機械学習エンジニアの転職実現のコツを解説!

政府が人口減少と高齢化に伴う労働力不足の解決策として、デジタル化を推進していることから、AI技術の活用が国を挙げて注目されています。
しかし、AIの開発を担える技術者の数が需要に追いついていないのが実情です。
そのため、IT業界で特に高収入が期待できる職種として、機械学習エンジニアを目指す人が増加しています。

  • 機械学習エンジニアを志す人の中には、既にエンジニアとして働いている人だけでなく、全く異なる分野から転職を目指す人もいるほどです。

確かに機械学習エンジニアは将来有望な職種ですが、未経験者が転職してこの分野に携わることは可能なのでしょうか。
本記事では、機械学習エンジニアの業務内容や収入、キャリア展望に加え、未経験からの転職に向けたポイントについても解説します。

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機械学習エンジニアとは

機械学習エンジニアとは

データの共通性を見つけ出すアルゴリズムをコンピューターに学習させ、自動的にタスクを処理できるプログラムを構築する技術者を機械学習エンジニアと呼びます。
従来のプログラムとは異なり、機械学習を用いたプログラムは予測機能を備えています。
通常のプログラムでは、AならこうしろBならあーしろと指示されているため、想定外のデータCが入力されるとエラーになります。
一方、機械学習では

  • A・Bの共通点を探るアルゴリズムが組み込まれているので、新しいデータCと共通点を見つけ出し、「Cならこの処理が適切」と自動的に判断できるのです。

機械学習の英語表記がMachine Learningであることから、この分野の技術者はMLエンジニアとも呼ばれています。

機械学習エンジニアと混同されがちなのが、AIエンジニアやデータサイエンティストです。
AIとは人工知能(Artificial Intelligence)の略称で、人間のように自ら考え判断できるプログラムを作ることを目指す分野です。
機械学習はAI技術の一種に過ぎません。
そのため、AIエンジニアとは機械学習エンジニアを含むAI技術全般を扱う開発者の総称です。
一方のデータサイエンティストは、機械学習エンジニアが開発したアプリケーションを使い、大量のデータを分析することが主な役割です。

役割 機械学習エンジニア データサイエンティスト
分野 AI開発 データ分析
主な業務 機械学習アプリケーションの開発 機械学習アプリケーションを使ったデータ分析

このように、AIを扱う分野でも機械学習エンジニアは開発、データサイエンティストは分析と、それぞれの守備範囲が異なります。
AI開発に携わりたい方は、この違いを確実に理解しておく必要があります。

機械学習エンジニアの仕事内容

機械学習エンジニアの仕事内容

機械学習エンジニアの職務は多岐にわたります。
それぞれの業務内容を詳細に検討しましょう。

  • データの収集と前処理
  • モデルの構築とチューニング
  • モデルの評価と改善
  • モデルの実装とデプロイ
  • プロジェクト管理と文書化
業務内容 詳細
データの収集と前処理 関連するデータを収集し、クリーニングや正規化などの前処理を行う
モデルの構築とチューニング 適切なアルゴリズムを選択し、ハイパーパラメータのチューニングを行う
モデルの評価と改善 モデルの性能を評価し、必要に応じて改善を行う
モデルの実装とデプロイ モデルをプロダクション環境に実装し、運用を行う
プロジェクト管理と文書化 プロジェクトの進捗管理と、コードやドキュメントの作成を行う

機械学習モデル構築、検証

モデリングおよび検証作業は、機械学習エンジニアの上流工程における最初の職務です。
この業務は、通常、機械学習エンジニアの中でもプロジェクトマネージャー級の者が担当します。
機械学習には多様なアルゴリズムが存在し、システムごとに適切なアルゴリズムを選択し、モデル構築を実施します。
しかし、選択したアルゴリズムが必ずしも最適解とは限りません。
そこで、

  • 様々な条件を想定して検証を行い、その採用の是非を検討した上で、次のシステム設計・開発フェーズへと業務を移行します。

機械学習システム設計、開発

一旦、モデルの構築と検証を経て、「このアルゴリズムを活用してサービスを立ち上げる」と決定した場合、そのアルゴリズムを用いてどのような機能を備えたシステムを開発するかを検討し、実際にサービス開発に取り組むことになります。
この段階は、一般的なエンジニアリングの業務プロセスと大きく異なるものではありません。

機械学習の基盤構築、運用保守

機械学習システムの構築においては、開発者自身が実行環境を整備する必要があります。
ただし、システムの内容や規模によって、準備すべき環境は異なります。
そのため、開発者は自身の知識と経験に基づき、適切な基盤を構築していく必要があります。

現在、機械学習分野ではDockerを利用したコンテナ型仮想化が主流となっています。
コンテナ型仮想化では、通常はDockerコンテナを一から構築しますが、AWSやAzureなどの大手クラウドサービスが提供する基盤を活用する企業も多くあります。

また、機械学習に限らず、開発したシステムには運用と保守が不可欠です。

  • 長期間にわたり利用するためには、メンテナンスを行ったり、トラブル発生時には原因を特定し、再発防止のための改修を行う必要があります。

このように、機械学習システムの開発では、事前の環境整備や開発後の運用保守業務も、機械学習エンジニアの重要な役割となります。

実際の機械学習エンジニアの開発案件を確認しましょう。

機械学習エンジニアの年収

機械学習エンジニアの年収

機械学習エンジニア(AIエンジニア)の平均年収は599万円、一方ITエンジニアの平均年収は497万円と、求人ボックスのデータから分かります。
この数値を比較すると、機械学習エンジニアはIT業界の中でも高収入の職種であることが確認できます。
ただし、599万円という金額は一部の人から見れば思ったよりも低いのではないかと感じられるかもしれません。
その理由として、未経験者でも応募可能な機械学習エンジニア求人が増加していることが考えられます。
求人ボックスに掲載された機械学習エンジニア求人のうち、約18.9%が未経験者でも応募できる求人となっています。

従来、機械学習分野はIT業界の中でも特に高度な専門性が求められ、未経験者の採用は控えられ、情報系の学部や大学院を卒業していることが前提とされてきました。
しかし、IT業界全体で人手不足が深刻化する中、AI分野における人材確保の難しさは顕著な問題となっています。
そのため、

  • 「実務経験や必要な学歴はないものの、今後有望視されるAI分野で働きたい」と考える人が増加しています。

実際、日本ディープラーニング協会認定のG検定・E資格関連講座を開講しているAIジョブカレでは、2022年4月時点で受講者数が5,000人を超えています。
このように、実務経験や学歴を必須としない企業が増え、それに伴い平均給与が下がっている可能性があります。

一方で、フリーランスの機械学習エンジニアの収入状況は以下の通りとなっています。

平均単価 中央値単価 最高単価 最低単価
機械学習エンジニア 85.2万円 80万円 200万円 20万円

フリーランスの機械学習エンジニアの平均年収は、月額単価を年ベースで換算すると1,022万円となります。

機械学習エンジニア需要の動向

機械学習エンジニア需要の動向

近年、機械学習エンジニアの存在感が飛躍的に高まっています。
しかし、一時的な人気に過ぎないのではないかと危惧する向きもあるかもしれません。
そこで、現時点での機械学習エンジニアに対する需要と将来性について、詳しく検証していきましょう。

  • 需要の高まり
  • 分野 需要の理由
    AI/機械学習 AIシステムの開発に不可欠な人材
    データ分析 ビッグデータ解析の中核を担う
    製造業 工場の自動化や品質管理に活用
  • 将来性
    • AIの発展に伴い、さらなる需要の増加が見込まれる
    • 新しい応用分野の開拓が期待される
    • 機械学習エンジニアのスキルセットが重要視される傾向が続く

機械学習エンジニアの現状

人工知能分野における技術者の不足は深刻な課題となっています。経済産業省の調査によれば、2018年時点でAI技術者は約3万4000人の欠員があり、2030年までにその数は12万4000人に達すると見込まれています。
機械学習の領域では、プログラミングスキルに加え、大学卒業レベルの数学・統計学の知識が求められるため、エンジニアの育成に長い期間を要します。
現在、機械学習分野への関心は高まっており、志願者数も増加していますが、専門スクールや自習では実践的な知識を身につけるのが難しい状況にあります。
日本では、社会人が新たなキャリアを目指して再び大学・大学院に通うことは一般的ではなく、莫大な時間と費用がかかります。
今後、機械学習エンジニアを増やすには、以下の対策が考えられます。

  • 大手企業を中心に育成環境を整備する
  • 社会人が就労しながら機械学習を学び、転職に必要な学歴を取得できる環境を整備する

機械学習エンジニアの将来性

機械学習の専門家は、今後も需要が高まる職種と言えるでしょう。
これまでの説明から明らかなように、現時点でも機械学習の専門家は不足しており、将来的にはさらにその需給ギャップが広がると予測されています。
加えて、日本政府は「Society 5.0」と呼ばれる、ITテクノロジーを生活に組み込んだ新しいライフスタイルを提唱しています。

  • Society 5.0には、AIを活用した業務の自動化も含まれており、内閣府が掲げるこの新しい生活様式の実現には、機械学習の専門家の存在が不可欠です。

現在、世界規模でITテクノロジーを日常生活に取り入れる改革が進行中です。
したがって、ITと人間の共生に欠かせない役割を担う機械学習の専門家は、将来的にも仕事に恵まれる職種であり続けるはずです。

未経験から機械学習エンジニアへの転職を実現させるには

未経験から機械学習エンジニアへの転職を実現させるには

機械学習分野で活躍したいと願う人は多数存在します。
しかし、身近にエンジニアとして働く人がいない、機械学習エンジニアへの転職に成功した例を知らないなどの理由から、転職に求められる要件が見えづらい人もいるかもしれません。

そこで、未経験者が機械学習エンジニアを目指す際に必要となる知識や経験について確認していきましょう。

  • プログラミング言語の習得
  • 機械学習の理論的な理解
  • データ分析の実践経験
  • ポートフォリオの作成

機械学習や深層学習(ディープラーニング)開発経験を身に付ける

機械学習エンジニアを志す際、未経験者であっても実践的な開発経験が不可欠です。
小規模なアプリケーション開発でも構いませんが、機械学習やディープラーニングの実装に取り組むことが重要です。
この分野の開発では、以下の知識が役立ちます。

  • Python、C++などのプログラミング言語
  • DjangoなどのPythonフレームワーク
  • TensorFlow、NumPyといった機械学習・ディープラーニング特化フレームワーク
  • MySQL、Spark、Hadoop、Dockerなどのミドルウェア

開発した成果物はポートフォリオとしてまとめることで、面接の際に実力を直接アピールできるでしょう。

統計、数学、データ分析の知識/スキルを身に付ける

機械学習の分野では、統計学、数学、データ分析の知識とスキルが不可欠です。
一般的に、これらの分野では大学卒業程度の水準が求められます。
プログラミング言語の習得ではなく、統計学や数学の学習が障壁となる人もいるかもしれません。

統計学、数学、データ分析の勉強を行う場合、高校数学から見直すことをお勧めします。

  • 特に確率論、数列、微分積分は機械学習に必須なので、丁寧に学習し、大学レベルの積分や離散数学にも取り組みましょう。

統計学に関しては、統計検定2級の合格を目標に学習を進めていくことをお勧めします。
資格では必要な知識が体系的にまとまっており、実際にAI開発の分野で統計検定は評価されています。
統計検定の取得は転職活動でも有利になります。

統計学、数学、データ分析を独学で難しいと感じる場合は、大学や大学院で学ぶことをお勧めします。
昨今では、AIについて学べる夜間制の学部や通信制の大学が増えてきています。

  • 通信制大学では、ソフトバンクが運営するサイバー大学や早稲田大学の人間科学部人間情報科学科が有名です。
  • 夜間制では、筑波大学の社会人大学院や東京理科大学の理学部第二部が知られています。

社会人として働きながら勉強するのは大変ですが、確実に転職を成功させたいのであれば、学歴は大きな武器になるでしょう。

データベース、分散処理、クラウドスキルを身に付ける

機械学習の専門家は膨大な情報を扱うため、以下の知見が不可欠です。

  • データベース
  • クラウドサービス
  • 並列処理

しかし、自力で学習するだけでは大規模データを活用する開発経験を積むのは難しいかもしれません。
そこで、Webエンジニアやプログラマーとしてキャリアを積み、数年間の実務経験を重ねることが賢明でしょう。

転職理由と志望動機を一貫させる

就職活動において、新しい職場への入社理由と前職を離れた経緯は、必ず質問されるトピックです。
前者は志望動機、後者は転職理由に該当します。似て非なる2つの概念ですが、その違いを正しく理解し、一貫性のある説明が求められます。
前職を去った背景には、何らかの不満があったと受け取られがちです。
しかし、転職によってその不満が解消されないと、新天地でも長く勤められないと見なされかねません。
そこで、転職理由と志望動機を整合させ、前職での課題を乗り越え、新職場でやりがいを見出せることをアピールすることが重要となります。

  • リスト1
  • リスト2
  • リスト3
列1 列2 列3
セル1 セル2 セル3
セル4 セル5 セル6

転職サイトや転職エージェントを活用する

経験がない状態での転職活動は困難な道のりとなります。
転職サイトで未経験者向けの求人を探すだけでなく、転職エージェントを積極的に活用することをおすすめします。
転職エージェントには、様々な転職事例に携わってきた専門家が在籍しており、あなたと同様の経歴の転職者をサポートした経験を持つ専門家に出会えるかもしれません。
そうでなくとも、未経験者の転職をサポートするノウハウを持っているため、手厚いフォローを受けられます。
経験者に比べて不利な立場にある未経験者は、転職エージェントの助言を参考にしながら転職活動を進めることが賢明です。

まとめ

まとめ

機械学習分野のエンジニアは現在、様々な領域から注目を集めており、今後もその需要は高まっていくと予想されています。
未経験者でも、今からこの分野に挑戦する価値は大きいでしょう。
ただし、機械学習エンジニアはIT業界でも特に高度な技術力が求められる職種であり、未経験からの転職には高いハードルがあります。
状況によっては、大学などで学位を取得することも検討する必要があるかもしれません。

機械学習エンジニアには、正社員としての需要だけでなく、フリーランスとしての需要も高まっています。

  • 単価100万円以上の案件も多数あり、フリーランスでも高収入が期待できます。

そのため、機械学習エンジニアへの転職を希望する方は、将来的にITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」への移行も視野に入れながら、転職活動を進めるのがよいでしょう。

本記事が皆様の参考になれば幸いです。