P2M資格とは?出題範囲、合格率、おすすめの学習方法などを解説

技術者が自己実現やキャリア形成を考える際、マネジメント力の存在は重要な要素となります。
近年、IT業界を含むあらゆる産業分野や公共サービスにおいて、プロジェクト管理の活用が進められています。
しかしながら、プロジェクト管理に関する本格的な知識を持つ人材は決して多くなく、企業にとって確保が困難な状況にあります。
そこで、技術者として関連資格を取得し、プロジェクト管理能力を証明することができれば、転職・就職・独立開業などのキャリアアップに役立つでしょう。
本記事では、技術者が取得を目指す資格の1つとして、「P2M資格」について解説します。
転職や独立開業を検討している方は、キャリア形成の一環としてP2M資格の詳細を確認することをお勧めします。

週10時間の副業案件を
会員登録した方限定で配信中!

P2M資格とは

P2M資格とは

P2M資格は、プロジェクトマネジメントに関する能力を評価する「日本プロジェクトマネジメント協会」認定の資格です。
従来は主に企業の管理職層が受験していましたが、近年ではIT業界の発展と人手不足から、エンジニア個人にもプロジェクト運営能力が求められるようになり、キャリアアップのためにこの資格を取得する技術者が増加しています。

プロジェクトマネジメントの概念は、1960年代の米国の軍事・宇宙開発分野で生まれ、その後民間企業にも広まりました。

  • 製造業やIT業界では、プロジェクト遂行能力を持つ人材が重宝されるため、関連資格保有者を優遇する企業が多数存在します。
  • 海外ではプロジェクトマネジメントの重要性が広く浸透していますが、日本では未だ人材が不足しがちです。

そのため、P2M資格のような専門資格に注目が集まり、エンジニアの取得希望者と、それらの人材を積極的に採用しようとする企業が増加しつつあります。今後もこの傾向は続くと見られています。

資格の種類

P2Mの資格認定には、4種類の試験が用意されています。それぞれの概要は次の通りです。

  • PMC(プロジェクトマネジメント・コーディネーター)資格試験
  • PMSプログラム試験
  • PMS(プロジェクトマネジメント・スペシャリスト)資格試験
  • PMR(プログラムマネジャー・レジスタード)資格試験

P2M資格を認証する日本プロジェクトマネジメント協会は、思考力、体系立った知識、マネジメント行動のスキル、基本的な姿勢など、様々な要素を総合的な能力と位置付けています。これらはプロジェクトマネジャーに求められる実践力の判断材料とされています。
そこで上記4種類の資格を認定し、「P2M標準ガイドブック」で習得できる体系的知識に基づいて「PMC」と「PMS」に関する能力を評価しています。

高度なP2Mの実践力を問うPMA(プログラムマネジメント・アーキテクト)資格試験も設けられていますが、2022年現在は未実施となっています。

P2M資格試験の概要

P2M資格試験の概要

本文では、P2M試験に含まれる4種類の試験について説明します。

資格の詳細

P2M資格の取得を目指す際には、各試験の詳細事項を事前に把握しておくことが重要です。試験会場の予約時に、以下の点を確認しましょう。

試験日程は資格の種類によって異なり、年に1回から6回程度実施されます。試験時間は、

  • PMC資格試験やPMSプログラム試験が75分
  • PMS資格試験が150分
  • PMR資格試験は実践力評価のため時間制限はありません

試験方式は、PMR資格試験を除きCBT方式で四肢択一問題が出題されます。問題数は

  • PMC資格試験が50問
  • PMSプログラム試験とPMS資格試験が100問

です。合格基準は非公開となっています。

受験料は以下の通りです(税込、事務手数料込)。

・PMC資格試験: 17,000円
・PMSプログラム試験: 22,500円
・PMS資格試験: 39,200円
・PMR資格試験: 220,000円

受験言語は日本語のみとなります。受験資格については、

  • PMC資格試験は24時間以上の講習会修了者
  • PMSプログラム試験とPMS資格試験はPMC資格登録者またはPM関連資格保有者
  • PMR資格試験には制限がありません

試験終了後、合否結果が発表され、スコアレポートが交付されます。各試験の違いを理解し、適切な準備を行うことが肝心です。

P2M資格の出題範囲

P2M試験の出題範囲は、各試験ごとに異なっています。すべての問題は、「改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」に記載されている内容から出題されますが、同書以外からの出題もあり得ます。ただし、ガイドブックを十分に理解していれば、問題なく解答できる内容となっています。

<PMC資格試験>

  • 第1部概要
  • 第3部プロジェクトマネジメント
  • 第4部3章プロジェクト組織マネジメント
  • 第4部5章情報マネジメントと情報インフラストラクチャー
  • 第6部人材能力基盤

上記の範囲から、第1部と第3部が70%、第4部3章が12%、第4部5章が6%、第6部が12%の割合で出題されます。

<PMSプログラム試験・PMS資格試験>

  • 第1部概要
  • 第2部プロジェクトマネジメント
  • 第3部プロジェクトマネジメント
  • 第4部プ事業経営基盤
  • 第5部知識基盤
  • 第6部人材能力基盤

上記の範囲から、第1部と第2部が23%、第3部が34%、第4部が22%、第5部が15%、第6部が6%の割合で出題されます。

<PMR資格試験>
PMR資格の出題範囲および試験の詳細については、「PMR試験紹介セミナー」で説明されています。試験は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験では論述と面接が実施されます。一次試験に合格すると、二次試験のモジュール試験と面接審査を受けることができます。

資格の受験者数・合格率・難易度

P2M試験の受験者数と合格率は、公式ウェブサイトで公開されています。
以下では、各試験の最近の合格者動向を紹介します。

<PMC資格試験の合格者動向>

年度 受験者数 合格率
2021年度 368人 66.6%
2020年度 296人 59.8%
2019年度 377人 64.2%

<PMSプログラム試験の合格者動向>

年度 受験者数 合格率
2022年10月実施 33人 75.8%
2022年6月実施 19人 73.7%
2022年2月実施 37人 62.2%

<PMS資格試験の合格者動向>

年度 受験者数 合格率
2022年10月実施 49人 53.1%
2022年6月実施 30人 33.3%
2022年2月実施 63人 49.2%

<PMR資格試験の合格者動向>

年度 受験者数 合格率
2021年度 5人 80.0%
2020年度 6人 100.0%
2019年度 8人 87.5%

上記の通り、P2M試験では種類によって受験者数と合格率にばらつきが見られます。
受験者が最も多い「PMC資格試験」の合格率は60%前後となっています。
難易度は高くありませんが、十分な対策が必要不可欠です。
PMSプログラム試験は、合格率が70%を超える年が多く、比較的難易度は低めです。
しかし受験者数が少ないため、年によって合格率が大きく変動する可能性があり、しっかりと準備する必要があります。
一方のPMS資格試験は、他のP2M試験に比べ合格率が

資格の申し込み手順

P2M資格試験の受験申込手続きは、公式ウェブサイトの情報を参照することで容易に把握することができます。
具体的な手順は以下の通りです。

  • CBT-Solutionsのユーザー認証情報を取得する
    ※初めて試験を受ける場合はこちらから
  • ログイン後、「受験予約」メニューから支払方法を選択する
  • 支払方法が確定すると、登録したメールアドレスに予約完了の通知が届くので確認する

以上がP2M資格試験の申込手順となります。
支払方法としては、クレジットカード決済、コンビニ決済、Pay-easy決済から選択可能です。
予約した試験日時を変更またはキャンセルする場合は、受験予約画面から操作することができます。

資格の有効期限

ここでは、P2M資格の有効期限と更新手続きについて説明しています。P2M資格は、資格の種類によって有効期間が異なり、その期間ごとに更新作業と手数料の支払いが必要となります。事前に詳細を確認しておくことが重要です。
資格の種類、有効期間、更新手数料は以下の通りです。

資格 有効期間 更新手数料
PMC資格試験 5年 9,438円(税込)
PMSプログラム試験 3年(2015年10月実施の試験合格者から) 6,160円(税込)
PMS資格試験 3年(2015年10月実施の試験合格者から) 6,160円(税込)

P2M資格を維持するためには、取得後も継続的な能力向上が求められます。そのため、有効期限ごとの更新が義務付けられています。加えて、

  • PMSプログラム試験とPMS資格試験に関しては、毎年CPUポイント(継続学習基準ポイント)の申請が原則として必要となります。

資格の勉強時間

P2M資格の取得に要する学習期間は、資格の種類によって異なりますが、おおむね3か月程度の準備期間を確保することが望ましいと考えられます。
公式機関から発行されているガイドブックが試験範囲となっているため、十分な時間を割けば必要な知識を身につけることは容易です。
一方で、

  • 数十時間の学習で合格に至った事例もあり、効率的にガイドブックの内容を理解できれば、集中した短期間での合格も可能性としてあります。

P2M資格を取得するメリット

P2M資格を取得するメリット

P2M資格の取得には、さまざまな利点があります。

  • プログラムマネジャーやプロジェクトマネジャーに関する専門知識を公に示すことができる
  • 自己啓発の機会となり、スキルアップを図れる

それぞれについて、以下で詳しく説明します。

プログラムマネジャー・プロジェクトマネジャーに関する知識を証明できる

P2M資格の取得は、プログラムマネジャーやプロジェクトマネジャーとしての知識と能力を客観的に示す証となります。
プロジェクトマネジメントスキルを明確に証明することは容易ではないため、資格取得によって自身の力量を効果的に伝えられるメリットがあります。
P2M資格を手にしたことは、プロジェクトマネジメントの分野で積極的に学習する姿勢の表れとも捉えられます。
企業側からすれば、仕事へのモチベーションが高く、今後の活躍が期待できる人材と評価される材料ともなるでしょう。
結果として、P2M資格の取得が、以下のきっかけになる可能性があります。

  • 就職・転職の際
  • フリーランスエンジニアとして独立する際

自己成長のきっかけになる

P2M資格の獲得は、個人的な発展の契機ともなり得ます。
資格を手にすることで、保有する能力が増えるため、業務を遂行する中で成長を実感する機会が増えるでしょう。
自身の進歩を感じられれば、やる気も高まり、仕事で優れた実績を残せるようになるかもしれません。
技術者にとって個人的な成長は、将来を左右する重要な要素となり得るため、P2M資格の取得を発展のきっかけの1つとして検討することができます。

P2M資格を取得するデメリット

P2M資格を取得するデメリット

P2M資格を手に入れるためには、一定の学習期間が必要となるというマイナス面があります。
ここでは、学習に費やす時間に関するデメリットについて説明します。

  • 学習期間は最短でも3ヶ月程度かかります
  • 毎日1時間以上の学習時間が必要です
  • 仕事や家事との両立が難しい場合があります
学習期間 学習時間
3ヶ月 90時間
6ヶ月 180時間
1年 360時間

このように、P2M資格取得には相当の時間的コストがかかります
ただし、資格を取得することで、プロジェクトマネジメントの専門知識が身につき、キャリアアップが期待できます。

勉強時間が求められる

P2M資格を取得するためには、一定の学習時間を要します。合格率は試験の種類によって異なりますが、高くても70%程度に留まっています。
そのため、継続的な勉強を行い、P2M資格に関する知識を身に付ける必要があります。
一方で、P2M資格の試験対策は「改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」が中心となるため、広範囲な試験範囲に対応する必要がない点がメリットです。
時間的な制約がある人でも、効率的にガイドブックを学習すれば合格に近づけるでしょう。

P2M資格に合格するためのおすすめ参考書や学習方法

P2M資格に合格するためのおすすめ参考書や学習方法

P2M資格を取得するには、以下の推奨テキストと学習アプローチを活用することが賢明です。
各項目を慎重に検討し、P2M試験に向けて有効活用することをお勧めします。

  • 推奨テキスト
  • 書籍名 概要
    P2M実践ガイド P2Mの基本的な考え方と実践的な活用方法を解説
    P2Mケーススタディ集 P2Mの適用事例を豊富に収録
  • 学習アプローチ
    • P2M公式サイトの無料学習教材を活用
    • P2M公開セミナーに参加し、講師から直接指導を受ける
    • P2M模擬試験に挑戦し、弱点を把握する

プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブックを読み込む

P2M資格の試験範囲は、主に公式機関が発行する「改訂第3版 プログラム&プロジェクト管理標準ガイドブック」に限られています。
したがって、この公式ガイドブックを熟読し、内容を理解することが合格への最短ルートとなるでしょう。
「改訂第3版 プログラム&プロジェクト管理標準ガイドブック」は、全国の書店やAmazonなどのオンラインストアで入手可能です。
受験を決めた方は、まずこの公式ガイドブックを手に入れ、内容を確認することから始めることをお勧めします。

資格試験対策講座を受講する

P2M資格の取得を目指す際には、専門的な対策講座を利用するのが賢明です。
多くのサービス提供者が、この資格に特化した講座を開設しているからです。
適切な講座を選べば、合格に必要な知識を効率的に身につけることができるでしょう。
例えば、パナソニックでは以下のようなサービスを提供しています。

  • eラーニングによる対策講座

インターネット環境さえあれば、自宅にいながら本格的な試験対策が可能となります。

まとめ

まとめ

プロジェクトマネジメントの能力を身に付けることは、技術者として働く上で多くの利点があります。
特に将来的にフリーランスとして活躍することを目指す人は、この機会にP2M資格の特性を確認し、合格を目指すことをおすすめします。
技術者としてのスキルアップの一環として、ぜひP2M資格に注目してみてください。

ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」に少しでも関心がある方は、是非ご登録ください。

  • 将来的にフリーランスを検討している方などは、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を有効活用し、フリーランスとして第一線で活躍しましょう。

本記事が皆様のお役に立てば幸いです。