要件定義と要求定義の違いを解説!システム開発の基礎知識

新規プロジェクトのシステム構築において、しばしば混同されがちな概念が「要件定義」と「要求定義」です。
用語は類似していますが、それぞれの意味合いは異なります。
システム開発やWebサイト制作に携わる際には、この2つの違いを正確に把握しておくことが重要です。
本稿では、要件定義と要求定義の定義と相違点について詳しく説明します。
ご一読いただければ幸いです。

週10時間の副業案件を
会員登録した方限定で配信中!

要件定義と要求定義の意味

要件定義と要求定義の意味

システム開発において、技術者が構築するための仕様を規定するのが要件定義であり、一方で非技術者がシステムに求める仕様を定義するのが要求定義です。業務遂行上の仕様を定める点では、両者は同義と言えます。しかし、「要件」と「要求」の意味の違いを理解することで、その相違がはっきりするでしょう。

  • 要件とは、ある事柄を成立させるために不可欠な重要な条件を指します。
  • 要求は、必要なことや当然のことを相手に強く求めることを意味します。

つまり、要件は物事を成り立たせる上で欠かせない条件であり、要求は必要とすることを相手に求めるという違いがあります。

定義には以下のような意味があります。

  • ある事柄の意味内容を他と区別できるよう、言葉で明確に限定すること
  • 論理学において、概念の内包を明瞭にし、その外延を確定すること

一般的に、ある事柄や言葉の内容を明確に説明できるようにすることが定義です。

要件定義と要求定義の違いとは

要件定義と要求定義の違いとは

システム構築のための仕様定義を要件定義、システムに求められる仕様の定義を要求定義と理解できました。

  • 要求定義は、依頼主の求める事柄をエンジニアに明確に伝えることです。

システム開発では、まず要求定義を行い、その後に要件定義を実施します。

  • 要求定義で必要なことを明らかにすることで、要件定義を実現できるためです。

つまり、要件定義と要求定義は、それぞれ異なる意味を持つのです。

要件定義書で定義する項目

要件定義書で定義する項目

要件定義を行う際、実現に必要な事項を文書化する一般的な方法は、「要件定義書」を作成することです。しかし、実現に必要な事項は複数存在し、その中に含まれる要件も複数あることが珍しくありません。そのため、要件定義書作成時には、機能要件と非機能要件の定義を念頭に置くべきです。

ここでは、システム・ソフトウェア開発、サーバ設計、ネットワーク設計、Web制作などにおける「要件定義書」作成時に定義すべき4つのポイントをまとめました。

  • 機能要件
  • 非機能要件
  • インフラ要件
  • サイト要件

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

機能要件

システムやWebサイトの開発において、実装や組み込みが必要な機能、達成すべき性能基準などに関する要求事項を機能要件と呼びます。
具体的には、そのシステムの主要な目標と、その目標を果たすために欠かせない条件を指しています。
例えば、

  • 「どのような目的で作られているのか」
  • 「その目的を実現するには何が不可欠なのか」

といった点が機能要件に含まれます。

非機能要件

非機能要件とは、システムの機能以外の側面に関わる要求事項を指します。
つまり、開発者が主眼とする機能以外の要件が該当します。
機能要件とは異なり、非機能要件は必ずしも明示的に定義する必要はありません。
ユーザーが求める機能要件は実装が不可欠ですが、非機能要件はユーザーの潜在的なニーズを満たし、満足度を高めることができます。
そのため、発注者やユーザーの隠れた要望にも当たる非機能要件を定義しておくことが賢明です。

インフラ要件

システムを支える基盤となるサーバ、データベース、SSL証明書、ネットワークなどの要素を明確化することがインフラ要件です。
インフラ要件においても、機能面と非機能面の両方を明確にすることが重要な点となります。

  • 機能面のインフラ要件とは、インフラとして提供すべき性能や機能、つまり何が必要とされているかを示すものです。
  • 一方で、非機能面のインフラ要件は、発注元などが求める性能や機能のレベルを指します。

全てのユーザーが高度なインフラを求めているわけではありませんが、性能や機能が高くなればなるほど、コストも高くなるため、発注元の要望を踏まえた上で要件を決定することが肝心です。

サイト要件

Webサイトの構築において重要となるのが、サイトの要件定義です。この要件定義を行う際の留意点は、発注元ではなく、そのサイトを利用するユーザーの視点に立ち、機能面と非機能面の両面から要件を明確化することです。

  • まずは、サイトが対象とするユーザー層を特定し、
  • 利用デバイス、ブラウザ、OS、SEO対策などの方向性を決定していきましょう。

要求定義で気を付けておくこと

要求定義で気を付けておくこと

システム開発における失敗の原因は、しばしば要求定義の不備に起因します。
要件定義は要求定義に基づいて作成されるため、要求定義に欠陥があれば、後続の工程に悪影響を及ぼすことになります。
また、ユーザーの満足度が得られない原因や、トラブルや不具合の要因にもなり得ます。

  • 要求定義で最も多い誤りは、要求の見落としです。
  • 要求定義自体に仕様が実装されないことがあるため、要求を見落としやすくなります。
  • 特に注意を要するのがセキュリティに関連する部分です。セキュリティ要求を見落とすと、外部からの不正アクセスにつながる危険性があります。そうなれば、機密情報や顧客データの漏洩など、深刻な被害が発生する可能性があります。

一方で、発注者の要求に盲目的に従うことも避けるべきです。
要求定義通りのシステムを作れば発注者の満足は得られますが、要望を過剰に取り入れすぎると、中途半端で本来の機能が不足したシステムになってしまう恐れがあります。
作成段階から、本当に必要な機能かを吟味し、発注者の要求であっても不要な部分は排除することが重要です。
このように、発注者の認識不足が失敗の原因になることもあるため、場合によっては要求を退けることも必要です。
また、要求定義で不足している要件は開発者側から提案することもあります。

まとめ

まとめ

ここでは、システム開発における要件定義と要求定義の違いについて説明します。
これらの用語は類似しているため、同じ意味として捉えられがちですが、実際には異なる概念を指しています。
企業によっては、どちらか一方しか使用していない場合もあれば、両者の意味が曖昧になっている場合もあります。
しかし、システム開発やWeb制作に携わるエンジニアを目指す人は、この違いを確実に理解しておく必要があります。
この理解があれば、企業から求められるフリーランスとして活躍できるでしょう。

ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」をご利用ください。

  • 将来的にフリーランスを検討している方も、ぜひ登録してみてください。

この記事がお役に立てば幸いです。