組み込み系エンジニアの必要スキルを解説!

現代社会において、私たちの生活に欠かせない電化製品、携帯端末、自動車などには、「組込みシステム」と呼ばれる特殊なシステムが搭載されています。このシステムの開発を担う専門家が「組込み系エンジニア」であり、その需要は高まる一方です。
本稿では、組込み系エンジニアの職務内容、必要なスキルや資格、未経験者が同分野で活躍する方法について解説します。
特に以下の方々に一読をおすすめします。

  • 組込み系エンジニアへの転職を検討している方
  • 組込み系エンジニアの業務内容を知りたい方
  • 同分野で求められる知識・能力を把握したい方
  • 組込み系エンジニアに有用な資格情報を求めている方

週10時間の副業案件を
会員登録した方限定で配信中!

組み込み系エンジニアの仕事内容

組み込み系エンジニアの仕事内容

この節では、組み込みシステム技術者の職務内容を説明いたします。

組み込みシステム技術者の主な職務は以下の通りです。

  • 組み込みソフトウェアの設計・開発
  • 組み込みハードウェアの設計・開発
  • 組み込みシステムの検証・評価
  • 組み込みシステムの保守・運用

組み込みソフトウェアの設計・開発では、以下の作業が含まれます。

  • 要件定義
  • 設計
  • 実装
  • テスト

組み込みハードウェアの設計・開発では、以下の作業が含まれます。

  • 回路設計
  • 基板設計
  • 部品選定
  • 評価

組み込みシステムの検証・評価では、以下の作業が含まれます。

  • 機能検証
  • 性能評価
  • 信頼性評価

組み込みシステムの保守・運用では、以下の作業が含まれます。

  • 障害対応
  • バージョンアップ
  • 運用監視

企画

組み込み系エンジニアの主要な業務の一つは、システム開発の計画立案です。
新規案件を獲得した際、最初に行うのが企画作業となります。

  • 市場分析や関係者との協議を経て、開発対象のシステムの要件や目標を明確化していきます。

要件定義

システムの構想を立てた後、要求事項を明確化し、要求仕様書にまとめていきます。
顧客のニーズや仕様を基に、必要な性能や機能、制約条件を明らかにすることが肝心です。
要求仕様書としてまとめる際は、

  • プログラム仕様書
  • 設計書

などの文書形式が一般的です。
構想から要求定義までの工程は、今後の開発方針に関わる重要な段階です。
要求仕様書が適切に作成されているかどうかが、システムの出来映えに大きく影響するでしょう。
もし要求仕様書の内容があいまいなままで次の段階に進んでしまうと、顧客の求めるものから外れてしまう可能性が高まります。

システム設計書の作成

システムに組み込む機能の方針が決定すれば、システム設計書の形式に落とし込んでいきます。

  • どのような機能を盛り込むかを整理し、そのために必要となるソフトウェアやハードウェアを検討することが重要です。

ハードウェア設計においては、部品や回路の選択から動作確認まで行う必要があります。
ソフトウェア設計では、アプリケーションやシステムの要件定義を行った上で、アルゴリズムの設計が必要となります。
ハードウェアとソフトウェアは独立しているわけではなく、場合によっては連携させることもあります。
そのため、組み込みシステムエンジニアには、ハードウェアとソフトウェアの両方の設計に関する高い専門性が求められます。

組み込みソフトウェアの開発(2024年6月)

設計や要件定義の後、組み込みソフトウェアの製作に取り掛かります。
マイコンなどのハードウェア向けのソフトウェア開発も、組み込み系エンジニアの仕事です。

  • C/C++
  • アセンブリ言語
  • Java

などが組み込みソフトウェア開発で多用される言語です。
幅広い層に渡る開発が求められるため、プログラミングの知識も広範囲に及ぶ必要があります。

検証作業

組み込みシステムの開発においては、デバッグやテスト、品質保証のための検証作業が欠かせない工程となります。この検証工程は、経験の浅い開発者が担当することが多くなります。
しかし、システムの機能に不具合やバグがないことを確認することは、開発の重要な側面です。
あらかじめ定められたテスト項目に沿って、システムが意図した通りに動作するかを確認していく必要があります。
もし不具合やバグが発見された場合は、その都度修正を行うことが肝心です。
テストには様々な種類があり、以下のようなものがあげられます。

テストの種類
  • 単体テスト
  • 結合テスト
  • システムテスト
  • 受け入れテスト

テスト結果を確認し、問題点を解消することで、システムの品質を確保することができます。

コミュニケーションや調整

組み込み系エンジニアの職務には、関係者との円滑な意思疎通や調整が含まれます。エンジニアは個人作業のイメージが強いかもしれませんが、組み込み系では様々な関係者と協力する機会が多くあります。

組み込み系エンジニアにコミュニケーション力が必要とされる場面:

  • 顧客との打ち合わせ
  • チームメンバーとの打ち合わせ
  • プレゼンテーション

優れたプログラミングスキルだけでなく、自身の考えを分かりやすく伝える能力も、組み込み系エンジニアには日常的に求められる重要な資質です。

組み込み系エンジニアに必要なスキル・知識

組み込み系エンジニアに必要なスキル・知識

この節では、組み込みシステム開発者に求められる能力や専門知識について説明いたします。

  • 組み込みシステムの基礎知識
  • プログラミング言語の習熟
  • ハードウェア設計の理解
  • リアルタイムシステムの知識
  • デバッグ・テスト技術の習得

分野 必要な知識・技術
ハードウェア マイクロプロセッサ、メモリ管理、入出力デバイス
ソフトウェア リアルタイムOS、ドライバ開発、アプリケーション開発
プロジェクト管理 要求分析、設計、テスト、バージョン管理

プログラミング言語(C/C++など)

組み込みシステム開発者に必須とされるのが、プログラミング言語の習熟です。組み込み分野で頻繁に活用される言語は以下の通りです。

  • C言語
  • C++
  • C#
  • Java
  • JavaScript

中でもC言語は、組み込み系プロジェクトで最も広く用いられており、企業の採用や案件獲得においても重視されがちです。C++やJavaも利用頻度が高く、JavaはIT分野全般で役立つため、習得するメリットは大きいでしょう。

ハードウェアの知識

組み込みシステム開発においては、ハードウェア関連の知見が不可欠です。
設計書や仕様書の内容を理解する能力が求められ、回路図の読解力は基礎的な資質と言えるでしょう。
加えて、理論回路やアナログ回路に関する知識も、組み込みエンジニアには重要視されます。
さらに、ARMやSHなどのCPUに関する理解も一定レベル必要とされます。

OSに関する知識

組込みシステムの開発では、オペレーティングシステム(OS)に関する知見が必要とされます。
Windows やLinux などの一般的な汎用OSについては、操作スキルを含めた理解が求められるでしょう。
汎用OSを使用した開発の場合、通常のアプリケーション開発との違いはほとんどありません。
しかし、組込みシステム開発では、汎用OSだけでなく、次に紹介するリアルタイムシステムに関する専門知識がより重視されます。

リアルタイムシステムに関する知識

制限された期間内で特定の作業を完遂することが求められるシステムを、リアルタイムシステムと呼びます。このようなシステムでは、処理の即時性が重視されるため、汎用的なオペレーティングシステムとは異なるアプリケーション構造を持ちます。
リアルタイムシステムは、大きく以下の2種類に分類されます。

  • ハードリアルタイムシステム:期限内の処理完了が絶対条件
  • ソフトリアルタイムシステム:期限内の完了が望ましいが、一定の遅延は許容される

組み込みシステム向けのリアルタイムOSとしては、「ITRON」や「T-Kernel」などが代表例として挙げられます。

デバッグ・テストに関する経験

組み込みシステム開発者に必要とされる重要な要素の1つに、デバッグやテストに関する経験があげられます。
特に組み込み分野の新人エンジニアにとって、デバッグ作業やテスト業務が最初に担当する仕事になることが多いのが実情です。
テスト担当者やデバッガーは、組み込みエンジニアのキャリアパスの選択肢の1つとなっています。

組み込み系エンジニアに役立つ資格

組み込み系エンジニアに役立つ資格

この節では、組み込みシステム技術者の職務やキャリア向上に有益な資格について説明いたします。

  • 組み込みシステム技術者試験
  • 組み込みソフトウェア技術者試験
  • 情報処理技術者試験

資格名 概要
組み込みシステム技術者試験 組み込みシステム開発に関する知識と技術力を問う試験。
ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要。
組み込みソフトウェア技術者試験 組み込みソフトウェア開発に関する知識と技術力を問う試験。
ソフトウェア開発の知識が中心。
情報処理技術者試験 IT分野全般の知識と技術力を問う試験。
組み込み分野以外の知識も身につける。

ETEC(組込み技術者試験制度)

ETECは、組み込みシステム開発者の技能と知識を客観的かつ公平に評価することを目的とした試験制度です。
合格や不合格の判定はなく、各分野における理解度と実践力をA〜Cのグレード評価で示します。
この試験には、以下の2種類があります。

  • クラス2
  • クラス1

クラス2の受験には特別な条件はありませんが、クラス1を受けるにはクラス2で500点以上の得点が必要です。
クラス2は大学や専門学校卒業相当のレベルとされ、500点以上を獲得した場合は中級の技術者と見なされます。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

エンベデッドシステムに関する専門的な能力を有することを示す試験が、エンベデッドシステムスペシャリスト試験です。
組み込みソフトウェア開発における実践的な経験と知見を持つことを証明するものであり、一般財団法人情報処理学会が主催する民間資格制度です。
この資格を取得することで、エンベデッドシステムの開発や運用における技術力の向上やキャリアの発展が期待できます。

OCRES(OMG認定 組込み技術者資格試験)

OCRESは、OMGが主催する資格試験であり、組み込みシステムに関する専門知識の水準を評価するものです。
実務経験も問われるため、実践的な内容が含まれています。
OMGは世界的に著名な団体であり、その資格を取得することで、組み込み系エンジニアとしての力量を広く示すことができるでしょう。

JSTQB認定テスト技術者資格

ソフトウェアテストに関する専門性を客観的に示す認定制度として、JSTQBとISTQBの資格があげられます。これらは相互に同等の水準を有しており、国際的な通用性を備えています。
JSTQBの認定資格には、以下の2つのレベルが設けられています。

  • 初級の「Foundation Level」
  • 上級の「Advanced Level」

体系的な知識の習得と、スキルの証明が可能となることから、当該資格の取得は大きな利点となるでしょう。

LPIC・Linux

LPICとLinuCは、主要なオペレーティングシステムであるLinuxに関する能力を評価する民間の試験です。
LPICは世界的に認められた資格試験であり、LinuCは日本市場に特化した試験と言えます。
国内で活躍する場合はLinuCでも十分ですが、グローバルな活躍を目指すならLPICが求められるでしょう。
Linuxは地域性が高いOSであるため、

  • 日本国内で活躍するのであればLinuCでも十分な効果が期待できます。

基本情報技術者試験

情報技術に関する基礎的な知識を評価する試験が基本情報技術者試験です。エンジニアを目指す人にとって重要な国家資格であり、組み込み系の分野でも取得価値は高いと言えます。
問題形式はマーク式ですが、出題範囲が広範囲に及びます。
そのため、一つの分野に特化した勉強方法では合格が難しく、ITエンジニアとしての幅広い知識が必要不可欠となります。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位レベルの資格として位置付けられています。
ITエンジニアとしての高度な知識とスキルが求められる試験です。
マークシート方式に加え、記述式の問題にも対応する必要があります。
単なる知識の暗記では合格が困難であり、高い難易度の試験と言えるでしょう。
組み込みシステム分野でのキャリアを志向する場合は、取得しておくべき重要な資格の一つと言えます。

未経験で組み込み系エンジニアとして転職するためには

未経験で組み込み系エンジニアとして転職するためには

この節では、これまで経験のなかった組み込みシステム技術者への職種転換の手順を説明します。

  • まず、組み込みシステムの基礎知識を身につける必要があります。
  • 次に、実際のプロジェクトに参加し、実践的な経験を積む必要があります。
  • 最後に、組み込みシステム技術者の資格を取得することをお勧めします。
ステップ 内容
1 組み込みシステムの基礎知識を身につける
2 実際のプロジェクトに参加し、実践的な経験を積む
3 組み込みシステム技術者の資格を取得する

開発スキルを身に着ける

組み込み系エンジニアへの転職を目指す際、C言語やC++などのプログラミング言語の習得が有利になります。
プログラミング能力を身に付けることで、他の未経験者との差別化が図れるだけでなく、熱意を示すこともできます。
しかし、独学でこれらの言語を習得するのは容易ではありません。
そのため、状況に応じてスクールや専門学校を利用することが重要となるでしょう。

組み込み系エンジニアに関する資格を身に着ける

組み込み分野で活躍するための資格取得は、未経験者にとって有益な選択肢となります。過去の実績がない場合、資格を取得することで自身の能力をアピールできるからです。
さらに、資格取得は客観的な熱意の証明にもなり得ます。

  • ETEC(組込み技術者試験制度)
  • 基本情報技術者試験

など、組み込み系エンジニア向けの資格試験に挑戦することを推奨します。

未経験歓迎の組み込み系エンジニアの求人を探す

組み込み分野で経験がない方でも、エンジニアとしての就職機会は十分にあります。
技術者不足が常態化しているため、未経験者でも採用される求人が多数存在するのです。
ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」では、様々な組み込み系の仕事を紹介しております。

まとめ

まとめ

組み込み系エンジニアの業務は、システムの企画から要件定義、開発、デバッグ、テストと多岐にわたります。
顧客やチームメンバーとの調整も日常的に求められるため、

  • プログラミングスキル
  • ハードウェア・OS知識
  • コミュニケーション能力

も必要とされます。
未経験者でも組み込み系エンジニアとしてキャリアを始めることができます。

  • プログラミングの学習
  • 資格取得

により、未経験からでも十分に活躍できるでしょう。

ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」に興味がある方は、ぜひ登録してください。

本記事がお役に立てば幸いです。