Webアプリケーション開発においてRubyを利用する際、フレームワークの選定は重要な課題となります。現在、多種多様なRubyフレームワークが存在しており、フリーランスエンジニアの方々は、どのフレームワークを採用し、習得すべきか判断に迷うことでしょう。特に、フリーランスエンジニアにとって、特定のフレームワーク経験が求められることが多く、経験があれば高い報酬が期待できます。
本記事では、フリーランスエンジニアの皆様に向けて、各フレームワークの概要と、おすすめのRubyフレームワークについてご紹介します。
- フリーランスエンジニアとして活躍中の方々はもちろん
- 今後フリーランスを目指すエンジニアの方々にもお役立ていただける内容となっています。
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Rubyフレームワークとは?
Rubyを用いてWebアプリケーションやWebシステムを構築する際の基盤となるソフトウェアがRubyフレームワークです。これは共通する機能を持つコードに機能性を付与し、骨格や枠組みを形作るものです。
大規模なWebアプリケーションやWebシステムを開発する場合、多大な量のプログラミングが必要となりますが、フレームワークを活用することで記述量を大幅に減らし、工数を削減できます。
経験の浅い開発者でも、セキュリティが確保されたプログラムを作成することが可能になります。
フレームワークとライブラリの違い
フレームワークとライブラリは、プログラミングにおいて異なる役割を果たします。
フレームワークは、アプリケーションの基本的な構造を提供し、開発者がその枠組みに従ってコードを記述することを想定しています。
一方、ライブラリは、特定の機能を実装したコードの集合体であり、必要に応じて呼び出して利用することができます。
フレームワークは全体の流れを決めるのに対し、ライブラリは部品として機能するため、開発者は目的に合わせて適切なものを選択し、組み合わせることができます。
Rubyフレームワークを利用するメリット・デメリット
Rubyフレームワークの活用には、作業効率の向上や品質の高いアプリケーション開発が期待できる一方で、学習コストや費用負担が伴う側面もあります。
フレームワークは、テンプレートやライブラリ、APIなどの再利用可能な構成要素を備えており、これらを活用することで大部分のコーディング作業を省略できます。
また、機能やデザインのカスタマイズも容易になるため、短期間で高品質なアプリケーションを構築することが可能となります。
チーム開発においては、フレームワークの共通ルールに従うことで、個人差によるコーディングのばらつきを抑え、コードの統一性を維持できます。
さらに、フレームワークを利用することでバグの発生リスクを低減できる傾向にあります。
- 一方で、Rubyの学習に加えてフレームワーク自体の習得にも一定の時間を要し、知識の早期獲得が求められます。
- また、ドキュメントが英語で記述されていたり、情報が限られていたりする場合もあります。
- 加えて、一部のフレームワークでは利用料金が発生するため、事前の調査が不可欠です。
Rubyフレームワークの市場動向
Rubyは安定した技術基盤を持ち、開発者の人口も年々増加傾向にあるため、Rubyフレームワークに対する需要も高まっていくことが予想されます。
フレームワークの中でもRuby on Railsは、エンジニアやクライアント企業から圧倒的な支持を獲得しています。
- Github
- Airbnb
- Cookpad
- 価格.com
- マネーフォワード
- Wantedly
などの有力企業がWebサイト開発にRubyを活用していることからも、Ruby on Railsを用いたWeb開発の需要は今後さらに拡大していく可能性が高いと考えられます。
ただし、フレームワークには流行の移り変わりがあり、新しいものが次々と登場しています。そのため、常に最新の動向を把握し、知識を更新し続けることが重要です。
おすすめのRubyフレームワーク12選
Rubyは、まつもとゆきひろ氏が作り出したプログラミング言語で、小規模から大規模までさまざまなWebアプリケーションやWebシステムの開発に活用されています。
Ruby自体がWeb開発に適しているため、Ruby関連の求人や案件が年々増加傾向にあります。
求人・案件数の増加に伴い、機能が豊富なものから軽量化を目指したものまで、多種多様なRubyフレームワークが登場し、広く利用されるようになりました。
ここでは、Ruby開発で頻繁に使われる12種類のRubyフレームワークをご紹介します。
フリーランスのエンジニアの方は、関心のあるRubyフレームワークをチェックしてみてください。
Ruby on Railsの特徴
Webアプリケーション開発のためのRubyベースのフレームワークがRuby on Railsです。
この技術の中核理念は
- 「Don't Repeat Yourself」と「Convention over Configuration」で、それぞれ「重複の排除」と「設定よりも規約重視」を意味します。
Ruby on Railsはモデル・ビュー・コントローラーの設計パターンに則って構築されています。
DRY原則に基づいているため、コード量が少なく冗長性を排除した洗練された記述が可能なことが特徴です。
また、テスト自動化機能を備えているのも長所です。
国内では
- 料理レシピサービスのCookpad
- ニュースアグリゲーターのグノシー
などがこの技術を活用しています。
Sinatraの特徴と利用事例
Rubyで構築されたWebアプリケーションフレームワークであるSinatraは、2007年にリリースされました。
MVCアーキテクチャを採用していないため、カスタマイズが容易で柔軟性に富んでいます。
- Apple
- BBC
- イギリス政府
- GitHub
など著名な組織や企業で活用されており、その実績が評価されています。
Padrinoの概要
Padrinoは、Sinatraの考え方を継承しながら、MVCアーキテクチャを取り入れたRubyのWebアプリケーションフレームワークです。
Sinatraをベースとしつつ、様々なテンプレートエンジンとの連携が可能になっています。
Padrinoの長所は、以下の2点です。
- コードの記述が簡潔であること
- 電子メール送信用のテンプレートが用意されていること
Rubyマイクロフレームワーク「cuba」の特徴
Webアプリケーション構築のためのRubyベースのマイクロフレームワークであるcuba microframeworkは、機能を最小限に抑えた簡潔な設計が特徴です。
コンパクトな構造を持つこのフレームワークは、小規模なWebアプリの開発に適しています。
Ramazeの特徴と自由度
Rubyの軽量なWebアプリケーションフレームワークであり、MVCアーキテクチャに基づいています。
コア機能は簡潔で、必要に応じて様々なライブラリを組み合わせて機能を拡張できるのが特徴です。
- テンプレートエンジンやORマッパーなどの主要コンポーネントは自由に選択可能で、開発者の好みに合わせてカスタマイズが行えます。
- Sinatraと同様に、フレームワークの制約が少なく、柔軟性に富んでいます。
HANAMIの特徴と機能
HANAMIは、Rubyベースのウェブアプリケーションフレームワークとして知られています。
豊富な機能を備えながらも、拡張性を重視した設計がなされています。
また、同時アクセスに強いスレッドセーフな仕組みを持つことも、この製品の魅力の一つと言えるでしょう。
Campingフレームワークの特徴
Webアプリケーションの軽量フレームワークとして2010年に登場したCampingは、Rubyによるコーディングがベースとなっています。
- SinatraやPadrinoとは異なり、MVCアーキテクチャを採用しながらも4KBほどの小さなサイズを実現し、ActiveRecordとの親和性も備えています。
RackベースのCampingは非常にコンパクトなため、
Webアプリのロード/実行が高速で |
メモリ使用量も抑えられる |
特徴があります。
Goliath: 非同期Ruby Webサーバフレームワーク
Goliathは、PostRankが開発したオープンソースのRubyベースのWebアプリケーションフレームワークです。
このフレームワークは、ノンブロッキング(非同期)処理を実現し、高い処理性能を発揮します。
Rackミドルウェアとの親和性が高く、設定が簡単です。
また、Ruby 1.9以降で導入されたファイバー機能を活用することで、コールバック地獄と呼ばれる複雑なコーディングを避けられ、保守性と可読性に優れたコードを書くことができます。
軽量ながら、必要十分な機能を備えたフレームワークとなっています。
NYNYの紹介
NYNY は、スリムな Ruby ベースの Web アプリケーションフレームワークです。コードは 300 行程度と非常にコンパクトながら、Ruby on Rails や Sinatra、その他 Rack ベースのアプリケーションでも利用できます。ルーティング機能には Journey(Rails のルーターエンジンをベースにしたもの)を採用しており、ほとんどのマイクロフレームワークよりも信頼性の高いルーティングロジックを実現しています。
RESTマイクロフレームワークGrape
GrapeはRubyベースのマイクロフレームワークであり、RESTful APIの構築に特化しています。
このツールはRackミドルウェアとして機能し、
- Rails
- Sinatra
などの既存のWebアプリケーションフレームワークと連携して利用することができます。
Grapeは軽量でシンプルな設計となっており、APIの開発を効率的に行えるよう設計されています。
Scorchedの概要
Scorchedは、Ruby 2.0以降のバージョンで稼働する軽量なWebアプリケーションフレームワークです。
公式サイトではSinatraの拡張版と説明されており、Sinatraの経験者にとっては親しみやすいツールとなるでしょう。
Scorchedは、HTTPリクエストを処理するための汎用的で強力な機能群を備えているため、
- 小規模から大規模までさまざまなWebサイトやアプリケーションの開発に活用することができます。
Voltフレームワークの概要
Rubyベースのフレームワーク「Volt」は、データ量の多いアプリケーション開発に適しています。
サーバー側とクライアント側の両方をRubyで記述できるため、JavaScriptコーディングは不要です。
OPALによりRubyコードがJSにコンパイルされ、高い動的性を実現します。
バックエンドとフロントエンドの機能が緊密に統合されているため、アプリケーション開発を迅速に進められます。
Rubyフレームワークの求人・案件数
Rubyフレームワークの需要状況を把握することは、Rubyエンジニアにとって重要です。
フリーランスエージェントが公開している案件数を分析すると、
- Ruby on Railsが4827件と圧倒的に多く
- 次いでRSpecが281件
- Sinatraが38件となっています(2022年2月時点)
Rubyフレームワークを使う案件の大半がRuby on Railsであることがわかります。
そのため、Rubyエンジニアやこれから学習を始める方は、Ruby on Railsも合わせて習得することが賢明でしょう。
ただし、公開案件だけでなく、非公開の優良案件も多数存在します。複数のフリーランスエージェントに登録し、定期的に非公開案件の情報を入手することをおすすめします。
Rubyフレームワークのトレンド
Rubyフレームワークの人気度を検索エンジンのトレンド分析から探ってみました。
調査の結果、
- Ruby on Railsが最も頻繁に検索されており
- 次いでSinatra
- Padrinoの順となりました
Ruby on Railsは年間を通して安定した人気を保っていますが、他の2つのフレームワークも一定の関心を集めていることがわかりました。
Ruby on Railsが長らく人気の中心に位置していますが、徐々に他のフレームワークへの注目度も高まっていく可能性があります。
そのため、将来を見据えてSinatraやPadrinoについても学習を進め、知識を蓄積しておくことが賢明でしょう。
まとめ
この記事では、Rubyフレームワークの概要と、主要なフレームワークの特徴について説明しました。
フレームワークを活用することで開発作業の効率化が図れますが、プロジェクトの規模や目的に合わせて適切なものを選択する必要があります。
Rubyフレームワークは常に進化を続けており、最新の動向を把握し、知識を更新することが重要です。
フレームワークの選定には慎重な検討が求められますが、適切に活用することで生産性の向上が期待できます。