近年、IT業界では新たなキャリアトレンドが見られます。
SESやSIer企業から事業会社のIT部門へ転職する技術者が増加しています。
事業会社のSEは、より幅広い業務を担当することが多いですが、SIerでの経験が活きる場面も多々あります。
このキャリア移行には様々な利点と課題がありますが、適切な戦略を立てることで年収アップの可能性も高まります。
事業会社への転職を考える際は、自身のスキルと目標を慎重に評価し、最適な選択をすることが重要です。
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事業会社とは？どんな企業が含まれる？
事業会社とは：定義と具体例
事業会社とは、営利目的で経済活動を行う会社のことを指します。広義では、金融以外のあらゆる事業を営む会社が該当します。
簡単に言えば、商品の製造や生産を行う会社が事業会社と呼ばれます。
具体的な例としては、スーパーマーケット、メーカー、小売店、飲食店、IT企業などが挙げられます。また、目に見える形のある商品を販売するだけでなく、サービスを提供する企業も事業会社に含まれます。
日本のIT業界における事業会社の代表的な例として、以下の企業が挙げられます：
- NTT（日本電信電話）
- ソニーグループ
- 日立製作所
- パナソニック
- ソフトバンクグループ
これらの企業は、日本のIT事業会社の中でも売上高ランキング上位に位置する大手企業として知られています。
コンサルティング企業と事業会社の違い
コンサルティング企業は、クライアント企業の課題を特定し、改善策を提案する会社です。
自社で直接的な利益を生み出す事業は行わず、事業会社に経営課題についての助言を提供することで収益を得ています。
このため、コンサルティング企業自体は事業会社には分類されません。
弁護士事務所や会計事務所も同様に、個人のスキルを活用して利益を得る職業であり、事業会社とは見なされません。
事業会社が組織として製品やサービスを提供するのに対し、これらの専門家は個人の専門知識を提供します。
金融業界の企業、特に銀行や証券会社なども事業会社には含まれません。
これらの金融機関は、商品の製造や生産ではなく、融資や株式・有価証券の発行、流通を主な事業としているためです。
また、金融庁の管轄下にあることも、通産省が管轄する一般的な事業会社との違いの一つです。
事業会社に転職するメリット・デメリットとは
事業会社転職の魅力：一貫性と安定性
事業会社への転職の大きな魅力は、サービスやプロダクトの企画から運用まで一貫して携わることができる点です。
自社のコミュニティ内でサービスを展開する事業会社では、上流工程からリリース後の運用まで幅広く関与できます。これは、常駐先が頻繁に変わるSESとは異なる特徴です。特に大手企業や老舗企業ではこの違いが顕著に現れます。
また、事業会社は安定した就業環境を提供することが多いのも特徴です。大企業や老舗企業が多く、固定の職場で働くことができ、高年収や充実した福利厚生などの待遇が期待できます。
長期的に同じ環境で働くことで、良好な人間関係を構築し、高い評価を得るチャンスも増えます。これらの点が、事業会社への転職を考える際の重要な要素となっています。
IT投資消極企業の人材育成と業務の課題
企業のIT投資に対する姿勢は様々で、消極的な場合もあります。そのような企業では、技術や開発環境が特定のコミュニティや固有のスキルに偏っていることがあり、最新のIT知識を持つ人材が社内に少ないこともあります。
この傾向は、デジタルトランスフォーメーション（DX）を推進しようとする事業会社に多く見られます。SESなどの外部委託型の仕事では、多様なスキルに触れる機会が多いのに対し、自社システムに集中している事業会社では、特定の業務やスキルに偏りがちです。
そのため、スキルアップが困難になることもあり、独学や外部の知見豊富な人からの学習など、個人の努力が必要となることがあります。
IT人材が少ない事業会社では、システム開発以外にも様々な業務を担当することになる可能性があります。例えば、
- 機器のトラブル対応
- PCやスマートフォンの設定
- ソフトウェアのインストール
など、ITに関する幅広い業務を担当することがあります。
このような環境は、システム開発だけでなく、IT関連の多様な業務に携わりたい人にとっては魅力的な側面もあります。ただし、主要な業務に集中できない可能性もあるため、個人の希望や career goals に応じて慎重に検討する必要があります。
IT人材確保に向けた企業の取り組み
IT人材を積極的に求める企業の特徴として、デジタル分野の強化が挙げられます。
DX推進の流れに伴い、IT系以外の企業でもデジタル領域に精通した人材の確保が急務となっています。
また、「内製化」をビジョンに掲げる企業でもIT人材の需要が高まっています。
自社にITノウハウがない企業は、IT部門の人材確保を重要課題と認識し、給与体系や評価制度、待遇面での柔軟な対応を行っています。
具体的には、
- 昇給レンジの拡大
- リモートワークへの対応
- 前職の待遇を考慮した条件調整
などが見られます。
大手企業においても、年功序列ではなく実績や貢献度を重視する評価システムの導入や、働きやすい環境の整備に取り組む企業が増えています。
これらの取り組みは、IT人材の獲得と定着を目指す企業の姿勢を反映しています。
事業会社のIT部門に転職すると年収はどうなる？
2022年10月から2023年3月までの半年間において、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を利用して事業会社へ転職を果たした方々の年収情報を分析しました。
この期間中の転職成功者の年収データに基づいて、最新の転職市場の傾向や特徴をご紹介いたします。
IT人材の年収動向と転職時の注意点
2022年10月から2023年3月にかけて、IT分野で内定を受諾した人材の平均決定年収は約514万円に達しました。これは同期間のIT人材全体の平均年収である約508万円をわずかに上回っています。
ただし、事業会社の中には福利厚生が充実している企業や、高額なボーナスを支給する企業も存在します。これらの要素を考慮すると、実質的な年収はさらに高くなる可能性があります。
そのため、事業会社への転職を検討する際は、基本給だけでなく、福利厚生やボーナスなどの付加的な待遇も含めて総合的に評価することが重要です。これらの要素を慎重に検討することで、より適切な企業選択につながるでしょう。
エンジニア職、最高年収551万円の背景
職種別の平均決定年収を分析したところ、興味深い結果が得られました。
という順になりました。
エンジニア職の年収が突出している背景には、企業のデジタルトランスフォーメーション（DX）推進への強い需要があると考えられます。多くの企業がIT投資に積極的であり、製品やサービスの開発だけでなく、社内システムや組織体制の改革にもDXの必要性を強く感じています。
このような状況下で、エンジニアの採用は企業にとって極めて重要な課題となっています。優秀なエンジニア人材を確保するため、多くの企業が競争力のある高額な年収をオファーする傾向にあります。これが、エンジニア職の平均年収を押し上げている主な要因だと推測されます。
IT人材として事業会社への転職を成功させるコツ4選
SIerから事業会社IT部門への転職トレンド
近年、SIerやコンサルティング企業から事業会社のIT部門へ転職を検討する人材が増加しています。
SIerでは通常、システム開発の一部分に特化した業務が中心となり、開発から納品、その後のサポートまで一貫して携わる機会は限られています。
一方、事業会社のIT部門では、プロジェクトの企画段階から実装、運用、さらにはアフターケアまで、全てのプロセスに主体的に関与できる可能性が高くなります。
事業会社への転職を考える際の主な動機としては、以下のような点が挙げられます：
- サービスの企画から運用まで一貫して携われる
- 組織全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に貢献できる
- マーケティングや経営戦略など、IT以外の部門とも密接に連携できる
これらの要素を考慮し、自身のキャリアゴールや希望する業務内容を明確にすることが、事業会社への転職を成功させる鍵となります。
適正年収で知る自身の市場価値
自身の市場価値を正確に把握するには、同じ職種・業界の平均年収を知り、自分の「立ち位置」を理解することが重要です。
つまり、市場価値は適正年収と言い換えることができます。現在の自分の適正年収と市場価値を比較することで、どのレベルの企業に転職できる可能性があるかを事前に知ることができ、これが事業会社へのより良い転職につながる鍵となります。
適正年収は、年齢、職種、経験年数などのスキルに大きく影響されます。これらの要素を考慮した「年収診断」というツールが、転職関連のウェブサイトで提供されています。このツールは、簡単な質問に答えるだけで、同年代や同職種の人との年収の差を知ることができます。
年収診断は、事業会社への転職を考えている人だけでなく、現在の年収に不安や疑問を持っている人にとっても有用なサービスです。自分の適正年収を知ることで、キャリアプランニングや給与交渉の際の参考にすることができます。
事業会社への転職：慎重な評価の重要性
事業会社での勤務は、SESやSIerと比較して、より安定した環境と一貫した規範の中で行われます。
同僚や業務内容も比較的長期にわたって変化が少ないのが特徴です。そのため、転職を検討する際には、以下の点を慎重に評価することが極めて重要となります。
- まず、その会社の企業文化や理念に自分が共感できるかどうかを十分に吟味しましょう。
- 次に、自身のスキルセットが新しい職場で本当に活用できるのか、客観的に分析する必要があります。
- 最後に、職場の雰囲気や同僚の性格が自分と相性が良いかどうかも重要な判断基準となります。
これらの要素を綿密に検討することで、長期的に満足できる転職先を見つけることができるでしょう。
事業会社転職の不安解消：専門家サポートの活用
事業会社への転職に不安を感じている方には、専門家のサポートを受けることをお勧めします。キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントなどの転職のプロフェッショナルから、的確なアドバイスを得ることができます。これらの専門家は、あなたのスキルやキャリアを客観的に評価し、適切な年収の目安を提示してくれます。
また、彼らは多くの非公開求人情報を持っており、あなたに合った魅力的な転職先を紹介してくれる可能性があります。さらに、応募書類の添削サービスや、一般には知られていない企業の詳細情報なども提供してくれます。
このような専門家のサポートを受けることで、個人で転職活動を進めるよりも効率的に、そして成功率を高めて事業会社への転職を実現できる可能性が高まります。転職に不安を感じている方は、ぜひこのようなプロのサポートを検討してみてください。
IT人材の事業会社転職のメリット
SESやSIer、コンサルティング企業から事業会社のIT部門への転職には、多くのメリットがあります。
その最大の特徴は、サービスやプロダクトの企画から運用まで一貫して関わることができる点です。これは事業会社ならではの魅力といえるでしょう。
また、安定した環境でスキルやノウハウを身につけられることも大きな利点です。このため、IT人材にとって事業会社は非常に魅力的な転職先の一つとなっています。
転職を考える際には、これらの利点を踏まえ、事業会社への転職も選択肢の一つとして検討することをおすすめします。キャリアアップや新たな挑戦を求めるIT人材にとって、事業会社のIT部門は大きな可能性を秘めた転職先といえるでしょう。
エンジニアの年収事例と高収入への道
エンジニアの年収事例:
| 開発エンジニア: | 600〜800万円 |
| WEBエンジニア: | 500〜700万円 |
| スマホアプリエンジニア: | 750〜800万円 |
これらの数字は一般的な範囲を示しており、実際の年収は経験、スキル、勤務地、企業規模などの要因によって変動する可能性があります。エンジニアとしてのキャリアを考える際の参考情報としてご活用ください。
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