コンピューター・ネットワークの構築と維持管理を主な業務とするネットワーク・エンジニアは、IT分野における人材需要の高まりを受けて、その求人も増加傾向にあり、将来性が期待される職種です。
ネットワーク・エンジニアとして就業する際、資格取得は必須ではありませんが、関連資格を持つことで転職や就職活動において有利になることが多くあります。
そこで本稿では、
- ネットワーク・エンジニアが資格を取得するメリットを説明した上で
- おすすめの資格について解説していきます
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ネットワークエンジニアは資格取得は必須ではない
ネットワークエンジニアとして活躍するためには、必ずしも資格を保有する必要はありません。重要なのは、ネットワーク関連の業務を遂行できる実力を備えていることです。
しかし、実務経験が乏しい方や他分野からの転職を目指す方については、ネットワークエンジニアの職務に直結する資格の取得が推奨されます。エンジニアのスキルは目に見えにくいため、経験がない場合、面接時にスキルを証明することが難しいからです。資格を持っていれば、自身の能力を客観的に示すことができ、採用担当者からの信頼を得やすくなります。
また、
- 昇進や昇給の条件として資格を課している企業も多数存在します。
そのため、すでにネットワークエンジニアとして働いている方も、資格取得によりキャリアアップのチャンスが広がる可能性があります。
ネットワークエンジニアが資格取得をするメリット
ネットワーク技術者が認定資格を取得することには、以下の3つの利点があります。
- キャリアチェンジや就職活動において、有利に評価される可能性がある
- 現在の職場で報酬の増額につながる可能性がある
- IT基盤に関する知見を体系立って習得できる
それぞれについて詳しく説明しましょう。
転職・就職活動時にプラスの評価を受けられる可能性がある
ネットワーク分野における専門性を客観的に示すには、関連資格の取得が有効な手段となります。応募者のスキルレベルに対する不安を払しょくし、高度な能力を証明する機会にもなるためです。
ただし、ネットワークエンジニアとしての就業には資格は必須ではありません。しかし、企業によっては応募条件として特定の資格を求める場合があり、資格保有者は選択肢が広がる可能性があります。
給与アップする可能性がある
企業の中には、特定の資格を取得していることを昇進や給与アップの要件としているところがあります。資格を持っていれば、転職する必要なく現在の職場で収入やキャリアを伸ばすことができるでしょう。
また、一部の会社では資格手当制度を設けており、役職が変わらなくても資格を持っていれば収入アップが期待できます。
フリーランスの方にとっても、資格保有は高額案件の採用率向上や応募できる仕事の幅が広がるメリットがあると考えられます。
ITインフラ領域の知識を体系的に学べる
ある特定の企業や役職に限定された知見しか持ち合わせていないネットワークエンジニアも少なくありません。
資格取得に向けた学習を通じて、自身の知識の偏りや不足に気づくことができます。
ITインフラ分野の体系的な知識を習得することで、エンジニアとしての基礎を強化できるはずです。
また、ITインフラに関する包括的な理解を持つことは、キャリアアップや転職の際に有利に働くかもしれません。
ネットワークエンジニアにおすすめの資格
ネットワーク分野で活躍するエンジニアに推奨される資格認定は以下の9種類があげられます。
- ネットワーク技術者向けの公的試験
- シスコシステムズ社による技術者認証プログラム(初級から最上級まで)
- オラクル社によるデータベース関連の上級資格
- Linuxの実務スキルを証明する民間資格
- Linuxマスターとなるための民間資格
- IT分野の国際的な非営利団体による認定資格
- IT初心者向けの国家資格
- IT上級者向けの国家資格
- 情報セキュリティに関する国家資格
これら各資格の詳細な内容を説明していきます。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワーク分野における最高難易度の資格試験と位置付けられ、情報処理技術者試験の中でも頂点に立つのがネットワークスペシャリスト試験です。
この試験に合格すれば、高度なIT人材としての認定を受けることができます。
ネットワークスペシャリスト試験では、以下が求められます。
- 専門領域に関する深遠な知見を有していること
- ネットワーク固有の技術を活用する力量
- 要件定義から運用、さらには保守に至るまでマネジメント的視点での役割を果たせる知識量やスキル
また、実務経験に裏打ちされたネットワーク知識が試されるだけでなく、論述形式の出題もあり、難易度の高さがうかがえます。
ネットワークスペシャリスト試験の詳細については、以下をご参照ください。
シスコ技術者認定(CCT/CCNA/CCNP/CCIE)
ネットワーク機器大手のシスコシステムズが提供する製品に関連する資格がシスコ技術者認定です。自社製品の知識を問う試験ではありますが、シスコ製品が世界中で使用されていることから、幅広い国や地域で通用する資格となっています。
ネットワーク業界でも多くの取得者がいます。
この資格のレベルは、
- エントリー
- アソシエイト
- プロフェッショナル
- エキスパート
- アーキテクト
の5段階に分かれています。
実務で活用でき、面接時に評価されるのはアソシエイトレベル以上です。
一方で、アーキテクトレベルの取得は非常に難しく、世界中でも保有者は数万人程度とされています。
シスコ技術者認定の詳細については、
CCNA | CCNP | CCIE |
をご確認ください。
オラクルマスター
オラクル社が公認する資格がオラクルマスターです。この認定試験はBronze、Silver、Gold、Platinumの4段階に分かれています。
- オラクルマスターを取得すれば、データベース関連の知見やスキルを証明できるほか、ネットワークやサーバーの専門性も示せます。
- 大規模ネットワークの設計・構築を志す方にも、この資格は有益です。
オラクルマスターの詳細情報はこちらをご参照ください。
LPIC(エルピック)
LPICは、Linuxに関する専門知識を保有していることを証明する資格制度です。オープンソースで操作性に優れているLinuxは、多くのシステムに導入されているため、Linuxに精通していれば技術者としての活躍の場が広がります。LPICは世界的に認められた資格であり、Linuxのスキルを公的に評価する指標としても位置付けられています。200カ国以上の技術者が受験しているため、海外で働きたい方にも適しています。
LPIC/LinuCのLevel-1は、Linux Professional Instituteが運営するLinux技術者認定資格です。レベル1では、Linuxサーバの運用管理者としての能力を認定します。
- レベル1を取得するには、101試験と102試験の両方に合格する必要があります。
- 難易度は比較的易しいものの、試験対策は欠かせません。
LPICの詳細については、こちらをご覧ください。
リナック
LinuC資格を有すると、即戦力としてのネットワークエンジニアと見なされるでしょう。この資格で問われる内容には、将来的にネットワーク技術者に求められる幅広い知見や技能が含まれています。
- Linux関連の技術や知識
- 仮想化
- クラウド
- オープンソース
- アーキテクチャ
LinuCには3つのレベルがあり、転職の際にアピール可能なのはレベル2以上です。
- レベル1では基本的なLinuxシステムの操作と管理に関する知識と技能が証明されますが、
- レベル2ではLinuxシステムの設計など、アーキテクチャに基づく導入と運用ができることも証明されます。
LinuCの詳細については、こちらをご参照ください。
CompTIA(コンプティア)
CompTIA認定資格は、米国のIT関連団体CompTIAが主催する資格試験です。
この資格は世界118カ国で認められており、国際的な評価を得ています。
CompTIA認定資格の特徴は、以下の点にあります。
- 特定のベンダーや技術に依存することなく、最新のIT知識とスキルを客観的に証明できる
世界中で信頼されているこの資格を取得することで、IT業務に求められる実践的な能力を備えていることを示すことができます。
基本情報技術者試験
情報処理技術者試験制度の一環である基本情報技術者試験は、スキルレベル2に位置づけられています。
この試験では、情報技術者として備えるべき基礎的な知識が広範囲にわたって問われるため、ネットワーク分野で活躍を目指す方にも役立ちます。
試験の範囲は、
- システム開発と運用
- 経営
- コンピューターシステム
- セキュリティ
- ネットワーク技術
- データベース
など多岐にわたります。
基本情報技術者試験の詳細については、以下をご参照ください。
応用情報技術者試験
国家資格である応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験よりも高度な水準にあたります。
合格には、基礎的な知識に加えて、それらを実践で活用する能力が求められます。
この試験では、技術面だけでなく、経営や管理に関する問題も出題されるため、この資格を手にすれば、多角的な視点から貢献できる人材となれるでしょう。
システム開発やIT基盤構築などの分野でも、高い実力が期待できます。
応用情報技術者試験の詳細については、以下をご参照ください。
情報処理安全確保支援士
情報の安全性を確かなものとするための支援を行う国家資格が2017年4月に新たに創設されました。
この資格は、従来の情報セキュリティスペシャリスト試験に代わるものとして制定されたため、試験内容には前資格と重複する部分が多数存在します。
当該資格を取得することで、公的機関や民間企業において、情報セキュリティに関する支援業務に従事できる人材と認められます。
合格率は18%前後と低く、難関試験の部類に入ります。
試験の詳細については、以下をご参照ください。
まとめ
ネットワークエンジニアとしての職務を遂行する上で、資格の取得は必須ではありません。しかし、関連する資格を保有することで、キャリア形成に寄与するほか、転職の際にも有利に働くでしょう。
IT人材に対する社会的需要は高く、多くの企業が求めている状況にあります。
そのため、未経験からでもスキルさえあれば転職は可能です。
ただし、採用担当者の多くは、未経験者に対してスキルの面で懸念を抱くことがあります。資格を取得しておけば、自身のスキルを客観的かつ確実に証明できるため、未経験者に対する不安を払拭することができます。
本記事では9つのおすすめ資格を紹介しましたが、全ての資格を取得する必要はありません。
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