クレジットカード選びの基準とおすすめカードを紹介

個人的な支払いだけでなく、フリーランスとして事業を行う上でも「クレジットカード」は大変役立ちます。
しかし、

  • 「個人用のカードを既に持っている」
  • 「これまで発行したことがないので必要かどうかわからない」

と、ビジネス用のカードを持つことに抵抗を感じる人も多いでしょう。

本記事では、フリーランスがクレジットカードを持つ理由として、資金面や経理作業の観点からメリットを説明します。
さらに、フリーランスにおすすめの5枚のクレジットカードを厳選してご紹介します。

「なぜフリーランスにクレジットカードが必要なのか」「どのようなクレジットカードが適しているのか」について、ぜひ本記事を参考にしてください。

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フリーランスが独立前にクレジットカードを作るべき理由

フリーランスが独立前にクレジットカードを作るべき理由

フリーランスとして活動する際、クレジットカードの取得は事前に済ませておくことが賢明です。
カードを所持していれば、審査プロセスや経理作業において、後々メリットが得られるからです。
具体的な利点は以下の通りです。

  • 独立後にカード申請をすると、審査を通過できない可能性がある
  • 開業当初の資金繰りをスムーズに行えるよう役立つ
  • 会計ソフトと連携すれば、支払い明細の記録が簡単になる

上記の理由から、フリーランス活動を始める前にクレジットカードを取得しておくことをお勧めします。

独立後のフリーランスは審査に通過できない可能性がある

フリーランスの方々は、会社員と比較すると、クレジットカードの審査を通過することが難しくなる傾向にあります。
これは、安定した継続的な収入の証明や保証が困難であるため、カード発行会社から十分な信頼を得られないことが理由です。
しかし、フリーランスにとってクレジットカードは、経費管理やキャッシュフロー把握において極めて有用なツールとなります。
そのため、会社員時代にクレジットカードを作っておくことが賢明です。
実際、株式会社GVが運営する「まねーぶ」の2020年7月の調査では、500人中407人がフリーランス移行前にクレジットカードを取得していたことが明らかになりました。
近年では、フリーランス(個人事業主)向けのクレジットカードも増えており、審査を通過しやすくなっています。
フリーランスでも審査を通過するためのポイント

  • 開業届や事業用銀行口座の手続きを済ませる
  • 確定申告書や納税証明書などの収入証明を用意する
  • クレジットヒストリー(信用情報)に問題がない
  • キャッシング枠を0円と申告する

上記の点に留意すれば、フリーランスでもクレジットカードの発行可能性は高まります。
フリーランス用の銀行口座開設を検討中の方は、以下の記事を参考にしてください。

資金繰りに役立つ

クレジットカードの主要な利点の一つは、手元に現金がなくても支払いが可能になることです。
カード利用代金の引き落としは通常、1~2か月後に行われます。
この猶予期間のおかげで、手持ち資金が少ない場合でも資金の運用が可能になります。

クレジット決済を活用するケース例

  • 欲しい品物があるが売掛金の入金が1か月後となる
  • 資金が逼迫しているが、早期購入しないと割引キャンペーンが終了する
  • 決算期の関係で当月中に購入を済ませる必要がある

このように、支払いのタイミングをある程度コントロールできるクレジット決済は、収支のタイミングが不規則なフリーランスにとって便利なシステムと言えます。

会計ソフトの支払データ反映が簡単

クレジットカードの明細データと会計ソフトを連携させることで、支払い情報を自動的に反映できるようになりました。

  • 購入日時、商品・サービスの内容、支払い金額などの詳細が会計ソフトに取り込まれます。
  • この機能により、決済データの手作業での入力が不要となり、記帳作業の時間短縮と入力ミスの防止が可能になります。

最新の会計ソフトには、支払いの勘定科目を自動で判別するシステムや、確定申告書の作成機能も備わっています。
クレジット決済の連携機能と合わせることで、会計や税務に不慣れな個人事業主でも青色申告を容易に行えるようになりました。
フリーランスの会計ソフトについて詳しく知りたい方は、関連記事をご覧ください。

フリーランスのクレジットカードはプライベート(個人)用とビジネス(事業)用を分けるべき理由

フリーランスのクレジットカードはプライベート(個人)用とビジネス(事業)用を分けるべき理由

調査結果によると、個人用と事業用のクレジットカードを使い分けていない人が多数を占めています。
フリーランスエンジニアの中には、事業用カードの存在自体を知らない方も多くいます。
手続きや管理が面倒だと感じ、カードを分けることに消極的な人も少なくありません。
しかし、個人用と事業用のクレジットカードを区別する必要性があります。
その理由を以下で説明します。

  • 個人用カードと事業用カードでは、利用目的が異なります。個人用カードは個人的な支払いに、事業用カードは事業活動に関わる支払いに使用します。
  • 事業用カードを利用すれば、経費の管理が容易になります。
  • 事業用カードの利用代金は経費として計上できるため、確定申告の際に税金の控除対象となります。
個人用カード 事業用カード
個人的な支払いに使用 事業活動に関わる支払いに使用
経費管理が困難 経費管理が容易
確定申告時の控除対象外 確定申告時の控除対象

このように、個人用と事業用のクレジットカードを区別することで、経理処理が明確になり、節税対策にもなります。フリーランスエンジニアにとって、事業用カードは必須のツールと言えるでしょう。

個人用とビジネス用を切り離すことができる

クレジットカードを個人用と業務用に分けることで、日々発生する会計作業の整理と効率化が図れます。

例えば、個人と業務の兼用カードを使用すると、「日常の食費や雑費」と「業務での仕入れや支払い」の明細が混在してしまいます。その結果、次のような不利益が生じます。

  • 個人と業務の支払いを分ける手間が生じる
  • 経費として計上したい支払いが見つからない
  • 貸借対照表・確定申告書・帳簿の数値が合わない
  • 事業主借入金・事業主貸付金の区分けが複雑になる
  • 誤って個人の支払いを経費として申告し、ペナルティを受ける

業務用のクレジットカードを用意しておけば、上記の混乱を回避できます。常に簡素な管理が可能となります。

また、事業が拡大し、他の従業員にクレジット支払いを任せる場面でも、あらかじめ追加カードを発行しておけば、支払いを一つの明細にまとめられます。

疑われにくくなる税務調査対策

クレジットカード支払いに関する税務調査では、個人的な支出を事業経費として計上していないかが主な争点となります。
税務調査の対象となった時点で不正が疑われているため、個人用とビジネス用の支払いが混在していることは非常に不利な状況です。
しかし、事業用と個人用の支払いを明確に区別していることを示せば、税務当局に対して不正がないことをアピールできます。
さらに予防策としても、

  • 他の従業員による不正な支払いを明細から即座に把握できる

というメリットがあります。

カードの規約が異なる

企業活動と個人的な目的で使用されるクレジットカードには、実際のところ利用条件が異なっています。

  • 個人用のカードを業務上の支払いに使用すると、規約違反となり、カード利用が停止される可能性があります。

ここでは、法人向けと個人向けのクレジットカードの利用規約の相違点について簡潔に説明します。

クレジットカードを使える人の範囲

クレジットカードの利用範囲は、個人用とビジネス用で異なります。
どちらの場合も、カードの名義人は個人となり、名義人以外の使用は禁止されています。
しかし、手続きを経て追加カードを発行すれば、複数のカードを使いながら支払いを一括管理できます。
この追加カードの発行対象が個人用とビジネス用で違います。

  • 個人用カードでは家族への発行が可能です
  • ビジネス用カードでなければ社員への発行はできません

社員とクレジット決済を共有したい場合は、ビジネス用カードが必要不可欠となります。

クレジットカードの使用範囲

2つ目の点は、クレジットカードの利用目的に関するものです。
個人用のカードであれば、あらゆる商品やサービスの購入に活用できます。
しかし、事業用のカードの場合は、業務に関連する支払いにのみ使用することが推奨されます。
厳密に言えば、経営者個人の支払いにも使えますが、そうすると

  • 個人的な支出と業務支出が混在してしまい
  • 区別する意味がなくなってしまいます

適切な経理処理のためにも、事業用と個人用のカードは明確に使い分けるべきでしょう。

限度額が大きい

ビジネス向けのクレジットカードは、個人用と比較すると限度額が高く設定されている傾向にあります。
企業での支払いは金額が大きくなることが多いためです。
実際、楽天の「楽天ビジネスカード」は、「楽天カード」や「楽天ゴールドカード」よりも100万円から200万円ほど上限が高額になっています。

楽天カード各種支払限度額
  • 楽天カード 100万円
  • 楽天ゴールドカード 200万円
  • 楽天ビジネスカード 300万円

購入金額次第では、社用車や機械設備などの数百万円単位の支払いにも対応可能です。
この点は、特にフリーランスにとって安心材料となります。
十分な資金がなければ、大きな仕事やビジネスチャンスを逃してしまう可能性があるためです。

ビジネスの時に役立つ特典が付いている

ビジネスカードには、個人用カードにはない自営業者や企業向けの特典が付帯しています。その一部を以下に示します。

  • 税理士や弁護士への無料相談
  • クラウドソフトの無料利用期間や料金割引
  • コワーキングスペースの割引利用
  • 航空券の優待予約
  • 取引先との会食費用サポート
  • 海外通信の優遇措置

など。また、ビジネス用の購入に対してもポイントが付与される点が注目されます。獲得したポイントは、他のビジネス支払いに充当できます。ポイント相当額を「雑収入」か「値引き」のいずれに計上するかで、帳簿記載内容が若干異なりますが、資金繰りに苦しむフリーランスにとっては有難い制度と言えるでしょう。

ビジネス支払いで獲得したポイントは「事業所得」となります。一方、個人で貯めたポイントをビジネス支払いに充てた場合、そのポイント分は一時所得扱いです。他の一時所得と合算して50万円以下であれば、課税対象外となります。

フリーランスにおすすめのビジネス(事業)用クレジットカード5選 (2024年6月)

フリーランスにおすすめのビジネス(事業)用クレジットカード5選 (2024年6月)

ここからは、自営業者に適したビジネス向けのクレジットカードを5つ挙げていきます。

  • テックビズカード
  • 楽天カード
  • アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード
  • JCB CARD Bizゴールド
  • Orico Card THE POINT(オリコカードザポイント)

年会費が必要なカードもありますが、経費として控除可能です。そういった点も踏まえて、ご自身に合ったカードを選ぶことが賢明でしょう。

テックビズカード

テックビズカードは、NKC ASIAが発行するITフリーランス向けのクレジットカードです。
NKC ASIAはITフリーランスの支援やベンチャー支援業務を手掛けており、フリーランスに関する豊富な知見を有しています。

テックビズカードの基本情報は以下の通りです。

  • 国際ブランド: Mastercard
  • ポイント還元率: 0.5~1.1%
  • 年会費: 初年度無料、2年目以降2,200円(税込)
  • キャッシング利用枠: 100万円
  • 利用可能額: 300万円まで
  • 付帯保険: 海外旅行傷害保険、国内旅行傷害保険、ショッピングガード、カード盗難保険

ITフリーランス向けと銘打つだけあり、フリーランスに役立つ様々な特典・優待が用意されています。主な特典は次の通りです。

  • 国内外のコワーキングスペースの月額利用優待
  • フリーランス協会やベネフィット・ワンなどの福利厚生サービス利用
  • プログラミングなどのオンライン学習サービスの割引
  • 専属税理士による記帳・確定申告代行
  • 融資金利優遇制度

上記のように「ワークスペース」「ライフスタイル」「スキルアップ」「バックオフィス」の4分野に渡る25種類以上のサービスが提供されます。加えて、ポイント還元率も最大1.1%と高水準です。テックビズカードは、まさにITフリーランスにこそおすすめのクレジットカードと言えるでしょう。

楽天カード

「楽天カード」は、フリーランスの間で広く利用されているクレジットカードの1つです。特定の調査では、500人中229人がこのカードを所持していると回答しています。ビジネス利用に限定しても、最も高い利用率を示しました。

楽天カードの基本情報は以下の通りです。

  • 国際ブランド: VISA、Mastercard、アメリカン・エキスプレス、JCB
  • ポイント還元率: 1~3%
  • 年会費: 無料
  • キャッシング利用枠: 100万円まで
  • 利用可能額: 100万円まで
  • 付帯保険: 海外旅行傷害保険、カード盗難保険

フリーランスにとって最大の魅力は、楽天市場での買い物で最大3%のポイント還元を受けられる点です。日常的な利用でも1%と高い還元率が適用されます。100万円の買い物で少なくとも1万円分のポイントが還元されるため、資金繰りに苦しむフリーランスにとって大きな助けとなります。

さらに、Wi-Fiレンタルが20%割引になるなどの優待特典も用意されており、出張先での作業がスムーズになります。

加えて、「楽天ビジネスカード」というビジネス向けのクレジットカードも存在します。年会費2,200円がかかりますが、最大5%の還元率、利用限度額300万円、VISAビジネスオファーによる翻訳や経理サポートなど、ビジネスに特化した様々な特典が用意されています。

フリーランスとしてのクレジットカード選びの際は、楽天カードが適した選択肢の1つと言えるでしょう。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード

アメリカン・エキスプレスが発行する「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード」は、高額な年会費を支払う代わりに、ビジネス向けの充実したサポートや特典を受けられる国際ブランドのクレジットカードです。

国際ブランド アメリカン・エキスプレス
ポイント還元率 なし
年会費 13,200円(税込)
追加カード 1枚につき6,600円(税込)
キャッシング 利用不可
利用可能額 無制限(利用者の状況で決定)
付帯保険 海外旅行傷害保険、国内旅行傷害保険、ショッピングガード

フリーランスにとって魅力的な点は、利用限度額が一律ではなく、利用実績に応じて決められることです。状況次第では高額の利用が可能となります。

その他の特徴は以下の通りです。

  • クラウド会計ソフトfreeeとの連携
  • ビジネス情報サービス「ジー・サーチ」の年会費無料
  • 海外出張時の24時間日本語サポート
  • 海外出張の出発・帰宅時のスーツケース無料配送
  • 福利厚生プログラム「クラブオフ」

グローバル展開や高いステータスが求められるビジネスを行うフリーランスには、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードがおすすめです。

JCB CARD Bizゴールド

JCBが発行する国際ブランドのクレジットカード「JCB CARD Bizゴールド」は、ゴールド会員向けの充実した付帯保険や優待サービスが特徴です。
基本情報は以下の通りです。

項目詳細
国際ブランド:JCB
ポイント還元率:0.1%(他ポイント交換で実質0.3%~)
年会費:初年度無料(切り替え者を除く)、2年目以降11,000円(税込)
キャッシング利用枠:あり、利用可能額300万円まで
付帯保険:

  • 国内旅行傷害保険
  • 海外旅行傷害保険
  • 国内航空機遅延保険
  • 海外航空機遅延保険
  • ショッピングガード

フリーランスにとっての魅力は、スタンダード版よりも利用可能額や保険の補償金額が手厚いことです。
特に旅行傷害保険は海外1億円、国内5,000万円と高額な補償があります。
また、出張が多い事業者には航空機遅延保険が助けになるでしょう。

その他の特典として、

  • 会計ソフトの無料提供や割引
  • 出張手配サポート
  • 福利厚生サービス

などがあり、ステータス性を重視するフリーランスに適したカードと言えます。

Orico Card THE POINT

Orico Card THE POINTは、オリエントコーポレーションが発行する信頼できるクレジットカードです。1969年から事業を展開しており、50年以上の実績があります。

このカードの基本情報は以下の通りです。

項目 詳細
国際ブランド Mastercard、JCB
ポイント還元率 1~2%(期間限定ポイント含む)
年会費 無料
キャッシング利用枠 100万円まで
利用可能額 300万円まで
付帯保険 カード盗難保険、トラベルサポート

フリーランスにとって魅力的な点は、入会後半年間はポイント還元率が無条件で2%になることです。この期間中に開業に必要な物品や消耗品を揃えると得です。さらに、オリコモールを経由した買い物では、追加で0.5%以上のポイント還元を受けられます。2021年10月時点の主要ショップの還元率は以下の通りです。

  • Amazon:0~4%
  • 楽天市場:+0.5%
  • DHCオンラインショップ:2%
  • 【さとふる】ふるさと納税サイト:最大3.5%

加えて、年会費は無料ながら最大300万円の利用枠が設定されているのも大きな魅力です。利用枠は審査次第ですが、会社員時代に作っておけば高い上限が期待できます。

開業初期の物品調達や、その後のオンラインショッピングにオリコモールを活用したいフリーランスには、Orico Card THE POINTがおすすめです。

まとめ

まとめ

フリーランスにとって、ビジネス用のクレジットカードを所有することは、資金管理や会計業務の効率化において非常に有益です。その理由は以下の通りです。

  • 支払いを後回しにできるため、資金繰りが容易になる
  • 会計ソフトウェアと連携できるため、経理や税務作業が合理化される
  • 個人用とビジネス用の支出を区別できる
  • フリーランス向けの特典が利用可能

しかし、フリーランスは信用力が課題となり、クレジットカード申請が承認されにくい傾向にあります。そのため、独立前にカードを作ることが推奨されます。

適切なクレジットカードの選択に迷った場合、以下5つがおすすめです。

  • テックビズカード
  • 楽天カード
  • アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード
  • JCB CARD Bizゴールド
  • Orico Card THE POINT

フリーランスとして成功を目指すのであれば、ビジネス用クレジットカードの取得を検討するとよいでしょう。

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本記事がみなさまのお役に立てば幸いです。