近年、ビジネス界でアニメキャラクターの活用が増加しています。
「初音ミク」を代表例として、多様な製品デザインや広告にアニメキャラクターが採用され、企業イメージ戦略の重要な要素となっています。
最近では、新たなトレンドとして「VTuber」(バーチャルYouTuber)が注目を集めており、ビジネス分野でも活躍の場を広げています。
VTuberとは、アニメ風のアバターを使用してオンライン上で活動する配信者のことを指します。
本稿では、VTuberの概念とその特徴、そしてビジネスにおける効果的な活用方法について詳しく解説していきます。
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「VTuber」とは?
「VTuber」は「バーチャルユーチューバー」の略称で、その名前が示すように、実在の人物ではなく、コンピューターグラフィックスで作成された2Dまたは3Dのキャラクターを用いて活動する配信者を指します。
これらのキャラクターは、主にYouTubeなどの動画プラットフォームで、様々なコンテンツを提供しています。
VTuberは、従来の人間の配信者とは異なり、アニメやゲームのキャラクターのような外見を持ち、独自の個性や設定を持って活動しています。
VTuber文化の先駆者、キズナアイ
「VTuber」という新しいエンターテインメントの形態を世に広めたのは、「キズナアイ」という存在でした。
2016年11月末に初めての動画がオンラインで公開されると、瞬く間に注目を集めました。
それ以降、VTuberの知名度は急速に上昇し、今では多くのメディアに登場するようになりました。
その結果、VTuberに特別な関心がない人々でも、日常生活の中で一度は目にしたことがあるほど、身近な存在となっています。
VTuber市場の急成長と進化
「バーチャルYouTuber」という言葉は、当初「キズナアイ」を指す固有名詞でした。
しかし、アニメ風のキャラクターを用いたYouTuberが次々と登場し、人気を集めるようになったことで、この用語は一般的な意味で使われるようになりました。
現在、「VTuber」市場は大きく成長しており、個人から企業まで、約10,000人もの「VTuber」が活動しています。
彼らは様々なビジネス分野で活躍し、独自の存在感を示しています。
この新しいメディア形態は、エンターテインメントやマーケティングの世界に革新をもたらしています。
「VTuber」の定義とは?
VTuberとは、アニメ風のキャラクターを用いて動画配信を行う配信者のことを指します。
多くは3DCGで作られたキャラクターを使用しますが、2Dイラストのキャラクターも含まれます。
これらのキャラクターは独自に創作されたものであり、実際の人物(声優)がその声を担当します。
VTuberの主な活動は、自身の興味のある話題や得意分野について、キャラクターを通じて視聴者と交流することです。
この新しい形態のエンターテインメントは、従来の動画配信とアニメーションの要素を融合させた独特のコンテンツを生み出しています。
VTuber活動の多様化と需要拡大
VTuberの活動範囲は、YouTubeを中心としながらも、多様な分野に広がっています。
テレビなどのメディアにおいて、コメンテーターやMCとして活躍する姿が増えてきました。
また、グッズ販売などの商品化も進み、その市場価値は高まっています。
このような傾向から、VTuberの需要は今後さらに拡大していくと予想されます。
彼らの影響力と可能性は、ますます注目を集めることでしょう。
VTuber人気ランキング:数字で見る影響力
VTuberの人気を数字の観点から分析してみましょう。
2020年10月時点のデータによると、「キズナアイ A.I.Channel」が圧倒的な1位を維持しています。
このチャンネルは約285万人の登録者を抱え、動画の総再生回数は驚異の34億回に達しています。
順位 | チャンネル名 | 登録者数 | 総再生回数 |
---|---|---|---|
1位 | キズナアイ A.I.Channel | 約285万人 | 34億回 |
2位 | キズナアイ(ゲーム) A.I.Games | 約135万人 | 1億6千万回 |
3位 | 輝夜月(かぐやるな) Kaguya Luna Official | 約96万人 | 約1億回 |
上位10位までのVTuberは、いずれも数十万人以上の登録者を持ち、総再生回数も数百万から数億回に及んでいます。
VTuber:グローバル展開するデジタルコンテンツの新潮流
ネット動画の普及に伴い、Youtubeの広告収入や広告価値の重要性は広く認識されています。この文脈で「VTuber」の人気を考えると、メディア戦略において無視できない存在であることが明らかです。
注目すべきは、「VTuber」現象が日本国内に限らず、グローバルな広がりを見せている点です。「キズナアイ」の登場後、ファンによる英語字幕の追加をきっかけに海外視聴者が増加しました。その後、多言語字幕版の配信により国際的な人気が高まり、海外でもオリジナルの「VTuber」が誕生するまでに至りました。
このように、「VTuber」は世界的な認知度を獲得し、グローバル市場で重要な位置を占める存在となっています。その影響力と可能性は、今後のデジタルコンテンツ戦略において重要な要素となるでしょう。
「VTuber」を用いた企業戦略
近年、企業による「VTuber」の運営が一般的になってきています。
この潮流の先駆けとなったのはグリーで、2018年4月に「VTuber」事業へ100億円規模の大型投資を実施し、業界に大きな影響を与えました。
その後、多くの大手企業が続き、ロート製薬の「根羽清ココロ」や花王の「月ノ美兎(つきのみと)」などが企業の顔として活躍しています。
さらに、
- 大日本印刷
- 日立
- サントリー
- ローソン
といった著名企業も「VTuber」を採用し、マーケティングや広報活動に活用しています。
スポーツ界でも「VTuber」の波が押し寄せており、2019年6月にはJ2リーグのFC岐阜が「蹴球夢」をデビューさせ、ファンとの新たなコミュニケーション手段として注目を集めています。
地方自治体も注目!公認VTuberの広がり
この傾向は民間企業の枠を超えて広がり、地方自治体でも注目を集めています。
その先駆けとなったのが、茨城県が2018年8月に公認した「茨ひより」というVTuberです。
県独自のインターネット動画メディア「いばキラTV」の看板キャラクターとして活躍し、その広告効果は約2億4,000万円にも及ぶと評価されています。
これは地方自治体による公認VTuberの成功例として、大きな注目を集めました。
AIキャスターの全国展開
民放連加盟局では、2020年にチューリップテレビの「奥田ふたば」がデビューし、注目を集めています。
ニュースキャスターとしての経験を活かした多彩な活動が評価され、人気を博しています。
その後、他の地域でも同様の取り組みが広がり、
- 三重県の四日市競輪場では「泗水美海」が、
- 北海道北広島市では「クラーク先生」が
それぞれデビューするなど、この動きは全国に波及しつつあります。
「VTuber」の広告塔としての価値と活動内容
VTuberは様々な業界で注目を集める広告戦略として活用されており、その多様な利用目的も興味深いポイントです。
例えば、茨城県の魅力を発信する「茨ひより」は、ニュース形式の情報配信を行うVTuberアナウンサーとして活躍しています。この新しいアプローチは、従来のニュース配信に比べてユニークさがあり、視聴者とのインタラクティブなコミュニケーションも可能にしています。
他にも、
- 気象情報を提供するバーチャルお天気キャスター「Airi」
- 就職支援を行うバーチャルキャリアアドバイザー「なるは」
など、企業の戦略に合わせた形でVTuberが広告塔として活躍しています。
これらの事例は、VTuberが単なるエンターテインメントの枠を超え、実用的な情報発信や顧客サービスの新たな形として進化していることを示しています。
サントリーの革新的広報戦略:VTuber「燦鳥ノム」の活躍
サントリーグループの広報戦略において、特筆すべき存在が「燦鳥ノム(さんとりのむ)」です。サントリーコミュニケーションズがプロデュースするこのキャラクターは、YouTubeで人気のゲーム実況や歌ってみた動画、さらにはVTuberやタレントとのコラボレーションなど、多岐にわたる活動を展開しています。これにより、幅広い層への認知度向上に成功しています。
燦鳥ノムは、企業のオウンドメディアとしての役割を果たしつつ、独自の魅力的なキャラクター性を確立しています。特に注目すべきは、その巧みな商品PR手法です。動画内で自然に自社製品を使用するなど、さりげない演出を心がけています。これにより、露骨な宣伝を避けつつ、視聴者に好感を持たれるキャラクター像の構築に成功しているのです。
まとめ
ネットメディアの新たな活用法として注目を集めている「VTuber」。
広告手法としての利用だけでなく、人手不足対策や経費削減のための「バーチャル店員」としての活用も始まっています。
「VTuber」の活動領域は今後さらに拡大し、新しい可能性を秘めていると考えられます。
技術の進歩とともに、エンターテインメントや接客サービスなど、様々な分野での「VTuber」の活躍が期待されています。
この革新的な技術は、ビジネスモデルの変革や新しい職種の創出にもつながる可能性があり、今後の発展が楽しみな分野と言えるでしょう。