客先常駐はおすすめ?2024年6月SES企業で働くメリット・デメリットや注意点を解説

企業への移籍を検討しているものの、不安から一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
顧客先で勤務することがエンジニアにとって有益なのか、SES企業の給与水準や労働環境は適切なのか、疑問は尽きません。
本稿では、エンジニアがSES契約で顧客先常駐勤務する際の長所と短所を解説します。
また、SES企業への転職時の留意点もまとめました。
本稿を通じて、SES企業への移籍の是非を判断できるはずです。
顧客先勤務を検討中のエンジニアの皆様は、ぜひ参考にしてください。

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客先常駐とは?

客先常駐とは?

企業がクライアント企業の拠点に直接出向き、業務を遂行することを客先常駐と呼びます。この形態では、クライアントの案件に参画し、他のメンバーと協力しながら作業を進めていきます。
特に大規模なシステムやソフトウェアの開発現場において、この働き方が多く見られます。

  • 大がかりなシステム構築には、プログラマーやシステムエンジニアをはじめ、様々な技術者が必要不可欠です。
  • 自社で全ての人材を雇用するのは、採用費用や育成費用がかさむため、他社のエンジニアに客先常駐で従事してもらう方が効率的な場合が多々あります。

もちろん、新規システム導入の際には、開発ベンダーに委託する選択肢もあります。しかし、客先常駐の方が情報漏洩リスクが低減するなどのメリットがあり、加えて情報共有も円滑になり、プロジェクトの遂行がスムーズになります。そのため、多くの企業が客先常駐による業務遂行を選好しています。

SESとは?

労働者の派遣形態を示す言葉として「SES」があります。これはSystem Engineering Serviceの略称で、技術者の人的リソースを提供する契約方式を指します。
一方、「客先常駐」は作業場所を意味する表現です。技術者に発注元の事業所で業務に従事してもらう場合、技術者の所属企業とSES契約を締結することになります。
このSES契約によって技術者を供給している会社は、一般的に「SES企業」と呼称されています。

  • SES契約では、各技術者の1か月分の人件費相当額が単価として決められます。
  • 例えば、月額単価50万円の技術者が10名必要であれば、1か月分で500万円の支払いが発生します。

この単価は作業時間数に応じて設定され、成果物の品質によって変動することはありません。
そのため、場合によっては高水準の製品を低コストで獲得できる可能性があり、SES契約方式は広く普及しています。

SESと請負の違い

システム開発における契約形態は、主に2種類に大別されます。

  • エンジニアの労働力を提供するSES契約(準委任契約)
  • システムの開発から納品までを一括して請け負う請負契約

請負契約の場合、報酬は時間単位ではなく、開発対象のシステムによって決定されます。
納期までにシステムを納品すれば、いつ納品しても報酬は同額となります。
また、支払いは納品完了後に発生します。
一方、SES契約(準委任契約)では、契約期間内にシステムが完成しなくても報酬を支払う必要があります。
請負契約の場合、発注企業は成果物の完成を請負企業に求めることができるため、完成が保証されるメリットがあります
請負契約によりシステムを提供する企業は、SIer企業と呼ばれています

エンジニアがSES契約で客先常駐として働くメリット

エンジニアがSES契約で客先常駐として働くメリット

エンジニアがSES契約で顧客企業に常駐する際の利点は以下の5点が挙げられます。

  • キャリアの浅い時期でも職場を変更しやすい
  • 様々な経験を積むことができる
  • 長時間労働になりにくい
  • 人的ネットワークを広げられる
  • 大手企業などで勤務する機会もある

それぞれの利点について詳しく説明していきましょう。

経験が浅い段階でも転職しやすい

SES企業では、キャリアの初期段階でも転職のチャンスがあります。
これは、SES企業が複数の企業にエンジニアを派遣しているため、大量の採用を行う場合があるからです。
ただし、完全な未経験者の場合は採用が難しい傾向にあります。
一定のスキルがなければ、安心して他社に派遣することができないためです。
他社への転職が困難な状況でも、SES企業であれば転職の可能性があるため、経験が浅い方はSES企業を選択肢の一つとして検討するのが賢明でしょう。

幅広い経験を積める

顧客企業に常駐して勤務することには、技術者として多岐にわたる経験を積める利点があります。

  • 様々なプロジェクトに携わることで、幅広い知見を身につけることができれば、将来的に職場を移る際や独立する際にも役立つ能力を習得できます。
  • 加えて、複数の企業のノウハウを吸収できるメリットもあるでしょう。

一社に長期間勤務する場合、その会社でしか通用しない技術しか身につけられず、転職の際に不利になる可能性もありますが、顧客常駐であれば転職しても活かせるスキルを身につけやすいのです。

労働時間が長くなりにくい

SESの契約条件を適切に定めている場合、長時間労働に陥るリスクは低くなります。
SESでは時間単位で報酬が決められているため、クライアント企業がエンジニアに無尽蔵に残業を強いることは困難です。
もし残業が発生しても、その分の対価は支払われるはずです。
ただし、一部の企業では過剰な労働時間が常態化しているケースもあるため、転職の際は十分な確認が必要不可欠です。

人脈を広げることができる

企業に派遣されて勤務することで、ネットワークを拡大できる利点があります。

  • 多様な背景を持つ人々と交流し、視野を広げることができます。
  • さらに、派遣先で優れた実績を残せば、正社員としての雇用を打診されるケースもあります。

人的ネットワークの拡大には、様々な恩恵が期待できるでしょう。

大手企業などで働ける可能性がある

有力企業への移籍の機会もあり得るSES企業への転職。
大企業では多数のエンジニアリングリソースが求められるため、SES企業と提携関係を結んでいることが珍しくありません。

  • 名門システムの開発に携われることで、やる気に火がつく人も少なくないでしょう。

しかし、大手企業での開発業務に従事するには、それなりの実力が問われることは避けられません。

エンジニアがSES契約で客先常駐として働くデメリット

エンジニアがSES契約で客先常駐として働くデメリット

報酬水準が低くなるケースもある
SES契約では、顧客企業の人件費予算に合わせて報酬水準が決められるため、自社に所属する場合よりも低くなることがあります。

転職が制限される会社もある
SES契約の中には、一定期間内の転職を制限する条項が含まれている場合があります。

希望する業務に携われないこともある
顧客企業の要望に応じて業務が決まるため、必ずしも自身の希望する業務に携われるとは限りません。

新たな人間関係を構築する必要がある
常駐先の顧客企業で新たな人間関係を構築する必要があり、環境の変化に適応する必要があります。

所属意識を持ちづらい環境である
顧客企業に常駐するため、自社への所属意識を持ちづらい環境にあります。

給料が安くなる可能性がある

報酬水準が低い可能性のあるSES企業も存在します。
例えば、二次請け業者と呼ばれる会社では注意が必要です。

  • 二次請け業者の場合、クライアント企業と直接契約を結んでいるのではなく、一次請け企業を介在させています。
  • その結果、一次請け企業に高額の手数料を支払わされ、報酬が減額される恐れがあります。
  • さらに三次請け、四次請けと請負が重なれば、複数の企業に報酬が分配されてしまい、エンジニアへの実際の支払額が目減りしてしまう可能性があります。

そういった企業に所属する場合、給与水準が低くなる恐れがあるため、十分な注意が必要です。

転職してはいけない企業もある

SES企業の中には、不適切な行為を行う会社が一部存在します。
例えば、

  • PHPの開発経験がないにもかかわらず、3年間の実務経験があると虚偽の申告をして派遣させるケースがあります。

このような経歴の偽装により、損害が発生した場合、SES企業に対して賠償請求がなされる可能性があります。
また、実力に見合わない業務を任されることで、エンジニア側にも過度な負荷がかかってしまいます。
そういった企業への就職は避けるべきであり、万が一入社してしまった場合は、転職を検討することが賢明です。

夢を諦めるな

企業に移籍した際、必ずしも希望の業務に携われるとは限りません。
例えば、

  • プログラミング業務を希望していたにもかかわらず、インフラ業務に従事させられてしまうケースがあり得ます。
  • さらに、再委託や三次委託の場合、開発や設計は元請けが担当するため、テストなどの業務に限定される可能性があります。

思い描いた案件に就けず、スキルの蓄積が思うように進まない恐れがあります。

人間関係を構築する必要がある

仕事の現場が案件ごとに異なるため、人間関係を新たに構築する必要があります。
新しい環境に適応するまでには時間を要し、ストレスを感じる人もいるでしょう。
また、職場環境が自分に合わない場合、案件終了まで耐え忍ばなければなりません。
一方で、環境の変化が刺激となり良い影響を与える人もいるかもしれません。
自身の性質も踏まえ、客先常駐型の働き方を選択するかどうかを判断することが賢明です。

帰属意識を持ちにくい

顧客先に常駐する際は、勤務先ではなく顧客先に直接赴くため、所属企業に足を運ぶ機会が少なくなることがあります。
このような状況下では、会社への帰属意識が希薄化し、仕事へのモチベーションが低下する恐れがあるかもしれません。
しかし、一人で顧客先に赴くのではなく、

  • 同じ会社の同僚と共に顧客先業務に従事する企業も存在します。

この場合、日頃から同じメンバーとコミュニケーションを取ることができるため、会社への帰属意識を持ちやすい可能性があります。

2024年6月 SES契約で客先常駐として働くのが向いている人

2024年6月 SES契約で客先常駐として働くのが向いている人

ここまでは、顧客先に常駐しながら業務を行うSES契約の長所と短所について説明してきました。
これらを踏まえ、SES契約での顧客先常駐業務に適している人物像を整理しました。

  • エンジニアとしての経験が浅い
  • 幅広い経験を積みたいと考えているエンジニア
  • 環境の変化によるストレスを受けにくい

上記3点に当てはまる方は、SES企業への転職を検討する価値があるでしょう。
当てはまらない場合は、SESではなくSIerなど、他の選択肢も視野に入れることをお勧めします。

SES契約で客先常駐として働く際の注意点

SES契約で客先常駐として働く際の注意点

エンジニアにとって客先常駐には様々な利点がありますが、キャリアプランや考え方次第では転職も検討に値します。
ただし、SES企業への転職には注意が必要な点もあります。

  • まず、エンジニアの実力を偽って他社と契約を結ぶ企業には入社すべきではありません。
  • また、偽装請負と見なされかねない状況にある企業への転職も避けるべきでしょう。

具体例としては、SES契約上クライアントに指揮命令権がないにもかかわらず、実際にはクライアントが指揮命令を行っているケースが挙げられます。
このような企業を避けるためにも、転職前に会社の評価や口コミを確認することが賢明です。

まとめ

まとめ

この記事では、SES契約による客先常駐勤務の長所と短所について説明しました。
SES企業への転職を検討する際の留意点も明らかにしました。
客先常駐勤務には多くの利点があり、キャリアパスや考え方次第では転職をお勧めできます。

  • 特に、様々な企業での経験を積みたい方には適した働き方だと言えるでしょう。

一方で、偽装請負など転職すべきではないSES企業も存在します。
そういった企業に転職しないためにも、事前に企業の評判や口コミを確認することが重要です。
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この記事がみなさまのお役に立てば幸いです。