2024年IT業界の今後～最新のトレンドを抑えよう～

2024年6月19日

本文では、IT分野の現況と将来動向について、ビジネスパーソンやエンジニアの皆様に向けて説明していきます。新型コロナウイルスがIT業界に与えた影響や、今後注目されるトレンドについても触れ、IT業界の全体像を把握することができます。
この記事を通じて、IT業界の現在と未来を理解する一助となることでしょう。

気になる内容をタップ

1 IT業界の市場規模について
- 1.1 ITサービス市場の減少要因
- 1.2 ITサービス市場の回復と成長
2 新型コロナウイルスが与えたIT業界への影響(2024年6月)
3 今後のIT業界のトレンドワードと国内の導入状況
4 今後のIT業界は人材不足
5 まとめ

IT業界の市場規模について

現代社会におけるIT分野の重要性を把握するには、その現況を把握することが不可欠です。
そこで、2020年と2021年におけるIT業界の市場規模について説明を行います。

年	市場規模
2020年	5兆3,000億円
2021年	5兆6,000億円

2020年のIT市場は、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年比で3.1%減少しました。
2021年は、デジタルトランスフォーメーションの加速により、前年比で5.7%増加しました。
特に、クラウドサービスやセキュリティ対策などの需要が高まりました。

このように、IT分野は社会の重要なインフラとなっており、今後も成長が見込まれています。

ITサービス市場の減少要因

国内ITサービス業界の動向について、専門調査機関は前年度と比較して2.8%の減少と推計しています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、以下の事象が発生したことが主な要因とされています。

進行中のプロジェクトが中断または遅延し、新規案件の獲得が停滞した
顧客常駐型サービスや自社センター型サービスにおける稼働率の低下、作業の遅延が起きた
サプライチェーンの混乱による機器の納期遅れが発生した

加えて、前年度には以下の一時的な需要があったことから、反動減も起きたと分析されています。

消費増税に伴うシステム更新
Windows 7のサポート終了
新元号対応

ITサービス市場の回復と成長

2021年のIT業界は拡大基調にあると見られています。
IDC Japanによると、2020年後半からITサービス企業の受注は回復傾向にあり、前半に延期されたプロジェクトも再開されつつあるため、2021年はプロジェクト市場を中心に急回復し、成長に転じると予測されています。
旧式システムの更新需要や、コロナ禍による生活・労働スタイルの変化に対応するためのデジタル変革投資が市場を後押しし、2022年以降は伸び率は鈍化するものの、2020年から2025年の年平均成長率は2.4%と推計されています。

新型コロナウイルスが与えたIT業界への影響(2024年6月)

本文では、新型コロナウイルスがIT業界に及ぼした影響について詳細に説明します。
前述の内容を踏まえ、さらに深く掘り下げていきます。
パンデミックによるIT業界への影響は多岐にわたり、様々な側面から分析する必要があります。

テクノロジーの活用方法や業務プロセスの変化
企業の対応策など

幅広い観点から考察を加えていきます。

IT業界の新規プロジェクト先送り

コロナ禍の影響で、新規開発案件の延期や中止が相次いでいます。
IT企業は他業界からの受託案件に依存しているケースが多く、コロナ禍によるコスト削減の影響を受けやすい構造にあります。
特に開発系の案件減少が顕著で、将来への投資的要素が強いため、優先順位が下がりがちです。
オンプレミスを中心としたプロジェクトでは、

延期
中止

が目立つ傾向にあります。

リモートワーク普及に伴うSaaSニーズの高まり

テレワークに関連するクラウドサービスの需要が急増しました。
人口が多い東京都を例にとると、コロナ禍以前の2020年3月時点では約25%にすぎなかったテレワーク導入率が、2021年2月前半には約65%まで上昇しています。
テレワークの普及に伴い、以下のクラウドサービスの導入が進んだと考えられます。

チャットツール
グループウェア
Web会議システム
クラウドストレージ
リモートアクセスソフト

巣ごもりニーズによるサブスクサービス拡大

自宅での時間が増えたことで、人々はオンラインのサブスクリプションサービスを活用するようになりました。
ロックダウン開始後、関連するウェブ検索が急増したことからも、巣ごもり需要の高まりがうかがえます。
家にいる時間を有意義に過ごすための消費行動が広がったのです。

今後のIT業界のトレンドワードと国内の導入状況

本稿では、これまでIT業界の現況と新型コロナウイルスの影響について説明してきました。
次に、今後のIT業界における主要な動向について詳しく述べていきます。

AIの新たな展開

AIは新しい技術として徐々に浸透しつつあります。
IDC Japanの調査では、2020年時点で国内企業のAI導入率は16%にとどまっています。
しかし、今後は以下の領域でAIの進化が見込まれています。

エッジデバイスでの処理を行うエッジAI
AIとデータを活用した業務自動化
子供の学習状況を分析し最適な教材を提供するAIパーソナル教材

などが期待されています。

IoTによる無人化・業務効率化の進展

IoTの活用が拡大している背景には、新型コロナウイルス感染症の蔓延による無人化や非対面化の要請があります。

製造、物流、小売などの業界では、IoTの導入によって生産性の向上やデータ活用が期待されています。
特に通販や宅配の需要増加に伴う人手不足への対応として、IoTを活用した倉庫管理システムによる業務効率化が注目されています。

しかし、国内企業におけるIoTの導入率は2019年12月時点で23.5%にとどまっており、今後の普及が課題となっています。

5G普及の現状と展望

次世代の通信技術である5Gは、高速で大容量のデータ通信を実現し、遅延も極めて小さくなることが期待されています。
2020年3月に商用サービスがスタートしましたが、通信会社の5G契約者数は当初の見込みほど増加していません。
新型コロナウイルスの影響で、5G対応スマートフォンなどの大々的な販売促進が困難だったことが主な理由と考えられています。
しかし、2020年から2024年にかけての年間平均成長率は107.6%と予測されており、今後の普及が見込まれています。

拡張現実技術の概要

ARは現実の世界にコンピューターグラフィックスを重ね合わせる技術であり、携帯端末などのデバイスを活用して実現されます。
VRは視覚や聴覚、触覚などの感覚を刺激し、ユーザーを完全な仮想空間に没入させる体験を提供します。
さらに、MRはARとVRの中間に位置する技術で、専用のゴーグルを使ってCGと現実世界を融合させます。

EC市場の拡大と可能性

EC(電子商取引)とは、インターネット経由で商品やサービスを取引することを指します。主要7カ国では2020年の小売りにおけるオンライン販売の割合が19%に達し、前年比で22%も増加しました。一方、日本国内のEC化率は2019年時点で6.76%にとどまっていますが、今後さらなる拡大が見込まれています。

ローコード・ノーコード開発の概要と将来性

ソフトウェア構築における新たな潮流として、ローコードおよびノーコード開発が注目を集めています。
ローコード開発は、最小限の手作業でアプリケーションを構築する方法論やツールを指し、一方のノーコード開発では、プログラミングコードの記述を一切行わずにシステムを構築することが可能です。
これらの手法の最大の利点は、開発の迅速化と、開発・保守・運用にかかるコストの削減にあります。
調査会社ガートナーは、2024年までに世界で新規に作られるアプリケーションの65%がローコード・ノーコードで開発されると予測しています。

新時代のX-Tech

X-Tech(Crocc Technology)は、従来の産業分野におけるビジネスと、AI、ビッグデータ、IoTなどの先進テクノロジーや成果を融合させることで生み出された革新的な製品やサービスを指します。
代表例としては、

テクノロジーを活用した金融サービス
既存の金融サービスに変革をもたらすFinTech

が挙げられます。

今後のIT業界は人材不足

近年のテクノロジーの急速な進化により、IT分野での人材ニーズが高まっています。
しかしながら、供給が需要に追いついていない状況にあり、IT業界では人手不足が深刻な問題となっています。
経済産業省の調査では、2016年時点で17.1万人のIT人材が不足していました。
さらに、2030年までに41万人から79万人のIT人材不足が見込まれているとの予測もあります。