情報処理サービス業界は、現代のIT技術の中核を担う重要な分野です。
ビッグデータ分析やサイバーセキュリティなど、デジタル社会に不可欠な技術を提供しています。
この業界は急速に成長しており、高い需要と将来性を持つことから、多くのエンジニアにとって魅力的な転職先となっています。
情報処理サービスには様々な専門分野があり、
- データサイエンティスト
- クラウドエンジニア
など、多様な職種が存在します。
技術革新が続くこの業界では、常に新しい知識とスキルが求められ、キャリアアップの機会も豊富です。
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情報処理サービス(SI)業界とは?
情報処理サービス業界の階層構造と業務フロー
情報処理サービス業界は、情報システムに関する総合的なサポートを提供する分野です。
この業界では、情報システムのコンサルティングから開発、運用・運営まで、幅広い業務を担当します。顧客の要望に応じた包括的なソリューションを提供するため、独特の階層構造を持つことが特徴です。
通常、以下のような流れで業務が進められます:
- 一次請け企業がシステム提案や基本設計を担当
- 二次請け企業が詳細設計を行う
- 三次請け企業が実際の開発実装や保守作業を担当
この構造により、効率的かつ専門的なサービス提供が可能となっています。
SIer企業の3つの分類と特徴
情報処理サービス業界の企業は、主に独立系、ユーザー系、メーカー系の3つに分類されます。
独立系SIerは、親会社やグループに属さず独自のシステム開発事業を展開する企業です。制約が少なく柔軟性があり、自社のアイデンティティを発揮できるのが特徴です。市場競争が激しく、常に最新技術とトレンドに対応し、顧客ニーズに応える高度なソリューションの提供を重視しています。
ユーザー系SIerは、主に大企業の保険会社や銀行の情報システム部門向けにサービスを提供します。クライアント企業と強いつながりを持ち、外部からのプロジェクトを中心に受注しています。高度な情報システムソリューションを提供し、その信頼性と実績から多くのプロジェクトを獲得しています。
メーカー系SIerは、コンピューターやハードウェアを製造するメーカーの情報処理部門やソフトウェア開発部門から独立した企業です。親会社のハードウェアと組み合わせたソリューションを提供するのが特徴で、製品とソフトウェアの連携を得意としています。高品質なサーバー製品を提供し、製造業、金融業、流通業など多くの業界にサービスを展開しています。
これら3つのタイプのSIer企業は、それぞれの特性を活かしながら、多様な顧客ニーズに応える高品質なITソリューションを提供しています。
情報処理サービス(SI)業界で活躍できる職種
IT業界の7つの主要職種とそのスキル
プログラマー、システムエンジニア、インフラエンジニア、セキュリティエンジニア、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャー、データサイエンティストの7つの職種について、それぞれの特徴と求められるスキルを解説します。
プログラマーは、プログラミング言語を使用してシステムやソフトウェアを実装する職種です。プログラミングスキルだけでなく、論理的思考力やコミュニケーション能力も重要です。キャリアアップの可能性も高い職種です。
システムエンジニアは、要件定義から設計、テスト、運用・保守まで幅広い業務を担当します。顧客折衝力や課題解決能力、プログラミングスキルが求められます。
インフラエンジニアは、OS・ネットワーク・サーバーなどのシステム基盤を扱います。技術スキルに加え、顧客折衝能力やプロジェクトマネジメントスキルも重要です。
セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃対策やセキュリティインシデント対応を行います。インフラやITの基礎知識、サーバー、OS、ネットワークの知識が必要です。
アプリケーションエンジニアは、システム開発の一連の作業を担当します。HTML、CSS、Java、PHPなどの基本スキルに加え、幅広いシステム開発知識が求められます。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の管理を行います。管理スキル、課題解決スキル、分析スキル、コミュニケーションスキルが重要です。
データサイエンティストは、データ分析と課題解決を行います。ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力が必要で、幅広い視野と多角的な思考が求められます。
情報処理サービス業界の主要職種とその役割
情報処理サービス業界の営業職は、顧客の課題解決のために自社のサービスやソフトウェアを提案・販売する役割を担います。この職種では、以下のスキルが必須として求められます:
- コミュニケーション能力
- 提案・交渉力
- ヒアリング力
- 論理的思考力
また、ITの知識と自社製品への深い理解も不可欠です。
プリセールスは、営業職に同行し、技術面から契約や受注獲得を支援します。営業よりも専門的な知識が必要で、営業とエンジニアの橋渡し役として機能します。顧客の要望を技術者目線で開発現場に伝えたり、営業に技術的な助言を行ったりするのも重要な役割です。
ITコンサルタントは、ITを活用して企業の課題改善を図ります。クライアント企業の経営戦略に基づき、IT投資計画の策定やツールの選定・導入を支援します。以下のスキルが求められます:
- ビジネスの知識
- ITの専門知識
- プレゼンテーション能力
- プロジェクトマネジメントスキル
DXコンサルタントは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進をサポートします。計画立案、マーケティング方針の提案、計画実行までを担当し、デジタル人材の育成も重要な役割です。既存業務のデジタル化だけでなく、組織改革や新規ビジネスの創出まで幅広くサポートします。
【情報処理サービス(SI)業界】大手企業売上高ランキング
富士通:戦略転換で業績好調
富士通は、日本を代表する大手システムインテグレーターとして広く知られています。
国内市場でトップの地位を占めるだけでなく、グローバル市場においても売上高で世界第5位にランクインしています。
近年、同社はハードウェア事業から撤退し、ソフトウェア事業に注力する戦略転換を行いました。
この決断は功を奏し、2022年度の決算では過去最高の営業利益を達成しました。
さらに、2023年度の売上収益予想は3兆8600億円で、前期比3.9%の増加が見込まれており、同社の成長が続いていることを示しています。
NECの成長と強み:総合電機大手の戦略
NECは日本を代表する総合電機メーカーの一つで、業界内で第2位の売上高を誇っています。
幅広い業種にわたる顧客基盤を持ち、特に以下の分野で強みを発揮しています:
- 製造
- 流通
- 金融
同社の特徴は、システムインテグレーション事業と自社製ハードウェアを組み合わせた高度な技術ソリューションの提供にあります。
2023年度の業績予想では、売上収益が前年度比2.0%増の3兆3800億円に達する見込みとなっており、着実な成長を続けています。
NTTデータ:技術力と信頼性で躍進する日本のIT巨人
NTTデータは、日本を代表するシステムインテグレーターとして、官公庁や自治体向けのシステム構築で高い実績を誇っています。
同社の強みは、以下の通りです:
- 長年にわたって築き上げてきた信頼性
- 多様なベンダーに対応できる柔軟性
- 顧客ニーズに合わせた先進的なサービス提供能力
- 新たなビジネスモデルを生み出す技術力
特に近年は、ビッグデータ、AI、IoTといった先端技術分野での成果が目覚ましく、これらが同社の業績向上に大きく貢献しています。
2023年度の業績予想では、売上収益が前年同期比で約50%増加し、1兆149億円に達する見込みとなっています。
日立製作所: 総合力とLumadaで業界上位を維持
総合電機メーカーの大手として知られる日立製作所が業界内で上位にランクインしています。
日立は「OT×IT×プロダクト」という総合力を活かし、幅広い分野で技術を提供しています。
同社の特徴として、以下が挙げられます:
- ITのベンダーとユーザー双方の視点を持つ点
- これを反映した独自のデジタルプラットフォーム「Lumada」を戦略の中心に据えている点
2023年4~6月期の業績予想は以下の通りです:
項目 | 予想 |
---|---|
売上収益 | 前年同期比で減少が見込まれる |
調整後営業利益 | 増加が予想される |
堅調な業績を維持しています。
野村総合研究所:成長続く総合ITサービス企業
第5位に選ばれたのは野村総合研究所です。
この企業は、コンサルティングや様々なITソリューション、IT基盤サービスなど、幅広い分野で事業を展開しています。
多くの企業の課題解決に貢献し、最先端の技術を活用したサービス提供により、高い将来性が評価されています。
2023年4月から6月期の業績も好調で、売上収益は前年同期と比較して5.5%増加し、1767億円を記録しました。
情報処理サービス(SI)業界の将来性と注目の分野
情報処理サービス業界の成長と将来性
情報処理サービス業界は、高い将来性を持つ業界として注目されています。この背景には、従来の情報システムの継続利用に加え、AI・IoT・ビッグデータなどの先端IT技術への需要が急増していることがあります。
業界の成長を示す具体的な数字として、経済産業省の調査によると、2020年度の情報サービス業の売上高が53兆4,498億円と過去最高を記録しました。これは、業界全体の需要が着実に拡大していることを示しています。
さらに、急速なIT技術の進化に対応できる専門家や技術者の不足も、業界の需要を押し上げる要因となっています。経済産業省の調査では、2030年までにIT人材の需給ギャップが16〜79万人に達する可能性が指摘されており、人材不足が深刻化することが予想されています。
これらの要因から、情報処理サービス業界は今後も成長が続き、さらなる発展が期待される業界だと言えるでしょう。
情報処理サービス業界の最新トレンド
ビッグデータは、従来のデータベースソフトで処理できない大量のデータを指します。
オンラインショッピングの履歴やICカードの利用記録、SNSの投稿など、様々な情報が含まれます。
多くの企業がマーケティングにおけるビッグデータの分析価値に注目しており、専門的な情報処理サービス業界の需要が高まっています。
デジタル・トランスフォーメーション(DX)は、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、新しいサービスを生み出すプロセスです。
紙ベースの業務の電子化や、様々な業界でのテクノロジー活用が進んでいます。
DXは業務効率化や顧客体験向上、新たな収益モデル構築を可能にし、競争力強化の手段として注目されています。
第5世代移動通信システム(5G)は、高速通信と多数機器の接続を可能にする次世代技術です。
ビデオストリーミングやクラウドサービス、リアルタイムデータ処理などで高いパフォーマンスを発揮します。
産業用途でも革新をもたらすと期待され、自動運転車やスマート都市、工場自動化など幅広い分野での応用が見込まれています。
セキュリティは情報処理サービス業界で急速に重要性を増しています。
ハッカーの手法が高度化し、脅威が増大しているため、セキュリティ強化技術や関連業務への需要が高まっています。
特に金融業界では、キャッシュレス決済などのサービス普及に伴い、高度なセキュリティ対策が不可欠となっています。
RPA(Robotic Process Automation)は、人間の定型業務を自動化する技術です。
手書き文字の読み取りやデータ化、コンピュータの処理状況に応じた作業指示など、様々な業務に適用されています。
業務効率化のため、RPAの需要は急速に増加しており、情報処理サービス業界で重要な役割を果たしています。
自動運転技術も情報処理サービス業界の注目分野です。
自動車の自律運転には高度なソフトウェアが必要なため、業界は自動車メーカーと連携して技術開発に取り組んでいます。
衝突防止ソフトウェアなど高度なシステム開発が進められ、将来の交通安全性やモビリティ革新への貢献が期待されています。
情報処理サービス(SI)業界で役立つスキル・資格
ITキャリアの登竜門:基本情報技術者試験
「基本情報技術者試験」は、ITプロフェッショナルに求められる基礎的な知識と実践力を評価する重要な資格試験です。
この試験に合格することで、情報技術を活用した問題解決能力や、システム開発のスキルを持っていることを証明できます。
合格者は、IT業界の様々な分野で活躍できる可能性が広がり、キャリアアップの有力な足がかりとなります。
IT分野でのスキルアップや専門性を高めたい人にとって、挑戦する価値のある資格といえるでしょう。
プロジェクトマネージャ試験:IT専門家の登竜門
「プロジェクトマネージャ試験」は、高度なIT専門知識とプロジェクト管理能力を評価する国家資格です。
この試験に合格することで、ITプロジェクトの全過程を効果的に統括できる能力を持つことが証明されます。
資格取得は、プロジェクトマネージャーとしてのスキル向上につながり、IT業界でのキャリア発展に大きく貢献します。
そのため、情報処理サービス分野で活躍したい専門家にとって、非常に価値のある資格として認識されています。
AWS認定:クラウド時代の必須スキル
AWS認定は、クラウドコンピューティング分野で高く評価される資格として注目を集めています。
この認定は、Amazon Web Services (AWS) に関する深い知識と実践的スキルを証明するものです。
認定取得者は、AWSを用いたシステムの設計から運用まで、幅広い領域での専門性を有することが認められます。
クラウド技術の急速な普及に伴い、多くの企業がAWSを採用しており、AWS認定の価値は年々高まっています。
そのため、IT業界でのキャリア発展や専門性の向上を目指す方々にとって、非常に魅力的な資格となっています。
情報処理サービス(SI)業界を目指すなら転職エージェントにご相談ください!
今回は、情報処理サービス業界の概要や活躍できる職種、注目の分野などを紹介しました。
高度なセキュリティ技術の必要性やIT技術の急速な進化により、この業界の需要は今後さらに高まると予想されています。
情報処理サービス業界でのキャリア構築に興味がある方は、積極的に挑戦する価値があるでしょう。ただし、この業界への転職を考える際は、業界特有の知識や各職種の特性を十分に理解することが重要です。
そのため、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」のようなサービスを活用しながら転職活動を進めることが効果的かもしれません。
情報処理サービス業界は、技術革新が速く、常に新しい知識とスキルが求められる分野ですが、同時に大きな成長と可能性を秘めた魅力的な業界でもあります。