ふるさと納税の仕訳と勘定科目(フリーランス・法人)

ご自身の好みの自治体に寄付を行い、返礼品として好きな食品やレジャーを受け取ることができるふるさと納税。この制度を利用することで、所得税や住民税の控除を受けられるというメリットがあります。
しかし、フリーランスや法人の場合、確定申告が必要となるため、確定申告の手続きが不要なワンストップ特例制度を利用することはできません。
そのため、税額控除を受けるには、確定申告時にふるさと納税の金額も申告する必要があります。
この場合、どのように対処すべきでしょうか。
ここでは、フリーランスや法人がふるさと納税を行う際の仕訳について説明します。

  • ふるさと納税の金額を「寄付金」の勘定科目で処理します。
  • 返礼品の金額を「広告宣伝費」の勘定科目で処理します。
借方 貸方
寄付金 現金
広告宣伝費 現金

このように処理することで、ふるさと納税の金額と返礼品の金額を適切に区分することができます。
なお、返礼品の金額は、一般的に寄付金の3割以内に抑えられていますが、それを超える場合は全額を「広告宣伝費」として処理する必要があります。

週10時間の副業案件を
会員登録した方限定で配信中!

フリーランス(個人事業主)が2024年6月にふるさと納税を仕訳する際の勘定科目

フリーランス(個人事業主)が2024年6月にふるさと納税を仕訳する際の勘定科目

ふるさと納税は個人の寄付として扱われるため、フリーランスや個人事業主が経費と認められることはありません。これは、ふるさと納税が事業活動とは無関係な個人と自治体間の取引と見なされているためです。
しかし、フリーランスの中には私的な支出と事業支出を明確に区別できない場合もあるでしょう。そのような場合、事業資金を私的支出に充てる「事業主貸」という勘定科目を利用することができます。ふるさと納税の支出もこの事業主貸に分類することが可能です。
そして、寄付金額から2,000円を控除した金額に対する所得税額相当分を確定申告の寄付金控除欄に記載すれば手続きは完了します。
帳簿への記載方法としては、例えば自治体Aに3万円をふるさと納税した場合、以下のように処理します。

借方金額 貸方金額
事業主貸 30,000 普通預金 30,000

返礼品が届いた際の仕訳は?

返礼品が届いた際の仕訳は?

ふるさと納税の返礼品は一時所得として扱われます。一時所得が50万円以下であれば申告は不要ですが、混同しがちなのは、この50万円の基準が寄付金額ではなく、返礼品の価値に対するものだという点です。

実際、ふるさと納税で50万円を超える返礼品を受け取る人は限られているでしょう。そのため、大多数の人は返礼品を受け取っても確定申告の必要はありません。

ただし、高額所得者で受け取った返礼品の価値が50万円を上回る場合は、自身で金額を算出する必要があります。一時所得の計算方法は、

  • 寄付先自治体に問い合わせるか
  • 寄付金額の3割として算出できます(総務省は返礼品原価を寄付金額の3割以下に抑えるよう要請しています)

原価確認の際は、ふるさと納税サイトではなく必ず自治体に問い合わせましょう。

一方、返礼品ではなくポイントを選択した場合、ポイント付与のタイミングによって申告対象年が変わり、また税務署によって判断基準が異なるため、ポイントが50万円相当以上に上る場合は住民票所在地の自治体に確認を取る必要があります。

なお、「楽天ふるさと納税」で付与される楽天ポイントは非課税ですので覚えておきましょう。

重要ポイント 内容
一時所得の基準 返礼品の価値
原価確認先 寄付先自治体
ポイント選択時の確認先 住民票所在地の自治体
非課税ポイント 楽天ふるさと納税のポイント

フリーランス(個人事業主)として確定申告時の2024年6月のふるさと納税の対処とは?

フリーランス(個人事業主)として確定申告時の2024年6月のふるさと納税の対処とは?

フリーランス(個人事業主)の確定申告における寄付金の取り扱いは、以下の通りです。

  • まず上限額を確認した上で実際に寄附を行い、返礼品を受領する
  • 確定申告時に事業費用として計上し、申告書の控除欄には寄附金額から2,000円を差し引いた金額を記載する

ふるさと納税による控除は所得税のみならず、住民税にも適用される
住民税については特段の申告は不要で、確定申告を済ませれば翌年度から控除が反映される。

確定申告の主な手続きは以下の通り。

手続き
・ふるさと納税を行う際には注意すべき点が2点ある
・これらを理解していないと税額控除のメリットを享受できない可能性がある

ふるさと納税を活用する上で把握しておきたい留意事項を確認しましょう。

寄付金受領証明書が必要な確定申告

確定申告時にふるさと納税の控除を受けるには、寄付金の受領証が必要になります。この証明書は、概ね寄付から1か月程度で届くことが一般的です。
しかし、年末など自治体が多忙な時期に寄付した場合、発送が遅れたり、忘れられていることもあるため、遅れがちと感じたら早めに問い合わせをするべきです。

一方、ふるさと納税サイトでは、寄付金受領証に代わる「寄附金控除証明書」を自身で出力できるサービスが増えつつあります。

  • 複数の自治体に寄付した場合
  • 寄付から時間が経過し受領証を紛失した際

には、このオンライン上の証明書を活用すれば紛失の心配がなくなるでしょう。

この寄附金控除証明書は、

電子データでの提出と書面での郵送提出の両方に対応しています。

ふるさと納税の限度額に注意

ふるさと納税には年収に応じた上限額が設けられています。この上限額は総所得の30%となっており、寄付金額がこの上限を超えた場合、超過分は控除対象外となり自己負担となります。
ふるさと納税の魅力は実質2,000円で返礼品が受け取れることですが、上限を超えると損失が生じます。
そのため、ふるさとチョイスなどのサイトで簡単に上限額を算出できるので、必ず事前に確認する必要があります。
特に注意が必要なのは、配偶者控除や医療費控除、iDeCoなどの制度を利用する場合です。これらは節税効果があり、所得を減らすことで所得税を削減する仕組みです。
一方、ふるさと納税の上限額は所得金額に応じて変動します。
つまり、これらの控除を活用しすぎると、ふるさと納税の上限額が下がってしまう可能性があります。
そのため、これらの制度とふるさと納税を併用する場合は、バランスを考慮した上で確定申告を行うことが重要です。

法人(企業)もふるさと納税できる?

法人(企業)もふるさと納税できる?

企業においても、地域への寄付を行うことができます。
しかし、一般的な寄付制度とは異なり、「地方創生応援税制」と呼ばれる仕組みとなっています。
従来の寄付制度との主な違いは、企業版では返礼品が提供されない点にあります。
その代わりに、

  • 自治体への寄付額の最大9割を法人住民税・法人事業税・法人税から控除することができます。

ただし、この制度には期限が設けられており、現時点では令和6年までの適用となっています。
延長される可能性もありますが、永続的な制度ではないため、活用できる間に利用することをお勧めします。

法人(企業)のふるさと納税の勘定科目

企業が地方自治体に対して行う寄付は、「特定寄附金」と分類されます。事業を運営する際、自治体への寄附を行うケースが生じることがあります。
このような法人版ふるさと納税においても、寄附金全額を損金処理することができます。
帳簿への記載方法は以下の通りです。

借方 貸方
寄附金 預金
100,000 100,000

借方側に寄附金、貸方側に預金を計上し、金額欄に寄附金の額を記載すれば適切に処理できます。

法人税申告の注意点

企業がふるさと納税を行う際には、一般の個人と異なる規定があり、注意が必要です。

  • 寄付先の自治体には制限があります。本社所在地や東京都、三大都市圏の一部市区町村など、すでに発展した地域は対象外となっています。
  • 寄付に対するリターンは一切ありません。優遇措置は禁止されているため、単に支援したい自治体に寄付するだけです。
  • 寄付金額には下限と上限があり、下限は10万円、上限は法人税額の5%です。上限を超えた分は控除対象外になるので注意が必要です。

法人税申告時には、別表6(20)の「認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除に関する明細書」を添付します。

まとめ

まとめ

ふるさと納税は単に返礼品を受け取るだけでなく、所得控除の恩恵も受けられるため、非常に有利な制度です。
フリーランスの方でも、帳簿の記入や申告手続きは難しくありません。
ぜひこの機会を活用して節税を心がけましょう。

ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」に少しでも関心がある方は、ぜひ登録をお願いします。
本記事が皆様の助けとなれば幸いです。