SREの転職実情や年収、エンジニア転職実現のコツを解説!

SREの考え方は、Googleによってはじめられたものです。その後、Heroku、Amazonなどの大企業を中心に広まっていきました。
現在では大企業だけでなく、中小企業においてもSREが注目を集めており、SREエンジニアの需要が急速に高まっています。
しかし、比較的新しい概念であるため、

  • 「SREという言葉の意味をよく理解できていない」
  • 「SREエンジニアがどのような業務を行うのか分からない」

という方が多数いるのではないかと思われます。
そこで本稿では、

  • SREの概念
  • SREエンジニアの職務内容
  • 未経験者がSREエンジニアを目指す際に必要となるスキル

について説明していきます。

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SREとは

SREとは

SREとは、システムの可用性と信頼性を高めるための概念を指します。
ITシステムが大規模化すると、複雑さが増し、人為的なミスが発生しやすくなります。
そのたびに運用担当者がシステムを修正する必要がありますが、いずれは対応が追いつかなくなる可能性があります。
さらに、複雑さが高まれば修正作業中にもミスが生じ、ユーザーに不便をかけかねません。
そこでSREでは、自動化が可能な部分は最大限自動化し、無駄を排除してパフォーマンスを向上させることを目指します。

  • 自動化により運用効率が上がり
  • ユーザー不満も抑えられ
  • 企業イメージ向上にもつながります

そのため、大手企業だけでなく中小企業でもSREの重要性が高まっています。

インフラエンジニアとSREの違い

SREとインフラエンジニアの職務は全く異なります。
SREは「運用の自動化」に重きを置き、システム開発に取り組みます。
SREの取り組みの一つに「Toil制限」があり、

  • 人手による作業を自動化などで50%以下に抑えることを目指します。

そのため、SREの業務は運用を行いながらも開発が中心で、ソフトウェアエンジニアやアプリケーションエンジニアに分類されます。
一方、インフラエンジニアはシステム開発においてインフラ周りの設計・運用が主な役割であり、基本的に開発業務は行いません。
したがって、SREエンジニアは運用の自動化を主眼に置きながらも、インフラエンジニアが本来担う運用業務も兼務する立場だと言えるでしょう。

SREとDevOpsの違い

DevOpsは開発と運用が協調して業務を遂行する考え方であり、SREはDevOpsを実現するための施策の一つと見なされます。
DevOpsという用語は、Develop(開発)とOperations(運用)の頭文字を組み合わせて作られた造語です。
従来、開発業務と運用業務はそれぞれ独立して行われてきました。しかし、この独立した状態では、以下の課題がありました。

  • 開発と運用の連携が上手くいかず、新機能のリリース後に運用側が適切に対応できずに作業効率が低下する
  • 開発側と運用側が対立してしまう

そこでDevOpsでは、開発と運用を一体化して実施し、小規模な試行錯誤を繰り返しながら改善を重ねることで、開発と運用の円滑な関係構築を推進します。
SREにおいても開発側と運用側の良好な関係が求められますが、DevOpsと混同されがちです。しかし、SREは具体的な手法であり、DevOpsは開発における思想概念であり、別物です。

SREの仕事内容

SREの仕事内容

SREの職務は多岐にわたりますが、主な役割を見ていきましょう。

  • システムの信頼性と可用性を確保すること
  • 自動化とツールの活用によりオペレーションの効率化を図ること
  • インシデント発生時の迅速な対応と根本原因の特定
  • システムのスケーリングと拡張性の確保
  • ソフトウェア開発プロセスへの関与と品質向上への貢献
  • モニタリングとアラート設計による問題の早期発見
  • ドキュメンテーションの整備と知識の共有

SREは、開発とオペレーションの橋渡し役として、システムの安定性と信頼性を追求しながら、継続的な改善活動に従事します。

運用体制の整備

SREにおいて重要なのは基盤の構築です。基盤が脆弱であれば、その上に構築されるものは不安定になってしまうでしょう。
そのため、SREではシステムを安定的に継続して運用できる環境を整備するため、コードによるインフラストラクチャ管理、つまりIaC(Infrastructure as Code)を活用します。

  • IaCを採用することで、不具合発生時の迅速なロールバックや、高速なシステム更新が可能となり、手作業に起因するミスを低減できます。

バグ確認と解消

SREの職務には、リリース前のバグ検出と修正が含まれます。
バグが少ないほど望ましいことは言うまでもありません。
しかし、開発作業中にバグへの懸念が高まりすぎると、開発者の精神的ストレスが高まり、生産性が低下してしまいます。
そこで、リリース前に徹底的なバグチェックと修正を行うことで、開発者の心理的負荷を軽減し、開発スピードを向上させることができます。
その結果、システム開発の品質向上が期待できるのです。

プロダクトのリリースサポート

SREの業務には、製品のリリースプロセスを支援することが含まれます。システム開発においては、開発チームは「迅速なリリース」を望み、運用チームは「安定した運用」を求めるため、両者の要求が対立しがちです。
そのため、妥協点を見つける必要があります。

  • 開発の意向を重視すれば、不安定なシステムがリリースされる可能性があります
  • し、運用の意向を優先すれば、リリースが遅れてユーザーの不満が高まるでしょう

そこで、業務の自動化や開発環境の改善を図り、開発と運用の両者が納得の上で、安定したサイクルで製品をリリースできるよう支援します。

良いツールや仕組み提供

ソフトウェア開発を容易にするクラウドサービスの提案や、開発チームが作業を円滑に進められるようなツールやシステムの提供も、SREの責務となります。
SREは開発と運用の橋渡し役ではありますが、開発チームがSREに過度に依存してしまうケースも少なくありません。
しかし、SREは開発と運用の双方に対して中立的な立場を保つことが望ましいのです。
そのため、

  • 開発チームと緊密に連携し
  • 一部の簡易な運用業務を開発チームが自ら実施できるようアドバイスを行う

など、開発側が自立して機能できる状況を実現することもSREの役割なのです。

SREの年収

SREの年収

SREという職種は比較的新しく、公的な年収データは存在しませんが、専門的な知識を持ち、開発と運用の両方をリードする立場であることから、システム開発の現場におけるリーダー格の職種と言えます。
経済産業省の調査によると、高度SE・ITエンジニアの平均年収は778.2万円、求人ボックスによるITエンジニア全体の平均年収は505万円です。SREはこれらの職種と類似した高年収が期待できる仕事と考えられます。
さらに、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」のデータから算出されたフリーランスのSREの平均年収は以下の通りです。

平均年収 中央値年収 最高年収 最低年収
991万円 1,020万円 1,800万円 360万円

フリーランスのSREは、エンジニア職の平均年収と比較して、中央値・平均値ともに高く、高年収が期待できる仕事であると言えるでしょう。

SREの将来性

SREの将来性

求人サイトIndeedに掲載されているサイトリライアビリティエンジニア(SRE)の募集案件は、2022年5月時点で2,904件と数えられています。
SREは日本国内ではまだ一般的な職種とは言えず、求人数は控えめな水準にあります。
しかしながら、我が国においてデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進が奨励されており、大手企業を中心に業務の自動化や業務効率の向上に向けた取り組みが積極的に行われています。
SREはまさにDXの実現や加速に不可欠な存在であり、今後ますますその需要が高まっていくことが予想されます。

未経験からSREへの転職を実現させるには

未経験からSREへの転職を実現させるには

運用エンジニアリングの分野は注目を集めており、未経験者の中にもこの職種を志す人がいるかもしれません。
SREは幅広い領域における高度な知識が求められるため、未経験からこの職を目指すには相当の時間を要します。
しかし、それは不可能ではありません。

そこで、未経験からSREになるために必要な能力を確認しましょう。

  • プログラミングスキル
  • システム設計能力
  • 問題解決能力
  • コミュニケーション能力
能力 説明
プログラミングスキル スクリプト言語やプログラミング言語を使いこなせる
システム設計能力 システムの設計や構築ができる
問題解決能力 トラブルシューティングができる
コミュニケーション能力 他部門との調整ができる

インフラ開発関連スキル

SREは、インフラストラクチャの運用改善に携わるため、インフラ開発に関連する技能が不可欠です。
具体的には、以下の知見が求められます。

  • TCP/IP
  • HTTP
  • ログ分析
  • 冗長性の確保
  • 監視システム
  • ミドルウェア

また、Linuxなどのオペレーティングシステムについても、単なる運用レベルの基礎知識では不十分で、深い理解が必要とされます。
そのため、インフラエンジニアとしては、設計や構築などの上流工程を担えるレベルの実務経験が最低5年以上必要と考えられます。
さらに近年では、クラウドサービスの導入が増えており、AWSやAzureなどのクラウド設計・構築スキルも求められる傾向にあります。

Webアプリ開発関連スキル

ソフトウェアの自動化を目的としたアプリケーション構築も担当するため、SREにはWebアプリケーション開発の実績が求められます。
プログラミング言語は問われませんが、主に

  • 機能拡張
  • ツール作成

などの経験が必要とされています。
また、データベース運用の経験も必須であり、SQLに関する深い理解力が求められます。
さらに、SREには分析業務も課されるため、高度な募集案件ではWebアプリ開発に加えてデータサイエンス関連の開発経験が要求されることもあります。

セキュリティ関連スキル

信頼性の高いシステムを構築するためには、SREはインフラストラクチャと開発の両面における専門知識を兼ね備える必要があります。
したがって、以下の知見を習得することが求められます。

  • オペレーティングシステムのセキュリティ
  • 暗号化技術など、高度なセキュリティ関連の知見

転職サイトや転職エージェントの活用

SREは新しい職種であり、情報が限られているため、単独での転職活動は推奨されません。
そのため、IT専門の転職サイトや転職エージェントを活用する必要があります。
これまでSREに求められるスキルを列挙しましたが、エンジニアとして完璧に習得するには10年以上を要するでしょう。
しかし、SREを目指すなら早期の行動が賢明です。
そこで、スキルが未熟でも採用してくれる職場を見つけるには、転職のプロフェッショナルに依頼するのが良策です。
転職エージェントであれば、転職活動に関する助言を受けられます。
必要なスキルが不足している場合、そのスキルを身につけられる職場を提案し、キャリア形成をサポートしてくれるでしょう。
転職を有利に進めるためには、積極的にIT専門の転職サイトやエージェントを活用することをお勧めします。

まとめ

まとめ

SREとは、開発と運用の橋渡し役を担い、運用業務の効率化やパフォーマンス向上を目指す職種です。
SREは高収入が期待できますが、開発とインフラの両方で深い知識が求められます。
そのため、SREになるためには相当の時間を要するでしょう。
しかし、未経験からでもSREになる可能性はゼロではありません。

  • 着実にキャリアを積み重ねていけば、将来的にSREを目指せます。

SREは今注目を集めている職種であり、今後さらに需要が高まると予測されています。
そのため、SREを志すのであれば、今すぐ不足しているスキルを洗い出し、必要なスキルを身につけることが重要です。
SREは正社員だけでなく、フリーランスとしても働くことができます。
フリーランスであれば、年収1,000万円も夢ではありません。
SREを目指す際は、将来的にフリーランスとして独立することも視野に入れると良いでしょう。

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本記事が皆様のお役に立てば幸いです。