LPICとは?試験内容の詳細やLinuCとの違い、資格取得メリット、おすすめ勉強サイトを解説

IT業界には多種多様な職種が存在し、それぞれの職種で求められる知識やスキルは異なります。
近年では、オープンソースのOSであるLinuxに注目が集まっています。
特にインフラ系のエンジニアを志す場合、Linuxに関する知識は必須となるでしょう。
そうした中で、国際的な認定資格である「LPIC」が注目されています。
本記事では、LPICの概要、試験内容、資格取得のメリット・デメリット、学習におすすめのサイトなどについて解説します。
特に以下の方は参考にしてみてください。

  • LPICの学習を現在行っている、または今後行う予定の方
  • インフラ系エンジニアを目指している方
  • インフラ系エンジニアとしてのスキルアップを検討している方
  • LPICの試験概要を知りたい方
  • LPICの学習方法を探している方

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LPIC(Linux Professional Institute Certification)とは

LPIC(Linux Professional Institute Certification)とは

LPICは、Linuxの専門家としての能力を公認する資格制度を指しています。
Linuxは、世界中で広く利用されているオペレーティングシステムの一種です。
この認定試験は国際的な基準に基づいており、オープンソース分野の専門家のキャリア形成を支援するNPO法人LPIが主催しています。

LPICの種類

LPICには、レベル別に3種類の試験が用意されています。
LPIC-1、LPIC-2、LPIC-3と進むにつれて、より高度な専門性が求められ、難易度が上がっていきます。
上位レベルの試験を受けるには、下位レベルの試験に合格している必要があります。
つまり、初めて受験する方はLPIC-1から始め、順番に合格していく必要があります。

LPIC-1とLPIC-2では、それぞれ2種類の試験があり、各レベルにおいて両方の試験に合格することで、資格を取得できます。

  • LPIC-1……101試験・102試験の両方に合格が必須
  • LPIC-2……201試験・202試験の両方に合格が必須

一方、LPIC-3については、300試験、303試験、304試験の3種類があり、それぞれが独立した認定資格となっています。

300試験 LPIC-3エンタープライズ混合環境
303試験 LPIC-3 エンタープライズセキュリティ
305試験 LPIC-3 エンタープライズ仮想化と高可用性
306試験 LPIC-3 - 高可用性システムとストレージ

LinuCとLPICの違い

LPICと類似の資格試験として「LinuC」が存在します。LinuCは国内市場向けの試験であり、LPICとは以下の点で異なります。

  • 主催団体
  • 対象市場
  • 出題範囲

LPICはLinux Professional Institute の日本支部が運営していますが、LinuCはLPI-Japanが主催しています。LPICはグローバル市場を対象としているのに対し、LinuCは日本国内の市場に特化しています。対象市場が異なるため、両試験の出題範囲にも若干の違いがあります。

ただし、この相違点は2021年12月時点のものであり、今後の業界動向やLPIの方針次第では、両者に変更が加えられる可能性があります。現状では、グローバルな活躍を目指すならLPIC、国内特化ならLinuCと整理できるでしょう。また、広範な知識を身につけたい場合はLPICの受験がお勧めです。

LPIC試験の詳細

LPIC試験の詳細

この節では、LPIC試験の詳細な内容を説明していきます。

LPIC試験は以下の3つのレベルから構成されています。

  • LPIC-1
  • LPIC-2
  • LPIC-3

LPIC-1は以下の2つの試験から構成されています。

試験番号 試験名
101 LPICレベル1 101試験
102 LPICレベル1 102試験

試験会場・日程・試験時間・受験料

LPICの試験は、「ピアソンVUE」の試験会場で受験するか、「OnVUEテストプラットフォーム」を利用してオンラインで受験するかを選択できます。
受験方法によって利用可能な言語が異なりますが、日本語であれば両方の方式で問題ありません。

  • LPIC-1: ピアソンVUEテストセンター、OnVUE
  • LPIC-2: ピアソンVUEテストセンター、OnVUE
  • LPIC-3: ピアソンVUEテストセンター、OnVUE

試験時間は全レベルで90分間に統一されています。受験料も、LPIC-1からLPIC-3まで1万5,000円(税抜き、2022年8月時点)で変わりません。

試験を予約する際は、ピアソンVUEのアカウントを作成する必要があります。ピアソンVUEはCBT(コンピューター利用型テスト)の分野で主導的な企業で、模擬試験から資格試験まで幅広いCBTに対応しています。全国に試験会場を有しており、最寄りの会場を検索して予約できます。試験日程も会場予約時に決定します。

LPIC試験の出題形式・出題内容

LPICの試験は、すべての試験において選択式問題と穴埋め問題の形式で出題されます。
各試験の出題内容は以下の通りです。

レベル 出題内容
LPIC-1
  • 101試験
    • システム構造
    • Linuxのインストールとパッケージ管理
    • GNUおよびUnixコマンド
    • デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準
  • 102試験
    • シェルとシェルスクリプト
    • インターフェースとデスクトップ
    • 管理タスク
    • 重要なシステムサービス
    • ネットワークの基礎
    • セキュリティ
LPIC-2
  • 201試験
    • 容量計画
    • Linuxカーネル
    • システムの起動
    • ファイルシステムとデバイス
    • 高度なストレージデバイス管理
    • ネットワーク構成
    • システムメンテナンス
  • 202試験
    • ドメインネームサーバー
    • Webサービス
    • ファイル共有
    • ネットワーククライアント管理
    • 電子メールサービス
    • システムセキュリティ
LPIC-3
  • 300試験
    • Sambaの基礎
    • SambaとActiveDirectoryドメイン
    • Samba共有設定
    • Sambaクライアント構成
    • LinuxID管理とファイル共有
  • 303試験
    • 暗号化
    • アクセス制御
    • アプリケーションのセキュリティ
    • 運用セキュリティ
    • ネットワークセキュリティ
    • 脅威と脆弱性の評価
  • 305試験
    • 完全仮想化
    • コンテナ仮想化
    • VMの展開とプロビジョニング
  • 306試験
    • 高可用性クラスター管理
    • 高可用性クラスターストレージ
    • 高可用性分散ストレージ
    • 単一ノードの高可用性

LPIC試験申し込み手順

LPIC試験の申し込み手順は、概ね次のようになります。

  • まず、受験する認定資格を決定します。
  • 次に、LPIから個人IDを取得する必要があります。IDの取得には、氏名や住所、電話番号などの個人情報を提供するだけで済みます。
  • その後、ピアソンVUEのアカウントを作成します。アカウント作成に特別な準備は不要で、簡単に完了できるでしょう。
  • 最後に、希望の試験会場と日時を選んで予約を入れます。予約時に支払いを済ませる必要があるので注意が必要です。

支払いに使えるカードブランドは以下の4種類です。

American Express
JCB
Mastercard
Visa

LPIC試験の難易度と勉強時間

LPIC試験の難易度は、レベルが上がるにつれて高くなっていきます。

  • LPIC-1は初級者向けの内容で、暗記問題が比較的多い試験です。完全な初心者でも、参考書や問題集を活用すれば合格は可能とされています。しかし、1〜3か月程度の集中的な学習が必要でしょう。

  • LPIC-2は、Linuxの実務経験者向けの資格で、LPIC-1の約2倍の範囲を持ち、専門性も高くなります。数か月から半年程度の勉強期間が求められます。

  • LPIC-3は、3つの分野でそれぞれ高度なスキルと実務経験を持つエンジニア向けの試験です。半年から1年程度の学習を覚悟する必要があり、実務経験がない方には非常に難しい内容となっています。

上記のように上位レベルの試験はかなり難易度が高く、エンジニアとしてのスキルアップと併せて、試験に取り組むことが賢明でしょう。

LPICの有効期限

LPICの資格は、上位レベルの試験に合格しない限り、一定期間が経過すると失効することが定められています。
その有効期間は5年間と規定されています。

LPICの資格取得のメリット

LPICの資格取得のメリット

この節では、LPIC認定資格を取得することによる利点について説明します。

IT系企業への就職対策

LPIC資格の取得は、IT企業への就職活動において大きな強みとなります。
求人要件にLPIC資格を明記している企業も存在し、就職先の選択肢が広がることは間違いありません。
特に、Linuxやオペレーティングシステムに関する知識・スキルを重視する企業にとっては、LPIC資格保持者は高く評価される対象となるでしょう。
また、インフラやサーバー関連の実務経験がない方でも、LPIC-1の資格を取得しておけば、面接の際に大きなアピールポイントになります。

  • 未経験でも一定のサーバー知識を有していることを示せるだけでなく、エンジニアとしての学習意欲の高さをアピールできるためです。
インフラエンジニア ネットワークエンジニア クラウドエンジニア
など、そうした分野を目指す場合、LPIC資格の取得は非常に有益なステップとなるはずです。

Linuxの知識が身に付く

Linuxに関する知識を身に付けることは、確かに大きな利点の1つとなります。
世界的に広く利用されているOSであり、サーバー設計・構築において頻繁に活用されています。
システム開発においてLinuxの知見は多くの場面で役立ち、知識を深めることで仕事の可能性が広がっていくことでしょう。
また、サーバーやネットワークでLinuxが使用されるケースが多数あり、Linuxに関する知識を持っているだけでエンジニアとしての価値が高まります。
現役エンジニアの方も、LPIC資格の取得を目指すことでスキルアップにつながるでしょう。
LPICは実践的な内容を扱う資格試験であり、その勉強を通じて実務で活用できる知識が増えます。

Linuxスキルの証明ができる

LPIC資格を保有することで、レベルに応じたLinuxスキルを客観的に証明できます。
Linux関連の技術者であっても、資格を持たない場合、自身の実力を他者に示すことは容易ではありません。
しかし、LPIC資格があれば、自身の力量を客観的に伝えることが可能になります。

  • 就職や転職の際だけでなく、社内での昇進やフリーランスとしての仕事獲得においても、LPIC資格は大きな効果を発揮します。

近年では、運用保守オペレーター以外の役割を任されるためにはLPIC-1の保有が必須とされるケースも増えています。
また、LPIC資格保有者に対する優遇措置を設けるプロジェクトも少なくありません。
技術者としてのキャリアアップを目指す上で、LPIC資格の取得は有効な選択肢となるでしょう。

資格手当や報奨金を得られる

LPICの資格を取得すると、企業によっては手当や賞金の対象となる場合があります。

  • 賞金の金額は、LPIC-1の資格取得でも数万円から10万円近くに上ることもあり得ます。

エンジニアとしての知識やスキルを身につけられるだけでなく、まとまった金銭的報酬を受け取れるのは大きな利点と言えるでしょう。
さらに、試験費用も会社が負担してくれるケースが多いため、事前に確認しておくことが賢明です。

LPICの資格取得のデメリット

LPICの資格取得のデメリット

この節では、LPIC認定資格を取得することの欠点について説明します。
考えられる欠点は、以下に示す1つの点のみとなります。

  • LPIC認定資格の取得には、受験料が必要となります。

勉強時間を確保する必要がある

LPIC資格の取得には、一定の時間的コストがかかることが唯一の欠点と言えるでしょう。

  • LPIC-1では数ヶ月
  • LPIC-2では数ヶ月から半年
  • LPIC-3では半年から1年程度の学習期間が必要とされます。

特に上位レベルになるにつれ、未経験者には対応が困難になるため、ほとんどの受験者が就労しながらの勉強を余儀なくされます。
半年や1年といった長期にわたり、日々の業務と並行して学習を継続するには、相当の意欲が求められるでしょう。
また、日々の学習時間が十分に確保できない場合、その分だけ学習期間が長くなる可能性があります。
しかし、LPICの学習内容は実務と密接に関連しているため、習得した知識やスキルは決して無駄にはなりません。
そのような観点から、LPICの学習を仕事やキャリアアップの一環として捉えることができるのです。

LPIC資格を取得しても意味ない?

LPIC資格を取得しても意味ない?

LPICの資格取得に関しては、一部の人から「取得しても実益がない」との意見があるかもしれません。
確かに、資格を手にしただけでは即座にスキルが身につくわけではなく、実践を重ねて経験を積まなければ、エンジニアとしての力は伸びにくいでしょう。
しかし、それでもLPIC資格の取得には意義があると考えられます。

  • 試験対策の勉強を通じて、Linuxに関する知識が確実に身につくからです。
  • また、資格保有により、仕事に関する知識やモチベーションを客観的に示すことができます。
  • さらに、報奨金や手当制度のある企業に勤めていれば、金銭的な直接的なメリットも得られるでしょう。

特に初心者から中級者レベルの段階では、資格を持つ意義は大きいと言えます。
インフラやサーバーなどのバックエンド分野でキャリアアップを目指すのであれば、積極的に受験することをおすすめします。

LPICの資格取得のための勉強サイト紹介

LPICの資格取得のための勉強サイト紹介

この節では、LPIC認定試験に合格するための有益な学習リソースを3つ紹介させていただきます。

  • LPICオンラインラーニングサイト
    公式のe-Learningプラットフォームで、試験範囲をカバーする包括的なコースが提供されています。インタラクティブな学習環境と実践的な演習を通じて、効率的に知識を習得できます。
  • LPICコミュニティフォーラム
    経験豊富な専門家や同じ目標を持つ受験生が集まるオンラインコミュニティです。質問に答えてもらったり、ノウハウを共有したりできる貴重な場所となっています。
  • LPICブログ
    認定資格に関する最新情報や学習のヒント、試験対策などが掲載されているブログサイトです。定期的に更新されるため、常に新鮮な情報を入手することができます。

LinuCイージス(LPICイージス)

LinuCイージス(LPICイージス)は、LinuCやLPICの試験対策に役立つWebベースの学習教材です。

  • LPIC-1の試験範囲について、トピック別に要点をコンパクトにまとめています。
  • 無償で利用可能で、内容も体系的に構成されており、充実しています。
  • 参考書の選定に迷っている方や、現在の参考書で満足できない方には適しているでしょう。

さらに、実際にLinuxコマンドを入力しながら学習したい方向けに、仮想環境でLinuxを疑似的に動作させるソフトウェアも提供されています。
LPICイージスはもともとLinuC向けのコンテンツですが、試験内容や難易度がLPICとほぼ同等であるため、十分に有用なサービスと言えるでしょう

Ping-t

Ping-tは、LPICなどの資格試験の学習に適したウェブサイトです。
問題集が豊富で、特に「最強Web問題集」と呼ばれるツールが充実しており、学習の最終段階での復習に役立ちます。

  • 無料で利用できるのは101試験対応分のみですが、問題数が多く内容が濃密なため、初学者にも適しています。
  • 102試験や上級資格については、有料コンテンツを利用する必要があります。

LPI(Linux Professional Institute)の公式サイト

LPIの公式ウェブサイトでは、認定試験の学習リソースが提供されています。
各試験の内容が項目ごとに学習可能なため、勉強の基本ツールとして活用できます。
試験運営機関が提供するコンテンツであるため、信頼性の面で最も優れていると言えるでしょう。
さらに、公式サイトではLPI学習に役立つ参考図書の情報も掲載されていますので、併せてご覧ください。

まとめ

まとめ

LPICは、世界的に普及しているLinuxに関する知識を証明する資格制度です。
この資格を取得することで、就職やキャリア向上に有利に作用するでしょう。
LPICには3つのレベルが設けられているため、自身の成長に合わせて段階的に受験することをおすすめします。
最初のレベルであるLPIC-1には受験資格が不要なため、インフラなどバックエンド分野を志望する方は挑戦する価値が十分にあります。

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本記事が皆様の助けとなれば幸いです。