技術者派遣とは|定義・メリットデメリットを分かりやすく解説!

技術者派遣とは
エンジニアの職務形態の一つである「技術者派遣」では、個人では携わることが難しい大規模なプロジェクトや案件に従事できる機会があります。

技術者派遣のメリット

  • フリーランスを志向するエンジニアにとって、実務経験を積むことができる
  • 技術力とキャリアの向上を望むエンジニアにとって、実務経験を積むことができる

技術者派遣に関する基礎知識とメリット・デメリット
ここでは、技術者派遣に関する基礎知識と、メリット・デメリットについて解説します。

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そもそも技術者派遣とは

そもそも技術者派遣とは

人材派遣サービスは、エンジニア派遣とも呼ばれ、派遣会社が獲得した案件に雇用した個人を派遣する形態を指します。
主に、プロジェクトごとや案件ごとに、派遣先企業や組織が必要とする人材を派遣する形式であり、プロジェクトや案件の期間中、または契約期間中のみ就労することができます。
エンジニアとしての経験、知識、スキルを直接活用できる働き方であり、いわば「実務経験を積む」近道と言えます。

  • また、個人で営業する手間がないため、フリーランスよりも安定した収入を得られる可能性が高くなります。

派遣と聞くと否定的なイメージや不安を抱く方もいるかもしれませんが、現代では正社員であっても同じ企業や組織で長く働き続けられる保証はありません。
むしろ、技術者派遣を経験し、様々な開発現場で働く素養を身に付けることが、長期的な強みになると言えるでしょう。

技術者派遣の種類

技術者派遣の種類

技術者の派遣には、2つの形態が存在します。それらの特性について簡潔に解説いたします。

  • 常用型派遣は、特定の企業に長期間にわたり技術者を派遣する形態です。派遣先企業との雇用関係は結ばれませんが、実質的には同社の社員と変わらない扱いを受けることが多くあります。

  • 一方、登録型派遣は、派遣会社に登録した技術者を、必要に応じて短期間派遣する形式です。複数の派遣先企業を渡り歩くケースが多く、柔軟な働き方が可能となります。

常用型派遣

派遣会社と雇用契約を締結し、その企業の従業員または契約社員として派遣先企業で勤務する形態を常用型派遣と呼びます。
この雇用形態では、

  • 派遣会社が優秀な人材を安定的に派遣できるよう、経験豊富で高い技能を持つ人材を確保する傾向があるため、一定の経験とスキルを有する方に適しています。

常用型派遣は派遣労働ながら、

  • 正社員に準じた待遇を受けられる点や、プロジェクトや案件が終了すれば別の現場で働けるため、収入の安定とスキルアップ・キャリアアップを両立できます。
  • さらに、派遣会社と雇用関係にあるため、派遣先との契約期間満了後に次の派遣先が決まらない場合でも、報酬の支払いを受けられます。

登録型派遣

派遣労働には、派遣会社と直接的な雇用関係を結ばない「登録型」という形態があります。
この場合、個人として派遣会社に登録し、派遣先で働く期間のみ雇用契約を結びます。
一般的に想像される派遣の形態は、この登録型が中心となります。

登録型派遣では、

  • 派遣先と派遣会社が定めた契約期限が到来すれば雇用関係は終了し、同じ派遣先で継続して働く場合は再び契約を結び直す必要があります。

常用型派遣とは異なり、派遣会社との雇用関係がないため、希望する派遣先が見つからない場合や別の派遣会社を利用したい場合には気兼ねなく辞められるメリットがあります。
一方で、

  • 契約期間終了後に次の仕事が見つからなければ報酬は支払われません。

派遣会社との雇用関係が契約期間のみに限定されることを十分に認識しておく必要があります。

他の契約形態との違い

他の契約形態との違い

契約形態の相違点を簡潔に解説いたします。

  • 正社員契約
    ・期間の定めがない雇用契約
    ・労働条件が有利
    ・雇用が安定している

  • 契約社員・嘱託社員契約
    ・有期雇用契約
    ・正社員に比べ待遇が劣る
    ・雇用が不安定

  • 派遣社員契約
    ・派遣先企業との雇用関係はなく、派遣会社と雇用契約を結ぶ
    ・労働条件は派遣先企業の従業員と同等でなければならない
    ・雇用が不安定

正社員 契約社員・嘱託社員 派遣社員
雇用期間 期間の定めなし 有期雇用 有期雇用
待遇 良好 劣る 派遣先と同等
雇用の安定性 安定 不安定 不安定

委任契約との違い

準委任契約は、一定期間内に決められた業務を遂行することで報酬を得られる契約形態であり、いわゆるシステムエンジニアリングサービス(SES)と呼ばれる働き方です。
定められた期間と勤務時間に従えば報酬が支払われ、後述する請負契約とは異なり、基本的には成果物の完成や納品など、結果に対する責任を伴いません。
ただし、業務遂行における不備や能力不足が認められた場合、契約解除や損害賠償の可能性があります。

  • 派遣契約では発注元が技術者に対し細かい指示や命令を下すことができますが、準委任契約ではそうした発注元からの細かな指示や命令は許されません。

一方で、準委任契約と派遣契約に共通する点として、完成責任や瑕疵担保責任が発生しないことが挙げられます。
また、

  • 派遣契約には3年ルールにより直接雇用や無期雇用のチャンスがありますが、準委任契約は契約期間満了をもって終了することに留意が必要です。

準委任契約との違い

契約の形態として、成果物の提出期限までに完成品を納めることで報酬を得られる請負契約があります。

  • 準委任契約とは異なり、成果物さえ提出できれば良いため、実力次第では短期間で高額の報酬を得ることが可能です。
  • しかし、納期までの完成義務に加え、成果物に瑕疵があれば修正が必要となり、被害が生じた場合は損害賠償の責任が発生するリスクがあります。
  • 発注者からの細かな指示は受けられません。
  • 期限までに成果物を提出できなければ報酬は支払われず、さらに未完成に対する賠償責任を負う可能性もあります。

派遣契約にも一定の責任はありますが、請負契約ほどのリスクはありません。

2024年の労働者派遣法改正の影響

2024年の労働者派遣法改正の影響

2015年の労働者派遣法の改正により、派遣先企業は同一の派遣労働者を3年を超えて雇用することが禁止されました。
長期間にわたり派遣労働者を活用するのではなく、必要に応じて直接雇用に切り替えることが求められるようになったのです。

  • 例えば、技術者派遣の場合、3年経過後は派遣先が直接雇用か無期雇用派遣への移行を選択しなければなりません。
  • いずれの選択肢も適さない場合は、別の派遣労働者の受け入れを余儀なくされます。

派遣労働者にとってのメリットは、直接雇用や無期雇用派遣への道が開かれる点ですが、デメリットとして3年を超えて同一派遣先に留まれないことがあげられます。
ただし、常用型の技術者派遣では、派遣会社と個人との雇用関係があるため、この3年ルールは適用されません。

技術者派遣のメリット

技術者派遣のメリット

技術者派遣のプラスポイントについて解説いたします。

  • 優秀な技術者を確保できる
  • プロジェクトに合わせて柔軟に人員を調整できる
  • 固定費を抑えられる

メリット デメリット
・優秀な技術者を確保できる
・プロジェクトに合わせて柔軟に人員を調整できる
・固定費を抑えられる
・派遣社員のモチベーション維持が難しい
・企業の技術力向上が難しい

様々な種類の案件で働くことができスキルアップできる

技術者派遣は、様々な案件に携わることができるため、スキルの向上につながります。
実績が増えることで、キャリアアップにもつながり、エンジニアとしての力が磨かれるメリットがあります。
また、プロジェクトごとに異なる環境や人間関係の中で業務を行うことで、

  • コミュニケーション力や交渉力の向上も期待できます。

正社員として同じ現場で働き続けることが悪いわけではありませんし、必ずしもスキルアップやキャリアアップが良いとは限りません。
しかし、エンジニアとしての成長や可能性を考えると、一定期間または一時的にでも技術者派遣で経験を積むことは有益でしょう。

案件を自由に選択できる

技術者派遣には、常勤雇用であろうと登録型であろうと、比較的自由に案件を選択できるというメリットがあります。

  • エンジニアとしての経験、知識、スキルによって異なりますが、自分の実力に見合った案件を選ぶことができます。
  • 場合によっては、独学で習得したものの実務経験のない分野のスキルを活かせる案件に携わることもできます。

また、契約期間が終了した際には、延長や継続の判断ができるため、

  • 新しい環境や開発現場で働き、さらなるスキルアップやキャリアアップにつながる仕事に就くことも可能です。

人脈を広げられる

技術者派遣は一時的な勤務を経て、次の開発現場へと移動することで、人間関係の輪を広げることができます。

  • 派遣先で実力を発揮すれば、3年ルールにより正社員として雇用される機会も生まれるかもしれません。
  • また、無期雇用派遣の道も開かれる可能性があります。

将来的にフリーランスや正社員を目指す場合、人脈を構築しておけば仕事を得るチャンスが高まります。
同時に、人脈が広がることで技術的な視野も広がり、幅広い関心を持つことができるというメリットもあります。

技術者派遣のデメリット

技術者派遣のデメリット

技術者派遣には、いくつかの欠点があります。

  • 派遣社員は企業の一員ではないため、企業への帰属意識が低い
  • 企業の機密情報を知る立場にあるが、守秘義務違反のリスクがある
  • 派遣社員の技術力や人柄によっては、業務に支障が出る可能性がある
  • 派遣社員の入れ替わりが激しいと、業務の継続性が損なわれる

派遣切りされるリスクがある

技術者派遣には雇用関係が終了するリスクが伴います。
この点が派遣に対する否定的なイメージにつながる要因と言えますが、現代社会においては、業界や企業の規模を問わず、雇用が維持できないことは珍しくありません。
したがって、派遣のデメリットを過度に強調する必要はないでしょう。
むしろ、技術者派遣では正社員のような雇用を期待するのは現実的ではないと認識しておくべきです。
ただし、派遣契約が終了すれば自身の意思とは無関係にショックを受ける可能性があり、

  • 登録型派遣の場合は突然の収入途絶という不安も存在します。

そのため、

  • 派遣契約終了時の対処法を事前に検討しておくこと
  • 収入が途絶える前に次の仕事を見つける手段を準備しておくこと

が重要です。

重要な責任のあるポジションにつけないことが多い

技術者の派遣は、主に専門的な技術力を提供する立場として位置づけられることが多く、重大な意思決定権限を伴う役職に就くことは稀です。
しかし、プロジェクト管理の経験を有する場合、派遣元企業と受入れ先の調整次第では、一定の責任を担う地位に就任する可能性も残されています。
一方で、過度の責任を負うことなく業務に従事できるというメリットもあり、報酬を最優先に考え、リスクを最小限に抑えたい人材にとっては適した働き方と言えるかもしれません。

技術者派遣の時給

技術者派遣の時給

技術者派遣の報酬は、以下の要因によって変動します。

  • 常勤型か登録型か
  • プロジェクトや案件の単価
  • 個人のスキルや能力

しかし、平均的な目安として、時給ベースで1,500円から3,000円以上が妥当な水準と言えるでしょう。

報酬をより高めたい場合は、以下の点が賢明です。

  • 得意分野やプログラミング言語に加え、関連する技術やスキルを身に付ける

また、派遣会社によって交渉力や営業力が異なるため、一社のみに頼るのではなく、複数の会社に登録し相談することをお勧めします。

最終的には、派遣会社と派遣先の間の単価が自身の報酬に反映されることを認識し、自身の実力やスキルに見合った適正な水準かどうかを慎重に検討する必要があります。

まとめ

まとめ

この記事では、技術者派遣の基本的な知識と、その長所および短所について説明しました。
技術者派遣は、

  • 個人事業主やフリーランスでは経験できない企業や組織の開発現場で働く機会を得られる唯一の選択肢と言えるでしょう。

つまり、普段は体験することのできない環境や現場で仕事ができるということであり、実践経験や実績を積みたい人にとって適した雇用形態なのです。
同時に、フリーランスとして活動する際にも、

  • 派遣会社に登録しておけば、必要に応じて一定期間働くことができますし、
  • 一時的に常勤として雇用してもらえば安定収入を得ることもできます。

長期的にエンジニアとしてキャリアを重ねたいと考えている方は、技術者派遣を選択肢の一つとして検討し、様々な環境や現場で働く力を身につけることをおすすめします。
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この記事がみなさまのお役に立てば幸いです。