フリーランスは自由な働き方ができる一方で、収入が不安定になるリスクがあります。
会社員を辞めてフリーランスに転身することを検討している人は、自分に合った職種かどうかを慎重に見極める必要があります。
フリーランスには様々な職種がありますが、Web系の技術を持つ人が多く活躍しています。
- 未経験者でもスキルを身に付ければフリーランスとして働くことは可能ですが、安定した収入を得るまでには時間がかかる場合があります。
自由な働き方を手に入れるメリットと、不安定な収入のデメリットを天秤にかけ、自分に合ったスタイルを選ぶことが重要です。
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フリーランスとは?
フリーランスの定義は明確ではなく、個人によって異なります。しかし、政府機関が発表したガイドラインでは、「実店舗や従業員がおらず、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る自営業者や一人会社経営者」と位置付けられています。
フリーランスと企業との契約形態は、従業員の雇用契約とは異なり、業務委託契約となります。この業務委託契約には、
- 完成物の納品を約束する委任契約
- 継続的な業務を任される請負契約
があります。
一方、従業員は労働基準法により労働時間の制限、有給休暇、労働保険への加入など、様々な権利が保護されています。しかし、フリーランスは企業に雇用されていないため、こうした保護は受けられません。代わりに、労働時間の制約がなく、収入を優先できるメリットがあります。
近年、フリーランスの増加を受け、政府は彼らの権利保護に動き出しました。令和3年には関係省庁が連名で、フリーランスに対する企業の不当な取り扱いを防ぐガイドラインを公表しました。今後、フリーランスの労働環境の改善が期待されます。
フリーランスと個人事業主の違い
自営業者と個人事業主は類似しているが異なる概念です。
個人事業主とは、法的に定義された「法人に所属せずに個人で事業を行い、開業届を提出した者」を指します。
一方、フリーランスとは「自身のスキルを活かして自営業や一人会社として働く形態」を意味します。
つまり、個人事業主は税法上の区分であり、フリーランスは働き方に関する言葉なので、本来これら2つを比較することは適切ではありません。
フリーランスと個人事業主の主な違いは、以下の2点です。
- 開業届の提出の有無
- 法人化の有無
個人事業主は開業届の提出が義務付けられていますが、フリーランスには開業届は不要です。
また、一人会社として法人化している場合はフリーランスに該当しますが、個人事業主は「法人に所属せず」との条件があるため、個人事業主とはみなされません。
このように、フリーランスが必ずしも個人事業主とは限らず、両者は異なる概念であることが分かります。
フリーランスの代表的仕事一覧
フリーランスとして活躍できる職種は、主にエンジニアやデザイナーなどのクリエイティブ分野が中心となります。
そこで、フリーランスとして従事する人が多い職業について探ってみましょう。
- エンジニア
職種 業務内容 Webエンジニア Webサイト・Webアプリケーションの設計・開発 アプリエンジニア スマートフォンアプリの設計・開発 データエンジニア データ分析・データベース設計・構築 - デザイナー
職種 業務内容 Webデザイナー Webサイト・Webアプリケーションのデザイン グラフィックデザイナー ロゴ・チラシ・パンフレットなどのデザイン UIデザイナー アプリやWebサービスのUI/UXデザイン
システムエンジニア(SE)の仕事と年収
システムの開発において、要件定義や設計を担当する役割がシステムエンジニアです。クライアントとのヒアリングを通じて必要な機能を抽出し、システムの設計を行います。
設計業務に加え、チームをまとめるリーダー的な役割も求められるため、マネジメント力やコミュニケーション能力が重視されます。
そのため未経験からシステムエンジニアを目指すのは難しく、
- プログラマーなどの経験を経た上でのキャリアアップが一般的です。
フリーランスのシステムエンジニアの平均年収は756万円と高水準にあり、上流工程を担う重要な役割であることが伺えます。
フロントエンドエンジニアの仕事と役割
Webサイトやアプリケーションの外観部分を担当するのがフロントエンドエンジニアの役割です。
HTML、CSS、JavaScriptなどのプログラミング言語を使用し、デザイナーが作成した設計図を実際の製品に落とし込みます。
フロントエンドエンジニアとWebデザイナーは、共にユーザーに見える部分の制作を行うため、案件によっては両方の役割を兼務することもあります。
そのため、Photoshopやイラストレーターなどの画像編集ソフトのスキルを身につけておくと、より幅広い案件に対応できるでしょう。
フロントエンドエンジニアの平均年収は830万円程度とされています。
フロントエンド開発は外観部分に特化しているため、サーバーサイドエンジニアと比べると企業の重要データにアクセスする機会が少ない傾向にあります。
そのため、在宅勤務が可能な案件も多く、自由な働き方を望む人にとって適した職種と言えるでしょう。
サーバーサイドエンジニアの仕事と年収
ユーザーから見えない部分を担当するのがサーバーサイドエンジニアの役割です。
主に使用される言語は
- Java
- PHP
- Ruby
- Python
などが挙げられます。
サーバーサイドエンジニアの平均年収は850万円となっています。
開発規模に応じて適切な言語が選ばれ、
規模 | 言語 |
---|---|
小規模 | PHPやRuby |
大規模 | Java |
が用いられることが多いです。
年収は言語やフレームワークの選択によって変動するため、高収入を望むならば慎重に検討する必要があります。
インフラエンジニアの仕事と年収
インフラ技術者の主な職務は、インターネットやシステム、Webサービスの運用に必要なインフラの設計から運用、監視までを担うことです。
キャリアの一般的な道筋は、まず
- インフラ全般の監視・運用などの下流業務を経験し、
- その後ネットワーク、サーバー、データベースなどの専門分野の知識と経験を深めていき、
- そして要件定義や設計など上流業務を任せられるようになります。
インフラ技術者の平均年収は813万円ですが、専門分野によって多少の差があります。
近年はクラウドの需要が高まっており、オンプレミスだけでなくクラウド環境でのインフラ構築経験があれば、より高い年収が期待できます。
ゲームエンジニアの仕事と年収
ゲーム開発に特化したプロフェッショナルをゲームエンジニアと呼びます。
従来のエンジニアとは異なり、プログラミングスキルに加えて、Unityなどのゲームエンジンに関する知見が求められます。
かつては主流だった
- ゲーム機やPCゲーム
に加え、スマートフォンの普及によりモバイルゲームの需要も高まっています。
- ゲーム機やPCゲーム開発ではC言語系
- モバイルゲームではSwift、Kotlin、Javaなど
の経験が重要視されます。
ゲームエンジニアの平均年収は822万円ですが、ゲーム開発の現場では資金的な余裕が乏しいことも多く、高単価の案件を見つけるには企業の規模を見極める必要があります。
組み込み/制御エンジニアの現状と展望
家電や機械を制御するためのプログラミングを行う組み込み/制御エンジニアは、以下の言語を中心に活躍しています。
- C言語
- C++
- Java
近年では、IoTの普及に伴い、ビッグデータの取り扱いスキルも求められるようになり、活躍の場が広がっています。
ただし、組み込み/制御エンジニアの平均年収は691万円と、他の分野と比べて低めとなっています。
これは、
- 大手企業では正社員で人材を確保できる
- 中小企業の案件に偏りがちなため
です。
プログラマーの仕事と年収
プログラマーは、システムエンジニア(SE)が作成した設計書に基づいてコーディングを行い、ソフトウェアを具現化する役割を担っています。
エンジニアと聞いて、多くの人がプログラマーの仕事を想起するでしょう。
プログラマーの平均年収は634万円となっていますが、上位者の指示に従う立場であるため、平均年収が抑えられがちです。
そのため、多くのプログラマーはシステムエンジニア(SE)などへのキャリアアップを目指し、収入向上を図ることが一般的です。
自身のキャリアビジョンに合わせて、必要なスキルを身に付けていくことが重要です。
Webデザイナーの仕事と年収
Webサイトやシステムの視覚的な側面を担当するのがWebデザイナーの役割です。
利用者の視点に立ち、わかりやすく使いやすいデザインを心がけながら、クライアントの意向を具現化することが求められます。
近年は、ユーザーエクスペリエンスを重視したUIデザインの重要性が高まっています。
Webデザイナーの平均年収は約640万円ですが、デザインスキルだけでなく、
- フロントエンド開発
- イラスト制作
の能力があれば、収入アップが期待できます。
グラフィックデザイナーの仕事と必要なスキル
Webデザイナーとは異なり、グラフィックデザイナーはイラストや画像編集に特化した職種です。
ウェブサイトやシステムの視覚的な魅力を高めるデザインを考案し、提案することが主な役割です。
イラストレーターやフォトグラファーが在籍する企業では、これらの職種と連携しながらクライアントの要望に応えていきます。
近年では2Dや3Dデザインなどの案件も増加しています。
グラフィックデザイナーとして活躍するためには、ユーザーニーズに合わせたデザインを具現化できる創造力と技術力が求められます。
- Illustrator、Photoshop、Unity、After Effects、Mayaなどの描画・画像編集ソフトや2D/3Dツールの操作スキルが不可欠です。
グラフィックデザイナーの平均年収は686万円と、デザイン系の職種の中では高水準にあります。
これは個人の感性が重視される職種であることに起因します。
フリーランスエンジニアになれる?2024年6月
フリーランスとして働くには、一定のスキルが必要不可欠です。スキルがなければ、案件を獲得する機会はほとんどありません。
日本経済新聞社の調査によると、企業がフリーランス人材を活用する主な理由は、
- 専門的な技術やノウハウの補完
- 従業員の業務負担軽減
- 売上増加
- 人件費削減
などでした。
これらの数値から、企業はすぐに戦力となる人材を求めていることがわかります。
そのため、正社員として実務経験を積んでおくと、フリーランスとして仕事を得やすくなります。
ただし、実務未経験でも優れた能力があれば採用される可能性もあります。
独自の開発実績があればポートフォリオで評価されることもあり、クラウドソーシングサービスを利用すれば低単価の仕事から経験を積めます。
経験が浅くても、できる範囲の案件から着実に実績を重ねていくことが重要です。
フリーランス初心者におすすめの案件(仕事)獲得方法
フリーランスとして活動を始めたばかりの方でも、適切な仕事を見つける方法はいくつかあります。
ここでは、初心者にとって有益な案件獲得の手段をご紹介しましょう。
- クラウドソーシングサイトを活用する
- フリーランス向けの求人サイトを利用する
- 自分のスキルを活かせる分野のコミュニティに参加する
- 知人や友人に口コミで広めてもらう
- 自身のポートフォリオサイトを作成し、アピールする
手段 | メリット | デメリット |
---|---|---|
クラウドソーシングサイト | 案件が豊富、スキルに合わせて選べる | 単価が安い、競争が激しい |
求人サイト | 高単価の案件がある | 案件数が少ない |
コミュニティ参加 | 信頼関係が構築しやすい | 案件数が限られる |
口コミ | 安心して仕事ができる | 案件数が限られる |
ポートフォリオサイト | 自身のスキルをアピールできる | 集客が難しい |
様々な手段を組み合わせながら、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。
フリーランスエージェントの活用と実力向上
フリーランスの仕事を紹介してくれるエージェントは、経験に応じた適切な案件を提供してくれます。
- 初心者でも無理なく取り組める仕事を紹介してもらえるのが利点です。
- ただし、実務経験がゼロの場合は、ほとんど仕事を紹介してもらえません。最低でも1年程度の実績が必要とされます。
1年程度の経験者に紹介される案件は、コーディングや監視・運用などの下流工程の仕事が中心となります。
そのため、初心者がエージェントを活用する際は、別の手段も併せてスキルアップを目指すことが賢明です。
クラウドソーシングサービスの活用
フリーランスの初心者にとって、クラウドソーシングプラットフォームを活用することは仕事を見つける有効な手段となり得ます。
クラウドワークスやランサーズ、ココナラなどが代表的なサービスです。
これらのプラットフォームでは、フリーランス側から能動的にクライアントに働きかけ、案件を獲得する必要があります。
実力主義が徹底されているため、経験の浅い初心者が仕事を見つけるのは容易ではありません。
しかし、一方でコストを抑えたいクライアントもおり、実務経験は浅くともポートフォリオや熱意を評価してくれる可能性があります。
そういった意味で、クラウドソーシングサービスは経験の少ない初心者でも案件を獲得できる機会を提供してくれるメリットがあるといえるでしょう。
フリーランスエンジニアにおすすめのフリーランスエージェント厳選3選
仕事を探す際の手間を考えると、フリーランスとして活動する際にエージェントを活用することは効率的です。ただし、実務経験がまったくない方にはエージェントの利用は適していません。
最低1年、できれば3年以上の実務経験があれば、希望に沿った案件を紹介してもらえるでしょう。
ここで、フリーランスエンジニアにおすすめのエージェントをご紹介します。
- リスト1
- リスト2
- リスト3
レバテックフリーランス案内
レバテックは、さまざまな業界で転職支援を行う企業が運営するフリーランス向けのエージェントサービスです。
- IT分野の案件が豊富で、28,000件以上の仕事を取り扱っており、トップクラスの規模を誇ります。
- 週5日勤務の安定した案件が充実しているため、長期的に働きたい方におすすめです。
- コロナ禍でリモート案件が増加し、利用者の77%以上がリモートで働いています。
- 実力に見合った仕事を見つけられず困っている方にも、質の高いエージェントがサポートします。
フリーランスに手厚い保証制度を提供するMidworks
Midworksは、フリーランサーの中でも中小企業を中心に業務を取り扱うエージェントです。
特に質の高い仕事を求めるフリーランサーに適したエージェントと言えるでしょう。
Midworksの強みは、手厚い保証制度にあります。
正社員に近い待遇で働けるフリーランスエージェントが増えている中、Midworksの保証制度は充実しています。
具体的には、
- 給与保障
- 生命保険料の半額負担
- 交通費支給
- 勉強用テキスト費用の負担
- リロクラブやフリーランス協会への加入
- 会計ソフトfreeeの無料提供
などがあります。
特に注目すべきは給与保障制度です。
次の業務に就くまでの期間、本来支払われる予定だった報酬の8割が支給されます。
エージェント側も次の仕事が見つかるまでの間、給与保証分の費用を負担しなければならないため、真剣に業務を探してくれるはずです。
フリーランスエンジニア向け老舗エージェント「フォスターフリーランス」の特徴
フォスターフリーランスは長年の実績を誇り、フリーランスエージェントの中でも有力な存在です。
関東地域に業務が集中していますが、大手企業からの案件を多数手がけており、人気が高まっています。
特に大規模システム開発の案件が豊富で、経験豊かなシステムエンジニアやプログラマーにとって適した仕事を見つけやすい環境にあります。
さらに、多くの案件が直接受注されているため、高単価の案件も数多く取り扱われています。年収アップを目指すフリーランスエンジニアにとって魅力的でしょう。
加えて、フォスターフリーランス独自の案件も充実しており、競合が少ないため案件獲得のチャンスが高まります。
仕事探しに困った際の頼れる存在と言えるでしょう。
まとめ
フリーランスは実力主義の働き方であり、雇用企業も即戦力を求めるため、未経験者や経験の浅い人は不利になりがちです。
そのため、フリーランスとして独立する際は、最低3年、できれば5年の実務経験を積んでおくことが望ましいです。
しかし、経験が浅い状態で独立してしまった場合は、
- ポートフォリオを作成してアピールしたり
- 低単価の未経験者歓迎案件に応募するなど
して、着実に経験を積み重ねることが重要です。
そうすることで、案件不足に陥ることなく、フリーランスエンジニアとして活躍できるようになります。
経験を重ねることで、高い報酬を得られるようになり、フリーランスとしての地位を確立できるでしょう。
ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」では、スキルや経験に応じた案件を紹介してくれます。
項目 | 内容 |
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サービス名 | xhours |
対象 | ITフリーランス |
特徴 | スキルや経験に応じた案件を紹介 |