フリーランスとしての一歩を踏み出す際には、経費の計算や確定申告を自分自身で行う必要があります。
「経費にはに何が含まれるの?」
「領収書をどうすれば良いの?」
「何が経費になるの?」
このような疑問を持つ方は多いかもしれません。初めての経費計上をする場合、不安や難しさを感じてしまうことでしょう。
この記事では,
- フリーランスが経費にできるもの
- フリーランスの経費にできないもの
- 経費のグレーな項目
- フリーランスで安定する経費率
について解説していきます。
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フリーランスエンジニアの経費にできるもの5選
ここではフリーランスが経費にできるものを説明します。
家賃や光熱費ははっきりと事業費と生活費と区別することは難しいため、事業での使用分だけ時間で計算して、家事按分として分けて計算する必要があります。
計算方法に関しては、のちほど解説しています。
地代家賃
仕事のために、オフィスやレンタルスペースを借りていれば、そのレンタル代も含まれます。自宅の一部をオフィスとしている場合は、オフィスとして使用している専有面積の割合をもとに賃貸料の一部を計上できます。
<居住と事業で使用している「スペースの割合」から求める方法>
例:家賃7万円で居住スペースが40㎡、事業スペースが10㎡の場合
(1)按分率:10㎡ ÷ 40㎡ = 0.25(25%)
(2)経費計額:70,000円(1ヶ月の家賃)× 25%(按分率)= 17500円
<事業で部屋を使用した「時間の割合」から求める方法>
例:家賃が7万円で自宅での業務時間が1日8時間、週5日間の場合
(1)1週間の業務使用時間:8時間 × 5日 = 40時間
(2)1週間の総時間:24時間 × 7日間 = 168時間
(3)按分率:40時間 ÷ 168時間 = 0.238...(約24%)
(4)経費計上できる額:70,000円(1ヶ月の家賃)× 24%(按分率)= 168,000円
水道光熱費
電気料金とガス水道代は計算法が異なるため、それぞれについて紹介していきます。
電気代の計算
電気料金の家事按分方法として、業務用として利用しているコンセントの数で計算する方法、業務での利用時間を元に計算する方法の二種類があります。
<業務での利用時間を元に計算する方法>
例:月の電気料金が9000円、業務時間1日8時間、週に5日間の場合
(1)1週間の業務使用時間:8時間 × 5日 = 40時間
(2)1週間の総時間:24時間 × 7日間 = 168時間
(3)按分率:40時間 ÷ 168時間 = 0.238...(約24%)
(4)経費計上できる額:9,000円(1ヶ月の電気代)× 24%(按分率)= = 2,160円
<業務として利用している自宅のコンセント数で計算する方法>
例:月の電気料金が9000円、自宅の電源の差し込み口が5個、そのうち2個を業務利用する場合
(1)按分率:2個 ÷ 5個 = 0.4(40%)
(2)経費計上できる額:9,000円(1ヶ月の電気代)× 40%(按分率) = 3,600円
ガス・水道費
料理教室などで、ガスや水道を業務用途で使用している場合、経費として計上できます。
費用は、事業でどれだけの時間使用しているかを基準として算出します。
ガス代の計算例
例:月のガス代が1万円で約4時間週5日使用している場合
(1)1週間の業務使用時間:4時間 × 5日 = 20時間
(2)1週間の総時間:24時間 × 7日 = 168時間
(3)按分率:20時間 ÷ 168時間 = 0.1…(約10%)
(4)経費計上できる額:10,000円(1ヶ月のガス代)× 10%(按分率)= 1,000円
通信費
使用日数、時間から経費計上する方法があります。携帯料金や、インターネットの通信費も、経費計上をすることができます。通信費は、使用日数や使用時間から割合を求めます。携帯を仕事で多く使う場合、業務用の携帯を契約してしまった方が、計算の手間が省けるかもしれません。
<使用日数から算出する方法>
例:月の通信量が1万6,000円 5日間使用している場合
(1)按分率:5日間 ÷ 7日間 = 0.71…(約71%)
(2)経費計上できる額:16,000円(1ヶ月の通信費)× 71%(按分率)= 11,360円
<使用時間から算出する方法>
例:インターネット使用料が月額15,000円、1日8時間週に6日、インターネットで仕事をしている場合
(1)1週間の業務使用時間:8時間 × 6日 = 48時間
(2)1週間の総時間:24時間 × 7日 = 168時間
(3)按分率:48時間 ÷ 168時間 = 0.28(28%)
(4)経費計上できる額:15,000円(1ヶ月の通信費)× 28%(按分率)= 4,200円
減価償却費
10万円を超えるものを、資産の価格と法定耐用年数で分割(償却率)して申告する経費のことです。
定額法と定率法の二種類があります。定額法は資産の購入代金を毎年決まった額を計上する方法、定率方法は、最初に多めに払い、その後徐々に減少させる方法です。
計上する際にどちらか選べますが、一般的に利用されているのは定率法です。
租税公課
所得税や住民税を除いた分の税金のことです。租税は「国と地方団体」、公課とは公共団体に納付するものを指します。
「事業税」、「固定資産税」、「自動車税」がこれにあたりますが、プライベートでも使うものは、仕事で使う分のみ計算しなければなりません。
経費計上の方法は、後ほど紹介します。
フリーランスエンジニアの経費にできないもの
次に経費にできないものを紹介していきます。税金、食事や旅行の費用は経費にはできません。
順に見ていきましょう。
税金
税金のうち、所得税と住民税は事業に関係なく、個人にかかる税金のため、経費にすることはできません。経費となるのは、仕事用のPCや車などの固定資産税に当たるものです。
食事や旅行
仕事と直接関係のない食事や旅行で使ったお金などは経費にすることはできません。友人との食事や旅行などは経費として計上することできません。仕事とプライベートは日頃からしっかり区別しておくことが大切です。
これは計上できる?グレーな項目
グレーと判断される経費は、「きちんとその用途を説明できる」ことが大切です。
経費をわざと多く計上したり、プライベートな支出を経費としてしまった場合、不足分と追徴課税(過少申告加算税、重加算税)と税金を余分に払う必要があるため、注意が必要です。
仕事仲間との飲み代
打ち合わせのため、といった理由があれば経費になります。
しかし、領収書だけではあくまで「証拠」に過ぎないため、「領収書があるから経費になる」わけではなくクライアントとの付き合いなど理由が、必要になります。
顧客とのゴルフなど
プレイ代は「交際費」として計上できるケースがあります。しかし、道具などは「仕事でのみ」という証明ができない場合は経費としての計上は難しくなります。
顧客との食事
原則、経費として計上することはできません。
交際接待費は「家事経費」として区分されていて、プライベートな費用と明確に分けることは難しいためです。一度ごとに記録して説明できるのであればこの限りではありません。
ITエンジニアがフリーランスで安定する経費率
経費率とは収入に対して経費となっている割合のことを指します。
おおよそ収入の50%が経費率の目安となっています。
■経費率=経費÷収入
電気代や家賃など、生活費と事業費を含む費用を計算し、事業での使用分を計算する方法を「家事按分」といいます。
フリーランスエンジニアが経費を計上する際に注意するべきこと
会計処理を経て、仕事の用途で使用した事が証明できる物しか経費計上できません。
そのため、次のことに注意しなければ、経費として認められない可能性が高いです。
収益はミスがないよう注意して帳簿に記載する
事業で得た収入は必ず記帳しましょう。これは所得税の申告時に用いる書類で有るため、経費とは別です。しかし、記帳の不備や不足が税務調査でペナルティの原因となることもあるためです。
レシートはしっかりと保管しておく
仕事に使用する用途で物を購入した場合は、領収書もしくはレシートをもらって保管しておくことが大切です。領収書でもレシートでも、どちらでも経費計上は可能です。
しかし、日付と商品名、取引の内容、金額、発行者住所氏名に記載がなければ証拠にすることはできないので気を付けましょう。
経費率の割合を守る
経費率は収入と経費の割合です。高いと高利益、低いと低利益です。同業者とあまりにもかけ離れていると、不正の疑いにもつながるため、しっかり割合を守ることが大切です。
まとめ
いかがでしょうか。経費計上や確定申告について解説してきました。
- 経費として計算する場合、家賃や電気代は、事業での使用分のみ計上できる。
- 経費として計算する場合、記帳と領収書の保管が重要である。
- グレーな項目についてはしっかりと「事業で使ったことが証明」できることが大切。
- 経費計上を行う際には、正確な記録と計算を心がけ、適切な経費率を守る。
- 経費に関してはしっかりと証拠を残すこと、使った理由を説明できることが大切になります。
その上で、経費にできるものはしっかりと経費計上することが大切です。