RDBMSとNoSQLの違いを完全解説:特徴・メリット・デメリットを徹底比較

RDBMSは、その革新的な特性により、データベース業界に大きな影響を与えました。現在でも多くの企業で広く使用されています。

しかし、情報やデータ量が急増する中、新たなニーズに対応するためにNoSQLが開発されました

両者には異なる特徴があり、それぞれに長所と短所があります。

本文では、RDBMSとNoSQLの主要な特徴を比較し、それぞれの利点と課題について簡潔に解説します。

週10時間の副業案件を
会員登録した方限定で配信中!

RDBMSからNoSQLへ

RDBMSからNoSQLへ

RDBMSは1960年代に登場し、階層型データベースに代わる新しいデータ管理システムとして台頭しました。

1970年代以降、多くの企業がRDBMSを採用し、主要なデータベースシステムとしての地位を確立しました。

しかし、時代とともにRDBMSの処理速度や分散処理能力に関する課題が顕在化してきました。

これらの問題に対応するため、現代のニーズに適合した新しいデータベースシステムの必要性が認識されるようになり、その結果としてNoSQLが開発されました。

NoSQLは、RDBMSの限界を克服し、より柔軟で効率的なデータ管理を可能にする新たな選択肢として注目を集めています。

RDBMSの基本と特徴

RDBMSは関係データベース管理システムの略称で、関連性のあるデータを表形式で管理するシステムです。データの操作にはSQL言語が使われます。

RDBMSではデータを格納する単位をテーブル、各項目をカラムと呼びます。例えば、商品データのテーブルには以下のようなカラムがあり、それぞれにデータが入ります:

  • 商品番号
  • 商品名
  • 商品ID

RDBMSの特徴は、テーブル間でデータを関連付けられることです。例えば、商品IDを使って商品テーブルと販売店舗テーブルを紐づけることができます。このようにデータ間の関係を明確に定義することで、複雑なデータ構造も効率的に管理できます。

RDBMSはデータの整合性を保ちつつ、柔軟なデータ操作を可能にする強力なツールです。

NoSQL

NoSQL

NoSQLデータベースの特徴と種類

NoSQLは「Not only SQL」の略称で、従来のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)とは異なるデータベースシステムを指します。

RDBMSの限界を克服するために開発され、SQLを使用せずにデータを管理できる特徴があります。

NoSQLデータベースの中で最も一般的なのは、キー・バリュー型です。この形式では、各データ項目がキーと値のペアで構成されており、例えば「商品1:りんご」「商品2:みかん」のような単純な構造を持ちます。

また、XMLやJSONなどの柔軟なデータ構造を扱えるドキュメント型データベースも存在します。これらは、データスキーマを容易に変更できる特性を持っています。

NoSQLは、多様なデータ管理ニーズに対応するため、さまざまな種類やサービスが提供されています。

RDBMSとNoSQLの違い

RDBMSとNoSQLの違い

NoSQLとRDBMSは、データ管理において異なるアプローチを取る二つの主要なデータベースシステムです。

RDBMSは厳格な構造と複雑なデータ関係を扱うのに適しており、SQLを使用してデータを操作します。一方、NoSQLはより柔軟な設計を持ち、一般的なプログラミング言語でデータにアクセスできます。

これらの違いは、それぞれのシステムが生まれた背景と密接に関連しています。RDBMSは一貫性と正確性を重視する一方、NoSQLは処理速度とスケーラビリティに優れています。

両者の特徴を比較すると:

  • 分散性: NoSQLが優れている
  • 拡張性: NoSQLが優れている
  • 一貫性: RDBMSが優れている
  • 検索機能: RDBMSが優れている

このように、RDBMSとNoSQLはそれぞれ異なる強みを持っており、用途に応じて適切なシステムを選択することが重要です。

それぞれのメリットとデメリット

それぞれのメリットとデメリット

RDBMSの主要メリット:一貫性、効率性、高度な操作性

RDBMSの主要なメリットは、データ処理の一貫性が保証されていることです。データベースの処理が正常に完了した場合のみ結果が反映され、異常時は自動的に処理前の状態に戻ります。これにより、エンドユーザーは常に整合性のとれたデータを扱うことができます。

また、RDBMSは複数のテーブルを効率的に連結してデータベースを構成できるため、データの追加・削除・更新といった操作の処理コストを大幅に低減させることが可能です。これは特に大規模なデータベースを扱う際に大きな利点となります。

さらに、SQL言語を使用することで、複雑なデータ構成においても高度な検索や集計を正確かつ迅速に実行できます。これにより、ビジネスインテリジェンスや意思決定支援システムなど、データ分析を必要とするアプリケーションの開発が容易になります。

NoSQLの利点:高速処理と拡張性

NoSQLデータベースの主な利点は、高速なデータ処理と容易な拡張性です。NoSQLは、データの一貫性やバリデーションなどの機能を簡素化し、サーバーの水平分散を可能にしました。これにより、データ処理速度が大幅に向上しています。

さらに、NoSQLの特徴として、データ量が増大した場合でも柔軟に対応できる点が挙げられます。必要に応じてサーバーを追加し、システムを水平方向に拡張できるため、大規模なデータ処理にも適しています。

ここで言う水平分散とは、複数のコンピューターが協調して一つのタスクを処理する方式を指します。この方式により、NoSQLデータベースは効率的にリソースを活用し、高いパフォーマンスを維持することができます。

RDBMSの主な課題:スケールアウト、拡張性、処理速度

RDBMSには、スケールアウト、拡張性、処理速度の面でいくつかの課題があります。

まず、スケールアウトに関しては、データの一貫性を維持する必要があるため、書き込み操作を複数のサーバーに分散させることが困難です。これにより、システムの水平方向の拡張が制限されます。

拡張性については、読み取り操作の拡張は比較的容易ですが、書き込み操作の拡張には技術的および時間的なコストがかかります。これは、データの整合性を保ちながら書き込み能力を向上させることが複雑な作業であるためです。

処理速度に関しては、データ量が増大するにつれて性能が低下する傾向があります。特に大規模なデータセットを扱う場合、クエリの実行時間が長くなり、全体的なシステムのレスポンスが遅くなる可能性があります。

これらの制約は、RDBMSを使用する際に考慮すべき重要な要素となります。

NoSQLの制約:一貫性と検索機能の限界

NoSQLデータベースには、データの一貫性と検索機能に関して一定の制限があります。

従来のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)では、ACIDプロパティを通じてデータの整合性を厳密に維持しています。これに対し、NoSQLは水平スケーリングを重視するため、完全な一貫性よりも可用性と分断耐性を優先しています。

また、NoSQLではSQL言語を使用できないため、複雑なクエリや高度な検索機能が制限されます。これは、大規模なデータセットに対する単純な操作や高速な読み書きには適していますが、複雑なデータ分析や多表結合のような操作には向いていません。

このように、NoSQLはスケーラビリティと性能面で利点がある一方、データの厳密な一貫性や複雑なクエリ機能においては従来のRDBMSに劣る面があります。

データで見る市場規模

データで見る市場規模

RDBMSの根強い人気:NoSQLとの共存

NoSQLの登場時には、RDBMSの市場シェアが減少すると予測されていましたが、実際にはRDBMSを使用する企業が依然として多数を占めています

現在、データベースエンジンは345種類以上存在しますが、DB-ENGINESの調査によると、2019年4月時点で最も人気のあるデータベースシステム上位4つはRDBMSであり、5位にNoSQLの代表格MongoDB が入っています。

このデータから、RDBMSが現在も強い支持を得ていることがわかります。2008年から2016年頃にかけてNoSQLの成長率は確かに高かったものの、2017年頃からその伸びは緩やかになっています。

現在のデータベースシステムの人気シェアは、トップ10のうち7つがRDBMS、3つがNoSQLという構成で安定しています。人気率で見ると、RDBMSが約75%、NoSQLが約25%となっています。

データベース市場におけるオープンソースの台頭

2013年頃までは商用データベース製品の人気が65%と優勢でしたが、2019年には52%まで低下し、対照的にオープンソース製品が35%から50%近くまで上昇しました。

この変化は、オープンソース製品の品質向上や多様なデータベースシステムの登場が要因と考えられます。特定のデータベースジャンルでは、80%以上の製品がオープンソースで提供されているケースもあります。

人気製品のランキングを見ると、

  • オープンソース側ではMySQL、PostgreSQL、MongoDB、Redis、Elasticsearchが上位を占め、
  • 商用側ではOracle、Microsoft SQL Server、IBM Db2、Microsoft Access、Splunkが主要な製品となっています。

この傾向は、データベース市場における選択肢の多様化と、ユーザーニーズの変化を反映していると言えるでしょう。

時系列データベースの台頭

近年、時系列データベース管理システム(Time Series DBMS)が注目を集めています。

この種のデータベースは、時間軸に沿ったデータの保存と処理に特化しており、その名前が示す通りの機能を提供します。

NoSQLの一種として分類される時系列データベースは、特にここ2年間でインターネット上での検索頻度が増加しています。

データ管理の新たなトレンドとして、多くの専門家や開発者がこの技術に関心を寄せており、今後の発展が期待されています。

まとめ

まとめ

RDBMSは、関連性のあるデータを表形式で管理し、SQL言語で操作するシステムです。データの一貫性が保たれており、複雑なデータ操作が可能です。一方、NoSQLはRDBMS以外のデータ管理システムで、SQLを使用せずに操作できます。処理速度が速く、分散処理や拡張性に優れています。

RDBMSとNoSQLの主な違いは、RDBMSが「データの一貫性」を重視するのに対し、NoSQLは「柔軟性と処理速度」を重視している点です。しかし、最近では両者の特徴を取り入れる傾向があり、RDBMSがNoSQL的な性能を追加したり、NoSQLがRDBMS的な機能を備えたりと、互いに改善を重ねています。

このように、データ管理システムは常に進化しており、それぞれの長所を活かしながら、より効率的なデータ処理を目指しています。