XaaSとは、「X as a Service」の略称であり、インターネットを介してクラウド上で提供されるサービスを指し、利用量に応じた料金体系となります。
本稿では、XaaSの概要、重要性、長所短所、主要な種類について詳しく説明します。
ITエンジニアやIT業界従事者の方は、ぜひお読みください。
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XaaSとは
XaaSとは、クラウドコンピューティングを活用し、ネットワーク経由でソフトウェアやリソースを提供するサービスモデルを指します。
従量課金制を採用しており、利用者は実際に使用した分だけ料金を支払います。
"as a Service"という言葉が示すように、従来はハードウェアやソフトウェアとして所有していたものをサービスとして利用できるようになりました。
- "X"の部分には様々な言葉が当てはまり、例えば
FaaS Function as a Service PaaS Platform as a Service を意味します。
このように、XaaSには多種多様な形態が存在します。
XaaSの重要性
従来、企業や組織では、高価なサーバー機器を自社で購入・管理し、ITシステムを運用・活用してきました。しかし、ベンチャー企業や中堅企業にとって、自社でシステムを保有する必要があることは、IT参入への大きな障壁となっていました。
近年、XaaSを導入することで、高額なサーバー機器を自社で所有せずに、サービスとして利用する企業や組織が増加しています。
XaaSを導入すると、様々な利点があります(後述)。
- サーバー機器の購入時の高額な初期コストが不要になります。
- サーバーの稼働に必要なインフラ環境の管理は、基本的にベンダーが行うため、企業側で人員を割く必要がなく、余剰リソースを別の業務に振り向けることができます。
- クラウドサービスであれば、時間や場所を選ばず利用可能です。これは、企業や従業員がリモートワークを導入する際の強力な味方となるでしょう。
XaaSのメリット
XaaSの利点は、以下の3つの点が挙げられます。
- 初期費用の削減が可能
ソフトウェアやハードウェアを購入する必要がなく、サブスクリプション形式で利用できるため、導入時のコストを抑えることができます。 - 運用管理の負担が軽減
システムの運用管理はベンダー側が行うため、自社での管理リソースを削減できます。 - 柔軟な拡張性
ニーズに応じてリソースを柔軟に増減できるため、ビジネスの変化に素早く対応することが可能です。
時間や場所を問わず利用できる
XaaSはクラウド型のサービスであるため、インターネット接続環境と適切なデバイスがあれば、場所や時間に捉われずに活用することが可能です。
例えば、
- オフィスの端末
- 外出先のスマートフォン
- 自宅のノートPC
など、様々な機器からアクセスが可能であり、その利便性の高さがXaaSの最大の長所と言えるでしょう。
金銭的コストが抑えられる
XaaSを採用することで、ハードウェアやソフトウェアの購入機会が減少します。
また、XaaSの多くは初期費用が不要なため、金銭的な負担を軽減できます。
XaaSの多くは、
- ユーザー数に応じた料金体系
- データ使用量に基づく従量課金制
など、無駄のない定額制サービスを提供しています。
コンピューターのスケーリングには時間とコストがかかりますが、XaaSではプランや利用者数の変更が柔軟に行えるため、スケールアップやダウンが容易になるというメリットがあります。
自社メンテナンスやアップデートが不要
XaaSの活用により、煩雑なメンテナンスやアップデートの作業は、基本的にベンダー側が担ってくれます。
そのため、ユーザーはサービスを利用するだけで済み、メンテナンスに費やす時間や労力、コストを削減できます。
また、自社でサーバーやシステムを管理する必要がなくなるため、
- 人員が不足している場合でも運用が可能になります。
さらに、ベンダーが常に最新の状態で運用してくれるので、セキュリティ面での安心感も得られます。
XaaSのデメリット
XaaSには、いくつかの欠点があります。ここでは、その3つの側面について説明します。
- セキュリティ上の懸念
クラウドベースのサービスを利用する際、データが外部に保管されることになります。機密情報の漏洩リスクが高まる可能性があります。 - ベンダーロックイン
特定のベンダーのサービスに依存してしまうと、将来的に別のサービスへ移行することが困難になる恐れがあります。 - パフォーマンスの問題
インターネット回線の状況次第では、サービスのレスポンスが遅くなる可能性があります。また、大量のデータ転送が必要な場合、通信コストが高くつく恐れもあります。
セキュリティリスクに注意が必要
XaaSはクラウド環境を活用するため、常に不正アクセスの危険性が存在します。
企業の機密情報を外部に委ねることになるため、以下の点に注力する必要があります。
- XaaSプロバイダーが信頼できる存在であるかを確かめる
- 利用条件の事前確認
- データ管理体制の整備
- セキュリティインシデント対策の整備
ダウンタイムの可能性に注意
インターネットに不具合が起きると、クラウドサービス事業者にも支障が及ぶ恐れがあります。
その際、以下の点に影響が及ぶ可能性があります。
- ネットワークの信頼性や障害対策
- リソース供給
- 基盤設備
- 資源の管理
万一クラウドサーバーが停止した場合、利用者はクラウドサービスを一時的に利用できなくなる可能性に留意する必要があります。
サービスが突然終了する可能性がある
XaaSサービスは、プロバイダーの事情により予期せず終了する可能性があります。
そのため、以下の点が重要となります。
- プロバイダーの財務状況を確認する
- 適切なサービスを選択する
- サービス終了時でも業務に影響が出ないための対策を講じる
XaaSの代表的な種類
クラウドサービスの主要な形態を10種類ご案内いたします。
- インフラストラクチャーをサービス化したIaaS
- ID管理をサービス化したIDaaS
- モビリティをサービス化したMaaS
- アプリケーション開発環境をサービス化したPaaS
- アプリケーションそのものをサービス化したSaaS
- ハードウェアをサービス化したHaaS
- バックエンドをサービス化したBaaS
- コンテナをサービス化したCaaS
- エンジニアリングをサービス化したEaaS
- サーバーレス機能をサービス化したFaaS
IaaS
IaaS(Infrastructure as a Service の略称)は、コンピューティングリソースを仮想化したプラットフォームとして提供するクラウドサービスです。
サーバー、ストレージ、ネットワークなどのIT基盤を、オンデマンドで利用できるようにしています。
- ビジネスの需要変動に合わせて、CPU、メモリ、ディスク容量などのリソースを柔軟に拡張・縮小することができます。
- また、ハードウェアの更新や廃止に伴う対応は不要となり、そうした手間を省くことができます。
IDaaS
IDaaS(アイダース)は、「Identity-as-a-Service」の略称であり、IDの管理を行うサービスを指します。
このサービスでは、
- IDのライフサイクル管理や、
- 単一の認証情報で複数のシステムやアプリケーションにアクセスできるシングルサインオン(SSO)機能、
- さらに複数の認証要素を組み合わせた多要素認証が実現可能となっています。
MaaS
MaaSとは、「モビリティ・アズ・ア・サービス」を意味し、移動に関わる様々な交通手段を一体化して提供するサービスのことです。
スマートフォンのアプリケーションを活用することで、
- 交通機関の選択
- 経路探索
- 目的地までの案内
- 料金の支払い
までを一括して行えるため、注目を浴びています。
PaaS
PaaSとは、"プラットフォームをサービスとして提供する"という意味の略語です。
インフラストラクチャに加えて、
- アプリケーションの構築や実行に必要なOS
- ミドルウェア
- データベース環境などのプラットフォームを提供するサービス
を指します。
最近では、
- 機械学習
- コグニティブ(認知)機能
なども提供されるようになってきました。
SaaS
SaaS(Software as a Serviceの略称)は、従来のパッケージ型ソフトウェアとは異なり、クラウド上でサービスとして提供されるアプリケーションを指します。
代表例としては、
- Office 365
- Salesforce
- Google Apps
などが挙げられます。
HaaS
ハードウェアをサービスとして利用できるHaaS(Hardware as a Service)は、システム構築に必要な機器類をクラウド上で提供するソリューションです。
必要に応じて仮想化されたコンピューティングリソースを以下のように柔軟に割り当てることができ、その利点は大きいと言えます。
- CPU
- メモリ
- ストレージ
BaaS
BaaS(バース)には、主に3つの異なる解釈があります。
- Backend-as-a-Service
モバイル端末向けのバックエンド機能をクラウド上で提供するサービス - Backup-as-a-Service
データをクラウド上に保存・バックアップできる機能 - Blockchain-as-a-Service
ブロックチェーン技術を活用したアプリケーション開発の基盤となるサービス
CaaS
CaaSという用語には、主に3つの異なる意味合いがあります。
- 1つ目は、インターネット電話やウェブ会議などのコミュニケーションツールを提供するサービスを指します。
- 2つ目は、クラウド上でアプリケーションやコンテナを管理する手段を従量課金制で提供するサービスを指しています。
- 3つ目は、サイバー攻撃に詳しくない者でも容易に攻撃を実行できるよう、必要なツールをパッケージ化したものを指しています。
EaaS
EaaS(アース)には、主に3つの異なる解釈があります。
この略語の意味は以下のとおりです。
- Everything-as-a-Service: コンピューティングリソースの全てをクラウド上で提供するサービスモデルのこと。別名XaaS(Anything as a Service)とも呼ばれます。
- Exploits-as-a-Service: サイバー攻撃を実行する際に利用される、脆弱性を悪用するサービス。
- Energy-as-a-Service: 東京ガスが提唱する概念で、ガスや電気を単独ではなく、他のエネルギーやサービスと組み合わせて一体で提供すること。
FaaS
FaaSには、主に3つの異なる解釈があります。
その名称は、フレームワークの提供、機能の実行環境の提供、そして不正行為に関連するサービスを指します。
具体的には以下のようになります。
- フレームワークをクラウド上で提供するサービス
- サーバー管理を外部委託し、コードの実行環境を提供するサービス
- マルウェアや違法ネットワークなど、サイバー犯罪に利用される不正なサービス
まとめ
この記事では、XaaSの概要、重要性、メリット・デメリット、代表的な種類について詳しく説明しました。
現在、サブスクリプション型のビジネスモデルが様々な分野で普及しており、クラウド環境の利便性から、XaaSの需要も高まる可能性があります。
企業にとっても、XaaSの導入によるメリットが期待できます。
まだ導入していない企業は、この機会に検討してみてはどうでしょうか。
また、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」についても紹介しました。
通勤中の空き時間や、将来のフリーランス転向を検討している方などにおすすめです。
皆様の参考になれば幸いです。