赤字の処理方法とは?損失申告の計算方法や必要書類を解説!

フリーランスとして活動する際、毎年避けて通れない重要な作業が確定申告です。この手続きが面倒に感じる方も多いでしょう。しかし、会計や経理の知識を身につけておけば、スムーズに対応できるようになります。

本稿では、フリーランスが赤字となった場合の対処法に焦点を当てます。

  • 収支がマイナスになったときの具体的な対応策や
  • 赤字を防ぐ方法
  • さらには損失申告の計算方式までを解説します。

最後までお読みいただければ、赤字時の適切な手順を理解できるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

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フリーランス(個人事業主)として赤字が出る所得と出ない所得を知ろう

フリーランス(個人事業主)として赤字が出る所得と出ない所得を知ろう

収入には、マイナスとプラスの両面があることをご理解でしょうか。
ここでは、それぞれの特徴について詳しく説明させていただきます。
収益が発生する収入源と、そうでない収入源の違いを明確にしていきましょう。
不要な外部リンクは省略し、コンパクトにまとめました。

不動産所得の計算と損益通算の注意点

個人が所有する不動産を賃貸することで得られる収入を不動産所得と呼びます。
不動産所得の計算方法は、不動産から得られた収入から必要経費を差し引くことで算出されます。
計算の結果、赤字となった場合は、他の所得から黒字分を差し引く損益通算が必要になります。
損益通算とは、

  • 複数の所得がある際に、特定の所得の赤字を一定の順序で他の黒字所得から控除することを指します。

ただし、

  • 不動産所得の赤字のうち、別荘などの趣味的な目的で所有する不動産からの赤字や、土地取得に係る借入金利子は損益通算の対象外となるため、注意を要します。

事業所得の計算と要件

営利を目的とした事業活動から生じる収益が事業所得です。

  • 漁業、卸売業、小売業、製造業、農業、サービス業などの職種で、継続的に有償の仕事を行い、自らのリスクと労力を投じた結果得られる収入がこれにあたります。

事業所得の金額は、総収入から必要経費を差し引いて算出されます。
確定申告で事業所得と認められるには、

  • 営利性
  • 有償性
  • 継続性
  • 反復性
  • 自己の危険負担
  • 精神的・肉体的労力の投入
  • 人的・物的設備の有無

など、一定の要件を満たす必要があります。

山林所得の計算方法と注意点

森林資源から得られる収益は、立木の伐採や譲渡によって発生します。この種の収入は、特定の計算式に基づいて算出されます。

  • 「山林所得の金額=総収入金額-必要経費-特別控除額(上限50万円)」

ただし、取得から5年以内に処分した場合は、事業所得や雑所得として扱われる点に留意が必要です。
さらに、土地部分の譲渡については、譲渡所得として取り扱われることを認識しておく必要があります。

譲渡所得の計算方法と注意点

資産の移転によって発生する収益を譲渡所得と呼びます。

  • 土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を手放すことで生じる収入が該当します。

譲渡所得の計算方法は、「課税対象となる譲渡収入金額=収入金額-取得費用と譲渡費用の合計額-特別控除額」という式で求められます。
課税対象となる譲渡収入金額とは、売却した資産の購入代金や仲介手数料などの合計額を指します。
譲渡所得は、他の所得と合算して課税されるのが一般的ですが、不動産の譲渡所得については、他の所得と区別して課税されることに留意が必要です。
一方で、

  • 事業用在庫品
  • 山林の譲渡による収入

は、譲渡所得には該当しません。

損失申告とは?

損失申告とは?

事業における損失が発生した際、その赤字分を最長3年間にわたり次年度以降に繰り越すことができる制度があります。
この制度を活用すれば、翌年以降に利益が出た場合、その利益から過去の赤字分を控除することが可能となります。
つまり、赤字が出た年の翌年に黒字化しても、その黒字分から赤字分を差し引くことで節税を図ることができるのです。

損失申告の具体的な計算方法

以下は、損失申告の具体的な計算方法についての説明です。

例えば、前年度に150万円の損失があり、当年度に300万円の所得があった場合、課税対象金額は150万円となります。税率が5%と10%の2段階であれば、損失を差し引いた場合と差し引かなかった場合で、納付税額は大きく異なります。フリーランス(個人事業主)の方は、損失申告の重要性を理解しておく必要があります。

損失は累積して計算可能で、

  • 前年度50万円
  • 前々年度20万円

の損失があり、当年度100万円の所得があれば、課税対象額は30万円となります。ただし、繰り越し期限は3年までです。

同年度で異なる種類所得間での損失相殺も可能です。例えば、事業所得で100万円の損失があっても、山林所得で100万円の所得があれば相殺されます。所得間の損失相殺順序には一定のルールがあります。

損失申告の違い

損失の申告は、主に青色申告者に対して認められる制度です。
一方、白色申告者は限られた範囲の赤字しか繰り越すことができません。
白色申告で認められる赤字には、

  • 損益通算
  • 自然災害による事業用資産の損失
  • 漁獲所得や印税収入などの変動所得からの損失

が含まれます。
この点を十分に理解しておく必要があります。

損失申告のための条件

損失申告のための条件

業務上の赤字を翌年以降に繰り越すには、一定の要件を満たす必要があります。

  • 事業所得、譲渡所得、不動産所得、山林所得の計算上で発生した損失金額であることが条件となります。
  • また、雑損控除で控除不足額が生じた場合も対象となります。

ただし、不動産所得や譲渡所得については、特定の状況下では損失申告ができない可能性があるため、注意が必要です。
一方、利子所得、給与所得、退職所得、配当所得、一時所得、雑所得は損失申告の対象外となります。
特に、FXや株式投資で生計を立てている方は、この点に留意する必要があります。

フリーランス(個人事業主)として損失申告していない場合どうなる?

フリーランス(個人事業主)として損失申告していない場合どうなる?

過去の年度において、何らかの理由で損失申告を怠ってしまった場合、後から是正する手段があります。
確定申告を行っていない状況下では、更正の請求を行うことで、遅れて損失申告を実施することができます。
例えば、

  • 令和元年度に繰り越し可能な損失があったものの申告を失念し、令和3年9月にその事実に気づいたとしましょう。

この時点で更正請求を行えば、損失申告は可能となります。
ただし、令和2年度の納税額はすでに確定しているため、その年度分から損失を控除することはできません。

フリーランス(個人事業主)として確定申告時の損失申告に必要なもの

フリーランス(個人事業主)として確定申告時の損失申告に必要なもの

確定申告時に必要となる書類は多岐にわたります。損失申告を行う際には、事前に必要書類を確認しておくことが重要です。

主な書類としては、

  • 確定申告書B第一表
  • 第二表
  • 第四表
  • 青色申告決算書(青色申告者)
  • 収支内訳書(白色申告者)
  • 所得控除を受ける際の書類

などがあげられます。

さらに、損失の種類によっては、損失を証明する追加書類の提出が求められる場合があります。

  • 被災者の事業用資産の損失
  • 上場株式等の譲渡損失
  • 特定投資株式の譲渡損失
  • 先物取引やFXに係る損失

など、自身の状況に応じた適切な書類を準備する必要があります。

まとめ

まとめ

ここでは、フリーランス(個人事業主)の方々が赤字に陥った際の対処法や赤字を回避するための施策、損失申告の具体的な計算方法について説明しています。

  • 赤字が発生した場合、青色申告であれば翌年以降に損失を繰り越すことができますが、白色申告では一部の赤字しか繰り越せません
  • 損失申告を行うには、確定申告表Bの第四表の提出が必須となります。
  • 損失申告の条件や計算方法を事前に把握しておくと、確定申告がスムーズに進められます。

フリーランスとして確定申告を誤ると、更生請求書や修正申告書の提出、過少申告加算税の支払いが必要になる場合があるため、注意が必要です

脱税を避けるための知識を学びたい方は、別の記事をご覧ください。
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