ファンベースマーケティングとは？新規顧客を連れてくるマーケティング手法を解説！

2024年6月15日

社会の変遷に伴い、最善の事業戦略も変化を余儀なくされます。
特に価値観の多様化や人口減少、高齢化が進行する現代においては、戦略の選択には慎重さが求められます。
そこで重要となるのが「ファンベースマーケティング」の概念です。
本稿では、ファンベースマーケティングの概要、その重要性、具体的な手法について説明します。
特に以下の方々には一読をお勧めします。

新たなマーケティング手法を模索中の方
ファンベースマーケティングの重要性を理解したい方
ファンベースマーケティングの手法を知りたい方

気になる内容をタップ

1 ファンベースマーケティングとは
2 ファンベースマーケティングが重要な理由
3 ファンベースマーケティングの手法
4 まとめ

ファンベースマーケティングとは

ファンベースマーケティングとは、現在の支持者層を大切にし、その層を基盤として長期的な収益確保や事業拡大を目指すアプローチです。
この考え方の核心は、ファンの喜びを最優先とし、彼らの参加を促す企画を増やすことで、ブランドへの共感と信頼を高めることにあります。
そして、ファンの声に耳を傾けながら、事業の強化、推進、拡大を図ることがファンベースマーケティングの目的となります。
簡潔に言えば、「コアファンの盛り上がりを活かして事業を展開する」ということです。
ただし、ここで重要なのは、単なる「ファン向けマーケティング」に留まらず、ファンの意見を事業の方向性決定の基盤とすることです。
つまり、コアファンからの売上げ増加のみを目指すのではなく、彼らの声を基に事業を拡大・修正していくことがファンベースマーケティングの本質なのです。

ファンベースマーケティングが重要な理由

この節では、ファン層を対象としたマーケティング活動が重要視される理由を説明します。
ファン層を軸としたマーケティングは、ビジネスにおける基本原則に沿った考え方であり、時代の潮流からもその重要性が増しています。

ビジネスにおける基本原則に沿った考え方
時代の潮流からも重要性が増している

ファンは売上の8割を創出している

多くの企業において、収益の大部分をファン層が生み出していることから、ファンベースマーケティングの重要性が浮き彫りになっています。
いわゆる「パレート法則」と呼ばれる原理により、顧客の20%がビジネスの80%の利益をもたらすと考えられています。
つまり、ファン層に注力することで持続的な収益を確保できるというのが、ファンベースマーケティングの根本的な考え方なのです。
特に売上が落ち込んでいる場合は、上位20%のファンを捉えることが肝心です。新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストを大きく上回るためです。
さらに、ファン層の中でも最も熱心な「コアファン」が、収益の80%のうち約半分を占めていると推測されています。
こうしたファン層への適切な施策を講じることで、事業の安定化が図れるはずです。

ファンは新規顧客を口コミで連れてくる

現代社会では、生活に溢れる膨大な情報の中で、企業の広告戦略の効果は限定的になっています。
私たちが最も信頼するのは、価値観や考え方が近い人々の選択や口コミです。
家族や親しい友人など、生活レベルや思考パターンが似通った人からの情報が、一般の人々に最も影響を与えます。

つまり、ファンを獲得できれば、彼らが自身の家族や友人にサービス・製品の長所を熱心に伝えてくれると期待できます。
ある意味で、ファンは自社の従業員以上に優れた営業担当者となってくれるのです。

要するに、企業の戦略の重点が、消費者への「宣伝活動」から、ファンとの「交流活動」へと移行しつつあると言えるでしょう。

人口減少により新規顧客獲得の難易度が上がっている

ここ数年、人口減少と高齢化の進行により、企業は新たな顧客を獲得することが困難になっています。
人々の購買行動自体が減少し、マーケットが縮小していくことは想像に難くありません。
生活必需品以外の商品については、特に高齢者を中心に、慣れ親しんだものを選ぶ傾向にあります。
そのため、新規顧客の開拓は企業にとって大きな課題となっています。

人口減少と高齢化のトレンドは今後も続くと予測されており、内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によれば、日本の人口は令和11年に1億2,000万人を下回り、令和35年には1億人を切り、令和47年には8,808万人になると推計されています。

このような状況下では、新規顧客開拓に注力するよりも、

既存のファン層を大切にし、事業基盤の安定化と拡大を図る方が賢明でしょう。

ファンベースマーケティングの手法

この節では、支持者層を対象としたマーケティング戦略について説明いたします。

支持者層とは、以下のような特徴を持つ人々を指します。

製品やサービスに対して高い関心を持っている
製品やサービスを積極的に利用している
製品やサービスに対して高い満足度を示している

支持者層に対するマーケティング戦略の主な目的は、以下の通りです。

支持者層の維持・拡大
支持者層からの口コミ効果の促進
支持者層からのフィードバックの収集

具体的な施策としては、

施策	内容
特典の提供	支持者層向けの割引やサービス向上などの特典を提供する
コミュニティ形成支援	支持者層同士が交流できる場を提供する
フィードバック収集	支持者層からの意見や要望を収集する仕組みを設ける

コミュニティを作る

ファンベースマーケティングの有効な戦略は、同じ価値観を共有する人々が集まれる場を設けることです。そうすれば、趣味や嗜好について語り合う機会が増え、製品やサービスへの熱意が高まります。
また、自分の好きなものに自信を持てば、家族や友人にも勧めやすくなるでしょう。
ただし、単にファン層を拡大するだけでは、売上げは伸びても大きな飛躍は期待できません。
ファンベースマーケティングを成功させるには、ファンが周辺の人々を巻き込む仕組みが不可欠です。その有力な手段が、コミュニティの形成です。
ファン同士の共感が熱狂へと高まれば、その輪は周辺の消費者にも広がり、売上拡大が見込めます。
短期的な収益向上は難しいかもしれませんが、中長期的には大きな収益確保につながるはずです。

接点を増やす（SNS・Web・イベント等）

ファンとの接点を最大限に確保することは、ファンベースマーケティングにおいて不可欠な要素の1つです。
インターネットの普及により、情報を入手する手段も多岐にわたるようになりました。
かつては皆がマスメディアからの情報に頼らざるを得ませんでしたが、現在では様々なチャネルから複合的に情報を収集するのが一般的になっています。
ファンとのタッチポイントとしては、以下が考えられます。

SNSやWebメディアの活用
イベントの開催

これらは単独で用意するのではなく、複数を組み合わせることが重要です。
例えば、最初はSNSで目にして関心を持ち、その企業の公式メディアで詳細な情報を得るというプロセスは一般的です。
そして各種イベントの存在を知り、参加することでサービス・製品のファンになっていくケースも十分にあり得ます。
そしてファンになった後は、SNSを通じて自らが情報発信を行い、企業の広告塔となってくれます。