SESとは?派遣・請負・フリーランスの違いやメリットデメリットを解説 | 2024年6月

多くの人が「SES」という言葉を耳にしながらも、その実態を把握できていないのが現状です。

  • 派遣業務との違いを理解せずに、SESとして勤務しているケースも少なくありません。

そのような状況を踏まえ、本記事では

  • SESの定義や特徴
  • 他の雇用形態との相違点を明らかにします。

さらに、

  • 国内で活躍するSES企業の一覧も紹介しています。

SESとしての適切な待遇を受けられるよう、関連知識を深めることができます。
加えて、

  • エンジニアがSESで働く際のメリット・デメリットについても解説しているため、今後の進路選択の一助となるでしょう。

SESの実態に関する疑問に答えられるよう、わかりやすく整理した内容となっています。

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SESとは?

SESとは?

SESとは、クライアント企業にエンジニアリングサービスを提供する事業を指します。具体的には、システム開発やインフラ構築・運用などの技術者をクライアントに派遣し、両者間で契約を結びます。
このようなサービスが存在する理由は、多くの企業でエンジニア不足が深刻化しているためです。経済産業省の資料によれば、2030年にはIT人材が最大79万人不足すると予測されています。

私たちの生活にITが浸透しているにもかかわらず、プログラミングなどの専門スキルを持つ技術者が国内で慢性的に不足しています。矢野経済研究所の推計では、2018年度の国内IT市場規模は前年比2.8%増の12兆4,930億円に上り、今後も拡大が見込まれています。近年注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流も、この需要を後押ししています。DXとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや組織を変革することを指します。製造業などでは国際競争力強化のため、デジタル化を支援するサービスが求められています。

このように、IT活用ニーズの高まりを背景に、SESを通じたエンジニア派遣サービスが拡大しています。しかし一方で、エンジニア不足は一層深刻化する恐れがあります。

参考 IT人材需給に関する調査

就業形態の違いを理解する

就業形態の違いを理解する

労働形態には様々な種類があり、SES、派遣、請負、フリーランスなどが挙げられます。
これらは外見上は類似しているように見えますが、実際の就労環境や法的な位置づけは大きく異なります。
経営者側がこれらの違いを正しく理解していないと、法令違反に陥る危険性があります。
一方で、労働者側も自身の立場を誤って認識していると、不利益を被る可能性があるため、各労働形態の特徴を十分に把握しておく必要があります。

人材サービスの違い

SESと派遣は、自社以外の会社に出向き業務を行うという点で共通しています。
しかし、両者の相違点は労働者に対する指示権限がどこにあるかにあります。
指示権限とは、従業員に業務上の指図を下す権能のことを指します。

  • SESの場合、この権限は派遣会社側にあります。
  • 一方、派遣の場合は受入れ企業側に権限があります。

SESでは残業時間などを受入れ企業側で決定することはできず、派遣会社側に決定権があります。
SESと派遣の違いは、指示権限の所在にあることを覚えておく必要があります。

SESと請負の違い

SESと請負は類似点が多いものの、相違点が1つ存在します。

SESにおいては、クライアント企業とベンダー企業が契約を締結する際、

  • 「エンジニアが一定期間業務に従事する」ことが約束されます。

一方、請負の場合は、

  • 「エンジニアが一定期間内に成果物を納品する」ことが約束されます。

つまり、SESではベンダー企業側は成果物の有無に関する責任を負う必要がない(瑕疵担保責任がない)のです。

このようにSESと請負には違いがあるため、注意を払う必要があります。

フリーランスとの違い

フリーランスには、以下の2種類がいます。

  • 独自のサービスを立ち上げる者
  • 他社に出向き業務を行う者

後者の場合、SESとの違いはあまりありません。
作業内容は変わらず、同一プロジェクトでSESとフリーランスが協働することもあります。
しかし、大きな相違点があります。それは企業に雇用されているかどうかという点です。
SESはベンダー企業に雇用されていますが、フリーランスは雇用されておらず、直接クライアントと契約を結んで業務を行っています。

SES フリーランス
ベンダー企業に雇用されている 雇用されていない
ベンダー企業とクライアントの契約 直接クライアントと契約

SESとフリーランスの違いは、雇用関係の有無にあります。

SES契約での注意点

SES契約での注意点

SESの性質を理解した上で、次はSES契約における留意事項を説明します。

SESとして勤務する際、少なくとも以下の2点に気をつける必要があります。

  • 指揮命令系統の所在を確認すること
  • 二重派遣や偽装請負に注意を払うこと

指揮命令権の所存を確認しよう

SESは時折「グレーゾーン」と呼ばれることがあります。その理由の一つは、SES契約であるにもかかわらず、実際の業務指示権限がクライアント企業側にあるケースが存在することです。
SES契約の場合、クライアント企業から直接業務指示を受けることは労働者派遣法に抵触する可能性があり、派遣元企業には最高で1年の懲役または100万円の罰金刑が科される恐れがあります。
エンジニアも派遣元企業やクライアント企業が違法行為に走っていないか、十分注意を払う必要があります。
クライアント企業には直接の罰則はありませんが、摘発によるプロジェクト中止などの不利益リスクは存在します。

  • 参考:第13条 違法行為による罰則、行政処分及び勧告・公表

偽装請負や二重派遣に注意しよう

二重派遣とは、請負契約で技術者を受け入れた企業Aが、さらに別の企業Bにその技術者を派遣することを指します。
この場合、企業Aは仲介料のみを得ながら何も生産しておらず、法的にも違法となります。
このような二重派遣を行う企業には注意が必要です。

また、請負契約を結んだにもかかわらず、実態が派遣形態である「偽装請負」にも気をつける必要があります。
違法行為に手を染める派遣元企業や企業から仕事を請けないよう、技術者側も法律知識を身に付け、注意を払うべきです。

エンジニアにとってSESで働くメリット・デメリット

エンジニアにとってSESで働くメリット・デメリット

エンジニアがSESとして勤務する際の長所と短所について説明します。

SESとして働く利点には、以下のようなものがあります。

  • さまざまな開発プロジェクトに従事できる。
  • 残業時間を自身でコントロールしやすい。

一方、SESとして働く欠点は次のとおりです。

  • プロジェクトの完了まで関与できない。
  • 収入が低額で不安定。

これからSESとしてキャリアを歩もうと考えているエンジニアの方は、これらの点を踏まえて、本当にSESに適しているかどうかを確認することが重要です。

様々な開発経験が積める

開発者としてキャリアを積む上で、システムエンジニアリングサービス(SES)の仕事には大きな利点があります。
SESとして勤務すれば、

  • プロジェクトが終了するたびに新しい現場へ赴任し、開発業務に従事することになります。
  • 単一の企業に留まらず、様々な企業での開発経験を重ねることで、幅広い技術力を身に付けることができます。

そうした経験は、将来的に転職やフリーランスとして独立する際に大いに役立つでしょう。

メリット:残業のコントロールが簡単

SESには、請負契約と比べて残業管理が容易であるという利点があります。
SES契約では、フリーランスや請負業者とは異なり、

  • 「期間内に成果物を提出する」という責任を負う必要がなく、長時間労働をして無理に成果物を完成させる必要がないためです。

さらに、残業が増えれば増えるほど、クライアント企業の外注コストが高くなるため、クライアント企業は可能な限り残業を抑制したいと考えているケースが多いのです。
SESは過剰な残業が少ないというメリットがあります。

プロジェクト完成まで携われない

SESの欠点の1つは、プロジェクトの最後まで関与できないことです。
SESは契約期間が決められているため、担当したプロジェクトが完了する前に契約が終了してしまう可能性があります。
システム開発に携わり、完成を目にすることができるのは、エンジニアにとって大きな喜びの1つです。
しかし、SESではそれを体験できないため、物足りなさを感じる人もいるかもしれません。

収入が低い・不安定

エンジニアがSESとして勤務する場合、収入面での制約が生じる可能性があります。

  • 複数の企業で業務に従事するため、幅広い知見を得られる一方で、特定の組織内での評価向上が困難になります。

例えば、プログラマーとしての経験を積んでも、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーへの昇進が難しくなる恐れがあります。
このような理由から、SESの給与水準が伸び悩む可能性があります。
高収入を望むのであれば、独立フリーランスを目指すことも一案でしょう。
フリーランス移行を検討している方は、関連情報をご確認ください。

フリーランスもSES契約が可能

フリーランスもSES契約が可能

フリーランスとしての働き方も、SES契約と同様に可能です。
SESとして別の企業で勤務している人と同じように、フリーランスでも他社での業務に従事することができます。
フリーランスの場合、派遣会社を介さずに直接クライアント企業と契約するため、手数料相当分の収入アップが期待できます。
また、自身の希望に合わせて以下を選択することも可能です。

  • 残業の少ない職場
  • 週3日勤務の職場

さらに、SESとしての業務に加えて自身のビジネスを育成することもできます。
現在SESとして働いている方がフリーランスに転じれば、業務内容を大きく変えずにさまざまな利点を享受できる可能性があります。

フリーランスになると案件探しが大変だと考える人もいるかもしれません。
しかし、フリーランス向けエージェントを活用すれば、担当者が適切な案件を探してくれるため、案件探しについて過度に心配する必要はありません。

SES契約で現在勤務している方は、フリーランスとしての独立も選択肢の一つとして検討してみる価値があります。

フリーランスエージェントの詳細を知りたい方はこちら→フリーランスエージェントに相談する

メリットについては、下記の記事をご覧ください↓

記事リンク

SES企業一覧

SES企業一覧

この節では、国内のSES企業リストをご紹介します。
SES企業は国内に多数存在しますが、自身で検索して一覧を作成するのは大変な労力を要します
そこで、定期的に更新しているSES企業リストをご参考までにご覧ください。
掲載企業数は2,036社で、2021年10月31日時点の情報です。

・リスト表記やテーブル表記はそのまま維持しています
・分量は元の文章とほぼ同じになるようにしました

  • 55株式会社
  • 0903株式会社
  • 株式会社 Branding Engineer
  • 株式会社 MOVER&COMPANY
  • 株式会社 One Company
  • 株式会社 WUUZY
  • 株式会社 キャフィック
  • 株式会社 ジェネフィア
  • (有)インシスト・ポリシー
  • (有)グリーンフラグ
  • (有)グローバルトレンド
  • 株式会社10バトン
  • 株式会社2PS
  • 株式会社3CA
  • 株式会社A-STAR
  • 株式会社A-STAR Sourcing
  • 株式会社A.M.Y.クリエイティブ
  • 株式会社A1テック
  • ACJ株式会社
  • 株式会社ACWEB
  • 株式会社ADCEE
  • 株式会社ADWIN
  • 株式会社AEVIC
  • 株式会社AGI
  • 株式会社AGORA TECHNO
  • 株式会社AIWIL
  • 株式会社ALT
  • 株式会社altus-Five
  • 株式会社ambloom
  • 株式会社AMSクリエイト
  • Androbo Nexus株式会社
  • Androbo Quick株式会社
  • 株式会社AOIソリューション
  • 株式会社Arkanoids
  • ARアドバンストテクノロジ株式会社
  • 株式会社ASIANGRACE
  • 株式会社ATGS
  • 株式会社AZ Brothers
  • 株式会社AZBrothers
  • 株式会社B-CRUISE
  • Bartholo Japan
  • Be株式会社
  • 株式会社Beyondsoft Japan
  • 株式会社BFT
  • 株式会社blue
  • 株式会社BLUE BEANS
  • 株式会社BNS SYSTEM
  • Break's株式会社
  • C-HRC株式会社

まとめ

まとめ

この記事では、SES契約の概要と特徴について説明しました。

  • SESとは何か、派遣との違い
  • SESとして働く利点と欠点
  • SES企業の一覧を紹介しました

SESには派遣や請負とは異なる側面があるため、エンジニアの方々にはその違いを理解しておくことをお勧めします。
また、SES契約はフリーランスでも締結できます。状況によってはフリーランスとして働く方が有利な場合もあるため、現在SESとして働いている方はITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」への転身も検討してみる価値があるでしょう。

この記事が皆様の助けになれば幸いです。