PHPの学習を進めている方で、「Laravel」というフレームワークに関心があるものの、その実態がよくわからないという人に向けて、Laravelの概要を説明します。
この記事を読めば、Laravelが自分に適しているかどうか、学習を始めるべきか判断できるはずです。
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PHPのWebフレームワークであるLaravelとは
PHPで構築されたWebアプリケーション開発用のフレームワークであるLaravelについて説明します。
Laravelは、モダンな設計パターンを取り入れており、開発者が効率的にWebアプリケーションを構築できるよう支援します。
MVCアーキテクチャに基づいた構造を持ち、コードの保守性と拡張性に優れています。
また、豊富なライブラリと機能を備えており、
- 認証
- ルーティング
- キャッシュ
など、Webアプリケーション開発に必要な機能を包括的にカバーしています。
Webフレームワークの概要と種類
Webアプリケーション開発において、共通機能をパッケージ化したものがWebフレームワークです。
フレームワークを活用することで、以下の効果があります。
- 業務の効率化
- 迅速な開発が実現
- 複雑な機能や処理の実装が容易
- 開発メンバー間での簡単な変更や再利用が可能
Webフレームワークは、フルスタック、マイクロ、プログレッシブの3つのタイプに分類されます。
- フルスタックフレームワークは、Webアプリケーション開発に必要な全ての機能を備えた多機能なフレームワークです。
- マイクロフレームワークは、必要最低限の機能のみを持つ軽量の小規模開発向けフレームワークです。
- プログレッシブフレームワークは、要求の変化に柔軟に対応できる柔軟性を持ったフレームワークです。
Laravelはフルスタックフレームワークに分類されます。
Laravel入門
Laravel は、2011 年に Microsoft の .NET 開発に従事していた Taylor Otwell 氏によって作られた PHP フレームワークです。
PHP フレームワークの中では後発ながら、簡便で扱いやすいことから人気が高まり、2021 年 1 月時点で最も利用者の多いフレームワークとなっています。
活発なコミュニティによる継続的な改善が行われており、最新版は 2020 年 9 月にリリースされた Laravel 8.0 です。
Laravel は PHP フレームワークの Symfony をベースに開発されているため、他の PHP フレームワークの経験者でも扱いやすいでしょう。
Laravel人気の歴史
Laravelは、2011年にオープンソースのWebアプリケーションフレームワークとしてTaylor Otwell氏によって公開されました。
PHPのフレームワークとしては比較的新しい存在ですが、リリース後から急速に人気が高まり、現在ではGitHubでのスター数がPHP、Ruby、Pythonなどのバックエンド系プログラミング言語のフレームワークで最多となっています。
LaravelはSymfonyをベースに構築されており、CakePHPなどの人気フレームワークに次いで注目を集めています。
Laravelの歴史は以下の年表のとおりです。
- 2011年6月にv1がリリース
- その後v2、v3と続き
- 2013年5月にv4.0が公開
- 2015年2月にはv5.0
- 2019年9月にv6.0が登場
- 2020年3月にv7.0
- 同年9月にv8.0がリリース
Laravel人気の変遷と現状
Laravelは発足当初は人気が低迷していましたが、近年では急速に支持を広げています。
2011年6月のリリース後、2014年4月頃までは主流フレームワークであるCakePHPに人気が集中していました。
しかし、同年4月以降は右肩上がりで人気が上昇し、2014年8月にはベースとなったSymfonyを抜いて注目を集めるようになりました。
現在では、CakePHPやSymfonyなどの他のフレームワークを大きく引き離し、PHPフレームワークの中で1位の地位を確立しています。
Laravel - PHPのWebフレームワークの特徴
PHPのWebアプリケーション開発におけるLaravelは、優れた機能を備えています。
主要な5つの特長として、
- モデル・ビュー・コントローラー(MVC)アーキテクチャの採用
- 豊富なライブラリの提供
- オブジェクト指向プログラミングの支援
- セキュリティ対策の強化
- 開発効率の向上
が挙げられます。
これらの点から、Laravelは柔軟性と生産性に優れたフレームワークであると言えるでしょう。
MVCモデルの概要と役割分担
プログラムの処理を役割ごとに分割し、開発を行うアプローチがMVCモデルです。
Webシステムの構築において、頻繁に採用されています。
この考え方に基づき、機能を役割ごとに分離することで、誰もが理解しやすいコードが生成可能となります。
例えば、ユーザー新規登録機能の実装を想定しましょう。
- 画面上に入力フォームが用意され、ユーザーは必要事項を記入した上で登録ボタンを押下します。
- その後、プログラムが入力内容を受け取り、問題がなければデータベースに情報を登録し、「登録完了」画面をユーザーに返します。
この一連の流れを1つのファイルにまとめることも可能ですが、コードが複雑化するでしょう。
そこでMVCモデルでは、以下のように処理を役割ごとに分割し、別々のファイルに記述します。
入力フォーム画面 | 入力値の受け取り | 確認 | データベース登録 | 登録完了画面 |
Laravel導入の簡単さ
Laravelは初期導入が容易であるという長所を有しています。
この利点をもたらすのが、パッケージ管理システム「Composer」の存在です。
Composerは、プロジェクトで必要となるライブラリやパッケージを一元管理し、インストールを行う機能を指します。
パッケージ管理ツールがない環境では、開発者個人が公式サイトからファイルを入手し、手作業で展開する必要がありました。
しかし、Composerがあれば、そうした個人の裁量に頼らずに導入が可能となります。
Eloquent ORMの概要
Laravel におけるデータ操作を容易にするための機能が Eloquent ORM です。
この仕組みにより、データベースのレコードをオブジェクトとして扱うことができます。
- クラスやプロパティの定義、オブジェクト生成といった作業を経ずに、データベースの情報を活用できるのが特徴です。
Artisanコマンドの活用
Laravelには、多様な機能を備えた強力なコマンドラインツール「Artisan」が用意されています。
この優れたツールを活用すれば、わずかなコード量で様々な設定やアプリケーションを構築することが可能です。
例えば、ブログシステムにおいて必要不可欠な以下のような操作を、簡潔な1行のコマンドで実装することができます。
- データの入力
- 編集
- 表示
- データベースへの登録
- 削除
など、ブログの基本機能を網羅しています。
バリデーションの重要性とLaravelの活用
入力データの正当性を確認することが、バリデーションの目的です。フォーム作成時などに活用されます。
例えば、ユーザーが入力した値が
- 整数であるべきか
- 日付形式であるべきか
- メールアドレスの形式であるべきか
などの場合、Laravelを使えば簡単な設定でバリデーションが可能になります。
- 必須入力
- 指定値以上
- ファイル拡張子の指定
- 画像ファイルかどうか
などのチェックができます。
フレームワークを使わずにプログラムを記述すると時間がかかりますが、Laravelを活用すれば効率的にバリデーションが実装できます。
まとめ
この記事では、PHPの人気フレームワークであるLaravelについて説明しました。
2011年にリリースされた後、Laravelは着実に人気を高め、2021年1月の時点で最も利用されているPHPのWebフレームワークとなりました。
Laravelを活用することで、業務効率が大幅に向上する可能性があります。
- PHPの学習中で、フレームワークの習得を検討している方には、Laravelをおすすめします。
- Laravelの活用により、生産性の向上が期待できるでしょう。