PMOスペシャリスト認定資格の取得を検討しているものの、試験内容や学習方法について公式ウェブサイトを確認しても不明瞭な点が残り、受験するかどうか迷っている人が多いのではないでしょうか。
この資格は、IT/Web関連企業において高く評価されるマネジメント能力を身につけるための有益な資格の一つです。
本稿では、PMOスペシャリスト認定資格について詳しく説明します。
- 出題範囲
- 難易度
- 効果的な学習方法
などをまとめました。
本稿を読めば、この資格の性質を理解でき、合格に向けた学習を始められるはずです。
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PMOスペシャリスト認定資格とは
PMOに関する専門知識と技能を証明する資格制度が、一般社団法人日本PMO協会によって運営されています。
この資格を取得することで、プロジェクト管理やチームマネジメントに関する能力を身につけることができます。
現在、この資格には2つのランクが設けられており、
- PMOの基礎知識を示す初級レベル
- PMOの知識と技術を証明する上級レベル
に分かれています。
資格試験に臨むには、協会が提供する認定教材を学習し、修了する必要があります。
教材を通じて基礎を固めた上で試験に挑むことで、PMOに求められるスキルを確実に習得することが可能となります。
PMOとは
プロジェクト管理オフィスの略称であるPMOは、主に情報技術/ウェブ関連企業におけるプロジェクトの支援・調整を担う役割です。
- プロジェクトの進捗管理
- 必要な資金・人材の確保
- 顧客や関係部署との調整
など、様々な任務を負っています。
PMOとプロジェクトマネージャー(PM)はともにマネジメント業務に携わる点で共通していますが、具体的な職務内容は異なることが多くあります。
一般的には、PMOはPMの下位に位置し、PMがマネジメント業務に専念できるよう支援を行います。
大規模プロジェクトになるほど、PMだけでは管理が困難になるため、PMOの存在が不可欠となってきます。
PMOスペシャリスト認定資格試験概要
この認定資格に関する詳細な情報をまとめました。
以下の点について説明しています。
- 認定資格の内容
- 出題範囲
- 受験者数
- 合格率
- 難易度
- 申請手順
- 有効期限
- 学習に必要な時間
これらの情報は、公式サイトの内容を参考にしています。
PMOスペシャリスト認定資格の詳細
PMOスペシャリスト認定資格の詳細を以下にまとめました。
PMOスペシャリスト(★)
- 試験会場: 自宅(オンライン)
- 試験日時: 受験期限内に任意のタイミング
- 試験時間: 90分
- 出題形式: 択一式の選択回答方式
- 問題数: 50問
- 受験環境: パソコン(サポートが切れているOS・ブラウザはサポート対象外)詳しい受験環境はこちら
- 合格基準: 正答率80%以上
受験料 | 一般 | NPMO会員 |
---|---|---|
初回受験 | 14,300円(税込) | 9,900円(税込) |
再受験 | 5,500円(税込) | 3,300円(税込) |
- 受検資格
- 1. 当協会または他団体のプロジェクトマネジメント関連資格を有している方
- 2. 指定のNPMO認定教材での学習を修了した方
PMOスペシャリスト(★★)
- 試験会場: 自宅(オンライン)
- 試験日時: 受験期限内に任意のタイミング
- 試験時間: 120分
- 出題形式: 記述式(1回答150文字前後)
- 問題数: 20問
- 受験環境: パソコン(サポートが切れているOS・ブラウザはサポート対象外)詳しい受験環境はこちら
- 合格基準: 正答率70%以上
受験料 | 一般 | NPMO会員 |
---|---|---|
初回受験 | 16,500円(税込) | 11,000円(税込) |
再受験 | 5,500円(税込) | 3,500円(税込) |
- 受検資格
- 1. PMO-S(★)™認定資格を有している方
- 2. 指定のNPMO認定教材での学習を修了した方
PMOスペシャリスト認定資格の出題範囲
PMOスペシャリスト認定資格の出題範囲は公式サイトに明示されていませんが、試験を通じて獲得できる知見や技能について記載があるため、それを参考にしましょう。
【PMOスペシャリスト(★)】
目標: プロジェクトマネジメントを支援するPMOの基礎的な知識と技術を習得する。
- PMOの定義や本質を理解する。
- PMOを導入するメリットの基本を把握する。
- PMOの主な役割や職種の基本を理解する。
知識:
- PMOの基本概念、位置づけ、定義を習得する。
- 一般的なPMOの役割を習得する。
- PMO導入の手順概要例を参考にその手法を習得する。
- PMO活動事例を学習する。
技術:
以下のPMO導入プロセスについて、導入手順概要例に基づきその技術を習得する。
- プロジェクトマネジメントへの理解
- プロジェクトマネジメント課題の抽出
- 目標・管理指標の策定
- 具体的支援内容の策定
- PMO組織の位置づけ策定
- 自組織における新組織編成プロセスの実行
【PMOスペシャリスト(★★)】
目標: PMOの知識と技術を習得する(PMOマネジャーレベル)。
- PMOを設計するための技法を理解する。
- プロジェクトの推進を支援するための技法を理解する。
- PMOマネジャーの役割の本質を探求する。
知識・技術・思考:
・PMOの基本概念、位置づけ、定義を習得する。 |
・一般的なPMOの役割を習得する。 |
・PMO導入の手順概要例を参考にその手法を習得する。 |
・PMO活動事例を学習する。 |
PMOスペシャリスト認定資格の受験者数・合格率・難易度
PMOスペシャリスト(★)の受験者数と合格率については非公開となっています。
一方、PMOスペシャリスト(★★)の合格率は56%と明記されていますが、これは2021年4月から8月にかけて実施されたリリース前のパイロット運用期間の数値です。
PMOスペシャリストに類似した資格試験として
- プロジェクトマネージャー試験
がありますが、令和3年度秋期の合格率は14.4%にとどまっています。
この数字を見る限り、PMOスペシャリスト(★★)の合格率の方が高いことがわかります。
しかし、PMOスペシャリスト(★★)を受験する人はすでにPMOスペシャリスト(★)に合格しており、PMO業務に必要な基礎力を備えていることが前提となっています。
そのため、合格率が高いからといって難易度が低いとは一概に言えないでしょう。
PMOスペシャリスト認定資格の申し込み手順
PMOスペシャリスト認定資格の取得プロセスは以下の通りです。
- 公式ウェブサイトにある「受験要件確認フォーム」から申請を行います。
- 案内されたURLから料金の支払いを済ませます。
- NPMO認定教材を用いて学習を開始します。
- 受験のタイミングは任意に選択できます。申請後、日本PMO協会から受験要件を満たしているかチェックを受け、問題がなければURLが送付されます。
支払い方法はクレジットカードまたは銀行振込から選べます。
試験に合格すると、日本PMO協会から認定証が作成され、発送されます。
PMOスペシャリスト認定資格の有効期限
PMOスペシャリスト認定資格に限らず、NPMOが認定する資格には2年ごとの更新制度が設けられています。
更新を行うためには、まず更新の権利を得る必要があります。
更新権利を得るには、以下の条件を満たさなければなりません。
- NPMOが提供するeラーニングやセミナーを合計20時間受講する
さらに、更新を行う際には手数料の支払いが求められます。
対象者 | 手数料 |
---|---|
一般の方 | 8,800円(税込) |
個人会員の方 | 6,600円(税込) |
勉強時間
PMOスペシャリスト認定資格を取得するための学習時間の目安は30時間程度とされています。しかし、マネジメントの基礎知識がない場合、さらに多くの時間を要する可能性が高くなります。
PMOスペシャリスト試験に臨む前提条件として、NPMO認定教材の修了が義務付けられていますが、PMOの基本概念や知識がない状態では、その内容を十分に理解することが難しくなります。
マネジメントの経験がない方は、
- NPMO認定教材に取り組む前に
- 市販の参考書などでマネジメントの基礎を学習すること
が賢明でしょう。
PMOスペシャリスト認定資格の資格って役に立つ?2024年6月の資格取得のメリットとは
プロジェクトマネジメントの専門知識を習得できる点が、この資格の最大の強みです。
- 企業におけるプロジェクト運営能力が身に付くため、IT/Web関連企業への就職や転職の際に有利に働く可能性があります。
- 加えて、一部の会社では資格手当の支給対象となるケースもあり、経済的なメリットも期待できます。
それぞれの利点について、より詳しく説明していきましょう。
プロジェクトマネジメントスキルが身に付く
プロジェクトマネジメントの専門知識を習得するには、PMOスペシャリスト認定試験に合格することが有効な手段となります。
経営管理能力は、IT/Web関連企業において高く評価されるスキルの一つです。
技術者としての職務を遂行するだけでは、マネジメント力を身につけるのは困難であり、そのような資質を備えた人材は希少価値が高いと言えます。
PMOスペシャリスト認定資格の取得を通じて、PMOに限らず、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど、マネジメントスキルが求められる職種で役立つ基礎力を身につけることができます。
転職・就職に活用できる可能性がある
PMOスペシャリスト認定資格の取得は、キャリアアップや新たな職場への就職において有利に働く可能性があります。
過去にプロジェクトマネジメントやPMOの経験がない場合、マネジメント能力を示すことは容易ではありません。
しかし、この資格を持っていれば、経歴に関わらず基礎的な知見を備えていることを証明できます。
さらに、マネジメント職への意欲も伝えられるでしょう。
マネジメント分野への転職を志す方にとって、PMOスペシャリスト認定資格は取得すべき有力な資格の一つと言えます。
資格手当がもらえる可能性がある
会社によっては、PMOスペシャリスト認定資格の取得により、資格手当を受け取ることができる場合があります。
その金額は月額5,000円から10,000円程度ですが、毎月の給与に上乗せされるため、大きな金額となります。
企業側も、マネジメント能力を備えた人材を育成したいと考えているケースが多く、PMOスペシャリスト認定資格保持者に手当を支給する可能性が高いのです。
PMOスペシャリスト認定資格の資格取得のデメリット
PMOの専門家認定資格を取得する際の欠点は、以下の2点が挙げられます。
- NPMO公認の教材を用いた学習を終えていないと試験を受けることができない
- 学習に費やす時間を十分に確保しなければならない
NPMO認定教材の学習を修了していないと受験できない
PMOスペシャリスト認定資格の受験には、NPMO認定教材の修了が義務付けられています。
NPMO認定教材を受講するためには、以下の料金支払いが必要となります。
個人会員 | 一般 | |
---|---|---|
PMOスペシャリスト(★) | 10,780円(税込) | 13,200円(税込) |
PMOスペシャリスト(★★) | 13,200円(税込) | 18,700円(税込) |
勉強時間を確保する必要がある
PMOスペシャリスト認定資格を取得するためには、十分な学習時間を確保することが不可欠です。
NPMO認定教材を修了するだけであれば、そこまで時間を要しませんが、マネジメントの基礎知識がない場合、その内容を理解するのは困難となる可能性が高くなります。
基礎から学習する必要がある場合、相当な時間を費やすことになるでしょう。
そのため、PMOスペシャリスト認定資格の申請に先立ち、学習計画を立て、必要な学習時間を確保できるかどうかを事前に確認することが賢明です。
PMOスペシャリスト認定資格合格のためのおすすめの参考書や対策法
確かに、PMOスペシャリスト認定試験に合格するための適切な準備方法を見つけることは重要です。
そこで、この資格試験に向けた推奨の参考書や効果的な対策について説明させていただきます。
試験に臨む際の学習アプローチに迷いがある方は、以下の内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。
プロジェクトマネジメント実践講座
この書籍は、プロジェクト運営の国際基準に沿った参考資料となっています。マネジメントに関する具体的な知見とツールについて、
- 「目標設定」
- 「計画立案」
- 「実行」
の3つの観点から詳細に解説されており、お勧めの一冊です。図解も多数掲載されているため、これからマネジメントを学ぼうとする方でも理解しやすい構成になっています。
加えて、実例に基づくケーススタディも収録されており、実践的なスキルを身につけることができます。マネジメントの基礎知識がない方は、認定教材に入る前に本書で基礎固めをしておくと、教材の内容をスムーズに理解できるでしょう。
NPMO認定教材で勉強する
NPMO公認の教材は、映像を中心としたeラーニングコンテンツであり、PMOスペシャリスト資格試験に挑戦する前に必ず修了しなければならないものです。
PMOスペシャリスト資格取得に向けた対策では、この公認教材を中心に学習を進めることが基本となります。
公認教材には、以下が用意されています。
- 映像教材
- 理解度を確認するためのクイズ教材
PCだけでなく、スマートフォンからもアクセスできるため、移動時間などの空き時間を活用して学習を進めることができます。
まとめ
この記事では、PMOスペシャリスト認定資格について説明しました。
この資格の長所と短所、試験内容について理解を深めていただけたと思います。
エンジニアとしての業務だけでは、マネジメント能力を身につけるのは難しいため、PMOスペシャリスト認定資格のような資格を取得して学ぶことをおすすめします。
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