オフショア開発のメリットとデメリットを解説

ある大企業が地方の企業や事業所と業務委託契約を結び、開発作業を依頼することをニアショア開発と呼びます。
一方、海外に開発を外注することをオフショア開発といいます。
ニアショア開発とオフショア開発は正反対の概念です。
ニアショア開発の内容が一般的な委託契約と違うのかどうか疑問に思う人もいるかもしれません。
本稿では、

  • ニアショア開発とオフショア開発のメリット・デメリット
  • そして両者の将来性について解説しました。

ニアショア開発の定義や違いについての疑問が解消されたでしょうか。

週10時間の副業案件を
会員登録した方限定で配信中!

ニアショア開発とオフショア開発とは?

ニアショア開発とオフショア開発とは?

ここでは、ニアショア開発とオフショア開発の概念について説明します。
両者には何が異なるのでしょうか。
地理的な近接性や文化的な類似性などの要素が、それぞれの特徴を形作っています。

  • ニアショア開発は国内または隣接する国での開発を指し、
  • オフショア開発は遠隔地での開発を意味します。

各手法には長所と短所があり、プロジェクトの性質や要件に応じて適切な選択が重要となります。

ニアショア開発の概要

ニアショア開発とは、大都市部の企業が、システム開発や運用保守業務を地方都市の企業や拠点に委託することを指します。
例えば、東京の企業が九州や仙台の開発会社にプロジェクトの一部または全体を外部委託する形態です。
この用語は、"near"(近い)と"shore"(岸)を組み合わせた"nearshore"(沿岸)に由来しており、"offshore"(離岸)とは対照的な意味合いを持っています。

オフショア開発の現状と課題

システム開発などの業務を海外の技術者に委託することを、オフショア開発と呼びます。
日本企業では、中国、ベトナム、フィリピンなどのアジア諸国やインドが、オフショア開発の人気な拠点となっています。
IT業界の成長に伴い、国内でもオフショア開発が積極的に活用されるようになりました。
古い統計ではありますが、独立行政法人情報処理推進機構の調査によれば、

  • 海外法人への直接発注を行う企業が約32%
  • 間接発注が約25%

と、全体で20~30%の企業がオフショア開発を活用していました。
しかし、従業員数1,001人以上の大企業に限れば、

直接発注が66%
間接発注が63.8%

と、割合が2~3倍に高まっていました。
このように、オフショア開発は数年前から盛んに利用されていたことがわかります。

ニアショア開発のメリットデメリット

ニアショア開発のメリットデメリット

この記事では、ニアショア開発の長所と短所について詳しく説明していきます。
ニアショア開発とは、国内よりも人件費が安価な近隣国で開発を行うことを指します。

まず、ニアショア開発の利点としては、

  • コスト削減が可能な点が挙げられます。人件費が安価であるため、開発費用を抑えることができます。
  • 時差が小さいため、コミュニケーションがスムーズに取れるというメリットもあります。

一方で、

  • 言語や文化の違いから、誤解が生じるリスクもあります。
  • セキュリティ面での懸念や、品質管理が難しいといった課題も存在します。

このように、ニアショア開発には一長一短がありますが、適切な運用を行えば、開発の効率化につながる可能性があります。

地域による人件費の違いとニアショア開発

ニアショア開発におけるコスト削減の要因として、地域による最低賃金の差異が挙げられます。
具体的には、賃金水準の低い地域に業務を委託することで、人件費を抑制できるということです。
例えば、東京の最低賃金は1時間当たり1,013円ですが、兵庫県では890円、秋田県では792円と低くなっています。
この差が積み重なれば、大きな金額になります。

また、パーソルキャリアの調査によると、都道府県別の平均年収にも地域差が見られました。
IT/通信業界では、

  • 関東が465万円と最も高く
  • 次いで東海
  • 関西
  • 中国・四国
  • 北信越
  • 北海道・東北
  • 九州・沖縄の順となっています

前年比では、北海道・東北と中国・四国の平均年収が上昇し、北信越が下落しました。

これらの結果から、大都市圏から離れた地域ほど人件費が抑えられると推測できます。
また、コロナ禍によりリモートワークが増えたことで、関東や関西以外の地域の年収が上昇した可能性があります。

地方都市への業務委託は、コスト削減につながる選択肢の一つと言えます。

ニアショア開発のメリット

ソフトウェア開発においては、国内の人材を活用するニアショア開発が有利な場合があります。

  • 言語や文化的背景を共有するため、コミュニケーションの障壁が少なく、スムーズな連携が期待できます。
  • 特に近年のリモートワーク環境の進化により、地理的な制約も小さくなっています。
  • 対面での打ち合わせも可能であれば、さらに効率的な進行が見込めます。

共通の言語を持つことで、優秀な人材の確保、責任者の育成、プロジェクト管理などにも好影響があります。
安定した開発体制を構築するには、ニアショアが適した選択肢となり得るでしょう。

ニアショア開発とオフショア開発のコスト比較

ニアショア開発は人件費面でコスト削減効果があるものの、オフショア開発のほうが人件費を大幅に抑えられます。
これは、ベトナムやインドなどの国々の人件費が日本より低いためです。
日本では2030年に最大79万人のIT人材不足が見込まれており、エンジニアの希少性が高まれば単価上昇も予想されます。
軽微なコスト削減ならニアショアでも可能ですが、大幅な人件費削減を目指すならオフショア開発のほうが効果的です。

再委託のデメリットと対策

外注先企業が別の会社に業務を委託することを再委託といいます。
再委託には、以下のようなデメリットがあります。

  • 要求事項の認識や完成イメージのずれから納品物の品質低下
  • 修正指示や納品の遅延

プロジェクト単位で進行するシステム開発では、指示系統に無駄な経路が増えるだけでも大きな影響があります。
しかし、契約書で再委託について定めていないと、再委託した企業を罰することができません。
この問題を防ぐには、契約時に再委託の制限や準委任契約の締結など、適切な対策が必要不可欠です。

オフショア開発のメリットデメリット

オフショア開発のメリットデメリット

オフショア開発には長所と短所があります。
まず利点として、

  • 開発コストの削減が挙げられます。海外の人件費が安価であるため、国内で開発するよりも経費を抑えられます。
  • 時間差を活用できる点も魅力的です。日本と海外で作業を分担することで、24時間体制での開発が可能になります。

一方で、

  • 言語や文化の違いによるコミュニケーション課題があります。
  • セキュリティ面での懸念や品質管理の難しさといったリスクも存在します。

メリット・デメリットを十分に検討し、自社に適した形態を選ぶ必要があるでしょう。

コスト削減のためのオフショア開発

オフショア開発は、国内に比べてエンジニアの人件費が安価であるため、ニアショア開発よりもさらに費用を抑えることができます。
ある調査によると、オフショア開発を実施した企業の3分の2が経費削減の効果を実感しており、平均で2割から3割程度のコスト削減につながったとされています。

IT人材不足とオフショア開発

国内におけるIT人材の不足は深刻な問題となっています。優秀なエンジニアを確保することが困難な状況にあり、日本がIT分野で後れを取っていると指摘されることも少なくありません。
しかし、オフショア開発を活用することで、国内よりも優れた技術力を持つエンジニアと出会える可能性が高まります。

  • アジア諸国やインドなどの地域では、エンジニアの能力が向上しているためです。
  • 加えて、新興国では教育環境や労働観、IT分野への関心が異なることから、若くて意欲的な人材が多数存在するのが特徴的です。

遠隔開発チームのデメリット

地理的な距離が離れていることから、開発チームとのコミュニケーションには課題があります。

  • 直接対面での議論や、実践的な知識の共有が困難になる可能性があります。

2020年には遠隔作業やウェブ会議ツールが普及し、簡単に連絡を取り合えるようになりましたが、

  • 現場の状況を直接確認したり、細かい指示を身振りで示したりすることが難しい点は大きな障壁となります。

オフショア開発の課題と対策

オフショア開発では、以下のリスクがあります。

  • 相手国の言語でのみ意思疎通が可能となる可能性が高く、作業指示や進捗確認が困難になる場合がある
  • 時差や労働観の違いから、対応が遅れたり、計画通りに進まない恐れがある
  • プロジェクトチームとして一体となってシステム構築を行う上で、ビジョンや手順、留意点の伝達が難しい

オフショア開発を活用する際は、以下の対策を講じることが重要です。

  • 事前にコミュニケーション方式を決める
  • 現地スタッフを派遣する
  • 多言語対応要員を確保する

今後のニアショア開発とオフショア開発について

今後のニアショア開発とオフショア開発について

IT業界の成長に伴い、国内外での開発需要が高まると予測されています。
オフショア開発は、エンジニアのコストとスキルの両面で優位性があり、自然災害への備えとしても海外拠点の設置が進むでしょう。

  • グローバルアウトソーシング市場は2019年までに年平均5.1%の成長が見込まれ、日本国内向けオフショアサービス市場も年平均3.6%の伸びが予想されていました。
  • 大企業によるニアショア開発の活発化により、フリーランスエンジニアの案件も増加すると考えられます。

一方で、国内技術者は海外の技術者との競争にも直面することになります。AI、XR、ブロックチェーンなど最先端技術の習得や市場動向の確認が、企業に求められるエンジニアの条件となるでしょう。
コロナ禍によりニューノーマル時代を迎え、

AIシステム
テレワークツール
セキュリティシステム

などの需要が高まっており、今後もIT業界での国内外開発の重要性が注目されていくことでしょう。

まとめ

まとめ

ニアショア開発とオフショア開発の特徴や長所短所について説明してきました。
ニアショア開発は国内の地方都市にアウトソーシングする形態で、コスト削減が期待できますが、エンジニア確保が課題となります。
一方のオフショア開発は、より低コストですがコミュニケーションの面で障壁があります。
システム開発需要の高まりを受け、海外の優秀なエンジニアと競合する機会が増えています。
ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を活用して、スキルと実績を重ね、実力差を見せつけられないよう努力を重ねていきましょう。