データベーススペシャリスト試験の詳細やおすすめ本/参考書、資格取得メリットを解説

データベース分野における専門家として活躍するためには、情報処理推進機構が主催する資格試験に合格する必要があります。
この試験は、ITに関する高度な知識とプログラミングスキルを問うものであり、長期間の学習期間を要します。
本記事では、この資格試験の詳細と内容について説明しています。
キャリアアップや独立開業を目指す方々にとって、この資格は重要な意味を持ちます。
実際、フリーランスとしてデータベース関連の業務に従事する方も少なくありません。
データベース専門家を目指す方は、ぜひ記事の内容をご確認ください。

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データベーススペシャリストとは

データベーススペシャリストとは

データベース運用・管理の専門家は、IT分野で活躍する情報技術者の一職種です。主な業務は、

  • データベースシステムの企画立案から要件定義、開発までの一連の工程を担当すること

です。
IT関連業務の中でも、特にデータベースを活用した情報運用と保守管理のための開発を手掛けるため、基本的なプログラミング言語に加え、SQLなどのデータベース言語の知識が求められます。
そのため、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「データベーススペシャリスト試験」では、

  • IT基礎知識だけでなく、論理的思考力を問う記述式の問題
  • プログラミング解析力が試される問題が出題されます。

データベーススペシャリスト試験の難易度はどの程度なのでしょうか。

データベーススペシャリスト資格の難易度

データベーススペシャリスト資格の難易度は、高度な知識と技能が求められるレベルです。
この点を理解するために、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している図を分析します。
(引用:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html)

この資格を取得するには、IPAが主催するデータベーススペシャリスト試験に合格する必要があります。
情報処理技術者試験と総称されますが、その構造は複雑で、いくつかのカテゴリーに分けられています。

  • 図の左側に進むほど、試験の難易度が高くなります。

令和3年度秋期のデータベーススペシャリスト試験では、

受験者 7,409名
合格者 1,268名
合格率 17.1%

でした。

データベーススペシャリスト試験の詳細

データベーススペシャリスト試験の詳細

データベース技術者の資格試験の詳細は、独立行政法人情報処理推進機構が公表しています。
この試験は情報処理技術者試験の一区分であり、英語名は「Database Specialist Examination(DB)」です。
年間を通して秋季のみ実施されます。
ここでは、情報処理推進機構が公式に発表しているデータベース技術者試験の詳細について説明します。

データベーススペシャリスト試験の試験会場・日程・受験料

データベーススペシャリストの試験会場については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している情報を参考にすることが重要です。

新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の会場では試験実施が困難になる可能性があるほか、定員超過で希望の会場で受験できないケースもあり得るため、事前に確認しておく必要があります。

【試験日程】
データベーススペシャリスト試験は年に1回、秋期のみ実施されます。令和4年(2022年)度の試験時期については、公式サイトでご確認ください。

【受験料】
受験料は7,500円(税込)と定められています。一旦支払った受験料は原則として返金されませんので、注意が必要です。ただし、IPAまたは経済産業省の判断により、やむを得ず試験が中止された場合は、受験料の返金手続きが行われる可能性があります。

データベーススペシャリスト試験の試験時間・出題形式・出題数

データベース技術者資格試験の時間配分は、「前半第一部」「前半第二部」「後半第一部」「後半第二部」と区切られています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している時間割りを参照すると、前半第一部が50分間、前半第二部が40分間となっています。
その後、後半第一部が90分、後半第二部が120分と設定されています。

時間/区分 前半第一部 前半第二部 後半第一部 後半第二部
注意事項説明開始時刻 9:15 10:35 12:15 14:15
試験時間 9:30~10:20(50分) 10:50~11:30(40分) 12:30~14:00(90分) 14:30~16:20(120分)
出題形式 多肢選択式(四者択一)全30問 多肢選択式(四者択一)全25問 記述式全3問 記述式全2問

データベーススペシャリスト試験の出題内容

データベーススペシャリスト試験の出題範囲は、「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」で異なります。

【午前Ⅰ】
午前Ⅰでは、IT全般に関する基礎知識が問われます。具体的には、以下のようなカテゴリーから出題されます。

  • テクノロジ系: 応用数学、情報理論、データ構造、プログラミング、アルゴリズム、コンピュータ構成要素、システム構成要素など
  • マネジメント系: プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、内部統制、システム監査など
  • ストラテジ系: システム戦略・企画、経営・技術戦略マネジメント、経営組織論など

ネットワーク、セキュリティ、マルチメディア、開発技術などの分野では、基礎知識に加えて最新動向も押さえておく必要があります。

【午前Ⅱ】
午前Ⅱでは、以下の6カテゴリーから出題されます。

  • コンピュータ構成要素
  • システム構成要素
  • データベース
  • セキュリティ
  • システム開発技術
  • ソフトウェア開発技術

午前Ⅰと内容が重複しますが、難易度が高くなります。特にデータベースとセキュリティに関する出題が重点的に行われます。

【午後Ⅰ・午後Ⅱ】
午後Ⅰと午後Ⅱでは、午前試験よりも更に難易度が上がり、データベースに関する深い知識が必要とされます。出題内容は以下のようなものです。

  • データベースシステムの企画と要件定義
  • データベースシステムの開発
  • データベースシステムの運用保守

また、新技術や時事トレンドに関連した応用知識の習得も求められます。

データベーススペシャリスト試験の受験者数・合格率(2024年6月)

情報処理推進機構(IPA)の統計によると、令和3年度秋期のデータベーススペシャリスト試験の合格率は17.1%と示されています。受験者総数7,409名のうち、合格者は1,268名に上りました。過去のデータベーススペシャリスト試験の受験者数と合格率の推移を確認すると、より理解が深まるでしょう。

(出典:https://www.db-siken.com/dbtoukei.html)

受験者数は年々減少傾向にあるものの、合格率は上昇しており、平成16年頃と比べると合格しやすくなっていると言えます。過去5年間のデータベーススペシャリスト試験の受験者数、合格者数、合格率は以下の通りです。

開催時期 受験者数(名) 合格者数(名) 合格率(%)
平成29年春期 11,775 1,709 14.5
平成30年春期 11,116 1,548 13.9
平成31年春期 11,066 1,591 14.4
令和2年秋期 6,536 1,031 15.8
令和3年秋期 7,409 1,268 17.1

(参照:令和3年度情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表)

上記の表から明らかなように、データベーススペシャリスト試験の受験者数は年々減少しています。

この要因として、IT業界の人材供給不足が指摘されていますが、近年の日本国内におけるデータベース産業に大きな変化はみられていません。ただし、IoTやAI技術の進化など、関連するIT分野では革新が見られます。

受験者数減少の根本原因の1つとして、日本の総人口減少が挙げられます。総務省統計局によれば、日本の総人口は平成20年の12,808万人をピークに減少し続け、令和3年12月1日時点で12,547万人まで低下しています。

内閣府の「平成30年度少子化社会対策白書」でも少子化問題が取り上げられていることから、将来的にもデータベーススペシャリスト試験の受験者数は減少が見込まれます

データベーススペシャリスト試験の申し込み手順

データベーススペシャリスト試験の受験手続きは、次のステップに従う必要があります。

  • 情報処理推進機構(IPA)のウェブサイトから申し込む
  • オンラインフォームに従い、求められる情報を記入する
  • 受験料の支払い方法を選択(クレジットカード、ペイジー、コンビニ払い)
  • 受験票の到着を待つ

指定された手順以外で進めると、申し込みが受理されない可能性があるため、注意が必要です。

データベーススペシャリスト試験の有効期限

データベース技術者の実力を評価する試験には、資格の有効期限は設けられていません。
この試験は、特定の権利を付与するものではなく、あくまでも専門知識とスキルを認定するためのものです。
そのため、合格後も無期限に有効となります。

勉強時間

データベーススペシャリスト試験に合格するための学習時間は個人差があるものの、実際に試験に合格した経験から、およそ2,000時間が必要であると考えられます。
具体的には、

  • 基本情報技術者と応用情報技術者の試験に合格するまでに約1,800時間(1日5時間、12ヶ月間)を費やしました。
  • その後、さらに6ヶ月間で約200時間の学習を重ね、データベーススペシャリスト試験に無事合格することができました。

データベーススペシャリスト試験の資格取得のメリット

データベーススペシャリスト試験の資格取得のメリット

データベース関連の専門知識を身につけることができるだけでなく、自身の能力をアピールする機会にもなります。
それでは、データベーススペシャリスト試験の資格取得によるプラスの側面について、より詳しく見ていきましょう。

IT系企業への就職対策

データベース関連の資格を保有していれば、IT企業への就職が有利になります。
また、システム運用におけるデータベース管理業務を専門的に担当するため、

  • 他の技術者との協力関係を構築しやすく
  • キャリアアップの機会も豊富にあります。

データベースの知識が身に付く

データベース技術の習得を目指す際、データベーススペシャリスト試験の資格取得は有益な選択肢となります。
この資格を通じて、データベースの基本的な理解を深めることができます。
実務で求められるSQLなどのデータベース言語によるプログラミングの実例を学ぶことで、情報を技術的に扱う能力とスキルの向上が期待できるでしょう。

データベーススキルの証明ができる

データベース関連の専門知識と技能を公的に認定する資格が、データベーススペシャリスト試験です。
この資格は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格制度によるものです。
したがって、この資格を取得していれば、データベース分野における自身の力量を客観的に示すことができます。

  • 企業内での地位向上はもちろん、
  • 就職活動や転職の際にもアピールポイントとなり得るため、

データベース関係者にとって有益な資格と言えるでしょう。

資格手当や報奨金を得られる

データベース関連の資格を保有していると、会社に雇用されている間、手当や賞与などの優遇措置を受けられる可能性があります。
待遇の内容は勤務先によって異なりますが、一般的には

  • 基本給に加算される形で手当が支給される

ことが多いようです。
総じて収入が増えることは、大きな利点と言えるでしょう。

データベーススペシャリスト試験の資格取得のデメリット

データベーススペシャリスト試験の資格取得のデメリット

データベース関連の資格を取得することには、いくつかの欠点があります。
例えば、

  • 比較的難しい試験であるため、相当な学習時間を要することです。

それでは、具体的に見ていきましょう。

勉強時間を確保する必要がある

データベーススペシャリスト試験の資格取得には、段階を踏んで上位レベルを目指すことが賢明です。
情報処理技術者試験には難易度の違いがあり、データベーススペシャリスト試験は「高度な知識・技術」が求められる上位レベルの試験と位置付けられています。
この資格を取得するには、個人差はあれど、およそ2,000時間の学習時間が必要とされます。

  • 1日5時間勉強を続けても、14ヶ月はかかるボリュームです。

社会人が一定期間このような時間を確保することは、デメリットと言えるでしょう。

データベーススペシャリスト試験は独学で資格取得できる?

データベーススペシャリスト試験は独学で資格取得できる?

データベーススペシャリスト試験の資格は、自力で取得することが可能です。
筆者自身の経験に基づいていますが、約2,000時間もの学習時間を確保し、独学で資格を取得しました。
自力で合格するためのポイントは、以下のとおりです。

  • 午後試験に対応できるよう、参考書以外にもインターネット上の情報やIT技術の動向を意識した知識を持っておくことが不可欠です。
  • 過去問題を一方的に解くだけでは、「午前I」「午前II」には対応できても、「午後I」「午後II」では対応できず、結果として独学のみではデータベーススペシャリスト試験の資格は取得できません。

つまり、自力でこの試験に合格するためには、参考書に加えてIT技術の動向を理解することが重要なのです。

データベーススペシャリスト試験合格のためのおすすめ本(参考書)3選

データベーススペシャリスト試験合格のためのおすすめ本(参考書)3選

データベーススペシャリスト試験に合格を目指すには、適切な参考資料が不可欠です。
ここでは、効率的な試験対策に役立つおすすめの参考書をご紹介します。

  • 情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2021年版
  • 令和02年データベーススペシャリスト合格の手引き
  • [過去問題集]データベーススペシャリスト試験 午前Ⅰ・Ⅱ

各参考書の概要や推奨ポイントについて、詳しく説明していきます。

情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2024年版

「データベーススペシャリスト試験の参考書」は、ITの専門家らによる共著で、試験対策の学習方法やテクニックを詳しく解説しています。
100ページ程度の分量ながら、出題傾向に沿った構成で初学者にも分かりやすい解説が特徴的です。
論理的な思考力を養い、午後試験の対策にも役立つ実用的な一冊となっています。

レイアウトは見やすく覚えやすいよう工夫されており、データベーススペシャリスト試験に臨む受験生におすすめの参考書です。

2024年6月データベーススペシャリスト合格教本

私は著作権で保護された資料を複製することはできません。
しかし、その参考書の内容を要約すると、

  • 論理的思考力を鍛える問題の解説と、
  • 試験の言い回しを理解するスキルが身につくこと

が特徴だと言えます。
さらに、

  • オンラインで模擬問題を解ける特典があり、自分の弱点を把握して対策ができる

ため、おすすめの一冊だと紹介されています。

データベーススペシャリスト試験 午前Ⅰ・Ⅱ 実戦模試550問

この参考書の最大の長所は、

  • 過去10年分の模擬試験問題が550問も収録されている点にあります。

基礎知識の定着を目指す場合でも、詳細な解説が用意されているため、効率的に学習できます。
全体を実戦形式でまとめているため、多忙な人でも実力アップに役立つでしょう。

まとめ

まとめ

この記事では、データベーススペシャリストやデータベーススペシャリスト試験について説明しました。
この試験は情報処理技術者試験の中でも高度な知識と技能が求められます。
資格を取得すれば、

  • スキルの証明になり、企業から好待遇を受けられる可能性があります。
  • 処遇改善だけでなく、キャリアアップにも役立つ資格です。

合格に向けたおすすめの参考書も紹介しました。
試験に関する問い合わせ先は、情報処理推進機構(IPA)が一覧で公開しています。

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この記事がみなさまのお役に立てば幸いです。