セキュリティ分野における専門性を客観的に示すには、関連する資格の取得が有効な手段となります。
セキュリティに関する知識と技能を備えた人物が資格を保有することは、就職活動や転職の際、さらにはフリーランスとしての活動においても、自身の強みをアピールする材料になるでしょう。
特に推奨されるのが、世界的に評価の高い「SSCP」資格の取得です。
SSCPを取得することで、セキュリティ分野における高度な能力を身につける契機となります。
業務のあらゆる側面で活用できることが期待されるため、今からこの資格取得に向けた本格的な学習に取り組むことをお勧めします。
本記事では、以下について解説します。
- SSCPの概要
- 出題範囲
- 申請手続き
- 取得によるメリット
セキュリティ関連の職務で活躍を目指す方は、この機会にSSCPの魅力を確認されることをお勧めします。
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SSCPとは
この資格は、(ISC)²という国際的な非営利組織が認証を行っているセキュリティ関連の資格証明です。
正式名称は「Systems Security Certified Practitioner」で、頭文字を取ってSSCPと呼称されています。
特色は以下のとおりです。
- 特定の製品やベンダーに依存しない汎用的な知識を問う
- あらゆる職場や国で活用できるベンダーフリー・カントリーフリーな資格
SSCP の種類
SSCPの認定資格は単一ですが、(ISC)²は他にもセキュリティ専門家を認証する複数の資格を用意しています。
「CISSP(Certified Information Systems Security Professional)」は情報システムのセキュリティ専門家を認定し、「CCSP(Certified Cloud Security Professional)」はクラウドサービスの安全な利用に関する知見を評価します。
また、「CSSLP(Certified Secure Software Lifecycle Professional)」はソフトウェア開発におけるセキュリティ知識を試験します。
中でもCISSPはSSCPと類似した要素があるため、取得を目指す人が多数います。
SSCP試験概要
SSCPの試験は、情報セキュリティの専門家を認定するための評価プロセスです。この資格試験は、セキュリティに関する幅広い知識と実践的なスキルを測ることを目的としています。
試験の構成は以下の通りです。
- 問題数: 125問
- 制限時間: 3時間
- 合格基準点: 700点(1000点満点)
- 出題範囲:
アクセス制御システムとメソドロジー 16% セキュリティオペレーション及びアドミニストレーション 17% リスクの識別、モニタリング、分析 16% インシデント対応とリカバリ 12.5% 暗号化とアプリケーションセキュリティ 16.5% ネットワークとテレコミュニケーションセキュリティ 12% システム及びコミュニケーションプロテクション 10%
試験形式は、選択式の問題で構成されています。合格者には、SSCPの資格が付与され、情報セキュリティの専門家として広く認知されます。
SSCP の詳細
SSCPの試験に挑戦する際には、以下の基本的な事項を理解しておく必要があります。
試験会場はピアソンVUEの東京・大阪の2か所で、試験日程は随時開催されています。
試験時間は3時間で、CBT方式による多肢選択式問題125問で構成されています。
合格基準は1,000点満点中700点以上で、受験料は249米ドルとなっています。
受験言語は日本語または英語から選択できます。
受験資格に制限はありませんが、認定を受けるためには以下の条件を全て満たす必要があります。
- 認定試験で70%以上の得点を獲得する
- 「SSCP CBK7ドメイン」のうち、1つ以上のドメインに関する1年以上の実務経験がある
- 上記の実務経験を証明できる
- 「(ISC)²倫理規約」に同意する
- (ISC)²認定資格保持者から推薦を受ける
- 無作為の実務経験監査に合格する
これらの条件を満たせば、SSCPの資格認定を受けることができます。実務経験が不足している場合は、一旦(ISC)²準会員(アソシエイト)として登録され、後に実務経験を満たした上で正式なSSCP認定を申請することになります。
SSCP の出題範囲
SSCP試験の問題は、以下の領域から出題されます。
- セキュリティの運用と管理に関する設問が16%
- アクセス制御に関する設問が15%
- リスク特定、モニタリング、分析に関する設問が15%
- インシデントレスポンスとリカバリに関する設問が14%
- 暗号化に関する設問が9%
- ネットワークと通信のセキュリティに関する設問が16%
- システムとアプリケーションセキュリティに関する設問が15%
この出題範囲に基づき、3時間で125問が出題されます。
試験では日本語と英語の両方が使用されているため、事前に確認し、試験中に混乱しないよう準備しましょう。
SSCP合格率と難易度
SSCP試験の受験者数や合格率に関する正式なデータは公開されていないため、試験の具体的な難しさを判断することは困難です。
そのため、より入念な準備が必要不可欠となります。
一方で、試験の難易度について見ていきましょう。
合格基準は1,000点満点中700点以上と明記されており、70%以上の正答が求められます。
したがって、決して簡単な試験ではないと言えるでしょう。
ただし、(ISC)²が認定する資格の中では、SSCPが最も合格しやすい試験とされています。
申し込み手順
SSCPの試験を受験するための手続きは、以下の通りです。
- ピアソンVUEのウェブサイトにアクセスし、アカウントを作成するか、既存のアカウントでログインします。
- 「試験を探す」オプションを選択します。
- 「SSCP」を選び、指示に従って必要な情報を入力します。
- 受験料を支払います。
- 試験の予約が完了します。
試験に臨む前に、NDA(秘密保持契約)に同意する必要があることを忘れずにチェックしましょう。
試験当日は、本人確認のため2種類の身分証明書が求められます。
第一身分証明書には、
- 顔写真付きの運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 外国人登録証明書または在留カード
- 特別永住者証明書
- 障碍者手帳
- 社員証
- 学生証
などが該当します。
第二身分証明書には、
- 直筆署名付きのパスポート
- クレジットカード
- 図書館の貸し出しカード
- 健康保険証
などが該当します。
2024年6月のSSCPの有効期限
SSCPの資格認定を維持するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 資格取得後3年間が有効期限とされ、この期間内に所定の条件を満たさなければなりません。
- (ISC)²の倫理規定を遵守すること
- 3年間で60ポイント相当の継続教育単位(CPEクレジット)を取得し、申請を行うこと
- 毎年の年会費125米ドルを支払うこと
CPEクレジットの取得と年会費の支払いを行えば、認定更新日に自動で資格が更新されます。更新が完了すれば、(ISC)²に登録されたメールアドレスに通知が送られます。認定期限までに条件を満たせなかった場合でも、期限後90日以内であれば要件を満たせば更新が可能です。期限内にCPEクレジットの申請と未払い分の年会費を納めることができれば、問題なく更新されます。
ただし、継続条件を満たせなかった場合、一時的にSSCPの資格認定が停止されます。停止中は資格保有者としての活動ができません。さらに停止状態が2年間続くと、認定が失効してしまいます。その場合、再度試験に合格する必要があるため、資格の失効には注意が必要です。
勉強時間
SSCPの合格に求められる学習時間は明確に定められていません。
受験者の経験を踏まえると、おおよそ80時間は必要と思われます。
合格の確率を高めるためには、100時間を超える十分な準備期間を設けることが賢明でしょう。
SSCPの資格取得のメリット
情報セキュリティの専門家としての能力を公に示すことができるSSCP資格の取得には、さまざまな利点があります。
まず、セキュリティ分野における高度な技術力と知識を有していることを客観的に証明できる点が挙げられます。
また、この資格を機に年収が向上する可能性も期待できます。
- セキュリティ専門家としての優れた力量を示すことが可能
- 資格取得を契機として収入が増加する見込み
セキュリティに関する高い能力を持つことを証明できる
SSCPは、情報セキュリティに関する知見がなければ合格することができない試験となっています。そのため、SSCPの資格を保有していることは、セキュリティに関する高度な能力を備えていることの証左となるのです。
一方で、SSCPは、セキュリティ分野に特化した人材の育成ではなく、セキュリティの専門家などとスムーズなコミュニケーションが可能な人材の育成を目指しています。そのため、情報セキュリティに携わるITエンジニア以外の方々も、業務に活用することができるのが特徴です。
年収アップのきっかけとなる資格取得
現職の社員エンジニアがSSCPの資格を取得すれば、それが評価されて給与アップのチャンスが訪れるかもしれません。
- 一部の企業では、資格取得者に対して報奨金を支給する制度を設けているところもあり、その場合は一時的な収入増加が期待できます。
一方、フリーランスエンジニアにとっても、SSCPの資格保持は有利に働く可能性があります。
- より良い条件の案件や求人に恵まれれば、結果として年収アップにつながる見込みがあるためです。
SSCPの資格取得のデメリット
SSCPの資格を取得しようとする際には、次のような不利益点に留意する必要があります。
- 学習に費やす時間を確保しなければならない
- 更新要件を把握しておかなくてはいけない
それぞれの欠点について、以下で詳しく確認しましょう。
勉強時間を確保する必要がある
SSCPの資格取得には一定の学習時間が求められます。合格を望むのであれば、日々の継続的な勉強が不可欠となるでしょう。
仕事と並行して資格取得に取り組むことは容易ではないため、まずは自身の生活スタイルに合わせて学習時間を確保できるかを検討し、最適な学習方法を見つけることが重要です。
更新条件を把握しておく必要がある
SSCPの資格維持には、一定の要件を満たす必要があります。
要件を満たせない場合、資格が一時停止または失効する可能性があるため、注意が必要です。
「SSCPの有効期限」の項目を参照し、更新条件を確実に把握しておくことが重要です。
SSCPに合格するためのおすすめの参考書や学習方法
SSCPの試験に無事合格するためには、効果的な学習アプローチを採用することが肝心です。ここでは、SSCP受験者向けの推奨される学習法をご紹介しますので、勉強する際の一助としてご活用ください。
- 公式教材の熟読
- 模擬試験の活用
- 重要ポイントの暗記
- 実践的な演習問題に取り組む
学習方法 | 詳細 |
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公式教材の熟読 | ISC2が発行するCBKやオフィシャルスタディガイドを熟読し、試験範囲の知識を確実に身につける。 |
模擬試験の活用 | 過去問題集や模擬試験を解くことで、実際の試験に備える。 |
重要ポイントの暗記 | 用語集やメモを作成し、キーワードや重要概念を確実に暗記する。 |
実践的な演習問題に取り組む | 実務で遭遇しそうな課題に取り組み、知識の実践的な活用を体得する。 |
公式トレーニングの受講
専門家団体である(ISC)²は、SSCPの知識を深めるための公式テキストと講師主導のトレーニングプログラムを提供しています。
このトレーニングは日本語によるオンライン形式で行われるため、試験対策の一環として受講することをお勧めします。
認定資格 公式ガイドブックの活用
この文書は、(ISC)²によるSSCP認定試験の公式ガイドブックについて説明しています。この公式ガイドブックは、
- 試験範囲の7つのドメインに関する詳細な内容が含まれており、
- 受験者にとって試験対策に役立つ必須の資料となることが述べられています。
試験範囲をカバーする内容が含まれているため、受験の際には非常に有用な書籍であると紹介されています。
まとめ
SSCPは、情報セキュリティに関する専門知識を客観的に評価される資格です。
国際的な信頼性が高いため、この資格を取得することで職務上の様々な利点を享受できるでしょう。
- 情報セキュリティ分野への就職や転職を目指す人はもちろん
- 独立してセキュリティ専門のフリーランスとしてキャリアを歩む人にとっても有益な資格となっています。
ぜひこの機会にSSCPの詳細を確認し、受験を検討してみてはいかがでしょうか。
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