開発プロセスにおいて、機能検証は不可欠な工程です。製品をユーザーに提供する前に、テストを実施し、不具合がないことを確認しなければなりません。
その際に行われるのが、ホワイトボックステストと呼ばれる手法です。
本稿では、ホワイトボックステストの概要と、ブラックボックステストとの違いについて詳しく説明します。
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ホワイトボックステストとは
プログラムの内部構造を把握し、設計者の意図した動作を検証するプロセスを指します。
開発者が作成したロジックやコードの流れを確認することで、想定通りの挙動を確かめます。
このテスト手法を適用するには、プログラミングに関する専門知識が求められます。
内部仕組みを熟知していなければ実施できません。
そのため、主に開発チームが担当することになります。
様々な条件下での動作確認が可能であり、網羅的な検証が行えるメリットがあります。
ホワイトボックステストのテスト手法
ホワイトボックステストには、プログラムの内部構造を考慮した2つの手法があります。
- 1つ目は制御フローを追跡するテスト
- 2つ目はデータの流れを検証するテストです
それぞれの手法について詳しく説明しましょう。
プログラムの制御フローテスト
プログラムの動作を視覚的に把握するために、制御フローテストが行われます。
このテストでは、処理の流れを図示し、プログラムの振る舞いを確認します。
理想を言えば全ての制御フローを理解することが望ましいですが、実際には制御フローが複雑になりすぎるため、一部に限定して実施されることが多くなります。
- 特定の条件を設定し、その条件下での制御フローを作成・検証します。
制御フローから外れた動作や迂回した動作が見られた場合、そこが修正が必要な箇所となります。
データフロー検証の重要性
プログラムにおける情報の流れと変換過程を検証する手法があります。
この方式では、入力された値が適切に処理され、想定どおりの値に変換されているかを確認します。
重要なのは、出力結果の正誤ではなく、データが意図した計算手順を経ているかどうかを確認することです。
入力値に対して予め期待する値を用意し、プログラムの動作がそれと一致するかを検証します。
ブラックボックステストとは
ブラックボックステストは、システムの機能や振る舞いを外部から検証する手法です。
内部構造を知らずとも、ユーザーの立場から動作を確かめることができます。
開発者以外の第三者がテストを実施することで、客観性が担保されます。
作り手側の視点とは異なり、実際の利用者の目線でシステムを評価することが可能となります。
ブラックボックステストのテスト手法
黒箱テスト手法には、主に2つの代表的なアプローチがあります。
- 1つ目は同値クラス分割と呼ばれ、入力データを同等の振る舞いを示すグループに分類する方法です。
- 2つ目は境界値解析で、入力データの最小値や最大値など、境界条件下での動作を検証します。
これらの手法を適切に組み合わせることで、ソフトウェアの品質を効果的に確保できます。
同値分割テスト手法
ソフトウェアテストにおいて、出力結果を分類し、各グループから代表値を選んで検証する手法があります。
この方式では、限られたテストケースで広範囲をカバーできるため、効率的なテスト実施が可能となります。
適切な入力値のグループを"有効同値クラス"、不適切な入力値のグループを"無効同値クラス"と呼びます。
境界値分析の概要
境界値検査は、同値クラスの端値を使用して、適切な出力が得られるかを確かめる手法です。
有効範囲の最大値と最小値が境界値に該当します。
同値分割で作成したクラスの境界線上の値を入力し、期待通りの結果が出力されるかを検証します。
グレーボックステストとは
グレーボックステストは、システムの内部動作を部分的に把握した上で、外部からの機能や仕様を検証する手法です。
ブラックボックステストよりも詳細な確認が可能で、ホワイトボックステストとブラックボックステストの中間的な位置づけとなります。
内部の動作を一定程度理解することで、外部からの適切なテスト実施が可能になるというアプローチです。
- 通常、グレーボックステストは内部構造に精通したプログラマーが実施します。
まとめ
ホワイトボックステストは、システムの内部構造を理解した開発者が行うテストで、設計通りの動作を確認することが目的です。
一方、ブラックボックステストは、システムの仕様を確認するテストで、主に第三者が客観的に実施します。
このようなテストを実施することで、正常なシステムを提供できます。
適切なテストの実施が、品質の高いシステムを構築する上で重要となります。