フィナンシャルテクノロジーと呼ばれる金融と情報技術の融合サービスが近年増加しています。
多くの人がフィンテックという用語を知らずとも、実際にはそのようなサービスを利用している可能性があります。
本稿では、
- フィンテック企業の定義を確認した上で
- その種類や分類について説明します
さらに、具体的な企業事例と将来性についても言及します。
フィンテック企業の定義とは
FinTech(フィンテック)は、金融(Finance)と技術(Technology)の合成語です。
日本銀行は、FinTechを金融サービスと情報技術を融合させた革新的な動きと定義しています。
スマートフォンを利用した送金サービスもその一例です。
つまり、FinTech企業とは金融とテクノロジーを組み合わせた新しいサービスを提供する企業のことを指します。
近年、
- インターネット
- AI
- ブロックチェーン
などの先端技術を活用した金融サービスが多数登場しています。
フィンテック企業の種類・分野
フィンテック企業は多岐にわたる分野で活躍しています。
- 支払い処理や会計
- 資金調達
- 仮想通貨
- ブロックチェーン技術
- 保険
- セキュリティ対策
- クラウドファンディング
- ソーシャル投資
などの領域で革新的なサービスを提供しています。
これらの各分野における企業の役割と特徴について、詳しく説明していきましょう。
スマホ決済の普及
フィンテック企業には、モバイル決済アプリのPayPayやPayPalなどが存在します。これらのサービスを利用すれば、スマートフォンひとつで支払いや送金が可能となり、現金や銀行の利用を必要としなくなります。
さらに、ネット上での決済システムもフィンテックの一環であり、オンラインショッピングやネット予約が一般化した現代社会において、多くの企業に導入されています。
会計・財務業務の効率化を実現するフィンテック
会計・財務分野におけるフィンテック企業には、以下のようなサービスが存在します。
- freee会計
- 弥生会計
- マネーフォワードクラウド
これらのサービスの登場により、会計や財務業務に係る負荷が大幅に軽減されました。
従来は人手によって行われていた会計や財務処理の一部が、会計ソフトの誕生によって自動化されるようになったのです。
さらに、以下の効果も期待できます。
- 給与計算時の人為的ミスを低減
- 請求書作成時の人為的ミスを低減
フィンテック企業の融資サービス
フィンテック企業は、資金調達に関する新しいサービスを提供しています。
従来は銀行や消費者金融会社が融資業務を行っていましたが、近年ではテクノロジー企業もこの分野に進出しています。
AIやビッグデータを活用することで、より適切な与信判断が可能になりました。
さらに、オンラインで融資手続きができるため、利用者の利便性も向上しています。
フィンテック企業の仮想通貨・ブロックチェーン活用
暗号資産・分散型台帳技術に関連するフィンテック企業には、GMOコインやGincoなどが存在します。
これらの会社は、
- 暗号資産の保管を行うウォレット
- 暗号資産の売買を行う取引所
などのサービスを提供しています。
特に、分散型台帳技術は暗号資産取引の安全性を確保する上で重要な役割を果たしており、注目を集めています。
さらに近年では、分散型台帳技術の優れた特性を暗号資産以外の分野でも活用しようとする動きがみられます。
保険×テクノロジー
保険業界においても、テクノロジーの活用が進んでいます。
・シンプル医療保険
・iChain保険ウォレット
などのサービスが登場しています。
保険分野でも情報技術を活用する「インシュアテック」という概念が注目されています。
インシュアテックは、
- 保険業務やサービスの効率化を目指しています。
近年では、
- インターネット専門の保険会社が増え、低価格の保険商品が提供されるようになりました。
- ブロックチェーン技術を利用して、複数の保険を一括管理できるウォレットサービスも展開されています。
セキュリティ対策のフィンテック企業
フィンテック業界におけるセキュリティ対策は重要な課題となっています。
サイバー犯罪の手口が巧妙化する中、企業は高度なセキュリティソリューションを導入する必要に迫られています。
一方で、新サービスの展開に伴い、セキュリティリスクも高まる傾向にあります。
- フィッシング
- ハッキング
などの脅威に対処するため、専門のフィンテック企業がセキュリティ対策サービスを提供しています。
クラウドファンディングの革新性
クラウドファンディングを手掛けるフィンテック企業には、
- CAMPFIRE
- READYFOR
- Makuake
などが存在します。
資金調達の手法としてクラウドファンディングは従来の方式とは大きく異なる革新的なアプローチです。
従来は
金融機関 | 投資ファンド |
からの出資が一般的でしたが、クラウドファンディングでは不特定多数の個人や企業から広く資金を募ることができます。
このようにクラウドファンディングは資金調達の障壁を下げる役割を果たしているとも言えるでしょう。
ソーシャルレンディングの仕組みと課題
ソーシャルレンディングは、資金を必要とする企業と投資家を仲介するサービスです。
このフィンテック分野には、以下の企業が存在します。
- Crowd Bank
- SBIソーシャルレンディング
クラウドファンディングの一種であり、個人投資家でも1万円から参加可能なため、資産運用の選択肢として人気があります。
一方で、借り手側は複数の投資家から資金を調達しますが、返済時に元金に加えて分配金の支払いが必要となるため、負担が生じます。
フィンテック企業は、以下の業務を主に行っています。
- 借り手の審査
- 投資家の募集
- 返済金や分配金の管理
フィンテック企業事例
フィンテック分野で活躍する企業には、以下のようなものがあります。
-
企業名 事業内容 PayPay 決済サービスを提供 freee 会計・財務ソフトウェアを開発 J score 融資業務を行う bitFlyer 仮想通貨取引所とブロックチェーン技術を扱う スマートドライブ 保険サービスを提供 カウリス セキュリティ対策を手掛ける マクアケ クラウドファンディングプラットフォームを運営 カウリス ソーシャルトレーディングサービスを展開
これらの企業について詳しく説明していきましょう。
簡単キャッシュレス決済「PayPay」
PayPay株式会社は、ソフトバンクとヤフーが2018年に共同で設立した企業であり、キャッシュレス決済サービスを提供しています。
このサービスでは、スマートフォンにアプリをインストールし、決済時にバーコードを読み取ることで支払いが可能となります。
支払い方法としては、
- クレジットカードとの連携
- 現金チャージ
が選択できるため、クレジットカードを持たない人でも利用することができます。
クラウド会計ソフト freeeの特徴と利用事業所数
クラウド上で利用できる会計ソフトウェアを提供しているのがfreeeです。
2018年3月時点で、同社のサービスを利用する事業所数は100万件を超え、クラウド会計ソフト分野でトップシェアを誇っています。
freeeを活用すれば、簿記や会計の専門知識がなくても簡単に帳簿を作成できます。
さらに、
- 銀行やクレジットカードのオンライン明細をfreeeに自動で取り込めば
- 経費の仕分けまで行ってくれる便利な機能があります
AIスコア・レンディングサービス
株式会社J.Scoreは金融機関と通信会社の合弁企業であり、AIを活用した融資審査サービスを提供しています。
従来の審査基準に加え、個人の将来性を数値化したAIスコアを算出し、それに基づいて融資条件を決定します。
AIスコアの算出には、
- 収入や経歴
- 嗜好や人生設計
なども考慮されます。
このサービスを利用することで、将来の可能性を見込んだ上で、適切な金利と限度額を即座に提示することができます。
ビットコイン取引所bitFlyerの多角的な事業展開
日本を代表する仮想通貨取引プラットフォームを運営するbitFlyer株式会社は、取引高で国内トップクラスの実績を誇ります。
同社のサービスでは、以下の取引が可能です。
- 現物取引
- FX取引
- 信用取引
- 独自のライトニング取引システムによる取引
また、フィンテック企業としての側面も持ち、
- プライベートブロックチェーンmiyabiの開発
- ビットコインを日常生活で利用できるよう店舗決済システムbitWire Shopの整備
にも注力しています。
安全運転でポイントゲット!SmartDrive Cars
株式会社スマートドライブは株式会社損害保険見直し本舗と連携し、「SmartDrive Cars」という新しいサービスを提供しています。
この「SmartDrive Cars」は、損害保険見直し本舗を通じて自動車保険に加入したユーザーを対象とし、安全運転を楽しみながら実践できるようサポートします。
- スマートフォン専用アプリを活用することで、安全運転を行えばポイントやお得なクーポンが獲得できるようになっています。
不正アクセス防止サービス「FraudAlert」
当社のFraudAlertソリューションは、業界を問わず国内有力企業から高い評価を得ています。
本人以外による不正アクセスを検知し、ブロックする機能を備えています。
機械学習技術を活用し、ユーザーの行動パターンから本人性を判断することで、セキュリティ強化を実現します。
クラウドファンディングサービス「マクアケ」の概要
マクアケは2013年に創設された株式会社によって運営されている。
この企業はサイバーエージェントの関連会社であり、2017年に社名を変更した。
クラウドファンディングでは多種多様な商品が取り扱われており、
- 食品
- 家電製品
- アパレル
も含まれる。
さらに、
- 有名デパート
- アパレルブランド
- 自治体
との連携も実施している。
個人投資家向けクラウド融資サービス
日本クラウド証券会社が提供する金融サービスは、個人投資家の資金を集め、企業への融資に活用するものです。
オンラインプラットフォームを通じて、少額からでも投資が可能となり、従来は参加が困難だった案件にも資金を提供しやすくなりました。
多数の投資家から資金を集約することで、個人では実現が難しかった投資機会を生み出しています。
フィンテック企業の将来性
フィンテック企業の将来展望は明るいと言えるでしょう。
すでに多くのサービスがフィンテック企業の恩恵を受けており、私たちも日常生活の中で無意識にフィンテックサービスを利用しています。
さらに、フィンテックサービスの市場は今後も拡大していくと予測されます。
現在、フィンテック関連法の整備が進行中であり、法整備が進めば新規参入企業が増加し、市場規模の拡大が見込まれます。
加えて、フィンテック企業では以下の先端IT技術が活用されています。
- IoT
- ブロックチェーン
- AI
- ビッグデータ
これらの技術は年々進化を遂げ、適用範囲も広がっています。
したがって、金融サービスと情報技術の融合によるサービスの増加が期待できます。
まとめ
現代社会においてフィンテック分野は急速に成長を遂げています。
世界各国で需要が高まっており、日本国内でもフィンテック関連企業の市場規模が2016年から2021年の約5年間で倍増しました。
従来の小口決済サービスに加え、資金調達など大規模な事業領域にも広がりを見せています。
新興国でも導入が進んでおり、ケニアでは
- モバイル送金・融資サービス「M-PESA」が登場しました。
このように成長著しいフィンテック業界では、今後も活躍の場が広がると考えられます。
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