副業やリモートワークの機会が増えた現代社会において、エンジニアの技能を活かした副収入の確保や、独立開業を目指す人が多数いることでしょう。
本稿では、フリーランスエンジニアとして活躍するための
- 年収水準
- 有利な職種
- 求められるスキルセット
- 仕事の獲得方法
など、必要な情報を網羅的に解説していきます。
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フリーランスと会社員のエンジニア年収比較
フリーランスエンジニアと正社員エンジニアの平均年収を比較すると、フリーランス勤務者の方が高い傾向にあります。
フリーランサーの収入は個人の能力や実績によって決まるため幅がありますが、例えば
- ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」の利用者の平均年収は約800万円
となっています。
一方、2020年3月に公表された「賃金構造基本統計調査」によれば、
- システムエンジニアやプログラマーなどの正社員エンジニアの平均年収(基本給与と賞与を合わせた金額)は約497万円
でした。
自身の力量に応じて収入を伸ばしていきたい人にとって、フリーランスエンジニアは魅力的な選択肢と言えるでしょう。
フリーランスで稼げる人気職種
独立したエンジニアの中でも、特に人気が高く収入が得やすい6つの職種をご紹介します。
- 人工知能分野の専門家
- データ分析の専門家
- ブロックチェーン技術者
- サーバー側の開発者
- モバイルアプリ開発者
- インフラストラクチャー構築の技術者
AIエンジニア(人工知能の専門家)
人工知能(AI)の開発を担うのがAIエンジニアです。
経済予測や新薬開発などの専門分野だけでなく、自動運転、スマートスピーカー、画像・音声解析など、日常生活にもAIが活用される場面が増加しています。
AIエンジニアには以下が求められます。
- 「ディープラーニング」や「機械学習」といったAI技術の理解
- 大量データを解析するための統計学など数学の知識
また、AIに関連するデータを操作するため、PythonやR言語を使用します。
AIエンジニアの相場単価を知りたい方は以下をご覧ください↓
データ分析の専門家
ビッグデータの分析に特化した職種である「データサイエンティスト」は、人工知能(AI)エンジニアの一種です。
膨大な量のデータを指す「ビッグデータ」は、機械学習といったAI技術に活用できることから、近年その需要が高まっています。
データサイエンティストの業務は、大量のデータを収集し整理することです。
そのために、
- Hadoop、Spark、BiqQuery、TeraDataなどの大規模データ処理に特化したデータベースの知見や
- データを視覚化するTableauやQlikといったBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)のスキル
が求められます。
データの操作にはPythonやR言語が使用されます。
さらに、確率・統計、微分積分、行列などの数学的知識も不可欠です。
データサイエンティストの相場単価を知りたい方は、以下をご覧ください。
ブロックチェーン技術者
ブロックチェーン技術者とは、分散型台帳システムの開発に従事する専門家のことを指します。
ブロックチェーンは、仮想通貨「ビットコイン」の基盤技術として生まれた分散型データベースで、情報を一か所に集約するのではなく、「ブロック」と呼ばれるデータ塊を世界中のコンピュータに分散させて管理することで、データの改ざんを困難にし、整合性と信頼性を確保します。
現在では、仮想通貨以外にも
- 金融
- 物流
- 医療
など、様々な分野で活用が進んでいます。
ブロックチェーン技術者には、
- ブロックチェーンの中核部分を担当する者
- ブロックチェーンを利用したシステムやアプリケーションを開発する者
がいます。
いずれの場合も、ブロックチェーン技術の深い理解が不可欠です。
開発言語としては、目的に応じて
C# | Go言語 | JavaScript | Solidity | Java |
などが使われます。
ブロックチェーン技術者の相場単価をご確認したい方は、以下からご覧ください。
サーバーサイド技術者
Webサイトやオンラインアプリケーションのバックエンド部分を担当する職種が「サーバーサイドエンジニア」です。
この役割は、以下の職務を主に担当します。
- ウェブサイトで利用される機能の開発
- データベースの管理
開発目的に合わせて、以下のプログラミング言語が使用されます。
PHP | Ruby | Java |
Python | JavaScript | C言語 |
C# | C++ | Scala |
サーバーサイドエンジニアの相場単価を確認したい方は、以下をご覧ください。
モバイルアプリ開発者
スマートフォン用アプリケーションの開発を担当するのが「モバイルアプリエンジニア」です。
iOSアプリの場合は
- Swift
- Objective-C
、Androidアプリでは
- Kotlin
- Java
がコーディング言語として使われます。
TwitterやInstagramのように、PCウェブアプリとモバイルアプリを並行して制作することもあり、その際は
- PHP
- Ruby
- Python
- Java
- JavaScript
などのWebサーバー開発言語のスキルも役立ちます。
モバイルアプリエンジニアの適正な単価を知りたい方は、以下をご覧ください。
インフラ技術者
インフラ基盤の構築と運用を担う専門家が「インフラエンジニア」です。
Webサイトやシステムを稼働させるためのハードウェア、ミドルウェア、ネットワーク、データベースなどの基盤技術を扱います。
フロントエンドやバックエンドの開発者を下支えし、インフラストラクチャ全般に関する知見が必要とされる職種です。
インフラエンジニアの適正な報酬水準をご確認されたい方は、以下をご覧ください↓
年収 | 職歴 |
---|---|
400万円~600万円 | 入社3年目 |
600万円~800万円 | 入社5年目 |
800万円~1000万円 | 入社10年目 |
フリーランスで稼ぐための必須スキル
独立したエンジニアとして収入を得るためには、以下の能力を身に付けることが重要です。
- コーディングやシステム開発に関する専門知識
- 継続的な学習力
- 円滑なコミュニケーション力
- 税務申告の手続き
- 社会保険制度の理解
開発に役立つスキルと知識
フリーランスとして収入を得るには、コーディング能力が不可欠です。
依頼内容によっては、複数の言語を使いこなせることが求められます。
需要に合わせて、
- Java
- JavaScript
- PHP
- Ruby
- Python
- C言語
- C#
- C++
- Scala
など、様々な言語を習得しておくと良いでしょう。
しかし、言語自体を理解するだけでは不十分です。各言語に関連するフレームワーク、統合開発環境、Gitなど、開発を円滑に進めるための周辺知識も重要不可欠です。
学習テクニック
エンジニア業界は変化の激しい分野であり、フリーランスとして安定した収入を得続けるには、絶え間ない学習心が不可欠です。
業界の動向を注視しつつ、多岐にわたる情報の中から目的に沿った内容を選別し、将来有望な領域で求められるスキルを積極的に身につける必要があります。
自身に適した学習方法を選び、効率的に知識を吸収する能力が求められるのです。
コミュニケーション力の向上
自身のペースで仕事を処理できることは、フリーランサーとしての大きな利点の一つです。しかし、業務を円滑に遂行するためには、一定のコミュニケーション能力が必要不可欠となります。
- 自身の技能や実績をクライアントに効果的に伝達する営業力
- クライアントのニーズを的確に把握する力
- 疑問点や小さな問題をクライアントの意見を踏まえながら解決する力
- 報酬や条件など自身の希望を適切に伝達する力
が求められます。単に自身の要求を一方的に伝えるのではなく、クライアントの立場に立って物事を考えることが肝心です。
最新の確定申告と社会保険の理解
フリーランスとして活動する際には、従業員としての場合とは異なり、税金や社会保険に関する手続きを自身で行う必要があります。
具体的には、
- 年金制度の切り替え
- 健康保険の変更
- 個人事業の開業手続き
- 確定申告の準備
など、様々な対応が求められます。
これらの手続きには期限が設定されていることが多いため、早めに確認し、対策を講じることが重要です。
確定申告に関してより詳しい情報が必要な場合は、専門的な記事を参照するとよいでしょう。
フリーランスエンジニアの仕事獲得方法
独立した職業人として業務を獲得するには、主に3つの手段が存在します。
- フリーランス仲介業者を利用する方法
- クラウドソーシングプラットフォームを活用する方法
- ソーシャルメディアを活用する方法
クラウドソーシングの賢い利用術
クラウドソーシングプラットフォームは、業務委託を求める個人や企業と、フリーランスとしてタスクを請け負いたい人々を仲介する役割を果たします。
この「クラウドソーシング」という言葉は、「群衆」を意味する"Crowd"と「外部委託」を指す"Sourcing"を組み合わせた造語で、適切な人材を広く募集することを指しています。
代表的なサービスとしては、
- クラウドワークス
- ランサーズ
- ココナラ
などが挙げられます。
クラウドワークスやランサーズでは、受注形態が主に3つに大別されています。
- タスク
- プロジェクト
- コンペ
「タスク」は、アンケートや体験記の執筆など比較的単純な作業が中心で、誰でも受注可能ですが、報酬が低額で技能向上にもつながりにくいため、長期的な活用は望ましくありません。できるだけ早期に「プロジェクト」や「コンペ」への移行を目指すべきでしょう。
「プロジェクト」では、自身のスキルや実績をクライアントに提示し、採用された場合に業務を請け負う形式となります。初心者向けから上級者向けまで幅広い案件があり、自分の能力や希望条件に合った仕事を見つけられます。
一方の「コンペ」は、成果物をクライアントに提示し、採用されれば報酬が支払われる仕組みです。デザイン系の職種で多く見られ、高額報酬が期待できる半面、不採用の場合は一切報酬がないため、スキルに自信のある方向けです。
また、クラウドワークスやランサーズでは「仮払い制度」が導入されています。
契約成立時に | クライアントがサイトに報酬分を支払い |
作業完了後に | ワーカー(受注者)へ報酬が渡される |
この仕組みにより、「報酬支払い後の未完了」「作業完了後の未払い」といったトラブルを未然に防げるため、双方が安心して利用できるメリットがあります。
クラウドソーシングサイトの長所は、まったくの初心者でも受注可能な点にあります。一方で、自ら仕事を探しクライアントにプロポーザルする必要があり、受注までに時間とエネルギーを要するデメリットもあります。
既にエンジニアとしての実務経験があり、継続的なサポートを求める方は、フリーランスエージェントの活用をおすすめします。
フリーランスの活用術
フリーランスの方々に適切な仕事を紹介し、スキルや経験、希望条件に合わせた案件を提案するサービスが「フリーランスエージェント」です。このサービスを活用することで、
- 実力に見合った求人や案件の探索
- 新規案件の獲得に向けた営業活動
- 契約締結に関する手続き
- 継続的なサポート
などを代行してもらえます。
このため、本業に専念しながら安定した収入を得ることができます。
また、一部のエージェントでは、
- クラウドソーシングよりも高い単価が設定されていたり
- 従業員並みの福利厚生を受けられるメリットもあります
代表的なフリーランスエージェント |
---|
レバテックフリーランス |
Midworks(ミッドワークス) |
フォスターフリーランス |
FREE-DA(フリーダ) |
SNSの賢明な利用術
SNSやブログなどのプラットフォームを活用し、自身の能力や実績をアピールすることは有益な方法です。
過去に関わった求人案件など、紹介可能なものをまとめてポートフォリオを作成しておくと良いでしょう。
クラウドソーシングサイトやフリーランスエージェントを利用する場合、手数料が発生しますが、SNSやブログを通じて直接仕事を獲得できれば、同じ単価でも収入を増やすことができます。
その代わり、
- 仕事の獲得から契約
- 報酬の受け渡し
まですべてを自身で行う必要があります。
概要
フリーランスエンジニアは、時間や場所、人間関係の制約から解放され、自由な働き方を実現できます。
会社員を上回る収入を得るには、
- プログラミング言語の技術
- コミュニケーション力
- 学習力
が必要不可欠です。
しかし、得意分野を活かしながら、収益性の高い職種を見極め、挑戦してみるのはいかがでしょうか。
仕事を獲得するには、
- クラウドソーシングサイト
- ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」
の利用がおすすめです。
本記事が皆様の参考になれば幸いです。