仕事内容や必要なスキル、転職方法についてのVPoP(Vice President of Product)

VPoPという役職の存在は知っていても、その職務内容や必須スキルについては把握していない人が多いのではないでしょうか。
VPoPは我が国ではまだ一般的ではない肩書きであり、ネット上でも関連情報が乏しい状況です。
本稿ではVPoPの概要について解説いたします。

  • VPoPとCTOなどの職種の違い
  • VPoPに求められるスキル
  • 転職の方法

などをまとめました。
本稿を通じてVPoPという立場の実態が理解でき、エンジニアとしてのキャリアパスを検討する一助となれば幸いです。
VPoPに関心があるあるいはキャリアに悩んでいるエンジニアの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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VPoP(Vice President of Product)とは?

VPoP(Vice President of Product)とは?

プロダクトの最高責任者であり、製品全体を統括する役職がVPoP(Vice President of Product)です。
VPoPの主な目的は、製品の品質向上と顧客満足度の向上にあります。
戦略の策定、改善要望の収集と分析、改善点の特定などが主な業務となります。
日本では、この役割をプロダクトマネージャーなどと呼ぶことも多く、VPoPという呼称があまり浸透していません。
場合によっては、CTOがVPoPの職務を兼任することもあります。
VPoPには、技術的な知見に加え、優れたコミュニケーション力、リーダーシップ、マネジメント能力が求められます。

CTO(Chief Technology Officer)との違いについて

企業における技術面の最高責任者を指すのがCTO(Chief Technology Officer)です。経営陣に対して技術者の立場から支援を行い、会社の技術戦略を検討することが主な役割となります。
場合によっては、以下の業務も担当します。

  • エンジニアの採用
  • エンジニアのマネジメント

CTOの業務範囲は企業や事業の規模によって異なり、事業が拡大すると、

VPoPや VPoE VPoT

などの役職に分かれることもあります。
CTOは社内で最も高い技術力を持つ必要があり、常に技術トレンドや市場動向をウォッチし、深い知見に基づいて技術戦略を立案する必要があります。

VPoEとの違い

VPoE(Vice President of Engineering)は技術部門の管理職として、以下の役割を担います。

  • エンジニア陣の人事管理
  • エンジニアの採用、育成、評価
  • 一人ひとりが最大限の能力を発揮できるよう支援

VPoEの職務はプロジェクトマネージャーと類似する面もありますが、VPoEの方が責任範囲は広範にわたります。

プロジェクトマネージャー VPoE
個別のプロジェクトを管理 全プロジェクトの統括を行う

技術責任者との違い

システムの技術的側面に責任を持つのがVPoT(VicePresident of Technology)の役割です。VPoTはプロダクト開発に直接関与し、コード審査やアーキテクチャ選定を行います。
また、システムの責任者として他部門からの問い合わせや苦情対応も担当します。
一方のVPoPとは業務内容が大きく異なり、

  • VPoPが製品品質向上策を検討するのに対し
  • VPoTは実際にプロダクト開発に携わります

つまり、VPoTの方が技術者としての役割が強いと言えるでしょう。

VPoP(Vice President of Product)が必要とされる背景

VPoP(Vice President of Product)が必要とされる背景

近年、スタートアップ企業を中心に、VPoPと呼ばれる役職を設置する動きが加速しています。
VPoPが求められる背景には、主に2つの要因が挙げられます。

  • 一つ目は、プロダクト開発を手掛ける企業の増加です。
  • 二つ目は、アジャイル開発手法の普及です。

以下、それぞれの理由について詳しく説明していきます。

プロダクト開発を行う企業が増えた

製品やサービスを指す言葉としてプロダクトという用語が使われています。近年、IT需要の高まりに伴い、プロダクト開発を手掛ける企業が増加しています。
競合他社に勝ち抜くためには、プロダクトの質的向上が不可欠です。
そのためにも、ユーザーからの意見や要望をプロダクトに適切に反映させることが重要となります。
このような観点から、プロダクト改善を専門に担当するVPoPという役職が注目されています。
ユーザーの声を集約し、適切な指標を設定して継続的な改善を実施できる人材が、多くの企業から求められています。

アジャイル開発の普及

近年、ウェブ関連の業界を中心に、従来のウォーターフォール型開発手法に代わり、アジャイル開発が採用されるようになってきました。
アジャイル開発は、企画からテスト工程までを短いサイクルで繰り返し行う開発アプローチです。

  • 各サイクルの終了時に顧客からフィードバックを得ることで、顧客の要望を柔軟に取り入れることができるというメリットがあります。

しかしながら、顧客の意見を検討するプロセスに時間を要するため、開発の進捗が遅れてしまうリスクもあります。
そこで、意思決定のスピードアップを図るためにVPoPの導入が重要視されるようになってきています。

VPoP(Vice President of Product)に必要なスキル・知識

VPoP(Vice President of Product)に必要なスキル・知識

VPoPに求められる主要な能力は、以下の3点です。

  • 円滑な意思疎通を図るコミュニケーション能力
  • 問題を特定し、適切な解決策を導き出す問題解決能力
  • エンジニアとしての実務経験

それぞれについて詳しく説明していきましょう。

コミュニケーション能力

VPoPには優れた対人スキルが求められます。
経営陣との対話が多いため、また開発チームをまとめる立場にあるため、コミュニケーション力が不足していては役割を果たせません。
経営層と現場社員の双方と円滑なコミュニケーションを図り、信頼関係を構築することが重要となります。

問題解決能力

プロダクトの性能向上策を検討するVPoPには課題解決力が不可欠です。物事を合理的に捉え、現実的な対処法を案出する能力が求められるでしょう。
顧客の満足度を高めつつ、開発チームの負荷も増やさない方策を立案する必要があります。
そのためには、

  • 様々な視点から状況を分析し
  • 他者が見落としがちな問題点を発見したり
  • 既存の概念にとらわれずに解決手段を検討したりすることが肝心です。

エンジニアとしての経験

技術的な専門性だけでなく、幅広い業務経験が求められるため、VPoPへの昇進は容易ではありません。
プログラミング、セキュリティ、ハードウェアなどのIT知識に加え、プロジェクト運営の実績が重視されます。
具体的には、

  • スケジュール管理
  • 予算管理
  • トラブルシューティング
  • 人員配置と評価

などの経験が必須となります。
VPoPは長年の経験を積んだ技術者が就くポストであり、経歴の浅い段階では就任が難しい点に留意する必要があります。

VPoP(Vice President of Product)に転職するには?

VPoP(Vice President of Product)に転職するには?

VPoPの地位に就くためには高度な専門性が求められるため、転職によってその役職を得ることは容易ではありません。
しかし、早期の段階から着実にスキルと実績を積み重ねていけば、不可能ではないでしょう。

ただし、中途採用でVPoPを公募している企業は少数に限られ、長年勤務した社員がVPoPに昇進するケースがほとんどです。

VPoPを目指すのであれば、まずは

  • システムエンジニアなどの技術職に転職し
  • その後プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど上流工程の業務に携わり
  • マネジメント経験を積みながらVPoPへの昇進を目指す

のが現実的な道筋と言えるでしょう。

ただし、スタートアップ企業などでは、稀にVPoPの募集があることもあります。
しかし、その場合でも最初はVPoP候補として採用されるケースがほとんどでしょう。

まとめ

まとめ

この記事では、VPoPという役職について説明しました。
VPoPに求められる能力や、その地位に就くための方法などを理解していただけたと思います。
VPoPは製品の戦略策定を行い、品質や顧客満足度の向上に責任を負うポジションです。
VPoPに就くためには、

  • エンジニアとしての幅広い経験と実績が必要不可欠

であり、簡単に目指せるものではありませんが、裁量権を持ち、やりがいのある仕事だと言えます。
VPoPへの昇進をキャリアの最終目標とする場合、早い段階から

  • プロジェクト管理や経営に関する知識を身につけておくこと

をおすすめします。
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この記事が皆様の助けになれば幸いです。