QA vs テスター！仕事内容から求められるスキルまで、両者の違いを徹底比較・解説

2024年6月26日

ITサービスの品質向上が重要視される現代において、QAの役割が注目を集めています。

従来のソフトウェア品質管理では、主にバグ発見を目的としたテスターの活動が中心でした。しかし、今日では単なるバグ対策だけでなく、セキュリティを含む総合的な品質保証が求められています。

このような背景から、QAとテスターの違いについて理解することが重要です。本文では、両者の職務内容や必要とされるスキルなどの観点から、その違いを詳しく説明していきます。

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1 QAとは
2 テスターとは
3 QAとテスターの仕事内容の違い
- 3.1 QAエンジニアの役割と重要性
- 3.2 テスターの役割と重要性
4 テスターの具体的な業務内容
5 QAに求められるスキル
6 QAが取得したい資格
7 QAの将来性
8 まとめ
- 8.1 エンジニアの年収事例と傾向

QAとは

QAとは「Quality Assurance」の略称で、品質保証を意味します。ITサービスやソフトウェアの品質を保証するエンジニアを指す名称でもあります。QAは単にバグがないことを確認するだけでなく、開発プロセスやテスト工程、結果分析、顧客サービスなど、成果物に関わる全ての品質保証を担当します。

ただし、明確に「QA」というポジションを設けている企業は少ない傾向にあります。テストエンジニアがQAの業務を兼ねる場合もあるため、両者の違いが曖昧になっていることがあります。QAの重要性が認識されてきたのは比較的最近のことで、求人でもQAという名称が使われていないケースが多いかもしれません。

テスターは、システムのテスト項目を実施し、バグを報告する業務を専門とします。単体テストや結合テスト、総合テストなどの段階で、テストエンジニアが作成したテスト項目書に基づいてテストを実行します。主な目的は「バグをなくすこと」です。

QAとテスターの仕事内容の違いは以下のように要約できます:

QA：完成した製品が実際の運用に耐えられる品質であることを保証する
テスター：開発中の製品の細かな不具合を見つけてフィードバックする

QAに求められる主なスキルには、ユーザー視点に立つ能力、コミュニケーション能力、プログラミングの知識などがあります。QAエンジニアの需要は、AIの台頭や高品質なシステムへの要求の高まりにより増加傾向にあります。年収は経験や業界によって幅がありますが、平均で約500万円程度とされています。

QAエンジニアのキャリアパスとしては、QAマネージャーやシニアQAエンジニア、QAコンサルタントなどの上位職が一般的です。プロジェクトマネージャーを目指すこともできます。QAを目指す場合は、テスターやプログラマーからスタートし、必要なスキルを身につけていくのが効果的でしょう。

テスターとは

テスターは、システムのテスト実施と不具合報告を専門とする重要な役割を担っています。
テストプロセスは単体テスト、結合テスト、総合テストなど複数の段階で構成され、テストエンジニアが作成した詳細な項目書に基づいて実行されます。
テスターの主な目標は、システム内のバグを発見し排除することです。

大規模なシステムでは、膨大な数のテスト項目を検証する必要があります。
バグが発見された場合、その再現手順を正確に記録し、開発者に伝えることが重要です。
修正後は、再度テストを行って問題が解決されたことを確認します。

テスターの仕事は忍耐を要する作業ですが、製品の品質を確保し、市場で通用するレベルまで高めるために不可欠なプロセスです。
綿密なテストを通じて、ユーザーに信頼性の高いシステムを提供することができるのです。

QAとテスターの仕事内容の違い

QAとテスターの役割の区別が曖昧だと感じる人もいます。これは、多くの企業で両者の業務が明確に分離されていないことが原因です。QAが注目される以前は、ほとんどの作業をテストエンジニアが担当しており、テストエンジニアとテスターの違いさえ認識されていない環境も珍しくありませんでした。

QAとテスターの主な違いは以下のように要約できます：

QA：製品が実際の使用に耐えうる品質であることを確認する
テスター：開発中の製品の細かな不具合を発見し、報告する

一般的な流れとしては、テスターが各段階でテストを実施し、バグを取り除いた後、QAが実際の使用環境に近い条件で品質を検証します。また、QAはテスト設計書の品質管理やテスト項目の妥当性の確認も行います。このように、両者は製品の品質向上において重要な役割を果たしています。

QAエンジニアの役割と重要性

QAは、ソフトウェアなどの製品の品質保証を担当するエンジニアを指します。

品質保証には、製品開発の全工程を監督することが不可欠です。

品質計画の段階では、テスト設計書が目標品質の達成に適しているかを確認する役割も担います。

QAが実施するテストは、主に完成品の品質を評価するものです。顧客の実際の使用環境を再現し、業務に即したテストを行います。

これには、以下が含まれます：

仕様通りの動作確認
耐久性テスト
セキュリティレベルの検証

これらの多様なテストを通じて、製品の品質を総合的に保証するのがQAの役割です。

テスターの役割と重要性

テスターは、テストエンジニアとQAが協力して作成したテスト仕様書に基づいたテストケースを実行する重要な役割を担っています。

彼らの業務は、以下のテストに及びます：

単体テスト
結合テスト
総合テスト

テスターは、各テスト項目を慎重に実施し、仕様と異なる結果や不具合を発見した場合には、速やかにフィードバックを行います。この過程を繰り返すことで、製品の品質向上に大きく貢献しています。

ITシステムやソフトウェアには常にバグが潜在しているため、テスターの存在は製品開発において不可欠です。彼らの細心の注意と専門知識が、最終的な製品の信頼性と品質を保証しているのです。

テスターの具体的な業務内容

テスターの役割について説明してきましたが、その仕事はQAだけでなくデバッガーとも混同されやすい面があります。

テスターの具体的な業務内容をより深く理解するために、ここからはデバッガーとの違いも含めて詳しく見ていきましょう。

テスターの実際の仕事内容や責任範囲について、より明確なイメージを持っていただけるよう解説を進めていきます。

テスターとデバッガーの役割の違い

テスターとデバッガーの違いを理解するには、テストとデバッグが異なる作業であることを認識することが重要です。

テストは、ソフトウェアが仕様に沿って動作しているか、また必要な品質基準を満たしているかを確認する過程です。

一方、デバッグは、テスト中に発見された問題の根本原因を特定し、プログラムを修正する作業を含みます。

通常、これらの役割は分担されており、

テストはテスト専門のチームが担当し、
デバッグは開発チームの一部として行われることが一般的です。

このように、テスターとデバッガーは異なる責任を持ち、ソフトウェア開発プロセスの異なる段階で重要な役割を果たしています。

ゲームテスターの役割と現状

テスターの仕事の代表例として、ゲームテスターが挙げられます。ゲームテスターは、発売前のゲームを実際にプレイし、正常に動作するか確認し、バグを見つける役割を担っています。この仕事は一回で終わるものではなく、以下の場合にも継続して行われます：

修正後の再確認
リリース後のアップデートやパッチ適用時

IT業界全般のテスター業務も、ゲームテスターと基本的に同じような流れで進められます。ゲーム業界では新作が頻繁にリリースされるため、多くのゲームテスターが日々活躍しています。ただし、この職種では以下の特徴があります：

正社員ではなくアルバイトでの雇用が多く見られる
平均的な年収は比較的低めになる傾向がある

ゲームテスターの重要性と責任

ゲームテスターは、単にテストを行う役割以上の重要な責任を担っています。彼らの仕事は、ゲームやプログラムの品質向上に大きく貢献します。テスターの主要な任務はバグの発見ですが、それだけでなく仕様書との整合性チェックも重要な役割です。

仕様書の正確な理解は、テスターにとって不可欠なスキルです。仕様に反した動作を見抜くためには、仕様書の内容を深く把握している必要があります。また、開発者との緊密なコミュニケーションを通じて、仕様に関する疑問点を解消することも重要です。

テスターは単に与えられた作業をこなすだけでなく、開発チームの一員として積極的に関与することが求められます。彼らの役割は、ゲーム開発プロセス全体の品質向上に大きく寄与するのです。

QAに求められるスキル

品質保証は製品開発において極めて重要な役割を果たします。
ユーザーが製品の品質の低さを感じると、その製品は「使えない」と評価されてしまいます。
さらに、低品質は単に評価を下げるだけでなく、セキュリティ上の問題や既存サービスとの機能競合による不具合を引き起こす可能性もあります。

QAチームは製品自体だけでなく、その製品が使用される環境も考慮に入れて品質管理を行う必要があります。
そのため、QA担当者には以下のようなスキルが求められます：

ユーザーの視点に立って考える能力
効果的なコミュニケーション能力
プログラミングに関する知識

これらのスキルを持つことで、QAチームは製品の品質を高め、ユーザー満足度の向上に貢献することができます。

ユーザー視点の品質保証

製品の品質は、最終的にはユーザーによって判断されます。

QAの役割は、ユーザーの視点に立って製品の品質を管理することです。

製品が仕様通りに機能することは基本ですが、それだけでは十分ではありません。

ユーザーの多様な使用方法を考慮し、予期せぬ操作にも対応できるよう準備することが重要です。

ただし、これは不可能な要求に応えるという意味ではありません。

むしろ、ユーザーがどのように製品を使用するかを深く理解し、その観点から製品を検証することが品質保証の重要な側面なのです。

このアプローチにより、ユーザーの満足度を高め、より優れた製品を提供することができます。

QAテストにおける実環境評価と効果的フィードバック

QAテストの重要な一環として、完成品を実際の使用環境で操作し、性能を評価することがあります。

この過程では、仕様との不一致だけでなく、ユーザビリティや品質面での問題も注意深く観察します。発見された課題は、単に報告するだけでなく、具体的な改善案とともに開発チームにフィードバックすることが求められます。

この際、効果的なコミュニケーションスキルが不可欠です。品質向上のために、どの点をどのように改善すべきかを明確に伝えることが重要です。特に、エンジニア間での建設的な対話が、製品の最終的な品質を大きく左右します。QAチームは、技術的な知見と共に、これらのソフトスキルも磨く必要があります。

QAエンジニアとプログラミングスキルの重要性

QAにはプログラミングの知識が重要です。

直接コードを書くことは少ないですが、ソースコードを理解する能力は非常に有用です。

プログラミングの経験が豊富なQAエンジニアは、コードの構造を見ただけで潜在的な問題点やバグを早期に特定できる可能性が高くなります。

システムの脆弱性をいち早く発見することで、開発プロセス全体の効率化につながります。

このスキルは、品質保証の効果を大きく向上させる重要な要素となります。

QAが取得したい資格

QAエンジニアにとって有用な資格について考えてみましょう。

業界で評価の高い資格を取得することで、専門性を証明し、キャリアアップにつながる可能性があります。

代表的なものとしては、

ソフトウェアテストの知識を問う国際的な認定資格
プロジェクト管理に関する資格

などが挙げられます。

これらの資格は、QAエンジニアとしての技術力や管理能力の向上に役立つでしょう。

JSTQB資格：ソフトウェアテストの国際標準

JSTQB認定テスト技術者資格は、国際的に認知されたソフトウェアテストの専門資格です。

この資格は、テスト技術の向上を通じて、ソフトウェア業界全体の品質と生産性の改善を目指しています。

資格取得者は、以下の能力を得ることができます：

体系的なテスト手法の習得
最新のテスト技術の習得
実務への活用

これにより、ソフトウェア開発プロジェクトの成功率を高め、業界全体の技術力向上に貢献することが期待されています。

ソフトウェア品質技術者資格の重要性

ソフトウェア品質技術者資格は、システム開発に携わるすべてのエンジニアにとって重要な認定です。

この資格は、開発プロセス全体における品質管理の重要性を理解し、実践する能力を証明します。

特にQAエンジニアにとっては、専門性を高め、キャリアを向上させる上で非常に有益な資格といえるでしょう。

取得することで、品質向上に関する包括的な知識と技能を身につけることができます。

IT検証技術者認定試験の重要性

IT検証技術者認定試験は、ソフトウェアテストの専門知識と技能を評価する重要な資格試験です。

この試験は、品質保証（QA）やテストエンジニアリングの分野で働く専門家にとって非常に有益です。

テストエンジニアとしての能力は、現代のIT業界において不可欠なスキルセットの一部となっています。

そのため、キャリアの向上や専門性の証明を目指す方々にとって、IT検証技術者認定試験の取得は大きな価値があると言えるでしょう。

QAの将来性

AI時代におけるQAエンジニアの需要と将来性

AIの急速な発展により、QAエンジニアの需要と将来性が大きく高まっています。AIを活用した業務効率化が進む中、システムやソフトウェアの品質管理の重要性が増しています。これは、単に機能するだけでなく、ユーザーにとって使いやすいものが求められているためです。

あらゆる業界で製品やサービスの品質向上が重視される傾向にあり、それに伴いQAエンジニアに求められるスキルや知識のレベルも上昇しています。また、テクノロジー企業の増加により、QAエンジニアの活躍の場が多様な業界に広がっています。このような状況下で、QAエンジニアの役割はますます重要になると予想されます。

QAエンジニアの年収事情

日本におけるQAエンジニアの平均年収は約500万円程度です。
一方、テスターの平均年収は約300万円台となっており、両者の役割や責任の違いが年収にも反映されています。
ただし、実際のQAエンジニアの年収は、個人の開発経験や専門分野、業界によって大きく異なります。
経験豊富なQAエンジニアや特定の業界に特化した専門家の中には、年収1000万円を超える高給の求人も存在します。
このことから、QAエンジニアとしてのスキルを磨き、経験を積み重ねることで、将来的な年収アップの可能性が十分にあると言えるでしょう。