フリーランスの確定申告対策と節税術

フリーランスとして活動する際には、従業員とは異なり、自身で税金の支払いを行う必要があります。
フリーランスへの転身を検討している人の中には、「フリーランスになれば節税が可能になるのか?」と不安を抱えている方もいるかもしれません。
結論から申し上げますと、フリーランスとなっても節税は可能です。
フリーランスに関する税金や経費などを把握することで、節税対策に繋がるのです。
ただし、フリーランスといっても、所得額や事業形態によって節税できる金額は変動します。
そこで本記事では、フリーランスが納める税金や年金から具体的な節税方法まで、解説していきます。
フリーランスへの移行を検討しており、節税に関して悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

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フリーランスの納税・年金義務 (2023年版)

フリーランスの納税・年金義務 (2023年版)

フリーランスとして活動する際に支払う必要がある税金と年金について理解しましょう。
フリーランスが納付しなければならない税金は4種類あり、さらに年金や保険料の支払いも求められます。
それぞれの内容を詳しく説明していきます。

税金の種類 説明
所得税 前年の収入に応じて納付する税金。確定申告が必要。
住民税 市区町村に納める税金。前年の所得に応じて決まる。
消費税 商品の販売や役務の提供に課される税金。原則8%。
事業所税 事務所を構える場合に課される税金。事業所の床面積に応じて決まる。

  • 国民年金
  • 国民健康保険料
  • 介護保険料

上記の年金と保険料の支払いも求められます。
収入が一定額を下回る場合は、申請により支払い猶予が受けられる制度もあります。

課税所得の計算方法

個人が1年間に獲得した収益から必要経費と控除額を差し引いた金額に対して課される租税が所得税です。
収入から経費と控除を控除した残額が課税対象の所得額となるため、経費や控除額を増やすことで納税額を減らすことができます。
経費と控除の詳細については後述します。

市民税

地方自治体に対して支払う義務がある税金が住民税です。この税金は、
・前年度に得られた収入額に基づいて算出されます。
・フリーランスの方で開業した年は、前職の給与所得に応じた金額を納める必要があります。

健康保険料の見直し

国民皆保険制度の一環として、企業の健康保険や生活保護の対象外となる方々を対象とした医療保険制度があります。
この保険への加入料は、加入者個人の収入状況、年齢、世帯人数などの条件によって金額が変動します。
また、前年度の世帯収入が自治体が定める一定の基準を下回る場合、保険料の減額措置を受けることができます。

公的年金制度

日本における公的年金制度の一つが国民年金です。この制度は、以下の点に留意する必要があります。

  • 国内に居住する20歳から60歳までの全ての人々が加入することが義務付けられています。
  • 会社員の場合、事業主が半額を負担し、残りの半額が給与から自動的に控除されます。
  • 一方、自営業者やフリーランスの方は、全額を自身で支払う必要があります。
現在の月額保険料は 16,610円(2021年度時点)
ですが、 毎年度見直しが行われています。

個人事業主の税金

個人で事業を営む場合、企業が支払う法人税とは別に、個人事業税の納付が義務付けられています。この税金は、年間所得が一定額を超えた際に課される所得課税です。
国に納める所得税とは異なり、個人事業税は事業所在地の自治体に対して支払う必要があります。
税率は地域や業種によって変動するため、詳細は確認が不可欠です。

間接税の一種

国民にとって身近な課税制度が消費税です。国内で提供されるサービスや販売される商品に対して課される税金がこれにあたります。最終消費者は間接的にこの税金を負担しますが、実際に納税義務を負うのは企業や個人事業者です。

個人事業者の場合、

  • 原則として年に一度、売上高から消費税額を算出し納付する必要があります。
  • ただし、2年前の売上高が1000万円未満であれば、消費税の申告と納付が免除されます。

フリーランスの確定申告と節税対策

フリーランスの確定申告と節税対策

フリーランスにとって税金を節約する上で重要なのは、「経費の控除」と「所得控除」を理解することです。これらを適切に活用すれば、節税が可能になります。
それでは、フリーランスの節税方法について、詳細に説明していきましょう。

  • 経費の控除
  • 所得控除

確定申告で控除できるものを知ろう

所得から差し引かれるものを控除と呼びます。フリーランスにとって重要なのは、所得を直接減らす「所得控除」です。

所得控除には14種類あり、自身に適用されるものを確認する必要があります。所得控除の内容は以下の通りです。

  • 基礎控除:申告者全員が受けられ、38万円控除されます。
  • 配偶者控除:収入103万円以下の配偶者がいる場合に受けられ、控除額は本人所得と配偶者年齢で変わります。
  • 配偶者特別控除:配偶者収入が103万円以上201万円未満の場合に受けられます。
  • 扶養控除:扶養家族がいれば受けられます。
  • 雑損控除:資産に損失があった場合に発生します。
  • 医療費控除:医療費が10万円以上または所得の5%以上の場合に受けられます。
  • 社会保険料控除:健康保険料や年金を支払った場合に受けられます。
  • 小規模企業共済控除:小規模企業共済に加入していれば受けられます。
  • 生命保険控除:生命保険に加入していれば受けられます。
  • 地震保険料控除:地震保険に加入していれば受けられます。
  • 寄附金控除:国やNPOに寄付した場合に受けられます。
  • 障害者控除:自身や扶養家族に障害がある場合に受けられます。
  • 寡婦(夫)控除:配偶者がいない場合で一定の条件を満たせば受けられます。
  • 勤労学生控除:学生が受けられる控除です。

また、所得控除とは別に所得税から直接差し引く「税金控除」があり、以下の5種類があります。

配当控除 配当所得がある場合に受けられます。
住宅借入金等特別控除 住宅購入や改築時の借入金に対して受けられます。
政党等寄付金特別控除制度 政党等への寄付で受けられます。
住宅耐震改修特別控除 耐震改修工事をした場合に受けられます。
外国税額控除 海外で納税した場合に受けられます。

控除の詳細や条件については国税庁サイトで確認することをおすすめします。適切な控除を受けることで、フリーランスとしての納税額を大きく減らすことができます。

経費の範囲を理解する

事業に関連する様々な支出を経費として計上することができます。原材料費から業務で利用した飲食代まで、仕事に関わる費用は経費として処理が可能です。経費とは、「事業活動において発生した費用」を指します。
したがって、経費か否かの判断基準は、「事業との関連性」と「売上への貢献度」によります。仕事に少しでも関係がある支出は、経費として認められる可能性があります。そのため、業務関連の領収書やレシートは保管しておくことをおすすめします。領収書の保管は法的義務ではありませんが、万一の際の備えとして控えておくのが賢明です。

経費は、帳簿上の「勘定科目」に分類されて記録されます。経費には多様な種類があるため、主要な勘定科目をいくつか紹介します。

  • 開業準備費:創業時の準備にかかった費用
  • 消耗品費:仕事で使う文具やガソリン代など
  • 通信費:業務用のパソコンやスマホの通信料
  • 新聞図書費:仕事に関連する書籍や新聞の購入費
  • 雑費:執務時の飲食代など
  • 交通費:業務に関わる移動費用
  • 広告宣伝費:仕事の広告宣伝費
  • 外注費:業務の一部を外注した費用
  • 交際費:仕事上の接待交際費

勘定科目の設定ルールは明確に定められておらず、名称や分類は任意で決めることができます。例えば、ライターの場合、アイデア出しで使ったメモ用品は「消耗品費」、参考書籍代は「新聞図書費」、執筆時の飲食代は「雑費」などに分類され、経費計上が可能です。

また、自宅を事務所として使う場合、家事按分により、仕事に使う部分の光熱費や家賃を経費に計上できます。フリーランスのライターやエンジニアは、自宅を執務スペースとしている方が多いでしょう。そういった方々は、自宅の家賃や光熱費の一部を経費計上することで、節税が図れます。家事按分の具体的な計算については、会計ソフトを活用するのがよいでしょう。例えば「freee」には、家事按分を自動計算する機能が備わっています。

概要

概要

フリーランスとなった後も、様々な節税策を講じることができます。フリーランスが納税義務を負う主要な税金を把握した上で、控除と経費を活用して節税を図りましょう。

所得控除は、従事する事業によって適用される控除の種類や受け取れる金額が異なってきます。

  • まずは各控除や経費の概要を理解し、疑問点があれば国税庁のウェブサイトで確認しましょう。
  • 自身の事業に合わせて、フリーランスとしての節税対策を実施しましょう。

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本記事が皆様のお役に立てば幸いです。