FaaSについて詳しく解説します。
FaaSという用語は一般的にはあまり馴染みがないかもしれませんが、現代のテクノロジー分野で急速に重要性を増しています。
特にインターネット、AI、IoTなどの先端技術領域において、FaaSは不可欠な要素となっています。
本記事では、FaaSの具体的な活用例を紹介しながら、そのメリットについて解説します。
また、FaaSの普及に伴うクラウドエンジニアの役割の変化についても触れていきます。
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FaaSで何ができる?
FaaSとクラウドサービス大手3社の特徴と市場シェア
FaaS(Function as a Service)は、サーバーレス環境でアプリケーション開発を可能にするサービスです。
サービスプロバイダーがサーバー管理を担当するため、開発者は本来の開発作業に集中できるという利点があります。
クラウドサービスの主要プロバイダーとして、AWS、Google Cloud、Azureが挙げられます。これらはそれぞれFaaSソリューションを提供しています。
- AWSは世界で最も広く使用されており、豊富な事例と他のAWSサービスとの容易な統合が特徴です。
- Google Cloudは、充実したマニュアルと使いやすいインターフェース、そして魅力的な無料枠を提供しています。
- Azureは、Windowsベースのクラウドであり、Windows環境に精通した開発者にとって特に使いやすいプラットフォームです。
Canalysの調査によると、2022年第2四半期の世界のクラウド市場シェアは、以下のようになっています:
プロバイダー | 市場シェア | 順位 |
---|---|---|
AWS | 31% | 1位 |
Azure | 24% | 2位 |
Google Cloud | 8% | 3位 |
これらの数字は、クラウドサービス市場における各プロバイダーの影響力と普及度を示しています。
クラウドコンピューティングの主要サービスモデル
IaaS、PaaS、FaaS、CaaSは、クラウドコンピューティングにおける主要なサービスモデルです。
IaaSは、ハードウェアやインフラを提供するサービスで、高い汎用性を持つ反面、開発者の運用負荷が大きいのが特徴です。
PaaSは、OSやミドルウェアを提供するサービスです。リクエストごとにアプリケーション全体を起動し、常時サーバープロセスを実行する必要があります。
FaaSは、イベントドリブン方式で処理が発生したときのみ反応するサービスです。PaaSやIaaSと比較して、運用負荷が低いのが特徴です。
CaaSは、コンテナ技術を用いてアプリケーションの動作環境を仮想化し、環境に依存しないアプリ開発を可能にします。連携性が高い一方で、管理すべき項目が増加するという特徴があります。
これらのサービスモデルは、それぞれ異なる特性と利点を持ち、開発者のニーズや要件に応じて選択されます。
FaaSでアプリケーション開発が楽になる?
FaaSの特徴と利点
FaaSは多様なプログラミング言語に対応しており、開発環境の自由度が高いのが特徴です。これにより、幅広いユーザーが利用でき、適用範囲も広がります。
サーバーレスアーキテクチャを採用しているため、サーバーの管理・維持にかかる負担が大幅に軽減されます。その結果、開発者はアプリケーション開発に集中できるようになります。
さらに、FaaSは高い拡張性を持っています。需要に応じて自動的にスケールする機能を備えており、既存のサービスと組み合わせることで、アプリケーションの機能拡張も容易に行えます。
これらの特性により、FaaSは効率的で柔軟なアプリケーション開発を可能にする強力なツールとなっています。
FaaSの課題と制約
FaaSは高性能ですが、ネットワークを介して処理を行うため、レイテンシーが発生します。接続するサーバー数が増加すると、処理の遅延リスクも高まります。
また、FaaSは言語の汎用性や柔軟性が高い一方で、設計の難易度も高くなります。これは、クラウドサービスの特性に合わせて個別の設計が必要となるためです。
さらに、FaaSには一定の制約があります。利用可能なプログラミング言語、データベース管理システム、APIなどは、基本的にサービス提供者が用意した環境に限定されます。これらの制約を考慮しながら開発を進める必要があります。
FaaSの柔軟性と選択時の注意点
FaaSの特徴として、幅広い用途に適用できる柔軟性が挙げられますが、同時にサービスごとの仕様の違いにも注意を払う必要があります。
各サービスで以下の点が異なるため、料金体系にも違いが生じます:
- 対応しているプログラミング言語
- デプロイの方法
- 他のサービスとの連携性
これらの違いを十分に理解した上でFaaSの利用を検討することが重要です。
また、一度選択した環境から別の環境へ移行する際には、相当な労力が必要となる可能性があることも念頭に置くべきでしょう。
FaaSの利用事例5選!企業別で紹介
ここでは、クラウドコンピューティング市場でトップシェアを誇るAmazon Web Services (AWS)が提供するサーバーレスコンピューティングサービス「AWS Lambda」の実際の活用例について解説します。
このサービスを使用することで、開発者はインフラストラクチャの管理を気にすることなく、コードの実行に集中できます。
iRobotのクラウド戦略
iRobotは、世界的に有名な家庭用ロボット製造企業です。
顧客満足度向上のため、同社はクラウドテクノロジーを積極的に活用しています。
サーバーレス技術を採用することで、以下の効果がありました:
- クラウドプラットフォームの運用コストを抑制
- 開発者がより価値の高い業務に集中できる環境を整備
これにより、iRobotは製品の革新と顧客体験の向上を継続的に推進しています。
スクエニ、FaaSで画像処理を革新
スクウェア・エニックスは、画像処理の効率化にFaaSを採用しています。
この導入により、従来数時間を要していた画像処理が数十秒で完了するようになり、大幅な時間短縮を実現しました。
さらに、オンプレミス環境と比較して処理コストを20分の1に削減することに成功しています。
このように、FaaSの活用によって、同社は処理速度の向上とコスト削減の両面で顕著な成果を上げています。
三菱東京UFJ銀行、AWSで顧客データ分析基盤を構築
三菱東京UFJ銀行は、AWSを活用して4000万の顧客口座の取引明細を分析できるプラットフォームを構築しました。
このシステムでは、AWSの様々な機能を用いて金融機関に求められる高度なセキュリティを確保しつつ、分析者に柔軟な作業環境を提供しています。
これにより、新たな金融サービスの開発や既存サービスの改善が可能となり、銀行業務の革新的な取り組みとして注目されています。
このプラットフォームの導入により、以下が期待されています:
- 顧客ニーズの深い理解
- リスク管理の向上
- 個別化されたサービス提供
日経、AWS活用で画像処理効率化
日本経済新聞社は、画像処理の効率化を図るためAWS Lambdaを採用しています。
モバイルユーザーの増加に伴うアクセス変動に対応するため、拡張性と柔軟性に優れたAWSへシステムを完全移行しました。
この結果、以下の効果が得られました:
- システムの運用管理が大幅に簡素化
- リソースの効率的な活用が可能に
新しいクラウド環境により、日経電子版はより安定したサービス提供と迅速な機能拡張を実現しています。
トヨタコネクティッド、クラウド活用で大幅コスト削減
トヨタコネクティッドは、世界中のモビリティの安全性と利便性を向上させるため、クラウドサービスを活用しています。
同社は、ドライバー向けサービスのプラットフォーム構築において、以下の課題に直面していました:
- 大量のデータ処理
- コスト管理
クラウド技術の導入により、トヨタコネクティッドは大幅なコスト増加を抑えつつ、スケーラブルなデータ処理を実現。
結果として:
全体のコスト削減 | 70%~80% |
サービス提供 | 効率的に成功 |
この取り組みは、自動車産業におけるデジタル化とコスト効率の両立の好例となっています。
FaaSのスキルが身につく・活かせるのはどんなエンジニア?
クラウドエンジニアの役割と種類
クラウドエンジニアは、インターネット上のクラウドサービスを活用してシステムの構築や保守を行う専門家です。クラウド技術に精通したエンジニアとして知られており、設計、構築、運用、保守などの業務はインフラエンジニアと共通点があります。
クラウドエンジニアの仕事内容は、扱うサービスによって異なります。主に3つの種類があります:
- AWSエンジニア:コンピューティング、データベース、機械学習、IoTなど幅広いサービスを扱い、多様な案件に対応する能力が求められます。様々なクラウド環境の構築が可能です。
- Azureエンジニア:マイクロソフト社の製品との連携が容易であることが特徴です。主にネットワーク構築、プラットフォーム構築、業務システム環境の構築などを行います。
- GCPエンジニア:Googleの最新技術やインフラを利用できる利点があります。IoTシステムの開発から運用・保守、データ分析基盤の構築など、AWSと同様の幅広い業務を担当します。
これらのエンジニアは、それぞれのクラウドプラットフォームの特性を活かしながら、企業のニーズに合わせたソリューションを提供しています。
クラウドエンジニアに求められる主要スキル
クラウドエンジニアに求められる主要なスキルには、インフラ構築の経験とクラウドに関する幅広い知識があります。
インフラ構築においては、要件定義から設定まで一貫して携わる能力が重要です。特にインフラ設計は中心的な業務の一つであり、将来の拡張性やセキュリティを考慮しながら、ネットワークやシステムの設計を行う必要があります。
クラウドに関する知識としては、サービスの円滑な運用を可能にする制御・管理能力が求められます。具体的には、以下の専門知識が必要です:
- サーバーの仮想化技術
- データベース構築
- ソフトウェアの導入・設定
さらに、様々なクラウド環境に対応できる柔軟性も重要なスキルの一つです。これらの多様なクラウド形態に適切に対応できる能力が、クラウドエンジニアには求められています:
- パブリッククラウド
- プライベートクラウド
- ハイブリッドクラウド
クラウド技術者の3大重要認定資格
クラウド技術者にとって重要な認定資格には、主に3つあります。
- まず、クラウド市場で最大のシェアを持つAWSの認定資格があります。AWSを扱うエンジニアにとっては必須の資格と言えるでしょう。
- 次に、Microsoft Azure認定資格があります。これはMicrosoft社が認定する高い信頼性を持つ資格で、Azure関連の知識やスキルを証明できます。
- 最後に、Google Cloud認定資格があります。これは近年需要が増加しているGoogle Cloud Platform(GCP)の知識とスキルを証明する資格です。GCPは3大クラウドサービスの一つであり、この資格取得はキャリアにとって有益です。
クラウド経験を活かすキャリアチェンジの選択肢
PMやITコンサルタント、スペシャリストへのキャリアチェンジは、システム開発やクラウド構築の経験を活かせる魅力的な選択肢です。
PMは豊富な経験と知識に加え、高いコミュニケーション能力やマネジメント能力が求められます。これらのスキルを持つ人や、積極的に習得してきた人に適しています。
ITコンサルタントは、システム開発の知識や経営に関する幅広い理解が必要です。クラウド技術を活用したIT戦略の提案や、オンプレミスからクラウドへの移行支援など、顧客の課題解決に貢献できる役割です。
スペシャリストは、クラウド構造全般に関する高度な専門性を持つエンジニアです。設計から開発、運用・保守まで幅広い経験を有し、最新のクラウドやインフラ技術に精通しています。特定の分野でスキルを極めたい人に適したキャリアパスといえるでしょう。
これらの選択肢は、それぞれ異なる強みや興味を持つ人に適しています。自身の経験や目標に合わせて、最適なキャリアパスを選択することが重要です。
注目のFaaSを押さえてキャリアに活かしていこう
以上、FaaSに関してそのサービスの概要やクラウドエンジニア、大手クラウドサービスの紹介に加え、転職に必要なキャリアやスキル、資格などについて紹介してまいりました。
現在、企業だけではなく個人レベルでもクラウドを利用したサービスはますます普及し、広がっています。クラウド技術は今後さらに発展していくと予想され、この分野でのキャリアは将来性が高いと言えるでしょう。
もし転職を考えている方は、クラウド関連の技術やサービスを活かしたキャリアパスを検討してみるのも良いかもしれません。
IT業界は常に変化し続けているため、最新の技術トレンドやスキルセットを把握し、自己研鑽を続けることが重要です。
また、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を活用して、自分のスキルや経験にマッチした案件を見つけることも効果的な選択肢の一つかもしれません。