現代社会においてテクノロジーが広範囲に活用されるようになり、様々な種類のエンジニアが存在するようになりました。
一つのシステム開発においても、複数のエンジニアが役割分担と協力を行うことが一般的です。
しかし、「フルスタックエンジニア」と呼ばれる存在であれば、複数のエンジニアが関与する業務を一人で遂行することができます。
フルスタックエンジニアは世界中で注目を集めており、国内においても今後ますます重要視されていくと考えられます。
そこで本記事では、
- フルスタックエンジニアの定義
- 求められるスキルや知識
- 有益な資格
- そして年収
について解説します。
特に、
フルスタックエンジニアを目指す際の役立つ資格を知りたい方 |
フルスタックエンジニアの定義に興味がある方 |
必要なスキルや知識を把握したい方 |
年収に関心がある方 |
は、ぜひご一読ください。
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フルスタックエンジニアの定義
フルスタックエンジニアとは、複数の領域に精通し、様々な開発業務を一人で担当できる技術者のことを指します。この言葉は、英語の"full stack"から来ており、積み重ねられた全てのものを意味しています。
つまり、フロントエンド、バックエンド、モバイル、インフラなど、開発に関わる幅広い業務をこなせる人材と理解できます。
フルスタックエンジニアの明確な定義はありませんが、近年、世界中で注目を集めている概念です。
特に人材不足が深刻なスタートアップ企業では、開発に必要な様々な業務を一人で担えるフルスタックエンジニアが重宝されてきました。日本でも優秀な人材として高く評価されるようになってきました。
フルスタックエンジニアがいれば、開発に関わる全ての業務を一人で任せられるため、人件費と開発期間の削減が可能になります。コスト抑制と開発スピードの向上は、スタートアップをはじめ多くの企業が望むことです。
幅広い知識と高度な技術力から、フルスタックエンジニアは非常に需要の高い人材だと言えるでしょう。
フルスタックエンジニアに必要なスキル・知識
この節では、フルスタックエンジニアに求められる能力と理解について説明します。
フルスタックエンジニアとして活躍するには、
- 様々な領域の技能と知見を身に付ける必要があります。
フロントエンド開発の重要性と求められるスキル
フロントエンド開発の経験は、フルスタックエンジニアに求められる主要な能力の一つです。
フロントエンドとは、ユーザーが実際に目にする画面やインターフェースのことを指します。
- Webサイトやアプリケーションで利用される入力欄、ボタン、メニューなどのユーザーインターフェースがフロントエンド開発の対象範囲となります。
フロントエンド開発には、以下の言語が必要とされます。
HTML |
CSS |
JavaScript(フレームワークやライブラリを含む) |
CMS |
デザイナーが作成したデザインをもとに、これらの言語を活用して作業を進めていきます。
場合によっては、画面全体のデザインも担当する必要があります。
フロントエンド開発には、複数の言語やライブラリを使いこなせる能力が求められます。
また、ユーザーが直接触れる部分を扱うため、ユーザー視点での開発アプローチが重要となります。
フルスタックエンジニアの重要性
フロントエンド開発のみならず、バックエンド開発の経験も必要とされるフルスタックエンジニア。
バックエンドとは、ユーザーから見えない部分であり、
- データベース連携
- 受注処理
- 演算処理
などのサーバー側で動作するシステムを指します。
バックエンド開発では、
PHP | Java | Python |
Ruby | C++ | MySQL |
などのプログラミング言語やデータベース管理システムが活用されます。
バックエンドはフロントエンドと連携して機能し、お互いの開発者の協力が不可欠です。
一人のエンジニアが両方の開発を担えば、作業効率は大幅に向上すると考えられます。
しかし、バックエンド開発にはフロントエンド開発とは異なる言語を習得する必要があり、両方を扱えるフルスタックエンジニアは非常に貴重な存在だと言えます。
フルスタックエンジニアに求められるOS・ミドルウェア知識
フルスタックエンジニアには、コンピューターシステムの根幹となるオペレーティングシステム(OS)やミドルウェアに関する知見が必要不可欠です。
例えば、
- Windows
- iOS
- Linux
- Android
などの各OSは、パソコンやモバイルアプリの動作に欠かせません。
また、Webサーバやアプリケーションサーバなどのミドルウェアは、OSとアプリケーションの間に位置し、相互の機能を補完する役割を担っています。
システム開発においては、対象となるOSに応じた知識が求められるのは当然ですが、併せてミドルウェアについても幅広い理解が重要視されます。
ミドルウェアの種類は多岐にわたるため、全てを網羅するのは現実的ではありませんが、代表的なものについては基礎的な理解が必要不可欠でしょう。
クラウド知識の重要性
ビジネスにおいてクラウドの活用が不可欠となっている現状において、フルスタックエンジニアにはクラウドに関する幅広い知見が求められています。
現在、世界的に利用されているクラウドインフラは、以下の3つが中心となっています。
- AWS
- Azure
- Google Cloud
また、クラウドサービスの提供形態としては、以下の3種類があり、それぞれ異なる役割を担っています。
- SaaS
- PaaS
- IaaS
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、これらの提供形態全てについて理解を深めることが重要視されます。
クラウドサービスの需要は今後も拡大していくと予想されるため、フルスタックエンジニアとしてクラウドに関する専門性を高めていくことが不可欠となるでしょう。
UI/UXの重要性
フルスタックエンジニアにとって、ユーザーエクスペリエンスを重視することは不可欠な要素です。
ユーザーインターフェースの使いやすさを追求する手法が、UI/UXと呼ばれるものです。
- Webサービスを開発する際、操作性の高いUIを実装することが肝心です。
- ユーザビリティに課題があれば、利用者は長くサービスに留まれず、本来の目的を達成できません。
- 優れたシステムを構築したとしても、UIが使いにくければその価値を発揮できません。
フルスタックエンジニアには、高度な技術力に加え、ユーザーの視点に立つ資質が求められます。
フルスタックエンジニアのためのプロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトの進行を円滑に行うためには、スケジューリングやマネジメント能力が必要不可欠です。
優秀なエンジニアであっても、一人で開発を完遂することは困難です。
- チームで協力しながら作業を進めていくことが一般的であり、そのためにはコミュニケーション力と意思決定力が求められます。
- また、トラブルシューティングの経験も重要な要素となります。
マネージャーとしてのキャリアを積むには、プロジェクト全体を統括する力量が必要とされます。
プロジェクトマネジメントの実績があれば、転職や案件獲得の際に有利に働くでしょう。
フルスタックエンジニアに役立つ資格
フルスタックエンジニアとしてキャリアを積むうえで、専門的な認定資格の取得は有益な選択肢となり得ます。
資格自体は必須ではありませんが、転職や案件獲得の際に有利に作用する可能性があります。
さらに、資格取得に向けた学習プロセスを通じて、体系的な知識とスキルを習得できれば、より幅広い分野で活躍の場を広げることができるでしょう。
資格取得に向けた勉強は、知識を構造化して身につける良い機会となります。
システムアーキテクト試験の概要と難易度
システムアーキテクト試験は、ITエンジニアの中でも上位レベルの資格です。
受験資格は特に設けられていません。
試験は午前と午後に分かれ、
- 選択式問題
- 記述式問題
があります。
- 全国のテストセンターで受験可能
- 年に1回の春期試験が実施されます
- 受験料は7,500円です
この資格を持つ者は、システム開発の企画から要件定義、設計などの上流工程を担当できる能力が求められます。
- プログラミングスキルに加え、システム戦略の立案力も必要とされます
- ITストラテジストの提案を受け、システム開発の要件定義やアーキテクチャ設計、開発主導ができることが期待されています
国家資格であり、合格率は15%程度と非常に難易度が高い試験です。
- 十分な準備が欠かせず
- 特に記述式問題では専門家の添削を受けることが重要視されています
取得すれば、IT分野における高度な専門知識と分析力を身につけることができます。
ITストラテジスト試験の概要と難易度
ITストラテジスト試験は、ITに関する高度な知識を持ち、企業の経営戦略に基づいてITを活用できる人材を認定する国家資格です。
受験資格は特に設けられておらず、全国のテストセンターで年1回の春期に実施されます。
試験は午前と午後に分かれ、
- 選択式問題
- 記述式問題
で構成されています。
合格率は15%前後と難関ですが、合格するとITエンジニアとしてだけでなく、経営のスキルも身につけることができます。
受験料は7,500円となっています。
プロジェクトマネージャ資格の概要と重要性
プロジェクトマネージャの資格試験は、受験資格は特に設けられていません。
試験形式は、午前の選択式問題と午後の記述式問題から構成されています。
所要時間は全体で4時間程度です。
受験会場は全国のテストセンターから選択可能で、試験は年に1回、秋期に実施されます。
受験料は7,500円(税込)となっています。
プロジェクトマネージャは、開発プロジェクト全体を統括し、
- スケジュール
- 予算
- 成果物の品質
などを管理する役割を担います。
プロジェクトの成功には欠かせない存在で、上流工程から下流工程、さらには運用フェーズまでを見据えたプロジェクト計画と管理が求められます。
この資格は、国家資格である「情報処理技術者試験」の1つに位置づけられています。
合格率は15%程度と決して高くはなく、計画的な学習が合格への鍵となります。
フルスタックエンジニアを目指す上で、プロジェクトマネージャ資格の取得は大いに意義があるでしょう。
フルスタックエンジニアの年収
フルスタックエンジニアの明確な定義が存在しないため、公的機関による年収データの集計は現時点で行われていません。
しかし、求人情報サイトの調査によると、600万円から1,000万円程度が中心的な年収水準と推測されます。
- 一般的なエンジニアの年収が500万円前後とされていることから、フルスタックエンジニアの年収がそれを上回ることは妥当であると考えられます。
- 実力次第では、1,000万円を超える高額年収も視野に入ります。
フルスタックエンジニアへの需要は今後も高まると予想されるため、年収水準も上昇する可能性があります。
まとめ
フルスタックエンジニアとは、特定の領域に限らず開発全般に渡る知識とスキルを有し、エンジニアが従事する様々な業務を一人で担うことができる人材を指します。
このようなエンジニアの存在により、企業は以下の点で恩恵を受けることができます。
- 人件費の削減
- 開発期間の削減
そのため、フルスタックエンジニアは貴重な存在であり、エンジニアを目指す上で十分に価値のある目標と言えるでしょう。
本文では、フルスタックエンジニアの概要と重要性について説明しました。