クラウドストリーミングのメリット・デメリットを解説

2024年6月14日

科学技術の発達に伴い、近年では様々な形態のサービスが展開されています。その中でも今後注目されるサービスの一つが「クラウドストリーミング」です。
クラウドストリーミングにより、より多くの人々がコンテンツを手軽に利用・楽しむことができるようになります。
本稿では、クラウドストリーミングの概要、長所・短所、活用分野について解説します。
特に以下の方は、本稿をご一読いただくとよいでしょう。

クラウドストリーミングについて調査中の方
クラウドストリーミングのメリット・デメリットを知りたい方
クラウドストリーミングが利用されている領域を知りたい方

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1 クラウドストリーミングとは
2 クラウドストリーミングのメリット
3 クラウドストリーミングのデメリット
4 クラウドストリーミングが活用される領域
- 4.1 動画・音楽配信
- 4.2 ゲーム
5 まとめ

クラウドストリーミングとは

ネットワーク上に保存されたデータを、インターネットを介して自身のデバイスで視聴・利用できるサービスがクラウドストリーミングです。データをダウンロードしながら同時に再生することを指します。

ゲームや音楽、動画などのコンテンツがクラウド上から視聴可能になっています。

このサービスが普及した背景には、インターネット環境の進化が挙げられます。

2000年代後半にはゲーミングサービスが登場しましたが、当時の技術やネットワーク環境では十分な利用には至りませんでした。
しかし、IT技術の発達とインターネット速度の向上により、サービスの価値が見直されるようになりました。
現在では5Gの高速通信が可能となり、大容量データの伝送が実現しています。

このため、今後クラウドストリーミングサービスの需要はより一層高まっていく可能性が考えられます。

クラウドストリーミングのメリット

この節では、クラウドストリーミングの長所について説明いたします。
クラウドストリーミングを利用することで、以下のようなメリットがあります。

多様な人々がさまざまなコンテンツを享受できる機会が増大する

デバイスのスペックやストレージ容量を問わない

クラウドストリーミングの利点の一つは、再生デバイスの性能を気にする必要がないことです。動画やゲームの処理はサーバー側で行われるため、ストリーミングのためにハイスペックな機器を用意する必要はありません。
サービスプロバイダの利用条件を満たせば、お気に入りのデバイスでサービスを利用できます。
新しい高性能デバイスを購入する必要がないのはユーザーにとって大きなメリットです。

また、クラウドストリーミングサービスではデータがすべてクラウド上、つまりインターネット上に保存されているため、デバイスの容量を気にする必要がありません。
例えば、動画をダウンロードするには数GBの空き容量が必要ですが、クラウドストリーミングではその心配がありません。
スマートフォンのみを所有している場合、動画をダウンロードするとストレージ容量を大きく圧迫してしまいます。
パソコンでも同様の問題があります。
特に長時間の動画データは多くの容量を必要とします。

ゲーム
音楽
動画

に関わらず、インターネット上のデータをパソコンやスマートフォンでストリーミングするだけで手軽に楽しめます。
インターネット接続環境さえあれば、誰でもコンテンツを楽しめるため、幅広いサービスを多くの人が利用できる可能性が広がったと言えるでしょう。

すぐに再生できる

クラウドストリーミングの魅力は、コンテンツを利用したい瞬間から即座に視聴できる点にあります。

ダウンロードを待つ必要がないため、デバイスとインターネット環境さえ整っていれば、同時にコンテンツをストリーミングしながら再生が可能です。
インターネット回線の状況によっては、1GBのデータをダウンロードするのに数分から数十分を要する場合もあり、特に動画などの大容量コンテンツではダウンロード完了までに長い時間を費やすことになります。

時間に余裕があれば待ち時間は問題にならないかもしれませんが、スキマ時間や限られた時間しかない場合には、できる限り待ち時間を短縮したいものです。クラウドストリーミングサービスなら、コンテンツを視聴したいタイミングですぐに再生できるため、魅力的な選択肢となります。

利用環境がセキュア

ストリーミング配信は、セキュリティ面で優れた特徴を備えています。
再生データが一定の間隔で分割され、少しずつ送信されるため、利用環境の安全性が高まります。
データを分割することで、ダウンロード形式よりも復元が困難になります。
セグメントファイルと通信を暗号化すれば、セキュリティ面での信頼性が大幅に向上するでしょう。
さらに、データがクラウド上に保存され、クライアント側のデバイスに残らないため、配信元にとってセキュアな環境が実現します。
利用後にクライアント側のデバイスからコンテンツが削除されるので、不正ダウンロードや不正流用の心配がありません。
著作権管理や機密情報の配信には、クラウドストリーミングが適していると言えます。

活用シーンが幅広い

クラウドストリーミングの利点は、適用範囲が広範囲にわたることが挙げられます。クラウドストリーミングを活用する際、ユーザー側の負担が軽減されるためです。
特別な機器を用意したり、ストレージ容量を気にする必要がなく、日常的に使用しているパソコンやスマートフォンなどで簡単にコンテンツを利用できます。
利用のハードルが低いことから、個人での活用はもちろん、ビジネス分野でも様々な可能性が広がります。

社員研修用の動画コンテンツや顧客向けのプレゼンテーション資料などにも、クラウドストリーミングを活用できます。
情報がユーザー端末に残らないため、機密性の高い情報も扱うことができます。
また、事前にダウンロードする必要がないため、準備を依頼することなく、すぐに利用を開始できるでしょう。

クラウドストリーミングのデメリット

この節では、クラウド配信の欠点について説明します。非常に便利なクラウド配信ですが、利用する際には留意すべき点もあることを認識しておく必要があります。

クラウド配信の欠点

インターネットの利用環境に依存する

クラウドストリーミングの欠点の1つは、快適性や利便性がインターネット環境に左右されることです。
ストリーミングサービスでは、ダウンロードと再生を同時に行う必要があります。
例えば、HDクオリティの動画を視聴するには、安定した数十Mbpsの通信速度が求められます。
速度が不安定だと、コンテンツが途切れがちになり、内容の理解や十分な楽しみ方ができません。
動画や音声が中断されれば、本来の目的を達成できなくなる可能性があります。
数十Mbpsの十分な速度を安定して確保するには、一定水準以上のインターネット環境が必要不可欠です。
いつでもどこでも利用できるメリットはありますが、一定の通信環境が整備された場所でのみ可能であることを認識しなければなりません。
企業などのビジネス利用であれば、一定のインターネット環境が用意されていることが多いでしょう。
しかし、個人宅での利用では、各家庭の回線速度に依存せざるを得ません。
在宅勤務を取り入れた企業がクラウドストリーミングを業務に活用する場合、従業員の自宅のインターネット環境にも配慮が必要になるでしょう。

通信制限がかかる可能性がある

クラウドストリーミングサービスを活用する際は、データ通信量に留意する必要があります。
ストリーミング中は継続的にデータ通信が行われるため、視聴時間が長くなればなるほど、また、ファイルサイズが大きくなればなるほど、必要なデータ量も増加します。
ポータブルWi-Fiやスマートフォンでは、月間の通信量に上限が設けられていることが一般的です。
そのため、クラウドストリーミングサービスを頻繁に利用すると、通信制限を受ける可能性が高くなります。
通信制限になると通信速度が大幅に低下するため、クラウドストリーミングの利用が困難になる場合が多いでしょう。
特に動画コンテンツでは、必要なデータ量が膨大になるため注意が必要です。
例えば、2時間程度の映画をクラウドストリーミングで視聴するには、1GB前後のデータ通信量が必要となります。
クラウドストリーミングを日常的に活用するのであれば、

データ量無制限の通信プランに加入すること

が賢明でしょう。

サーバーの負担が大きい

クラウドストリーミングの実装には、サーバーの処理能力が重要な課題となります。
リアルタイムで計算を行い、ストリーミング配信を実現するためには、サーバーに大きな負荷がかかるからです。
アクセスが集中した場合、ストリーミングが円滑に行えなくなる可能性があります。
そのため、エラーの発生を最小限に抑えるには、十分な性能を備えたサーバーが不可欠です。
サーバーの能力が不足していると、魅力的なコンテンツであっても、ユーザーが離れてしまう恐れがあります。

クラウドストリーミングが活用される領域

この節では、クラウドストリーミングが利用される主要な分野の事例を紹介します。
現時点でも、すでに多岐にわたる領域においてクラウドストリーミングが活用されています。

ゲーム

ゲームのストリーミング配信	クラウドゲーミングサービス
ゲームのライブ配信	eスポーツの視聴

動画

動画の視聴	ネットフリックス、Hulu、Amazonプライムビデオ等の動画配信サービス
ライブ配信	YouTubeライブ、Twitch等のライブ配信サービス

音楽

音楽の視聴	Spotify、Apple Music等の音楽ストリーミングサービス
ラジオの視聴	ラジオ局の生配信

動画・音楽配信

クラウド技術の進化により、音楽や映像コンテンツのストリーミング配信が一般化しています。
音楽データは容量が比較的小さいため、スムーズな再生が可能です。
代表的なサービスとして、

iTunes MatchはiCloudにライブラリを集約
YouTube Musicは一定の無料視聴が可能
Apple Musicはユーザー嗜好に合わせた推薦機能を備えています

動画コンテンツについても、クラウドストリーミングが普及しています。
従来は視聴デバイスに保存された動画しか見られませんでしたが、近年ではアカウント作成さえすれば、様々な端末から動画を楽しめるようになりました。
代表的なサービスとして、Googleドライブがあげられます。
Googleドライブならテキストや文書だけでなく、動画データもクラウド上に保存可能です。
一度アップロードすれば、PCやスマートフォンなど複数の端末で視聴できます。

ゲーム

クラウド技術を活用したゲームサービスも存在します。ゲームデータをクラウド上に保管し、ユーザー端末はストリーミングのみを行うことで、スマートフォンやタブレットでもハイスペックなゲームが楽しめます。
近年のゲームは高度化が進み、専用デバイスを用意せずともモバイル端末でプレイできるのは魅力的です。
ゲーム分野におけるクラウドストリーミングサービスは現在も発展途上にあり、今後の展開が注目されています。