キャラクターデザイナーという職種をご理解いただけていますでしょうか。この仕事は、アニメやゲームなどで活躍するキャラクターの描写を担当します。
近年、Vtuberや3DCG、ネット動画配信などの分野でキャラクターが重要視されるようになり、この職種への関心が高まっています。
転職を視野に入れる方も多いのではないかと思われます。
本稿では以下の点を詳しく解説いたします。
- キャラクターデザイナーの役割
- 業務内容の詳細
- 年収水準
- 転職市場における需要動向と将来性
- ポートフォリオの重要性
- 未経験者がこの職を目指す方法
キャラクターデザイナーへの転職に現在または将来的に興味をお持ちの方は、ぜひお読みください。
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キャラクターデザイナーとは
絵本、アニメ、ゲームなどの作品において、登場人物の外見や性格を具現化する役割を担うのがキャラクターデザイナーです。
企画段階から関与し、クリエイターの意向を汲みながら、ストーリーや世界観に馴染む魅力的な人物像を描き上げていきます。
単に与えられた条件に従うだけでなく、独自の発想力を発揮して新たなキャラクターを生み出すことも求められる創造的な職種です。
キャラクターデザインとイラストの違い
キャラクターの外観や性格、背景などを構想し、ゼロから新しいキャラクターを生み出す職業がキャラクターデザイナーです。一方で、イラストレーターは既に設定されたキャラクターの絵を描く役割を担います。
前者は創造的な発想力が求められますが、後者は与えられた条件に沿って作品を制作することが主な業務となります。
キャラクターデザイナーの主な仕事は以下の通りです。
- 企画書などの大まかな情報をヒントに、オリジナルのキャラクターを考案する
- キャラクターの人物像を具体化し、ビジュアルイメージを描く
一方、イラストレーターは次のような役割を担います。
- クライアントから提示されたキャラクター設定に基づき、イラストを描く
- 既存のキャラクターに忠実に従い、様々なシチュエーションの絵を描く
要するに、キャラクターデザイナーは無からキャラクターを生み出す創造的な仕事であり、イラストレーターはその設定に沿って絵を描く実務的な仕事と言えるでしょう。
キャラクターデザイナーの仕事内容
キャラクターデザイナーの職務については、先ほど概略を説明しましたが、ここで詳細に言及させていただきます。
- キャラクターの外見(髪型、服装、体型など)を決める
- キャラクターの性格や背景設定を決める
- キャラクターの動作や表情を決める
- キャラクターの世界観に合わせてデザインする
重要なポイント | 内容 |
---|---|
創造性 | オリジナリティのあるキャラクターを生み出す力が必要 |
理解力 | 作品の世界観を深く理解する必要がある |
コミュニケーション力 | 制作スタッフと綿密に打ち合わせをする必要がある |
要望ヒアリング
キャラクターの外観や雰囲気などの細部にわたる要求事項を把握しながら、依頼主が望むキャラクターイメージを構築することが、キャラクターデザイナーの役割の出発点となります。
依頼主から提示されたキャラクターの
- 物語性
- 企画概要
- コンセプト
などを基に、キャラクターのイメージを具体化していきます。
最終的な原案の制作が主な業務となるため、デザイナー個人の
- 感性
- 創造力
- 想像力
が高く評価されます。
ラフスケッチ作成・修正
キャラクターデザイナーは、クライアントから収集した情報に基づき、最初の下書きを作成します。
その後、企画案のキャラクターイメージと合致しているかどうかを確認するため、クライアントとミーティングを行います。
キャラクターのイメージと一致しない場合、何度も修正や再描画を行う必要があり、忍耐力が求められます。
キャラクターの仕上げ
キャラクターのイメージが固まった後は、デジタルツールを活用し、色彩設計や雰囲気づくりを行い、最終的な納品資料を制作していきます。
パソコン上での作業では、ラフ段階とは色味や雰囲気が大きく異なる可能性があるため、クライアントと定期的に確認を重ねながら進めることになります。
キャラクターデザイナーの年収
就労形態別のキャラクターデザイナーの収入状況を調査した結果、正社員とフリーランスでは大きな開きがあることが明らかになりました。
求人情報サイトの調査によると、正社員のキャラクターデザイナーの平均年収は約437万円で、月額に換算すると約36万円となります。一方、国税庁の統計では、日本の正規雇用者全体の平均年収は496万円でした。この数値と比較すると、キャラクターデザイナーの収入は平均を下回る水準にあると言えるでしょう。ただし、勤務先の待遇や個人のスキルによって収入に差が生じることは否めません。
一方、フリーランスのキャラクターデザイナーの収入状況は以下の通りです。
- 職種平均年収: 697万円
- 中央値年収: 660万円
- 最高年収: 1,920万円
- 最低年収: 240万円
正社員とフリーランスの平均年収を比べると、フリーランスの方が約1.6倍高い収入を得ていることがわかります。収入面で高い水準を望むキャラクターデザイナーにとって、フリーランスは魅力的な選択肢となり得るでしょう。キャラクターデザイナーのフリーランス案件を検討してみるのも一案かもしれません。
キャラクターデザイナー需要
キャラクターデザイン業界における人材ニーズを、現状と展望の視点から分析・説明します。
ご参考にしていただければ幸いです。
キャラクターデザイナーの現状
キャラクターデザイナーの仕事に対する需要は現在非常に高い水準にあると言えるでしょう。特にゲーム業界やアニメ業界においては、その需要が顕著に高まっています。
ゲーム業界では、スマートフォンやタブレットの普及に伴い、ゲームアプリやソーシャルゲームなどが人気を博しています。
以下の円グラフは、2021年の世界のゲーム市場規模をセグメントやデバイス別に示したものです。
【参考|グローバルゲームマーケットレポート2021】
2023年には、世界のゲーム市場が2065億ドルに達すると予測されています。
一方、アニメ業界においても、国内外を問わず高い人気と市場拡大が注目されています。
項目 | 2019年 | 2020年 | 前年比 |
---|---|---|---|
国内市場規模 | 2,451億円 | 2,368億円 | 96.5% |
海外市場規模 | 1兆2,165億円 | 1兆2,806億円 | 105.3% |
表①は、2021年に一般社団法人日本動画協会が発表した「アニメ産業レポート2021」を参考に、国内外のアニメ産業市場の動向をまとめたものです。
表から分かるように、アニメ産業の市場規模は2002年以降緩やかに上昇し始め、2019年には前年比約15%も増加しましたが、2020年は前年比96.5%と若干の下落が見られました。
近年では、テレビや映画以外にも、
- VTuberやインターネット上の動画配信サービスなど、キャラクターが活躍する場が増えています。
これらの業界の市場拡大は、制作会社や関連企業の増加にもつながると考えられます。
つまり、現状ではキャラクターデザイナーに対する需要が高まっていると言えるでしょう。
キャラクターデザイナーの将来性
キャラクターデザイナーの職業には明るい展望が開けています。キャラクターを活用するコンテンツが存在する限り、この分野の仕事は無くなることはありません。
むしろ、需要は増加し続けると予測されます。
- ゲーム業界ではスマートフォンアプリやソーシャルゲームの普及、さらにはVR・AR技術の進化により、注目が高まっています。
- その他にも、キャラクターグッズの製作やYouTube広告のアニメーション、LINEスタンプのデザインなど、様々なエンターテインメント分野でキャラクターが活用される機会が増えています。
アニメやゲーム業界では、新鮮なアイデアに基づくデザインや人々を魅了するキャラクターが求められています。そのため、キャラクターデザイナーとしてはアニメやゲーム業界が有望な選択肢となるでしょう。
キャラクターデザイナーとして活躍するためには、最新トレンドを把握する「リサーチ力」と独創性に富んだキャラクターを生み出す「ユニークな発想力」を磨くことが重要です。
「絵が上手い」だけでは、キャラクターデザイナーとしての付加価値はありません。
クライアントの理想を考慮しながら、独創性に溢れたキャラクターをデザインし続ける必要があります。
今後の将来性は非常に高い職種であり、さらにスキルと経験次第ではディレクターなどへのキャリアアップも容易な職種です。関心のある方は、ぜひ挑戦してみてください。
キャラクターデザイナーが転職する際に必要なポートフォリオとは?(2024年6月)
ポートフォリオは、キャラクターデザイナーとしての転職活動において、自身の能力や個性を示す重要な資料となります。企業側は、そこから応募者の想像力や強みを読み取り、将来性を評価します。
しかし、ポートフォリオの作成には単に内容を詰め込むだけでなく、戦略的なアプローチが求められます。応募先ごとに、個性を前面に押し出すか、企業の期待に沿うかなど、ポートフォリオの方向性を変える必要があるのです。
採用担当者が特に注目するのは以下の項目です。
ポートフォリオで重視される項目 |
---|
|
中でも「作品紹介」は、キャラクターデザイナーとしての将来性を判断する最重要部分です。自身の魅力を最大限アピールできるよう、工夫を凝らした記載が求められます。
キャラクターデザイナーへの転職を実現させるには
初心者がキャラクターデザイナーに転身することは可能ですが、容易ではありません。
キャラクターデザイナーは細部まで徹底的に作り込む必要があるため、高度な技術、ノウハウ、個人的な感性が求められる職種です。
そのため、努力を重ねない限り、簡単に転職できる仕事ではないのが実情です。
ここでは、未経験者がキャラクターデザイナーを目指す際に最低限マスターしておくべきスキルやポイントを5つ説明します。
- スキル1
- スキル2
- スキル3
- スキル4
- スキル5
デザインスキルや実務経験を身に付ける
キャラクターデザインにおいて、衣装や小物、色使いなどのデザインスキルは不可欠です。
近年では、手書きよりもデジタルイラストが主流となっています。
コンピューターグラフィックス(CG)デザイナーと呼ばれ、2次元(2DCG)や3次元(3DCG)の制作が人気を集めています。
以下のスキルを身に付けましょう。
特徴 | 必要なスキル |
---|---|
2DCGデザイナー | 一般的にIllustratorやPhotoshopなどのソフトウェアを使い、平面のグラフィックを描くデザイナー
|
3DCGデザイナー | コンピューターで立体的な空間や物体を描き、リアルな仮想空間の映像を作成するデザイナー
|
また、キャラクターデザイナーとして転職する際に有利となる、おすすめの資格試験があります。
必須ではありませんが、1つは取得しておくと良いでしょう。
【キャラクターデザイナーの転職に役立つ資格試験】
- CGクリエイター検定
- 色彩検定
- Illustrator®クリエイター能力認定試験
- Photoshop®クリエイター能力認定試験
デッサン力を身に付ける
キャラクターデザインの職務を遂行するには、描画技術が不可欠な要素となります。
依頼主から提示された仕様を基に具体的なイメージを形にする際、デッサン力が伴わなければ業務遂行は困難です。
- 構成
- 明暗
- 立体感
など、様々な要素を丁寧に描き分ける能力は、この職種において必須の技能の1つと言えるでしょう。
コミュニケーションスキルを身に付ける
キャラクターデザイナーとして活躍するには、あらゆる業務シーンにおいて円滑なコミュニケーション力が不可欠です。
キャラクターデザイナーは、クライアントからの依頼を受けることで仕事が発生するため、クライアントの要求に全面的に応えることが最重要課題となります。
つまり、クライアントが望む理想に極力近づけるべく、
- 繰り返しヒアリングを行う必要があります。
相手の希望やイメージを完全に汲み取るためにも、高度なコミュニケーション能力を身に付けておくことが求められます。
デザインスクールを受講する
キャラクターデザインを志す多くの人は、ゲームやアニメ関連のデザインスクールに通うことが一般的です。デザインスクールでは実践的な講義や演習が行われるため、卒業後すぐに実務に携わることができます。
また、アニメやゲーム会社は実績のあるデザインスクール出身者を優先的に採用する傾向があり、デザインスクールに通うメリットは就職にも好影響を与えます。
以下におすすめのデザインスクールを紹介します。ご参考ください。
スクール名 | 特徴 |
---|---|
①アミューズメント |
|
②パルミー |
|
転職サイトや転職エージェントの活用
経験がないキャリアチェンジャーの方へ
キャラクターデザイナーを目指す際、求人の探し方や必要なスキルなどの疑問点が多いでしょう。
そのような場合、デザイン専門の転職サイトや転職エージェントを活用するのがお勧めです。
転職のプロに相談すれば、自分の条件に合った求人を絞り込んでもらえるため、効率的に最適な企業を見つけられます。
以下は、デザイン転職に強いサイトやエージェントです。ぜひ参考にしてみてください。
デザイン転職に強いサイト・エージェント
サイト名 | 特徴 |
---|---|
①リクルートエージェント |
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②マイナビクリエイター |
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まとめ
この記事では、キャラクターデザイナーへの転職を検討している方向けに、その職務内容、収入水準、転職事情、未経験からの転職方法などについて詳しく解説しました。
キャラクターデザイナーとは、主にアニメやゲームのキャラクターをデザインする仕事です。その業務は大きく分けて以下の3つになります。
- クライアントやディレクターからの要望をヒアリング
- ラフスケッチの作成と修正
- キャラクターの仕上げ
キャラクターデザイナーの平均年収は約437万円と推計されています。転職市場の需要も高く、ポートフォリオを活用して自身のスキルをアピールすることが重要視されています。
未経験からこの職種に転じる場合は、
- デザインスキルや実務経験
- デッサン力
- コミュニケーション能力
を身につける必要があります。デザインスクールの活用や、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」の利用もおすすめです。
キャラクターデザイナーは今後も有望視される職種です。少しでも関心がある方は、この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。