金控除
  • 医療費控除

これらは所得税の計算において所得から差し引かれる仕組みです。しかし、両者を併用する際には注意が必要で、場合によっては想定通りの控除ができない可能性があります。適切に活用すれば年間の税負担を軽減できますので、それぞれの制度の内容を十分に把握しておくことが重要です。

所得税の節税とふるさと納税

ここでは、納税者の所得に対する課税方式について解説します。
収入から必要経費と所得控除を差し引いた金額に税率を乗じて算出されます。
つまり、納税額を抑えるには、

  • 収入を減らすか、
  • 経費や控除を増やす必要があります。

特に、適切な控除制度を活用することが重要なポイントとなり、その一例がふるさと納税制度です。

ふるさと納税の税制控除の仕組み

ふるさと納税は、実質的には自治体への寄附金となります。
通常の寄附では、確定申告時に一部のみが所得控除の対象ですが、ふるさと納税の場合、自己負担額2,000円を除き、原則として全額が所得控除されます。例えば2万5,000円を寄附すれば、2万3,000円が控除対象となります。

従来は確定申告が必要でしたが、最近では一定条件を満たせば「ワンストップ特例」を利用でき、申告なしで控除を受けられるようになりました。控除額は、

  • 所得税の場合は「(寄附額-2,000円)×所得税率」
  • 住民税の場合は「(寄附額-2,000円)×10%」

が基本控除額です。さらに住民税には、基本控除額を差し引いた残りの一部が特例控除される制度があります。

ただし、控除額には上限があり、所得税は総所得の40%、住民税は30%が上限となります。また、2037年までは復興特別所得税率が加算されます。住民税の特例控除分は、住民税所得割額の20%を超えない範囲で適用されます。均等割部分は控除対象外のため、実質的な自己負担額は必ず2,000円を上回ります。詳細は自治体に確認が必要です。

医療費控除制度の概要と計算方法

医療費控除は、1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる制度です。
年収によって控除額が異なり、

  • 200万円未満の場合は総所得の5%を超えた金額
  • 200万円以上の場合は10万円を超えた金額

が控除対象となります。
健康保険組合から送付される「医療費通知」や「医療費のお知らせ」から、支払った医療費の金額を確認できます。
対象となるのは本人だけでなく、配偶者や同居の親族の医療費も含まれます。
また、通院時の交通費なども請求可能です。
控除額は、実際に支払った医療費総額から保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに一定額を控除した金額となります。
例えば、

年収 500万円
医療費 40万円

の場合、控除額は30万円となり、所得税率20%を乗じると6万円の減税額になります。

医療費控除の対象範囲

国税当局によると、医療費控除の対象となるのは以下の費用です。

  • 医師や歯科医師による治療や療養の代金
  • 治療やリハビリに必要な薬剤の購入代金、例えば風邪薬など
  • 病院や診療所、介護施設での入院に関わる人的サービスへの対価
  • あん摩マッサージ師やはり師、きゅう師、整骨師による施術への報酬
  • 看護師や介護スタッフによる療養上の世話への対価
  • 出産時の助産師の手伝いへの対価
  • 介護福祉士による喀痰吸引や経管栄養への対価
  • 介護保険制度に基づくサービスの自己負担分
  • 医師への通院費
  • 送迎費
  • 入院中の宿泊費や食費
  • 医療機器の購入やレンタル代
  • 義肢、杖、補聴器、入れ歯の購入費用
  • 障害者福祉法に基づく治療費など
  • おむつ代(6ヶ月以上の寝たきり患者で医師の証明がある場合)
  • 骨髄移植や臓器移植の手配費用の一部
  • 特定の高齢者医療相談の自己負担分

領収書やレシートの保管が必要です。

一方、対象外は、

  • 美容整形の費用
  • 健康診断代
  • タクシー代(例外あり)
  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • 予防や健康増進のための支出
  • 親族への謝礼など

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制

健康維持のための自助努力を支援する新たな税制が導入されました。この制度は、

  • 軽度の体調不良に対して市販薬を活用し、医療機関への受診を控えることで、医療費の抑制を目指しています。

具体的には、

  • 一定の健康診断や予防接種を受けた上で、対象となる市販薬の購入額が12,000円を超えた場合、その金額を課税所得から控除できる

というものです。

つまり、自らの健康管理に積極的に取り組むことで、税負担を軽減できる制度なのです。この背景には、国民の健康意識を高め、医療費の増大に歯止めをかける狙いがあります。
ただし、

  • 所得税や住民税の納税者で、現在医療費控除を受けていない方のみが対象となります。
  • また、医療費控除との重複適用はできませんので、どちらを選択するかは個人の判断に委ねられています。

ふるさと納税の寄附金控除と医療費控除を併用する場合の注意点

ふるさと納税の寄附金控除と医療費控除を併用する場合の注意点

地元への寄付と医療費の控除は同時に適用可能ですが、それぞれの控除額を全額受けられるわけではありません。医療費控除が地元納税の控除上限額の計算に影響を及ぼすためです。
控除額の調整が必要となる理由がここにあります。

医療費控除とふるさと納税の関係

健康上の理由で支出した医療費は、課税対象となる収入から控除することができます。この控除措置を活用すると、納付する所得税や住民税の金額が減少します。
ただし、ふるさと納税の控除限度額の計算に使用される個人住民税所得割額も減額されるため、所得税の控除限度額が医療費控除の一定割合分減少すると言われています。

ふるさと納税と医療費控除の併用時の注意点

医療費控除を受ける場合、ふるさと納税の特例制度は適用されなくなります。
この特例制度は、

  • 年間5自治体以下にふるさと納税をすれば確定申告なしで所得控除が受けられる

というものです。
特例制度を利用すると、所得税からではなく翌年の住民税から控除されます。
しかし、医療費控除を受けるには確定申告が必須となるため、ふるさと納税の特別控除は無効化されます。
セルフメディケーション税制も確定申告が条件なので、併用する場合も申告が必要です。
確定申告をすれば、医療費控除とふるさと納税控除の両方を受けられます。
定期的に確定申告をしている人は問題ありませんが、初めての人は手続きが面倒です。
ふるさと納税の特例制度は便利でしたが、医療費控除との併用が難しいデメリットがあります。

確定申告に必要な書類一覧

確定申告を行う際には、寄附金控除や医療費控除に必要な書類を事前に準備しておく必要があります。これらの書類には、

  • 自治体から送付される寄附金受領証明書
  • 勤務先から入手できる源泉徴収票
  • マイナンバーカードやマイナンバー通知カードなどの本人確認書類

が含まれます。寄附金受領証明書は紛失すると再発行が難しいため、大切に保管することが重要です。また、本人確認書類がない場合は、

  • 運転免許証
  • パスポート

などの追加書類が必要となる場合があります。確定申告の前に、これらの書類が揃っているかを確認しましょう。

ふるさと納税とiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する際の手続きと注意点(2024年6月)

ふるさと納税とiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する際の手続きと注意点(2024年6月)

国民年金や厚生年金とは別に、個人が自主的に加入できる私的年金制度があります。

  • 自営業者などの国民年金第1号被保険者は、この制度に参加することができます。

公的年金とは異なり、

  • 加入は任意で、個人が自ら申し込みを行い、拠出金の支払いと運用を行います。
  • 受け取る給付額は、拠出金と運用益の合計額に応じて決まります。

この制度を公的年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送ることが期待できるとされています。
この制度の魅力は、支払った保険料の全額が所得控除の対象となり、節税効果があることです。
ただし、

  • 所得税や住民税の金額が減少するため、ふるさと納税の控除限度額も低くなる点には注意が必要です。

まとめ

まとめ

本稿では、ふるさと納税と医療費控除を組み合わせることで税負担を軽減する方法について説明しました。
両者を併用する際は、医療費控除によってふるさと納税の控除限度額が変動することに留意が必要です。
控除限度額の変化は納税額に影響を及ぼすため、事前に税負担を再計算しておくことが重要です。
ふるさと納税と医療費控除の併用には確定申告が必須となりますが、

  • 手順を一つずつ進めていけば、そう難しい作業ではありません。

年間の税負担を削減するために、この機会に確定申告を活用し、ふるさと納税と医療費控除の併用を検討してみてはいかがでしょうか。