フリーランスとの関連性について解説

来年10月から新たな税制度が施行される予定です。
個人事業主の収入にも大きな影響が及ぶと見られており、その動向を注視する必要があります。
この新制度と密接に関係するのが、消費税課税事業者制度です。
この制度の対象となるかどうかで、収入額に大きな変動が生じる可能性があります。
そこで本稿では、

  • 消費税課税事業者制度の仕組み
  • 新制度との関係性

について詳しく説明します。

週10時間の副業案件を
会員登録した方限定で配信中!

消費税課税事業者とは

消費税課税事業者とは

企業や個人事業主が商品やサービスを提供する際、一定の基準を満たせば消費税の納付義務が発生します。消費者が支払う代金には消費税が含まれており、事業者はその税額分を国や自治体に納める必要があります。
しかし、収益が少ない事業者から消費税を徴収することは双方にとって負担が大きくなるため、一定の要件を満たさない事業者は非課税扱いとされています。

  • 消費税の納付対象となる事業者を課税事業者と呼び
  • その基準を満たさない事業者は免税事業者と位置付けられています。

消費税課税事業者の対象となる条件

消費税課税事業者の対象となる条件

消費税の課税対象となるかどうかは、事業者ごとに異なる基準があります。
フリーランスの場合、課税されないケースが多数を占めますが、確実を期すために条件を事前に確認することが賢明です。

消費税課税事業者の基準

消費税の課税対象となるかどうかは、一定期間における売上高の金額によって判断されます。

  • 個人事業主の場合、前年の1月1日から6月30日までの半年間の売上高が基準となり、
  • 法人については前事業年度の開始日から半年間の売上高が対象となります。

この期間の課税売上高が1,000万円を超えれば、消費税の納税義務が発生します。
逆に、この金額以下であれば消費税は免除されることになります。

消費税課税事業者の判定基準

法人における消費税課税事業者の判定基準は、前年度の課税売上高に基づきます。
ただし、

  • 創業1年未満の企業は前年度実績がないため、原則として課税対象外となります。

しかし、

  • 資本金が1,000万円以上であれば、設立時期に関わらず課税事業者に該当します。

特定新規設立法人の消費税課税基準

小規模事業者向けの免税制度には一定の要件があります。

  • 資金調達先が大企業や優良企業である場合は、課税対象となる可能性があります。

具体的には、

出資元の課税売上高が5億円以上
または直接の株主から出資を受けているか
株主が50%以上の株式を保有している場合

こうした条件を満たす法人は、特定新規設立法人と見なされ、消費税課税事業者に該当します。

消費税課税事業者選択の利点と手続き

従来の基準を満たさなくても、非課税を選択するよりも課税事業者を選んだ方が有利な場合があります。

例えば

  • 輸出業者は輸出に課税されないため、課税事業者を選び還付を受けた方が得策です。

このような場合、所轄税務署に課税事業者選択届を提出すれば手続きが完了します。
この書類の提出期限は希望する課税対象期間の前日までですが、できる限り早期に手続きを済ませることが賢明です。

消費税課税事業者を選択するメリット

消費税課税事業者を選択するメリット

企業の規模によっては、消費税の課税対象となる事業者か免税事業者かを選択できる場合があります。
この選択には様々な影響があり、適切な判断が求められます。
消費税課税事業者を選ぶメリットとしては、

  • 仕入れ時の消費税を控除できること

が挙げられます。
これにより、実質的な税負担が軽減されます。
また、

  • 取引先からの信頼性が高まる可能性もあります。

一方で、

  • 事務作業の増加

などデメリットもあるため、各企業の事情に応じて慎重に検討する必要があります。

消費税課税事業者選択のメリット

事業者が消費税の課税対象となることで得られる大きな利点は、仕入れに係る消費税額が売上げに課される消費税額を上回る場合です。
課税事業者を選択すれば、仕入れに課された消費税は売上げ分の消費税から控除可能となります。
控除しきれなかった残額は確定申告時に還付されます。

  • 輸出業者以外にも、不動産賃貸業や医療業など非課税売上の割合が高い職種では、相当額の控除・還付を受けられます。

このように、業態次第では意図的に課税事業者を選ぶことで節税効果が期待できます。

消費税課税事業者を選択するデメリット

消費税課税事業者を選択するデメリット

税務上の選択には注意が必要です。課税事業者を選ぶと、時として不利益が生じる可能性があります。
課税事業者を選択する際の欠点について説明しましょう。

  • 課税事業者は、売上に対して消費税を支払う必要があります。
  • 消費税の申告と納付が必要になり、事務作業が増えます。
  • 消費税の仕入税額控除の手続きが必要になります。
  • 消費税の計算ミスや申告漏れなどのリスクがあります。

したがって、課税事業者を選択するかどうかは、事業規模や収益性などを総合的に判断する必要があります。

消費税課税事業者選択の注意点

消費税課税事業者の選択は慎重に行う必要があります。一旦選択すると2年間は変更できません。
初年度に大量の設備投資があり課税事業者を選んだものの、翌年度は売上に伴う消費税負担が大きくなり赤字となるリスクがあります。
そのため、翌年度の売上見込みを十分に検討した上で、課税事業者への切り替えを判断することが重要です。

インボイス制度と消費税課税事業者の関係

インボイス制度と消費税課税事業者の関係

独立した働き手の収益に大きな影響を与えると指摘されている新しい制度があります。この制度は、消費税の課税対象となる事業者と深く関わっています。

ここでは、その制度と課税対象事業者の関係性について説明しましょう。

  • 課税対象事業者とは、以下のような事業者を指します。
事業者の種類 説明
個人事業主 個人で事業を営む者
法人 会社など法人格を持つ事業者
  • 新しい制度では、これらの課税対象事業者に対して、独立した働き手への支払いを把握する義務が課されます。
  • 具体的には、支払い額や支払い相手の情報を確認し、国税当局に報告しなければなりません。

このように、新しい制度は課税対象事業者に大きな影響を与えることが予想されています。

インボイス制度の概要

この新しい制度は、取引における消費税額の正確な把握を目的としています。
2023年10月から施行される予定で、売買双方に一定の義務が課されます。

  • 売り手は適正な税率と消費税額を記載した価格書の発行を求められた際に対応し、その写しを保管しなければなりません。
  • 一方、買い手は仕入税額控除を受けるために、この価格書の保管が義務付けられています。

フリーランスとインボイス制度

フリーランスにとってインボイス制度は課題となる可能性があります。
課税売上高が一定額を超えない限り、消費税課税事業者になる利点は少ないからです。
しかし、課税事業者でなければインボイスを発行できず、取引先は仕入税額控除の恩恵を受けられなくなります。
その結果、フリーランスへの仕事依頼が減る恐れがあり、報酬の値下げ要求も想定されます。
ただし、一時的な経過措置として、インボイス不備の場合でも一定期間は仕入税額の一部控除が認められます。
この期間内に対策を講じる必要があります。

  • 課税事業者への切り替え
  • 固定クライアントの確保

など、状況に応じた対応が求められます。

まとめ

まとめ

事業者が商品の売買などの取引を行う際、消費税が課される場合があります。この消費税課税事業者に該当するかどうかは、以下の条件を満たす必要があります。

  • 個人事業主や法人でも、条件を満たせば消費税課税事業者を選択することができます。

インボイス制度の導入により、消費税課税事業者となることがビジネス上有利になりました。フリーランスの収入にも影響するため、2023年10月のインボイス制度開始に合わせて、消費税課税事業者への切り替えを検討するのが賢明でしょう。
消費税課税事業者の要件や手続きについては、専門家に相談するのがおすすめです。